ソードアート・オンライン~雷皇の狩人と双棍の闘士~
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A:現れ出でる二対の光
前書き
光と書いてライトと読む。
「さぁ、お前の罪を数えろ!」
俺が言った途端、ライトが走り出す。
「退いてろお前らァ!!」
二振りの剣を背から抜き放ち、イルファング・ザ・コボルドロード狂獣体に接近する。
「……やれやれ、何で先に行くかな」
俺も程なくして走り出し、背から刀状態の雷獣の明星を鞘ごと外し、鞘を手に持つ。
「天城流抜刀術……」
鍔を左親指で押し上げ、右手で柄を握り、そしてーーーー
「【竜擬天象】」
一瞬にして抜き放ち、その強固な身体を切り裂く。
「グォオオオ!」
イルファング・ザ・コボルドロード狂獣体は雄叫びを上げ、俺に野太刀を振り下ろそうとする。
「俺を無視するとは、数年早ぇぞコボルド風情が!!」
その声と共に、俺から後に剣を放とうとするライトの声がした。
「天城流抜刀術……」
「ブレイヴエンド……」
ライトの剣がソードスキル光に包まれると同時、俺の雷獣の明星から雷と竜の紋様が浮かぶ。
「【龍牙業断】」
「アブソリュートグレイエボリューション!!」
居合いと二対の剣が同時に放たれ、前後に大きな爪痕をイルファング・ザ・コボルドロード狂獣体に付ける。
「グォオオオ!!!!」
そこで、イルファング・ザ・コボルドロード狂獣体が野太刀を構える。その曲刀には、ソードスキル光。
「ライト」
「おう」
眼を見ただけで答えたライトは、すぐに俺の後ろに下がり、俺はライトに雷獣の明星を預け、素手になる。
「ゴァアアアアッ!!」
雄叫びに似た声と共に、イルファング・ザ・コボルドロード狂獣体はソードスキルを放つ。
刀重範囲攻撃【旋車】。
今の俺に『ソードスキル・スキルと言う名のアシスト』自体が存在していないが、ただひとつ、存在するものがある。それはーーーー
「破ッ!」
仲間との絆、何かを守ろうと手に入れた不死身の身体、そして、数々のスキルデータ。
それらを信じる俺は、如何なるものでも止められはしない。
「グォオオオッ!?」
旋車を渾身のストレートで相殺した俺に、ライトが言う。
「行くぜ」
唯、それだけを言うと、刀状態の雷獣の明星を抜き放つ。
天城流抜刀術【龍虎双剣】。
一瞬にして20もの斬撃を浴びさせたライトを見て、そのまま腰のカードホルダーからカードを取り出す。
「現れろ、雄々しくも美しく輝く二色のまなこ。オットアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」
淡々と言った俺の隣に、オットアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが召喚、その背に乗り、翼を持つと、オットアイズ・ペンデュラム・ドラゴンは動き出し、まずはライトを回収する。
途端、今度は野太刀床すれすれの軌道から高く斬り上げようとする。
「オットアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」
その二色のまなこを光らせ、オットアイズ・ペンデュラム・ドラゴンは突進して吹き飛ばす。
吹き飛ばされたイルファング・ザ・コボルドロード狂獣体は壁に激突。煙を巻き起こして壁を崩壊させた。
「ゼロ……」
「来るな」
言った途端、イルファング・ザ・コボルドロード狂獣体は飛び上がりながら復帰、上からの片手剣ソードスキルを放とうとする。
「空に描く、多色の架け橋、それは希望を魅せる物となれ」
歌うと、それは多数の虹となり、イルファング・ザ・コボルドロード狂獣体のソードスキルを無力化する。
「馬鹿めが。開発者に効くと思うなよ」
そもそも、ゼロがソードスキル・スキルデータ・初期レベルのまま固定しているのには訳がある。
仲間を信頼していること、傷一つ付かない不死身にして無敵の存在、最後に……
『そもそも、彼自体がこの世界の開発者であるがゆえに、世界の理を使うことを赦されないから』だ。
これは彼自身の誓約であり、この世界にいる理由であった。
そもそも、ライダーや自身の流派の技を使えば差し支えないし、システムアシスト無しでも、『ほぼ生身で存在しているに等しい』彼は通常攻撃でも威力が高い。
神達を除いたとしても、人類最強と呼ばれる由縁はまさにその能力にある。
彼自身の能力『雷神皇』にーーーー
「ライト、このまま一気に貫通させる」
俺はイルファング・ザ・コボルドロード狂獣体を睨み付けながら、そう進言する。
「そうか。んじゃ、行くか」
ライトは言うと、剣を持って走り出す。
それに反応したイルファング・ザ・コボルドロード狂獣体は野太刀を振り下ろそうとする。
「金色の書第四節……『雷の龍よ、産声を上げ、あらゆるものを噛み砕け』バオウ・ザケルガ」
手のひらから放った雷撃は龍と化し、イルファング・ザ・コボルドロード狂獣体の野太刀を折る。
そこに、ライトがソードスキル光を纏った剣を放つ。
「心勇剣……【ヴェスペリア・エヴォリュートマキシマムヴレイヴ】!!」
色とりどりの光がイルファング・ザ・コボルドロード狂獣体にぶつかり、肉を撒き散らしていく。
それを見た俺は、ライトから昔に渡されたドライバーを腰に着け、一枚のエクシーズカードを入れる。
「二色の眼の龍よ、その黒き逆鱗を震わせ、刃向かう敵を殲滅せよ」
途端、俺の身体が変化し、それは巨大な黒きオッドアイの龍となる。
『エクシーズチェンジ……!ランクゼロ、怒りの眼輝けし龍、覇王黒龍オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン!!』
姿を変えた俺に、ソードスキルを放ち終わったライトが背に乗り、言う。
「覇王黒龍オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン・ゼロのモンスター効果発動!フィールドのモンスター全てを破壊し、その攻撃力分のダメージを与える!』
『ウォリャアアアアア!!』
ブレス、腕、顎の薙ぎ払いで出ていた狂獣体ルインコボルド・センチネルを破壊すると、その分のダメージがイルファング・ザ・コボルドロード狂獣体に反映、残り、一ゲージ。
「更に、覇王黒龍オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン・ゼロのモンスター効果発動!破壊したモンスターの数だけ、連続攻撃可能!!行くぜ、オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン・ゼロ!!』
『ウォオオオオオオッ!!』
身体に幾つもの刃状の物を精製すると、浮かび、突撃していく。
「数回分の攻撃すべてを込めるぜ!行け、オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン・ゼロ!反旗の逆鱗 ストライク・ディスオベイ!!」
地面を顎で削りながら突進した俺は、そのままかち上げて切り裂く。
「そんでオマケだ!!」
攻撃をし終わった俺の背から飛び降りたライトの手には、トリガーマグナムと俺のウィザーソードガンが握られていた。
『ブレイヴ!マキシマムドライブ!!』
『キャモナシューティング!シェイクハンズ!ブレイヴ……シューティングストライク!!』
「Wブレイヴブラスター!!』
二つの弾丸は螺旋を描き、そのままイルファング・ザ・コボルドロード狂獣体を貫いた。
同時に地面に降り立つと同時、イルファング・ザ・コボルドロード狂獣体は動きを止め、数秒後ーーーー
パァアアアアン!
ポリゴンとなって消滅した。
『コングラチュレーション!……良いパーティだったぜ』
「ん?まぁ、そうだな』
ライトは言うと、ストレージを確認。
そして、少し操作すると、黒と白のコートが手元に出る。
「……まぁ、こりゃサプライズとして頂くぜ」
『元々お前ら二人には感謝の印として攻略のラストに渡す予定だったからな。好きに使え』
俺はぶっきらぼうに言うと、ライトは少し微笑んでからそれを装備した。
因みに、名前は「二つの雷帝の勇者」、ツインボルトブレイブ。効果は、これを装備している時に限り、俺の能力が使える効果付きだ。
まぁ……既に人を辞めているから構わないだろう。本人に言ったら怒られそうなので、口に出さないで置くが。
2030年12月14日、アインクラッド第一層『初日突破』。
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