歌集「春雪花」
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
55
薄明かり
雨音聞こゆ
朝未き
そぶるは雨か
思いの丈か
外は未だに薄暗く、雨が降っているようだ…。
朝陽が昇る少し手前…淋しさの募る時間帯…。
ふと…これは本当に雨が降っている音なのか、と考えた。
私の彼への思いが止むことなく…降っているのではないのか…?
降り頻る
雨ぞ心の
形なり
流れては空へ
還るものなれ
雨の落ちゆく刹那の形…それは涙を流す心と同じ…。
時に土砂降りとなり、時に小雨となり…様々に様相を変えてゆく…。
そして…いずれは川となり、海へ出て…全てを包み込む天空へと還る…。
人の心もそうだろうか…?
いつかは…あの蒼い空へと還るのだろうか…?
私の…彼を想う心さえも…。
ページ上へ戻る