インフィニット・ストラトスGM〜天空を駆ける銀狼〜
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何をやってるんだか……
「なんだか、ワーワー教室がうるさいですね」
「そうだな」
「そうだね」
私達、三人は仲良く登校していた。一夏はもともと一人部屋なのでよく私達の部屋を尋ねて 一緒に登校する。
一人が淋しいのかなんなのか知らないが俺達も迷惑だと思ってないので一緒通う。
いつものように世間話などを話して、教室に近づいた時だった。前方ーー教室の方がいつもの五割増しでうるさい。そんなに何を騒ぐ必要があるのだろうか?前の学校も同じだが、キャアーキャアーと女子独特の黄色い声はずっと聞いていると耳がキーンとしてあまり好きではない。
「なぁ……優里。そんなとこ、立ってないで入らないか?」
「いいです。その騒ぎがおさまったら入りますから」
「……シャルルからも言ってやってくれよ」
「そうだね。優里、入ろうよ。そこ教室の入り口だから後ろから来る人の邪魔だし、織斑先生に怒られるよ」
「……それは大変ですね」
織斑先生という言葉に眉が動く。そして、気ごちなくだが教室に入る。
「で。あいつらは何を騒いでるんだろうな?」
「「さぁ」」
私とシャルルは同時に小首を傾げる。
☃☃☃
俺は隣を歩く二人に話しかける。
「今日も特訓するんですか?一夏?」
「あぁ。少しでも強くなりたいし」
「じゃあ、僕も協力するよ。優里じゃ、所々抜けてるし」
「…………」
「そんな睨まないでよ」
「ええと。今日使えるのは……」
「第三アリーナだ」
「「「!?」」」
見事なシンクロで同時に肩を震わせ、振り返る私たち。その様子を不満そうに見ている箒。僅かだが、眉もひそめている。
「……そんなに驚くほどのことか。失礼な奴らだ」
「そういうほうーーんんっ」
いつものように文句を言おうとしたら、シャルルに素晴らしい早さで口を覆われた。
「お、おう。ごめんな」
「ごめんなさい。いきなりのことでびっくりしちゃって……、ほら。優里も謝るっ」
「ごめんなさい……」
私とシャルロットの行動と会話に怒る気力もなくなったのだろう。箒はごほんと咳払いするとほら急ぐぞと言う。
☃☃☃
「騒がしいですね。中で何かあったのでしょうか?」
数分後、第三アリーナについた私たちは人の多さに驚かされた。そして、その人々は特訓をするためではなく 何かを見るために集まっている様子だった。箒も一夏も中が気になるらしい。
「観客席に行きますか?その方がここよりかはいいと思います」
「そうだね」
四人で観客席に着いた時には驚いた。模擬戦が行われていて、そして何よりその模擬戦をしているのは私のよく知っている人物たちだったからだ。
「鈴!セシリア!」
隣の一夏が叫ぶ。しかし、その叫び声はあちらに届くことはない。
「酷いな」
「えぇ」
私は箒に相槌を打ちながら、この模擬戦の結末を見守る。
数分後、勝敗がついたはずだった。しかし、黒いISは一向に攻撃をやめる気配がない。むしろ、相手を殴り蹴り破壊することに喜びを感じてるようだ。その様子に私は怒りを覚える、しかしその私より先にその戦場に飛び込んだ者がいた。
「うおおぉぉおお!!」
零落白夜を発動した一夏はバリアーを切り刻んで行く。そして、大きな穴が空くと瞬時加速する。
「その手を離せ!!」
そう言って、飛び込んで行く一夏を見て 私は苦笑するが俺も銀狼を展開する。そして、何故か身動きが取れなくなった一夏とその一夏を撃とうとしているボーデヴィッヒの間に入る。ボーデヴィッヒは私を見ると顔を顰める。
「またやらかしていますね。ボーデヴィッヒさん」
「また。お前か」
火花を散らすボーデヴィッヒを涼しい顔で受け流すと一夏に振り返る。
「一夏、あの二人お願い出来ますか?」
「え?あぁ」
「お願いします。ボーデヴィッヒさんは私が食い止めますから」
それだけ言うと前を向く。
「でも。今回はやりすぎではありませんか?」
「ふん」
そこで私はボーデヴィッヒが眼帯を外していることに気付く。右目を見た途端、ゾワゾワとやな予感が背中を覆う。
「貴様には二回、いやそれ以上か。邪魔をされたからな」
「邪魔をしたわけではありませんよ。親友が傷つく姿が見たくなかっただけです」
「まぁ、いい。貴様もここでさっきの二人のようにしてやる」
「どうぞ。ご自由に」
私はやな予感がする右目からなんとか視線を逸らす。
「死ね‼︎」
そう言って飛びかかって来た時だった。
ガギンッ!
と金属音が響くと
「はぁ……。やれやれ、これだからガキの世話は疲れる」
「千冬お姉ちゃん!?」
千冬お姉ちゃんが生身の身体でISブレードを背負って、私とボーデヴィッヒの間に入った。
(……この人は不死身か……)
「模擬戦をやるのは構わんが、観客席のバリアーを破壊される自体になっては教師として黙秘しかねる。この決着は学年別トーナメントで付けてもらう」
「教官がそう仰るなら」
「いいか?織斑、那珂も」
「分かりました」
「はい」
「では。解散」
ボーデヴィッヒは立ち去る前に私を見ると憎らしそうに睨んだ。
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