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インフィニット・ストラトスGM〜天空を駆ける銀狼〜

作者:
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あのクソじじぃ

夏休みに入り、私はある計画を立てていた。
一つ、自分のこのISを作ってくれた里親にある人のISを作ってもらうこと。
二つ、フランスに一週間から二週間へ向かうこと。
この二つの事はこれから先、大切になってくることは分かっているがーー

「もう!優里〜、また寝ながら食べて」

「………?シャル〜ですか〜〜?」

「まだ寝ぼけているの?」

持ち前の面倒くささが眠気を引き起こし、やる気を減少させて行った。その結果、ゴロゴロとベットに転がってぼゥ〜と過ごしているうちに夏休みも約四分の一程削られてしまったというわけだ。

「ベットにご飯粒が落ちてるから……。あっ、そうだ。はい、優里」

「ん?」

シャルは私の側まで来るとかご飯粒を一粒ずつちまちま摘まむ。そして、右手に持った手紙に気づいて私にそれを渡す。シャルから受け取ったその手紙は何故か知らないが嫌な予感がした。

「…………」

「優里、誰から?」

「………」

「……。優里……?」

「……」

「なんで、そんなあからさまな嫌な顔してるのさ」

「………なんでもありません」

シャルはご飯粒を全部片付けるとどこからか皿を持ってきて私の下に置く。私はありがたくそれを活用して、ベットから降りると床に座ってご飯を食べる。そして、食べ終わるとベットに座ってこっちを静かに見ていたシャルを見つめる。

「その、シャル?」

「何?」

「シャルはこの夏休み、何処か行くところありますか?」

「………?」

シャルは私から皿を受け取ると首を傾げる。何故かそわそわした感じで、なので私もさっさと用件を言うことにした。

「父がシャルもお誘いしろって言うで」

「父!?」

(なんで、目を白黒させてるんですか……)
同居者の不可解な行動に面を食らいながらも説明する。

「父と言っても。里親でこのISを作ってくれた人なんです。私も丁度、父に会いたかったので」

「そうなんだ」

「だから、シャルも私の里帰りに付き合ってくれませんか?その、暇だったですけど」

「うん。僕が着いて行ってもいいなら」

シャルはニコッと笑って、承諾してくれる。よかった〜、これで味方も増えた。
(あの、変態親父にシャルを会わせることは気が引けますが、この際仕方ないでしょう)

「はい、お願いします。シャルが居てくれるととても心強いです」

「………優里の育った家……どんなところだろう……」

「何が言いました?シャル?」

「いっ、言ってないよっ」

シャルが皿を洗う音が部屋に響く

☃☃☃

「えー。ここが優里の」

僕は隣に立つ人物に問いかけるがその人はそれどころではないらしい。乱暴に呼び出し音を鳴らすと

【はいはーい。みんなの博士、那珂……】

ガチャ。優里が呼び出し音の横にあった電話を切る。そして、またその電話が鳴るとうっとしそうに受話器を取る。

「なんですか?」

【酷いなぁ〜、折角の再会がなのに。ボクは優ちゃんを………ってタンマタンマ。分かった、分かったから、扉開けるから暗号言って】

優里は嫌そうに顔しかめると

「お父様、大好き…………」

(えっ……お父様……)

「………」

「優ちゃーーん!!」

暗号を言った途端、ドアから駆け出してくる白衣を着た男性。両手を広げて、優里に駆け寄ってくる。優里はものすごく不愉快な顔をして、男性が駆け寄って抱きしめる所でその男性の溝うちにその小さな拳をねじ込む。それを唖然と見つめる僕。
走ってきたスピード+恐らく優里の全力パンチでかなり後方まで転がった男性はムクっと起き上がると転がったことでズレた銀淵メガネを上げるとまた懲りず優里に走って行くのだった。
転がっては殴られ、また転がる。トータルで20回。
男性の白衣はボロボロ、優里の拳は真っ赤に染まっていた。

「えっと……」

「うん?おや、君がシャルロット君かい?優ちゃんから聞いているよ」

「えっ、まぁ。そうですか」

「………男装女子…いいかもしれない……じゅる」

男性は突然呼びかけた僕に視線を送る、そしてサァっと頭から足元まで見ると何故か知らないけどニヤニヤ笑う。その笑みに背筋に悪寒が走る。そんな僕の前に優里は守るように立つと腕を組んで、男を睨む。

「どういうつもりですか?お父様?」

「どういうつもりとは何のことだい?優ちゃん?」

男は優里に睨まれているのにそれすら嬉しいといった風に振る舞う。白衣についた土を落とし、優里を見つめる。

「この服はどうつもりかと聞いているんです」

「優ちゃん、着て来てくれたんだね!!凄くにあってるよ」

優里の服を見て、目をキラキラさせている。そんな男性に冷たい視線を送る優里。

「………言い残すことはそれだけですか?」

「いやだな。優ちゃん、そんな怖い顔しないでよ?折角の感動の再会なのに」

「感動も何もあるか!!このクソ親父!!死んで詫びろ!!」

「ありがとうございますーーー!!」

(なんのコントなんだろう……これ)

優里は実体化した鬼切でそれをバットのように男性にぶつけた。それによって、良い円を描きながら飛んでいく男性。
優里は実体化を解くと僕に振り返る。

「すいません、騒々しいところを見せてしまいました。これで暫くはあの変態も帰ってこないと思うんで、今のうちに家に入りましょう」

そう言って、優里は僕の手を掴むと早足で家に入る。そして、鍵をしめる。

(鍵……って。鍵!?)

「えーーー。優里?ダメだよ!!鍵しめちゃ。外にまだ人が居るんだから」

「そうだぞ。優ちゃん。シャルロット君ももっと言ってやってくれ」

優里の背中がピクリと動く。僕は声がする方へ顔を上げると天井に着いている丸窓からあの男性がロープで降りてくる所だった。そのまま、ゆっくりと降りると僕らの横に立つ。ドアに顔を向けたままの優里は小声で

「くそ。間に合わなかったか……!!それにしても天井の窓を開けているとは……」

「………」

「本当、本当に酷いよ。優ちゃん」

優里は振り返ると男性の近くに立っていた僕を自分の方へ引っ張る。自分の背中に隠れるように腕で僕を誘導しながら、男性と会話する。

「なんで帰ってきたんですか?」

「本当酷いな、優ちゃん〜。それはここがボクの家だからだよ」

「あんたみたいな変態。シャルロットには有害だから、暫く帰って来れないようにいつもより長く飛ばしたのに」

「本当酷いな〜、優ちゃん〜」

(………酷いな、優里。いつもよりって、コントロールいいな……)

「俺はともかく、もしシャルロットに手を出したら。あんたを暫く動けないようにしてジワリジワリと殺してやるからな」

(怖っ!?怖いよ、優里。でも、それくらい思ってくれてるんだ……)

「怖いな〜、そんな事しないよ〜。ねぇ?シャルロット君?」

「ふぇ!?そ、そうですね……僕もそうしてもらえると嬉しいです」

突然、ふられた僕はあたふたとしながらも答えられた。そうしないと好きな人が殺人犯として牢屋に行きかねない。僕は本当にそうなるかもしれないこの空気に不安を感じる。

「まぁ、あんたが大人しくしてくれるんならいいだ。シャル、ご飯しましょう」

「うん。あっ、これからよろしくお願いします。待ってて、優里」

優里はスタスタと歩いて行ってしまう。男性の方へ頭から下げて、優里を追いかける。残された男性はというと

「うーん?あの二人は脈ありか?あの優ちゃんがね……これは楽しくなりそうだ」

ニコニコと笑いながら、二人の後を歩いて追いかけた。

 
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