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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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蘇生アイテム

 
前書き
短いですが、キリトサイドを入れました。 

 
 キリトは、クリスマスの少し前に三十五層の迷いの森に来ていた。此処に来ている理由は、《背教者ニコラス》というクリスマス限定のMobを倒して、奴の持っている袋の中に入ってるかもしれない蘇生アイテムを手に入れるために。

「サチ……もし君が俺のことを許してくれるのなら謝らせてくれ……」

 そう呟いて、クリスマスになるまで待つ。その時になるまでただじっと待っていた。

「……ゲツガ、お前は今何をしているんだよ……」

 そう小さく親友の名を呟く。三十九層の途中から連絡が一切途絶え、姿を見せなくなった。フレンドリストには生存していることは、分かっているのだが、言い方は悪いがバグにかかってるためこれは嘘の可能性がある。すると突然、気配を感じる。そのほうを見ると数十人の集団がいた。

「……尾けていたのかよ、クライン……」

 その集団とは、ギルド《風林火山》のメンバーたちだった。一番前にいるクラインが言う。

「俺のギルドには追跡スキルが高い奴がいるからな」

 自分は嫌そうな顔になっていることがわかる。これは自分だけでやろうとしていたことだからだ。クラインとともにクリアしたって意味はないし、逆に困ってしまう。

「キリト、何でテメェは一人でやろうとするんだ!?一人でやって何になるって言うんだよ!そんなのやるのはただの死にたがりだろうが!!俺はなぁ、ダチがそんな危険なことをしようとしてるのただボーと見てるわけにはいかねーんだよ!!だから、キリト!俺らと協力しろ!!」

 クラインがそう叫ぶが、奥歯を噛み締めて腹のそこから頑張って声を出す。

「駄目だ……これは……これは俺一人でやらなきゃ意味がないんだよ……だからこの戦いだけは一人でやらせてくれ……」

「何でだよ……なんで一人で行かなきゃ行けないんだよ!?お前は……お前そんなに死にたいのか!?それともゲツガみたいに消えるのかよ!」

 クラインがそう叫ぶ。その時に背負っている片手剣を触り、斬ろうかと思うがまたこのフロアに入ってきた気配を感じ抑える。そして、そのほうを見ると、白いフード付きのコートを目のところまで被ってる人物が入ってきた。

「……誰だよ、お前」

 そう言うと、そのフードの奥から懐かしい声が聞こえた。

「……はー、あんま会いたくなかったんだけどな。まあ、こんな美味しい話しがあるんじゃ来るってこと自体わかってたんだけどな……」

 そのフードを被った人物はゲツガだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 俺はもう一度死にそうになったら、またあいつに意識を奪われる。そして、次は確実に自分のあの衝動が表に出てくる。だから、俺はあの暴走の後、一ヶ月もの間ずっと人目に付かないダンジョンに籠り続けていた。そしてダンジョンでの生活のせいで、第六感みたいなものまで感じるようになった。武器の手入れのために戻ってきた街でたまたまクリスマスに限定Mobが蘇生アイテムを持っていることを耳にした。だから、篭った事のあるダンジョンで大きなモミの木のある《迷いの森》に来た。だがキリトたちもいた。まあ、あんな美味しい話しに気付かないはずもないし、あの木を知っていたて不思議じゃないだろう。

「久しぶりだなキリト、クライン」

「何で……何でお前が此処に……」

 クラインが掠れた声で聞いてくる。

「……お前らと目的は同じで蘇生アイテムを取りに来たんだよ」

 そう言うとクラインが叫ぶ。

「そんなことを言ったんじゃない!!何で三十九層以来、姿を見せなかったお前がこんなところにいるんだよ!!」

 クラインは噛み付くように叫んでくるが、ゲツガは静かに言う。

「人を殺したから……オレンジだけどそいつ等を殺したんだよ」

 そう言うとキリトとクラインが絶句した。当たり前の反応だ。

「嘘だろ、おい……ゲツガお前……」

「半分は俺の意思じゃないけどな。最後の一人を殺したんだよ。この手でな」

 キリトたちには意味が分からないがこのことは知らないでいい。そして、話を続ける。

「まあ、それは置いといて、俺はその先にようがあるんだ。そこを退け。退かないんだったら、俺はお前らを斬ってでも行く」

 そう言って背中から人の横幅くらいの広さで片刃の両手剣を取り出す。逆手持ちにして、地面を引きずりながら、キリト達のほうに向かう。しかし、集団が入ってくるのに気付きそのほうを向く。三十人以上が入ってくる。その、入ってきたの集団には見覚えがあった。

「聖竜連合か……尾けられてたのか……」

 そう呟く。そしてどうするか考える。自分も蘇生アイテムが欲しい。しかし、こいつらは一時はオレンジになることは辞さない奴だ。もしニコラスに勝って蘇生アイテムをゲットしたとしてもこいつらは奪いに来るだろう。また来年に挑戦するかと考え、ゲツガは聖竜連合の方に向き直る。

「キリト、クライン。此処は俺が片付けるから行って来い」

 そう言うと、クラインと《風林火山》のメンバーたちが近づいてきて言った。

「俺らは残るぜ。お前一人に任せられねえからな。キリト!!ここは、俺らが何とかするから行け!!」

 そう言うとキリトは、ありがとうと言ってモミの木のある場所にワープして行った。

「何でお前ら残るんだよ。俺一人にカッコ付けさせろよ」

「ウルセー。俺らの優しさの分からん奴にカッコなんか付けさせるかよ」

 ゲツガとくラインはそう言って、本当にやるかの確認をして聖竜連合の方を向く。

「お前ら、そこを退け。今なら命は助けてやる。俺らとて、攻略組の連中と殺りあうつもりはないし、攻略メンバーが減ることをするつもりもない」

「へっ、じゃあお互い話し合いで解決して此処からどっか行くってのはどうだ?」

 クラインがそういうが聖竜連合のリーダーらしき男は首を横に振りこう言う。

「いいや、俺らが用があるのはその奥にいる《背教者ニコラス》だ。お前らが通さないって言うなら力ずくで通る」

 そして、聖竜連合のメンバーが各々の武器を出し、構える。ゲツガ達も戦闘準備をする。

 すると、聖竜連合の一人が言う。

「おい、お前……ホワイトバレットか?」

 そう言ったのは、三十二層のボス戦でゲツガが助けたプレイヤーの一人だ。そいつがそう言うと、リーダーらしき男が言った。

「ん、ホワイトバレット……どこかで聞いたことがあるような……ああ!三十九層で姿消した臆病者か!!生きてたのかー。そんなに生き恥を晒したいのか?」

 その言葉にイラッときたのでクラインに言う。

「おい、クライン」

 クラインはゲツガの気持ちを察したのかすぐにこう言った。

「分かってる。あいつと決闘してやるんだろ?」

「ああ、さすがにあれにはイラッときた。ぶん殴らないと気がすまねえ」

 そう言うとクラインたちはゲツガから離れる。そして、ゲツガは素早く決闘を申し込む。それに気付いたリーダーはにやりと笑い、すぐに受託した。ゲツガとリーダーの前にタイマーが現れる。

「おい、臆病者。お前が万が一勝てたら、俺らは此処から離れてやる。勝てたらの話だがな」

 リーダーがそう言うと俺は、何も答えずにただ武器を構える。そして、タイマーがゼロになった瞬間、リーダーが槍を構えて突っ込んでくる。

「一撃で終わらせてやるよ!」

 そう叫び、ソードスキルを使ってくる。しかし、ゲツガは顔色一つ変えず、両手剣を地面に刺して防御する。ソードスキルが終わると同時にリーダーは両手剣の攻撃範囲から出て行く。

「フン。そういえばお前は筋力だけは高かったな。だが、それだけが取り柄だろ。お前はこのステージでは、十八番のジャンプも使えない、俺には勝てないんだよ!!」

 そう言ってまた突っ込んできた。今度はさっきよりも速い。そして、ソードスキルを放ってくる。しかし、全員が思いもよらない行動をゲツガは取った。ソードスキルの使われている槍の先端を掴み取ったのだ。これを見た全員は驚いている。だが、一番驚いているのは、スキルを放ったリーダーだ。

「なっ!?」

 スキルを使った状態では攻撃は止まらない。しかし、ゲツガは自分の筋力値を最大限に使って食い止める。槍は動かないまま、放っていた光が消えた。そして、ゲツガは両手剣を槍の持ち手に向かって下から掬い上げるように斬る。ガキンと大きな音を出して槍が真っ二つに折れる。そしてまた全員驚く。しかし、リーダーは素早く剣の攻撃範囲から出る。その後、ゲツガは言った。

「武器も折られたし、俺の気が納めるために一発殴らせてもらうぜ」

 ゲツガはそう言って顔面に食い込むほどのパンチを決めた。しかし、こいつらも一応攻略組後ろに飛んで威力を抑えた。そのせいで一発終了にはならなかったが後一ドットでも減ればこちらの勝ちだろう。

「どうせ、あと一ドットでも減れば俺の勝ちなんだから、俺の勝ちでいいよな?他の武器を使ってもまた同じように折ってやるよ。今度は手加減ナシに殴るけど」

「テメェー!運良く武器が折れて攻撃がはいったからって調子こいてんじゃねぇ!!」

 そう叫び、新たな槍を装備をして突っ込んできた。しかし、横一線に槍の先端に叩き込む。すると真ん中から上下に斬れてポリゴン片へと変わる。

「降参しとけば良かったな、俺はもう甘くはないぞ?」

 そう言うとゲツガはしたからアッパーを顎に入れる。それを食らった聖竜連合のリーダーはHPが半分以下になり負けが確定した。そして、勝者と敗者が決まった。その後、約束どおり、聖竜連合は退散して言った。そして退散して行った後、クライン達が近くに来て、各々がさっきの試合での事を聞いてくる。それを適当にあしらい、キリトが出てくるのを待った。数分してからキリトは、俯きながら出て来た。

「キリト無事だったか」

 ゲツガはそう言って顔を綻ばせるが、俯いた顔が上がった瞬間、そのものすごくひどい表情を見て顔を強張らせる。クラインも同じように強張らせていた。

 そして、俺とクラインの間に結晶を放り投げて言った。

「それが蘇生アイテムだ過去に死んだ奴には使えなかった。次にお前等どっちかの目の前で死んだ奴に使ってやってくれ」

 そう言ってキリトは出口に向かう。それをクラインが掴んで止めて、叫んだ。それを聞いたキリトは、振りほどき、じゃあなと言って森の奥に消えていった。その後、ゲツガとクラインは、その場にしばらく留まっていた。

「クライン、この結晶……俺がもらっていいか?」

 そう言うとクラインは首を横に振って言った。

「いや、これは俺がもらう。ギルメンが死んだらこれを使って生き返らせたい」

「だけど、俺も譲れない。俺は目的を達成するために必要だからだ」

「なら、どうする?決闘で決めるか?」

 クラインがそう言うが、首を横に振り言う。

「いや、それはあまりにも不公平だ。だからコイントスで決めよう」

 そう言ってコインを取り出す。ゲツガは表、クラインは裏を指定し、三回勝負にする。まずは一回目、ゲツガがコインを弾き、空中に浮かべる。そしてそのコインを手の甲と平で挟み取り、手を開ける。裏だ。クラインが一回目に勝ち。二回目、今度は表でゲツガが勝つ。そして最後、コインを高く飛ばす。数秒後、コインが落ちてきてそれを取る。どちらが貰うかは運しだい。開けてコインの表裏を確認する。

「……」

「……」

 ゲツガとクラインが黙って確認する。コインは表を向いていた。

「俺の勝ちだな、クライン。これは、貰っていく」

「ああ、約束は約束だ。もってけ」

 そう言って、結晶を持っていく。するとクラインが後ろから叫んできた。

「ゲツガ!!俺はお前が攻略に戻ってくるのを待ってるからな!!速く来ねえと、お前の出番なくなるからな!!」

「ああ、分かってる」

 そう言ってゲツガも森の中に消えていった。 
 

 
後書き
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