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歌集「春雪花」

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 過ぎ去りし

  君の影をば

    抱きつつ

 淋しさ纏う

   寒き梅雨の夜



 ただ彼を思い出し、その幻を抱くだけ…。

 梅雨になろうと言うのか…今日はやけに冷え冷えしている。淋しさだけが部屋の中を支配し、降り頻る雨音を聞くだけ…。



 心休む

  止まり木なくば

   わが心

 羽ばたき続け

  いずれ落ちける



 心を休める場所のない私の心は、取り留めもなく考え…想い続け…いつかは鳥が地へ落ちるように…力尽きて地に叩き付けられるに違いない…。

 人を愛すると言うことは…得てして、疲れてしまうものだ…。

 それでも…彼への愛を捨てられないのだから、自分はもはや…いかれてしまっているのかも知れない…。



 
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