ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士
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第22話 =VSアスナ=
=リズベット武具屋=【称号:ラタトスクの騎士】
「…よっと」
なぜかキリトに頼まれ炒飯を作っている。
作るといっても材料入れて時間になったらフライパン返しをすれば完成なのだが。
「キリトー出来たぞー。サチはなんかいるか」
俺が皿を持っていくと自前の飲み物を飲んでいたキリトがこっちを向く。
ついでにサチにも聞くがサチは「今はいい」と遠慮していた。その代わりにキリトはめちゃくちゃ食っていたけど。
「それにしても…遅いね、シリカたち」
そういわれ時間を見ると短い針が7を指そうとしていた。
SAOでの時計はアナログとデジタル、両方が映し出される。正直、どっちかでもいいような気もするけど。
「俺達がここについたのが…5時半くらいだっけ?」
「あぁ…何かあったとしか考えられないな…」
すでにこのゲームからログアウト、つまり死んでしまった…なんてことはないと思うけど。
一応フレンドリストを確認する。そこにあったユカ、シリカ、リズの字は連絡不可能なグレーの色ではなかったのでまだ生きていてなおかつ街の中だというのが判明した。
メッセージが送れるのなら、と思いもう一度シリカの名前を探しメッセージを作成する。
内容は、今どこにいるのか?という質素なものだが。
するとすぐに返事が返ってきた。
『説明しにくいのでグランザムまで来てくれませんか』とのことだ。グランザムということは血盟騎士団本部まで行くことは出来たらしい
「シリカ、なんだって?」
「蓮華加えたまま話すなっての……グランザムに来てくれ、だってさ」
「何か問題でもあったの?」
サチの質問に俺は首を振る。あのメッセージを見る限り詳しいことは本当にグランザムに行かないとわからないらしい。
「キリト、さっさと食え。グランザム行くぞ」
「おっけ」
そういいキリトはものすごい速さで完食し準備を整えた。
外に出るとすでにあたりは暗くなっており空には雲1つないので星がとても綺麗に見えていた。
「よし、行くか」
「シリカたち待ってるよ。早くいこっ」
「おちょ、ちょっと待てって」
敏捷値の高い2人は颯爽とかけて転移門のある広場まで行くが俺はそんなに高くない。
ちょっと前に聞いた話ではキリトは6:4の筋力より、サチは7:3の敏捷よりだと言っていたことを思い出す。
この世界でパラメータ配分聞くのはマナー違反以上のものだが…
ちなみに俺は8:2の筋力よりというパワーファイターなのだが、俺が気に入ってるからいいんだ。
そんな俺が2人に追いつけるわけもなくどんどん先を行ってしまう。
やっとという距離でもないけど俺が転移門へつくと2人はすでにいなかったので先に行ったんだろうと思い続いてグランザムに飛ぶ。
光が晴れるとそこに置いていって先に行ったサチとキリトの2人がすでに待っていた。
「遅いよ、リクヤ」
「速さ自慢のお前に追いつけるわけないだろうが」
「そりゃそうだけど…」
ちょいと無駄話も挟みながらここにきた目的の場所、血盟騎士団本部へと向かう。
入り口へつくとすでに話が通っているらしくその門番らしき人に会議室のような部屋まで通された。
「あ、リクヤさん」
「おっす。…何かあったのか?」
「実は…」
シリカの話だと俺たちの手に入れたいもの…トワイライト・モスは予想通りヒースクリフさんが持っていたらしい。
でもそれを優しい気持ちでくれる、というわけではなかった。
シリカやユカ、リズのおかげで金で買う、もしくは高価な何かと交換ということはなくなったらしいが
勝負して勝ち取ってみせろ、ということになったらしい。
詳しい脈絡はわかんないけど。
「勝負してってことは…デュエルだよな…一体誰と誰が?」
「こちらはアスナ君に戦ってもらおうと思っている」
「団長!?」
突然の指名にアスナも驚いているようだった。
なかなかうろたえない……印象の強いアスナが驚くってことはいま唐突に決まったってことか。
「ならこっちは…リクヤさんお願いします」
「俺ぇ!?…相性最悪ですよ?」
シリカからのまさかの指名に思わず敬語になってしまう。アスナの細剣に対し、俺は振りの大きい大剣だ。
大剣と細剣の勝負では圧倒的に細剣のほうが有利だろう。
こっちが勝負を決める前に向こう側が攻撃を繰り出す、なんてことは普通だからだ。
でもアスナとは1回戦ってみたかったしその前に大剣でどこまで勝負になるのか知りたかったから好都合だったけど。
「ならば、外に出よう」
そういいラフな格好をしたままヒースクリフさんは扉を開け1番に出て行った。
さらにキリト、ユカ、シリカ、リズ、サチ、俺と続き最後にアスナが出ることになった。
そして外に出て少しすると目の前にウィンドウが開かれた。
【アスナから1VS1のデュエルを申し込まれました】という至って普通なものだったがそれに俺はYesを押す。
すると俺とアスナの中心に60秒のタイムカウントを現す時計が表示された。
「リクヤーファイト!!」
と、サチの声。続けてユカ、リズの声も聞こえるが2人の声は両方の応援だった。
ついついどっちの味方なんだと言いたくなってしまうが言ったら責められる気がするので諦める。
「手加減は無しだよ!」
すっかりやる気になっている向こう側。
…あぁ、そうか。キリトの前だから頑張っていいところ見せようとしてるのか。
「そっちは手加減してくれるとうれしいな」
「しないわよ……っ!」
そのアスナの声と共にデュエル開始のサイレンが辺りに鳴り響く。それと同時にアスナは俺のほうへ突き攻撃を繰り出してくる。
しかしそのまま受けるわけにもいかずアラウンドステップを使いその攻撃はよけることには成功するが続けて振り返りざまに振り払いを斬りかかってくる。
それを俺は剣の腹で受け止める。がきぃんと大きな音がするがそんなのは気にしてられない。
「だりゃあ!!」
受け止めた直後アスナを押し飛ばす。そしてソードスキル『アバランシュ』を発動、突進する。
でもこの攻撃、ただの直進攻撃、しかも敏捷値の高いプレイヤーになら簡単によけることが可能な技である。
「っ!……せぃ!」
その通りに左によけられて追撃としてソードスキルと思われる技を使い、ソードスキル発動硬直で隙だらけの俺の横腹部分を狙う。しかし硬直がちょうど解けたので、右手に持っていた大剣を左手に持ち直し体を回転させながらアスナの攻撃を弾き返す。
「旋桜花!」
そしてそのまま回転攻撃を繰り出しダメージを与えようとする、がこれまた簡単に避けられてしまう。
「はっ!」
旋桜花の終了後、すぐさま距離を詰めてきて斬りかかってくる。それを剣を盾にし防御する。
だがすぐに剣を引き体制を整えるアスナ。
全てのプレイヤーの中で最高レベルの敏捷値を誇る彼女の攻撃は1個1個の攻撃が早いので攻撃、反撃というリズムではなく攻撃、攻撃、攻撃ぐらいでやっと反撃ができる。
でもその引いた瞬間、攻撃と攻撃の間に差し掛かり俺も踏み込め
「獅子戦吼!!」
「…!?っきゃあっ!!?」
そのおかげで獅子の形の闘気を飛ばし相手を吹き飛ばす技を使うことが出来た。
アスナはあわてて防御したようだがパワー負けし後ろへ飛ばされたが、その防御のおかげで強攻撃判定はでずに、デュエル続行だった。
そこからはアスナの本気とも言おうか、連続つき攻撃を何度も繰り出してきた。
反応するのが精一杯だったため何度も金属が打ちあう音の中にSAO特有の自分の体に攻撃が当たる嫌な音も混ざっていた。
「っ!!」
「だっ!!」
お互いに勝負を決めようとしてそれがかわされ、もしくは防御されが続きデュエルでは俺が経験したこともない相当長い時間だと感じた。
さすがに疲れる、なんてことはないがアスナのしぶとさに少々参ってくる。
…次で…決める…!
「はぁぁ!!」
「…っ、やぁ!!」
先制しようと一気に距離を詰めるがアスナのスピードはそれでも十分に体制を整え逆に距離を詰めれる。
が、いま行動を中断したらすぐに攻撃を受け、俺の負けとなる。そんなもんだからそのまま特攻するしかないのだ。
「ぜやぁぁ!!!!」
「くっ!?」
いくら敏捷値が低くても反射神経は現実のものだから反応は可能だ。そこで武器を触れるかは別問題だけど。
それでもアスナの最速と思われる突きを打ち上げ、俺はそのまま剣を振り下ろす。
この攻撃によってアスナのHPがイエローにまでいったのかデュエルは終了、俺の勝ちとなった。
「2人とも、なかなかいい試合だった」
「あ、ありがとうございます、団長」
「…あっぶねぇ…」
キチンと立って例を言うアスナに対し俺は胡坐をかき呟く。
すると目の前にウィンドウが開かれ、そこには『トワイライト・モス』のトレード画面が開かれていた。
俺はすぐさまOKを押しヒースクリフさんもOKを押したらしくトレードは受理され例のトワイライト・モスは俺のアイテムとなりこれで条件が整った。
「おめでとう、リクヤ」
「まさか、アスナに勝つなんてね~」
「正直勝てるとは思ってなかったけどな」
「でも、リクヤさんに任せてよかったです。さすがですね」
「えぇ。なんたって私の…」
「「「「私の?」」」」
なぜかユカが自慢げに少し平均よりか大きい胸を張り意味深なことを言おうとしていたがみんなに言われたことでなぜか顔を赤くし途中で言うのをやめてしまった。
そしてしばらくした後「幼馴染」とだけ答え黙ってしまった。
向こうじゃアスナとキリトのラブラブ空間がなぜか広がっているが無視しておこう。
「明日はいよいよ例の風唄う地だな…何があるかわからないからしっかり準備していこうぜ!
…そこのお2人さんもいくのかー?」
「え!?あ、あぁ…一応な」
「私も行こうと思ってるけど…いいですか、団長?」
「かまわない、攻略が速く進むのだろう?」
どうやら無事アスナもOKをもらったらしい。これで人も鍵もそろい、あとは俺たちの覚悟だけとなった。
覚悟といってもクリア前の最強のモンスターと戦う、というわけではないが何せ今まで聞いたことのない「近道」だから警戒するに越したことはない。
明日の10時にまた例のダンジョン前に集合、ということでキリトはアルゲード、アスナはセルムブルグ、そして俺たちはリズの店のあるリンダースへそれぞれ転移した。
後書き
リ「…俺、よくアスナに勝てたな」
涙「アスナがチクチクやればぼろ負けだったけどそんな性格じゃなさそうだしね」
リ「運がよかったってことか?」
涙「うん。レベル差はあんまりないし、というかアスナよりか低いかもよ」
リ「な…!?」
涙「女子に負けていることにショックを隠しきれないリクヤ君は置いておいて…
次話、例のあの人が出るよ」
リ「orz」
涙「作者としての自分では多分最強なんじゃないかっていうあの人ね
ではではー」
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