真田十勇士
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巻ノ三 由利鎌之助その十二
「この通りな」
「何と、それではな」
「まさに河童じゃな」
「幼い頃はよくそう言われた、それでその水のことを活かしてな」
そしてというのだ。
「今に至るのじゃ」
「左様か、河童か」
「これは心強いな」
「尚相撲も強い」
海野は二人に笑いながらこのことも話した。
「力士にも負けぬ」
「相撲も強いとはな」
「余計に河童じゃな」
では力もか」
「相当に強いか」
「一度相撲を取るか」
二人にもだ、海野は言った。
「わしとな」
「時間があればな」
「よい鍛錬だしな」
「わしも相撲には自信があるぞ」
「わしもじゃ」
二人も相撲には自信があるというのだ。
「だからな」
「一度やってみようぞ」
「相撲は時間があれば取るべきじゃ」
幸村も言う。
「拙者も子供の頃からよく取っておる」
「ですな、よい鍛錬ですし遊びにもなります」
「非常にです」
「そうじゃ、上田にあればしようぞ」
こうしたことも話してだった、そのうえで。
海野を入れて四人になった一行は今度は美濃に向かうのだった。その美濃においても豪傑を求めるのだった。
巻ノ三 完
2015・4・24
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