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DIGIMONSTORY CYBERSLEUTH ~我が身は誰かの為に~

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オープニング
  Prologue:物語はまだ始まらない

 
前書き
 
 初めましての方は初めまして、一作目から読んでいただいている人は―――よく来てくれましたね(笑)
 優柔不断男と申します。今後とも、よろしくお願いします。m(_ _)m
  

 
 




 暗い視界から目を開いて、周りを見渡す。
 見渡した感想は、ここはどこだというモノ。なんとなく匂いを感じる、これは……病院、か?

 何があった、俺は何をした、俺の身に何が起こった?
 そんな考えていると、この病院の医師だろう人物と、ナースが一人やってきた。色々説明してくれたが、そんな事より話の間に気づいた事で頭が一杯になっていた。


 なんと、自分(おれ)の体が縮んでいたんだ!


 …………………………………………………………………いや、別に体は子供、頭脳は大人な名探偵のような話ではなくて。………いや、待てよ? ある意味同じような感じなのか?
 とにかく、医師の話の間に、俺は自分の体が〝自分の物〟ではなくなっていたことに気がついた。なんでわかるかって? そんなの、髪が赤いところからわかるさ。

 だって俺、髪を染めるなんてマネしたことねぇもん!金髪ならあるいは、と思うけど赤髪はないわ~。片腕のないいかつい男ならまだしも…ねぇ?
 ともかく、医師達が居なくなった後、鏡を見て確認してみたところ、なんだか見た目が小学三年生ぐらいになっていた。と言うより、全くの別人に変わっていた。


 その後、医師から連絡を受けた〝この体〟の母親がやってきた。こちらはちゃんとした黒髪であった。どうやら父親からの遺伝のようだ。やっぱり黒がよかったな~……
 この母親、どうやらジャーナリストらしく、今日は仕事中に連絡を受けて飛んできたらしい。因みに、母子家庭だ。





 母親と家に戻ったが、あの人は仕事だと言ってすぐに家から出ていってしまった。取りあえず、身の回りを確認するとしよう。
 部屋を歩き回ると、なんか懐かしい感じがする。どうやら〝この体〟の家なのは間違いなさそうだ。俺とさっきの母親が写った写真もあった。

 そして部屋を歩き回って、自分の部屋らしい場所へ行くと、そこには一台のパソコンが置いてあった。どうやらこれは〝この体〟専用のようだ。
 とにかくそれについては好都合だ、と早速起動させてネットへ繋ぐ。色々調べて、何かわかれば儲けモンだと思いながら操作していくと、恐ろしい事実に直面した。


 現在、今俺のいるこの時間は、元〝俺〟がいた時間よりも先になっているのだ。


 その事に驚きつつも、俺はすぐにインターネットの地図を開き、〝俺〟が済んでいた住所を調べてみた。
 しかしそこは現在空き地となっており、これから先誰かが住む予定もない場所らしい。〝俺〟は確かにそこに住んでいた筈なのに。

 じゃあ他には? 俺の記憶と何か違った物はあるのか?そう考えた俺は、とにかく知っている物をかたっぱしから調べた。
 歴代の日本の首相の名前、建造物の名前、有名歌手やバンド、映画に特撮、はたまたアニメまで。色々な物をワードに、何か差異がないか探った。

 首相や建造物、歌手やバンドの名前は、結構似通った物が多かった。しかし、俺が知らないアイドルや歌手(元から疎い方だったから知らなかっただけか?)の名前も多々あった。
 他にも似ている物は多かったし、〝俺〟が知る有名なアニメも似たようなのがあった。



 ―――しかし、



 一つだけ、どれだけ探しても似たようなのがない物があった。
 俺がこよなく愛した、おそらくアニメのシリーズの中じゃあ最も好きなシリーズ―――


 ―――〝デジモン〟


 このワードに引っかかる物は一切なく、その存在自体確認できなかった。
 アニメ以外にも漫画、一般の人が書いたような同人誌まで手を伸ばしたが、それらしい物は一切なかった。これに関しては、愛していた故にショックが大きかった。





 そして、〝俺〟のいた時代にはなかった、大きな違いが一つだけあった。


 ―――電脳空間〝EDEN〟


 カミシロ・エンタープライズという会社が作り上げた、商用ネットスペースだ。そもそもカミシロ・エンタープライズという会社も、〝俺〟の時代にはなかったがな。
 しかもこの〝EDEN〟というもの、驚くことに画面上でのやり取りではなく、バーチャルリアリティーでウェブ情報を〝視覚的〟かつ〝感覚的〟に体感し、操作することができる。というモノらしい。

 こんな技術は〝俺〟のいた時代にはなかった代物だ。そもそも直観的に体験できる、というがすごいと思う。ようはラノベでいう『S○O』や『アク○ル○ールド』みたいな感じだろう?
 その〝EDEN〟という物の体験会を、つい最近大々的にやったそうだ。世間一般の反応は上々、既に実装の準備が整いつつあり、たくさんの企業がカミシロ・エンタープライズと提携して運営するそうだ。

 とても面白そうだ、と思ったのも事実だが、これをきっかけに俺の中である仮説が立てられた。



 今〝この体〟が立っている世界は、〝俺〟が知る世界とは全く違った〝世界〟なのだと。



 多次元宇宙論―――いわゆるパラレルワールドと呼ばれる世界に、〝俺〟はやってきてしまった。より正確に言えば、〝この体〟に入り込んでしまった、という事だ。
 そう言う現象については、ラノベや同人誌を読んでいた俺には馴染み深い話だったが、話を見聞きするのと実際に起こるのでは、全く話が違うという事を実感した。

 何故そんな事が起こったのかは、一切わからない。神様の悪戯か、はたまた偶然か、それとも〝偶然という名の必然〟か……いや、一番最後はないだろうな。理由がない。
 〝俺〟なんて普通に生きていた普通の人間だったんだ。そんな魔王が現れたからこっち来て倒してくれ勇者よ、みたいな話について行ける程、異常な力を持っている訳でもない。

 とにかく、今は何をするかもわからない状態だ。何も起こらない事を祈るばかりだが、取りあえず〝この体〟で生きていく他生きる術はないようだ。
 という訳で、俺は〝この体〟で生きていく事に決めた。これから先、どういう人生を送るか。それはまさに〝神のみぞ知る〟と言ったところだ。
 まずは取りあえず、そうだな……飯を作ろう。腹が減って仕方がない。母親は仕事で遅くなると出る前に言っていたし、あの人の分も作っておこうか。














 ………………………ん? あぁ、俺の事について、話してなかったな。

 〝俺〟は『西城(さいじょう) 拓海(たくみ)』。
 奇しくも〝この体〟―――『相羽(あいば) タクミ』と同じ名を持つ男、今は〝だった〟者かな?

 はてさて、これから先何が起きるのやら……
 俺はそう思いながら、取りあえず炊飯器の内釜を取り出し、キッチンの方へと向かった。













  
 

 
後書き
 
 ってな訳で今回はここまで。
 次回は『設定1&アンケートボード』。詳しい説明はこちらでします。
  
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