オリジナル・ストラトス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二天 御嬢様襲来
いーちゃんの暴露話からも授業は何事もなく進んだ。
いーちゃんはしきりに頭を抱えてたけどね。
でも、人間やればできるみたいだから、そう悲観することはないと思うんだって優貴は優貴は慰めてみたり。
っと、ちょっと頭の中でふざけてると、いーちゃんが金髪ロールのお嬢様風のよくわかんない女に逆……ぎゃく……ぎゃく何だっけ?
むぅ。や、やるではないか、逆某(なにがし)。
拙者をここまで困惑させるのは今日の朝にめろんぱんを食べるか、くりーむぱんを食べるか悩んだ以来で候(そうろう)。
結局はこしあんぱんにしたんだけどね。
何か悩むのが面倒臭くなっちゃったのさ。
それにしても、最近の逆何とかは随分高圧的なんだねぇ。
くーちゃんが好き好きするどらまや漫画やあにめをよく見てるけど僕は分かんないからなぁ……
薦めてくるくーちゃんには悪いんだけどね。
んー、でも、いーちゃん笑ってないから好きじゃないのかなぁ?
どっちかって言うと、迷惑そうな顔してる。
くーちゃんと一緒に見たのだと恥ずかしがったり笑いあったりしてたし……
んー、難しいでござんす!
もーいーや、気にしないでゴザル。気にしたら負けなのさ!
邪魔したら地雷踏んじゃうからね。
僕は学べる子なのですよ!
だから、外から見とこ。
こう言うの傍観者っていうんだぇ。
ボーッといーちゃんの方を見てると金髪ロールちゃんとの話の途中にいーちゃんが振り返ってきた。
「なぁ、優貴。代表候補生って何だ?」
僕に質問かえ?
むっふっふっ。
いーちゃんに頼られちゃー仕方ない。
答えてあげるが世の情けってやつっすよ。
「いーちゃん、いーちゃん。
代表、候補生で区切って漢字変換してみると解りやすいのら」
「あー、なるほど。代表の候補か」
「うんうん。いーちゃんが――」
いーちゃんが話しかけてきたことが嬉しくてニコニコと笑いながら話を続けようとすると、邪魔者がいた。
「そう!エリートなのですわ!」
むっ。
邪魔者はびしっといーちゃんの鼻に当たりそうなくらい近くに人差し指をむけた。
むむっ。
「本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくすることだけでも奇跡……幸運なのよ。
その現実をもう少し理解していただける?」
確かたーちゃんに教えてもらったんだな!
金髪ロールちゃんみたいな人のことを何て言うか。
「いーちゃん知っとっとー?
こんな感じの人のことを世間知らずでお馬鹿な脳内花畑で頭逝っちゃってる奴って言うーんだよ」
「あ……」
あっれれ?なんでいーちゃん、やっちったぜ、みたいな顔してるの?おっかしいの。
んー、間違えちゃったのかなぁ?
じゃあ。
「現実も見れない可哀想な噛ませ犬だったかな?
ねぇね、いーちゃんはどー思ぉー?」
ありり?なんで、あっ終わった、みたいな顔してるの?おっかしいの。
「あっ、ああ、あなた!
それ――」
キーンコーンカーンコーン。
あっ、チャイムだ。
「いーちゃん、早く座らないとちーちゃ――じゃなくて、織斑せんせーの出席簿あたっくが唸るぜい」
「ああ。そうだな。座らないとな」
「……あとで来ますわ!逃げないことね!よくって!?」
「え?やだ。だっていーちゃんとお話したいし」
大体何で金髪ロールちゃん何かの為に大切な休憩時間を使わないといけないのさ。
僕はそんな暇人じゃないよん。
「~~~~~!!!」
あっ、何か真っ赤になった。
蛸、茹で蛸みたい。面白いの。
あっ、あだ名、ゆたこんにしよう。そうしよう。
そんなどうでもいいことを思いつきながら、席に座った。
「流石、束さん直伝の天然で人をおちょくる優貴だ……」
んー? いーちゃん褒めてるのかにー?
褒められると照れちゃうじぇ。
チャイムが鳴ったので当然授業が始まる。
いーちゃんに褒められててんしょんあっぷ、してていーちゃんとお話したかったけど、授業だからしかたない。
それに1、2時間目はおっぱいちゃんせんせーが教壇に立ってたけど、3時間目はちーちゃんが立ってる。
わーい。ちーちゃん。頑張ってー。
僕のてんしょんはうなぎさんの如く上ってく。
「それではこの時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」
わー、ぱちぱち。
実際にやるとちーちゃんがぷんぷんになりそうなので心の中で拍手する。
楽しみだなー。ちーちゃんの授業どんなのなんだろー?
初めてだからワクワクする。
「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」
ちーちゃんが思い出したように言った。
授業受ける気満々だったから少しガクッてきた。
こう言うときに、なんでやねーんって言えば良いのかな?
でもお口にちゃっくだからね!言わないよ!
「クラス代表者とはそのままの意味だ。
対抗戦だけでなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラスの長だな。
ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。
今の時点でたいした差……はないが競争は向上心を生む。
一度決まると1年間変更はないからそのつもりで」
ざわざわと教室が煩くなる。
ふむ。
たいした差、の所でちーちゃんが少し言い淀んだ。
はっ!?まさかこれは暗号だな!?
ちーちゃんは何か僕に伝えたかったに違いない!
となると何だろ……?
んーあっ!
解ったでおじゃる!
ちーちゃんは僕の成長を知りたいのだよ!
並み居る敵を押し退けてクラス代表の地位へと登り詰めろってことに違いない!
ちーちゃん、僕解ったよ。
ちーちゃんの期待に応えるため、僕はクラス代表へとなろうぞ!
「はい!はいはーい!
僕!やる!皆の者かかってまいれー!」
やっちゃうもんねー!
ちぎっては投げちぎっては投げちゃうよー!
僕の意気込みを表すように教卓を背にして椅子の上に立ってふぁいてぃんぐぽーず。
あれ?なんで皆ぽかんってしてるの?
戦うんじゃないの?戦わないの?
隙だらけだよ?
パンッ。と背後から叩かれた。
あれ?なんでちーちゃん?
僕もぽかんとして前へと向き直る。
「ちーちゃんもクラス代表になるの!?
ち、ちちちーちゃん相手でもぼ僕負けないよ!ぜ、絶対に負けないからね!」
ちちーちゃんが相手なんて聞いてないよ!?
うわ、うわうわわわ!どどどうしよ!?ちーちゃん相手に勝てる気しないよ!?
僕ちーちゃんほどおーばーすぺっくじゃないもん!
「馬鹿者。一度座れ」
「はい」
やる気満々だったけど一瞬で冷めて着席する。
勘違いだったのかなー?
むー。
「……はぁ。候補者は新優貴……他にはいないか?自薦他薦は問わないぞ」
あっ、そういうことか。
まだ対戦相手が決まってないんだ。
どうやら、僕の早とちりだったらしい。
「はいっ。織斑くんを推薦します!」
「私もそれが良いと思いますー」
「私は新くんかなー」
「可愛いは正義っ!」
いーちゃんが対戦相手か!
おーし頑張るぞー!
気合いをいれていーちゃんの方にふぁいてぃんぐぽーずを取ると、いーちゃんが驚いたように立ち上がった瞬間だった。
「お、俺!?」
「織斑。席につけ、邪魔だ。
さて、他にはいないか?
いないなら新との決戦投票だぞ」
「ちょっ、ちょっと待った!俺はそんなのやらな――」
「自薦他薦は問わないと言った。
他薦されたものに拒否権などない。
選ばれた以上覚悟しろ」
「だよー。いーちゃん。
僕はじゃんけんでも鬼ごっこでも大食いでもりあるふぁいとでも10本勝負でも100本勝負でも構わないよ!」
しゅっ、しゅっとしゃどーぼくしんぐのまねをする。
ちゃんと座ったままで。
「優貴、それちょっとちが――」
「待ってください!納得がいきませんわ!」
対戦相手も決まったことだし対戦に向けて闘志を高めてると新な参加者が現れた。
ゆたこんだ!
「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表なんていい恥さらしですわ!
わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を1年間味わえとおっしゃるのですか?」
んーん?
とりあえず、僕かいーちゃんがクラス代表になるのが不満なのかな?
まっ、いっか。
「じゃあ、3人でばとるろいやる(?)だ!
ゆたこんにもいーちゃんにも負けないぞぉ!」
おー!と左拳を上へ掲げる。
「優貴、バトルロイヤルってマジかよ!?
ってかゆたこんってもしや……」
少しひきつった顔をしてゆたこんの方へ流し目をする。
「ゆたこんはゆたこんだよ?ねっ、ゆたこん」
ゆたこんへ向いて、ねっ、って同意を求める。たーちゃんが言ってたけど、この時首を少し傾げると効果抜群なんだって!
「もしかして、ゆたこんってわたくしのことですの……?」
呆けた顔をして尋ね返してくる。
「そだよ?ゆたこんだよ」
可笑しいのって再び首を傾げるとくらすから笑いが起こった。
え?なんで皆笑ってるの?変なの。
「~~~~ッッ!!?
あっ、あっ、ありえませんわ!ありえませんわ!!
こんな恥辱初めてですわ!!
こんな極東の猿にここまで言われるなんて!
この、わたくしにはセシリア・オルコットという高貴な名前がありますのに!
こんな知能の低い猿がこの国ではのさばってますの!?
だから、文化としても後進的で真似ることしかできない――――」
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」
ゆたこん、何で怒ってるんだろ?って考えてるといーちゃんが口を挟んだ。
いーちゃんの方を見てみると、やってしまった、みたいな顔をしていた。
「あなたは!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
侮辱だったの?
「決闘ですわ!」
ばんっ、と顔を真っ赤にして机を叩くゆたこん。
決闘ってあれだよね?
騎士と騎士が誇りを賭けてなんちゃらってのだよね?
なにそれ格好いい!!
「おう。いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい」
「僕もやる!面白そうだもん!」
「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い――いえ、奴隷にしますわよ」
「真剣勝負ってやつだよね?」
「ああ。真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない」
「そう?何にせよちょうどいいですわ。
イギリス代表候補生のこのわたくし、セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね」
「じゃあ、何で勝負するの?
まだ内容決めてないよね?
公平なのはじゃんけんだよね?
それともまにふぇすとでもして投票する?」
「あら、何を当たり前のこと言っているのかしら。
ここはIS学園なのだから、ISでの決闘に決まってるでしょう」
「俺は別に構わないぜ」
ISで決闘するの?
でもそれじゃあ――
「公平な勝負にならないよ?」
「それもそうですわね。何と言ってもわたくしは代表候補生ですからね」
「確かに俺はISについて素人だけどやれるだけやってやるさ」
二人が良いって言うなら良いのかなぁ?
「んーいいのかなー?」
確認の為にちーちゃんの方を見るとちーちゃんが頷いた。
良いみたい。
「じゃー、ISで真剣勝負の決闘だね」
「ハンデはどのくらいつける?」
はんで?何それ?
「あら、早速お願いかしら」
「いや、俺がどのくらいハンデつけたらいいのかなーと」
と、いーちゃんが言うとどっと爆笑が巻き起こった。
え?何で皆笑ってるの?
はんでって何なの?
面白いことなの?
まぁいっか。
たぶん、面白いことなんだよね。皆笑ってるし。
「お、織斑くん、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」
大昔ってたーちゃんはそんなよぼよぼお化けじゃないじょ!
そんなこと言ったら女の人怒るんだぞ!
くーちゃんと一緒に見てたあにめでそれを実際に男の人が火炙りにされてたよ!
たーちゃんは怒ったら恐いから僕知らないもん!
「織斑くんは、確かにIS使えるかもしれないけど、それは言い過ぎよ」
むぅ。いーちゃん、はんで、って言ったときかっこよかったのにー
「……じゃあ、ハンデはいい」
「ええ、そうでしょうそうでしょう。
むしろ、わたくしがハンデを付けなくていいのか迷うくらいですわ。ふふっ、男が女より強いだなんて、日本の男子はジョークセンスがあるのね。
どうせなら、お二人でかかってきたらいかが?
少しは増しな決闘になるかもしれませんわよ?」
むー、なんかゆたこんが嫌な笑みを浮かべてる。
うまく言えないけど嘲るみたいな笑い方だ。
「いらないよ。ハンデなんか。俺も優貴も一人でやる」
「んー?ねぇね。ゆたこん。
よくわかんないけどさ。ゆたこんって強いの?」
「その珍妙な名前をやめなさい!
わたくしにはセシリア・オルコットという名前があるのよ!
それと、強いのは当然ですわ。なんせ、代表候補生ですもの」
ゆたこんの言葉に僕は首を傾げる。
「ふーん。じゃーがんばろーじぇ。まっけないかんなー」
ぼっこぼっこのめっためたにしてやんよぉー。
「ねー、織斑くん、新くん。
今からでも遅くないよ?
セシリアに言ってハンデ付けてもらったら?」
僕の真後ろの子が苦笑いしながら話しかけてきた。
はんでって付けるものなの?
「男が一度言い出したことを覆せるか。ハンデはなくていい」
「じゃー僕もー」
いーちゃんがいらないなら僕もいらない。
「えー?それは代表候補生を舐めすぎだよ。それとも、知らないの?」
んー。そんなに強いのかなぁ?
ちーちゃんより、なんてことはないからちーちゃんの何分の何人分だろ?
3分の2ちーちゃんもあったらすっげー。すっげーじぇ。ゆたこん。
「さて、話はまとまったな。
それでは勝負は1週間後の月曜。
放課後、第三アリーナで行う。織斑と新とオルコットはそれぞれ準備をしておくように。
それでは授業を始める」
おー!ちーちゃんの授業やー!
いい子にしてききまっせー!
ページ上へ戻る