| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

異世界系暗殺者

作者:沙羅双樹
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

水泳の時間(2016/03/30 一部修正)

 
前書き
昨日は仕事の関係で執筆する余裕がなく、更新できませんでした。すみません! 

 



【視点:樹】



殺センセーは水が弱点である、という確証を得た放課後。裏山にクラスのほぼ全員で集まり、女子クラス委員の片岡主動の下、水殺の計画について練ることとなった。

と言ってもすぐにいい案が出る訳も無く、まずは夏の間に殺センセーを水中に引き摺り込むいい方法を各自で考えようということで、第1回目の水殺会議は終了して解散した訳なんだが……。

解散後は下校組と校庭で遊ぶ組に別れ、下校組である俺はいつも通り有希子と一緒に下校した。いつもと違う点があるとするなら、下校途中で無性にハニトーを食いたくなって、駅前のファミレスに寄ったことだろうか?

まさか、この寄り道が陽斗に次ぐクラスメイトの問題に首を突っ込むことに繋がるとは、この時の俺は思ってもいなかった訳なんだが……。


「あれ?」
「ん?どうした、有希子?」


偶然入ったファミレスで俺より先に彼女の存在に気付いたのは有希子だった。


「あそこにいるの、片岡さんじゃ……」
「おっ!確かにイケメグこと片岡だな。一緒にいるのはE組の奴じゃないみたいだけど――って!!?」
「うわぁ……」


片岡が一緒にいる不細工ツインテールに顔接近され何か言われたかと思うと、その不細工ツインテールはジュース濡れになった片岡さんの手を舐め始めた。

その行為に俺と有希子は普通にドン引きし、正直余りのキモさにハニトー食う気が失せてしまった。まだ注文してないとはいえ、店に入っちまったじゃねぇか!どうしてくれんだ、あのブサツインめ!!俺がそんなことを考えていると―――


「この場に居るのは私達3人だけでなく、イッキ君と神崎さんもいますよ。御二人はデートですか?」
「南君に神崎さん……!?」


何故かファミレスに居る殺センセーに声を掛けられ、俺と有希子の存在に気付いた片岡には微妙に驚いた反応をされた。


「あの、俺らハニトー食う為だけにファミレスに寄っただけなんだけど?まぁ、あのキモツインのせいで食欲が一気に失せたけど」
「き、キモツインって心菜のこと?」
「あっ、そんな名前なの?けど、あんなのキモツインで充分だろ。ジュース濡れとはいえ、他人の手を舐めるとか吉良吉影並にキモいわ。お蔭でこっちは食欲失せちまったし」
「「ああ~」」


俺がファミレスに居る理由と一緒にキモツインのキモさを口にすると、その場にいた渚と茅野も納得した様に頷いていた。ってか、渚と茅野も居たんだな。

その後、俺達はすぐにファミレスを出て、帰路につきながら片岡とキモツインの関係について聞くことになった。一言で言い表すなら、片岡はキモツインに寄生されているらしい。

1年前に片岡がキモツインに泳ぎを教えて、1回だけしか泳ぎの練習をしなかったキモツインは海で溺れたそうだ。で、そのことを脅し文句にキモツインは片岡を召使扱いしてるのだとか。

余りの寄生虫っぷりにキモさが倍ドン倍だ。普段、余り嫌悪感を顔に出さない有希子ですら、凄く嫌そうな顔をしている。片岡は片岡で殺センセーの描いた紙芝居を見て、共依存の恐ろしさに身震いしている。

ちなみに紙芝居の内容はギャンブル中毒の夫に依存された妻が夫から離れられないという、典型的な共依存夫婦の話だ。タイトルは主婦の憂鬱。

そして紙芝居を見せ終えた後、片岡の性分でもある面倒見の良さと責任感が、今回に限って言えば人の自立心を阻害していると指摘する殺センセー。


「けどさ、殺センセー。一体どうするつもり?今から自立心促すにも、相手は人の忠告を無視して練習とかを途中で投げ出すキモツインだろ?もう人に寄生して生きることに慣れてるだろうし、そんな奴をどうやって自立させんの?」
「片岡さんの失敗は、彼女のことを誰にも相談せず、1人で背負ったことです。私達が力を合わせ、彼女を自力で泳げる様にすれば、水がトラウマになったという脅し文句も意味を為さなくなります。それから突き放せば、彼女も自立せざるを得ません」
「成程。……って、私達?殺センセー。もしかして、その私達の中に俺と有希子も含まれてんの?」
「勿論、含まれていますよ。片岡さんの悩みを聞いた以上、この場にいる者は一蓮托生です」
「いやいや。問答無用にも程があるだろう。そもそも泳ぎを教えるにしても、どうやって水場まで連れ出すんだよ?」
「その辺りは、彼女が寝入った後にベッドごとE組専用プールまで連れて来ます。状況が状況ですし、彼女も夢だと思うでしょう」
「……センセー、それって拉致監禁なんじゃね?あと、キモツインが寝入った後って夜遅いよな?一人暮らしの俺は兎も角、有希子は親が厳しいって聞いてるし、あまり夜遅過ぎたら家から抜け出すのが無理なんじゃね?」
「う~ん……。去年、親の目を盗んで夜に家から抜け出したことが何度もあったし、今はA・Tもあるから前より楽に抜け出せるかな?」
「神崎さんもこう言ってます。あまり遅くなりそうなら、先生がマッハで送りますし、この場にいる者の力を合わせて、彼女を手入れしましょう」


面倒事に巻き込まれるのを如何にか回避しようとしたが無理だった。ってか、陽斗の時も思ったけど、殺センセーってこういう問題解決に結構生徒を巻き込むよな。

取り敢えず、そんな訳で俺達はキモツインの為に貴重な自分の時間を割き、深夜の水泳教室をすることになったんだが、その描写は割愛させて貰う。

端的に説明するなら、この場にいる全員が半魚人的なコスプレをして、殺センセー先生がE組専用プールをセルフ流れるプールにしたりして、キモツインに泳ぎを教えた。

その結果、キモツインはしっかりと泳げる様になり、片岡はキモツインを突き放すことができる様になった。良かったな、片岡。

俺にとって良かった出来事と言えば、夜のプールで半漁人――というか、人魚コスの有希子と泳げたことだろうか?有希子、超可愛くて眼福でした。

唯一納得いかない点は俺のコスがONEPIECEのジンベエコスだったことだろうか?何で俺だけワンピの魚人族?まぁ、キャラ的には嫌いじゃないけどさ。

ちなみに、キモツインが泳ぎ疲れて寝てしまった後、俺達は解散することとなり、俺と有希子だけA・Tを使って帰ることになった。有希子と2人だけで夜空の散歩ができたことも、良かった出来事の1つと言えるだろう。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧