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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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ブルーミストラル
  出発

 
前書き
この物語を書き始めて1ヶ月が経ちました・・・これからも頑張りますので皆さんよろしくお願いしますm(__)m 

 
そろ~りそろ~り・・・

ズルッ

「きゃっ!」
「危ね!」

ガシッ

俺はお酒のビンに足を滑らせてしまったウェンディの腕を掴む。

「ありがとうシリル」
「ううん。ケガはない?」
「大丈夫」

俺たちは小さな声で話をしている。理由はギルドの皆さんは現在眠っているからだ。

「・・・ウェンディ、あんたそんなんで本当に大丈夫なわけ?」
「やっぱりナツくんたちも一緒の方がいいんじゃない~?」

シャルルとセシリーがウェンディに向かって言う。二人はウェンディのことが心配なんだろうな。

「シャルルとセシリーの心配性!大丈夫だってば!」
「どこがよ」
「僕心配性なんて初めて言われたよ~」
「だろうな」

ウェンディは手をバタバタと振り回しながら言う。シャルルの言う通り俺の目から見ても大丈夫なようには見えないんだが・・・

「これからは大丈夫なの!!今回の依頼は私とシリルの二人でやり遂げてみせるんだから!!
いつも失敗したり助けられたりばっかりだけど・・・胸を張ってこのギルド・・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士ですって言えるようになりたいの!」

ウェンディが想いを強く込めた声で言う。

「だから・・・」
「ウェンディ?」
「シャルルとセシリーもそばにいてくれる・・・?」

涙目になりながら言うウェンディ。実は今日は俺たちが妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入って初めて二人だけで行く仕事の日なのだ。ウェンディとは化猫の宿(ケットシェルター)にいた頃にしょっちゅう一緒に仕事には行っていたが、どれも簡単な依頼だった。
今回は初めて二人だけで大きな仕事に挑戦するからウェンディが不安になるのもよくわかる。
シャルルとセシリーもその気持ちを察してか・・・

「バカね!どこにだって一緒に行ってあげるわよ!」
「もちろんだよ~!ウェンディ~!」

二人はウェンディにやさしくそう言う。

「俺も一緒にいるからさ、だからそんな泣きそうな顔するなよ」
「し・・・してないよ!!」
「してたわよ」
「少し泣いてたけどね」
「うるさいよ!!」

俺がウェンディに言うとウェンディは顔を赤くしながら反論する。

「それじゃ・・・行こうぜ!」
「うん!あ!その前に・・・」
「「「?」」」

ウェンディはギルドから出たところで立ち止まって振り返る。なんだ?忘れ物か?

「いってきます!!」

ウェンディはギルドに向かっておじきをする。そういうことか。しっかりしてるな。

「シリル!行こっか!」
「うん!行こう」

ウェンディが俺にそう言う。俺もギルドに一礼してからウェンディと一緒に歩いていく。
さぁ!ウェンディとの初めての大仕事!絶対成功させるぞ!!





















列車の中にて・・・

「切符なくすんじゃないわよ」
「わかってるってば!!」
「あれ~?僕が切符なくしちゃった~」
「マジかよ!?」

今は俺たちは目的地であるナナル村へと向かう列車に乗っている。その列車の中でウェンディは今回の依頼書を眺めている。

「ウェンディ、それ今回の依頼書?」
「うん!」
「どんな依頼なの~?」

セシリーがウェンディに依頼の内容を聞く。実は俺も依頼の内容は知らなかったりする。ウェンディが「これ一緒に行こう!!」って言うのでついてきたのでこの依頼の内容はウェンディしか知らなかったりする。

「うん!依頼書にはこう書いてあるの![ナナル村のリュウといいます。村で起こっている怪現象を解決するため力を貸してください。ただし、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)にかぎる]って書いてあるの」
滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)にかぎる・・・か」

いったいなんでそんな魔導士の限定をしてるんだ?滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)限定ってことは普通に考えればドラゴンが何か関係してるんだろうけど・・・なんか引っ掛かるな・・・あれ?そういえば依頼人の名前、リュウって言うのか。リュウと竜・・・なんか関係があったりするのかな?

「そんなわけないか・・・」

たまたま依頼人の名前がリュウって言うだけで深い意味はないだろう。うん、きっとそうだ。

「怪現象って何かしらね?」
「怖い系だったらやだなぁ・・・」
「お化けとか~?」
「怪現象って言うならそういうのもあるかもな。夜後ろを歩いていると、後ろから血まみれの・・・」
「やめてよシリル!夢に出てきそうだから!」
「冗談だよ冗談」

俺たちはナナル村の最寄りの駅に着くまでそんな話をして列車の中を過ごした・・・






















森の中にて・・・

ガサッガサッ

「お・・・おいウェンディ・・・」
「な・・・何?」

俺は少し前を歩いているウェンディに声をかける。ウェンディは少し息を乱しながら返事をする。

「これ・・・もう道ってレベルじゃないんだけど!?」
「どう考えても草の中を歩いてるよ~!!」
「本当にこっちであってるの!?」

そう。セシリーの言う通り今、俺たちは草の中・・・というよりも雑草林のようなところを歩いている。まるで道なんかどこにもなくてただただ草を掻き分けて歩いている。

「あってるよ!!・・・たぶん・・・」
「なんで目をそらすのよ!?」
「ちょ!!不安になってきた!!地図を俺にも見せろ!!」
「ダメだよ!!シリルに地図なんか見せたらますますワケわかんなくなっちゃうよ!!」
「何ー!?」
「シリルは方向音痴だからね~・・・」

ウェンディも道があっているのか自信がないみたいだった。俺はウェンディに地図を見せてもらおうとしたが断られてしまう。しかしセシリーの奴失礼だな!俺は方向音痴じゃなくて道を曲がるタイミングを間違えているだけだ!!

「でも方角はあってるはずだもん!!」

そういって走り出すウェンディ。ちょっと!?

「待てウェンディ!!」
「走ると危ないわよ!!」
「僕追いかけてくる~!!」

そういって(エーラ)を出してウェンディを追いかけるセシリー。あ・・・あれ?

「最初から空飛べよ!!」
「私たちに(エーラ)があるの忘れてたわ・・・」

シャルルは俺を掴んで空へと飛び立つ。それからウェンディとセシリーを追いかけていくと、徐々に木々がなくなっていく。

「あれ?もしかしてこれ・・・」
「出れるんじゃない!?」

俺たちはそのまま前に進んでいくと雑木林を抜け、崖へと出る。
その下には大きな村のようなものが見えていた。

「もしかしてあれが」
「ナナル村?」
「そうみたいだよ~」

俺とシャルル、セシリーは見えている村を指さして話す。

「ほ・・・ほら!道間違ってなんかなかったでしょ!!」
「あんた迷ってたじゃ・・・」
「ごめんウェンディ!俺が悪かった!!」
「ウェンディが道を間違えるはずないよね~!僕信じてた~!!」
「あんたらねぇ・・・」

胸を張って言うウェンディとそれに手を合わせて謝る俺。セシリーはウェンディに飛び付いて言う。シャルルは俺とセシリーにあきれてたみたいだけど・・・目的地につけばいいんだよつけば!!

「さっそく降りてみよう!」
「だな」

俺たちはナナル村へと降りていく。



























ナナル村にて・・・

「ねぇ見て!ロマンチックなところだね」
「あんた、迷ってたくせに・・・」

俺たちはナナル村へと到着して村の中に入ろうとしているところである。

「ここでどんな怪現象が起きているのかな?」
「あんまりめんどくさい奴じゃないといいな~」

俺とセシリーはそんな会話をしている。ウェンディが村の中に入ろうとすると突然・・・

ドン

村の中から何かがウェンディを襲う。

「「「ウェンディ!!」」」

なんだ!?いったい何が!?俺はウェンディを襲ったものが飛んできた方を見るとそちらから手に魔力を込めている少女がこちらにジャンプしている。
まさかウェンディを攻撃するつもりか!?

「やらせるか!!」
「「「シリル!!」」」

俺はウェンディの前に両手を広げて立つ。すでに目の前に少女が来ていたためとてもじゃないが魔法をやる時間がない!だったらウェンディは俺が守らないと!!

少女の攻撃が俺に当たる直前

ぽひゅぅ~

「・・・へ?」

少女の手に込められた魔力はあまりにもむなしい音を残して消える。な・・・何が起きた?

「やだぁ~!なんで失敗しちゃうの!?だから攻撃魔法っ苦手なの~。っていうか」

少女は俺たちの方を指さす。

「あんたら子供じゃん!!」
「あんたもね」
「人のこと言えないよ~」

その少女は俺たちにそう言うが、シャルルとセシリーが突っ込む。見た感じ・・・俺らと同じくらいかな?

「ほんっとーごめんね~!!最近村で変なことばかり起きるから警戒してたんだ!」
「気にしなくていいよ」
「私たちなら大丈夫ですから」

少女は俺たちに手を合わせて謝る。それはもう一生懸命に、頭を何回も下げる。そこまでしなくていいんじゃないかな?俺たちも紛らわしかったかもしれないし。

「ああああ・・・どうしよう・・・なんてお詫びをしたらいいのか・・・」
「き・・・気にしないでくれるのが一番ありがたいんだけど・・・」

今度は頭を抱えて震え出す少女。そこまで気にされると俺たちもなんか申し訳なくなっちゃうから・・・

「・・・そうだ!」

すると少女は何か思いついたようで立ち上がる。すると

「えいっ!!」

少女は手に魔力を込めるとその手から空似向かって花を咲かせてみせる。

「わぁっ!きれーい!!」
「花の魔法か!なかなかきれいなもんだな」

ウェンディと俺は感想を述べる。少女はそれを見てようやく明るい表情になった。

「おどかしちゃったおわび!わたしヨシノっていうの。12歳だよ 」
「俺はシリル。こっちは相棒のセシリー」
「よろしくね~」

ヨシノちゃんが自己紹介するので俺たちもそれに答える。

「私はウェンディです。こっちはシャルル。同い年・・・ですね!」

今度はウェンディとシャルルが自己紹介する。するとヨシノちゃんはウェンディの一部をじっと見つめる。

「同い年か・・・でも私のほうがお姉さんみたいね!」
「身長だよね?身長のことだよね?」

ウェンディは胸を押さえてそう口にする。ヨシノちゃんもウェンディとたいして変わりないと思うぞ?

「ちなみに俺は13歳だ。俺の方が年上だね」
「え?そうなの?」

ヨシノちゃんは俺をじっと見つめてくる。すると手で俺との身長を比べる。

「でも私のほうがお姉さんみたいだよ?」
「余計なお世話だ!!」

あまりの物言いについ怒ってしまった。確かにヨシノちゃんの方が大きいけど・・・本当に少しだけだからな?俺はこれからもっと大きくなるからな?お前もいずれ抜くからな?

「私ね、村で唯一の魔導士なの。戦闘は苦手だけど物を変化させるのは得意なんだ♪」

得意気に言うヨシノちゃん。ヨシノちゃんはまた手のひらに花を作ってみせる。なんともきれいな魔法だな。

「素敵な魔法ですね!」
「そうだね」
「ねぇ、ウェンディとシリルはどうしてこの村に?」

ヨシノちゃんが質問してくる。ちょうどいいや。依頼人がどんな人なのか教えてもらおう。

「俺たちはだな・・・」
「この村のリュウって人によばれて・・・」
「リュウ?」

俺たちが言うとヨシノちゃんは不思議そうな顔をする。どうしたんだ?

「そんな人、この村にはいないけど?」
「「「「え!?」」」」

依頼人がいない!?じゃあこの依頼はいったい誰が・・・?
俺たちは顔を見合わせて考える。すると

「・・・ねぇ・・・その人とはどういう関係なの?」

ヨシノちゃんが怖い顔をして詰め寄ってくる。
「俺たちは依頼で「卑猥!?」違うわ!!」
「お・・・お金をもらって「お金!?」」

あぁ・・・もう、だめだ・・・たぶんすごい勘違い発言が出るぞ・・・

「あんたたち!悪い男に騙されてるわよ!!」
「えええええ!?」
「いや・・・そうじゃなくて・・・」

ヨシノちゃんにそんなことを言われて慌てるウェンディ。俺は事情を説明しようとするがいきなり抱きつかれてしまう。

「いたいけな少女をだますなんて!私がほの男見つけ出してあげる!!」
「そそそそ・・・そんなんじゃないよ~」
「あぁ・・・もうすでにめんどくさい・・・」

ヨシノちゃんに勘違いされてしまった・・・しかもこの子かなり思い込みが激しいようだ。

「ちょうどいいわ。このまま村に入りましょ」コソッ

シャルルが俺たちの服を引っ張りながら言う。

「でも・・・」
「今回の依頼はいつものとは違うんだよ~」

セシリーにそう言われて思い出す。今回の依頼は滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)限定だったな。何か特別な事情があって偽名を使わざるを得ないのかもしれない。

「なるほど・・・だったら・・・」
「えぇ。少し村を調べてみましょ」

俺たちがそうやって話していると

「ほら!ウェンディ!シリル!早くおいでよ!」
「わっ!」
「おっと!」

ヨシノちゃんが俺とウェンディの腕を掴んで走り出す。本当に元気な子だな。

「うちの村、年の近い女の子がいないんだよね。ウェンディとシリルが来てくれて嬉しいな!!」

そういって俺たちに笑顔を見せるヨシノちゃん。それを見てウェンディも笑顔になる。なるけど・・・

「俺・・・女の子じゃないんだよな・・・」

喜んでくれてるヨシノちゃんに申し訳ない気持ちが沸き上がってくる。猛烈な罪悪感・・・言ったら心をへし折ってしまいそうで怖ぇぇぇ!!
そんなことを考えながらヨシノちゃんのあとをついていく。途中でウェンディが階段に転びそうになったりして危なかったが・・・二人ともとても楽しそうだ。
しばらく歩いていると前を歩いていたウェンディが突然立ち止まる。どうした?

「ウェンディ?」
「シリル・・・あれ・・・」

ウェンディが何かに気づいて指を指す。俺は指を指された方を見る。そこにはたくさんの人が手を合わせてゾロゾロと歩いている。

「なんだあれ・・・」
「不気味な行列・・・」
「ていうかあの人たちのつけてるお面・・・」
「ドラゴンの形してるね~・・・」

シャルルとセシリーの言う通り、人々がつけているお面はドラゴンの形をしていた。
もしかして・・・あれが今回の依頼に関係のあるものなのか?










 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。しばらくブルーミストラル編をやらせていただきます。
ブルーミストラルのウェンディもかわいいですよね!
次回もよろしくお願いします。
 
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