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ガンダムビルドファイターズ ~try hope~

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新しき力を

「さて、全国大会もあと十日。ぶっちゃけ時間がありません。というわけで、今日からヒロヤ君の家で合宿させていただきます」

「お前は突然家に来て何言ってんだ?残念ながら家は「いいわよ~。私が許可します」…勝手に許可すんなよ…」

「「よろしくお願いします! 」」

というわけで唐突の始まり方だが、あまり気にしないでもらおう。今日は朝っぱらから二人が大荷物を抱えて家に来て、ガンプラ作る時間が足りないから、皆で作ろうと言うことだ。

説明をしているうちに居間に着き、二人はとりあえず荷物を置いて中からスケッチブックを取り出した。

「さて。じゃあ今日から皆のガンプラを改修します。まず僕の改造案は、火力、機動力、そして運用性の強化」

スケッチブックを一枚めくって見せてくると、そこにはガンプラの絵が描かれていた。…わかるっちゃわかるけど、絵があまり上手くないなお前。

「まあいいや。それでシノは? 」

「私はミノフスキードライブユニットからの余剰エネルギーを効率よく使うため、超火力兵装とファンネルの増設ね」

シノもスケッチブックを一枚めくって見せてきて、トウイと比べてめちゃくちゃ絵が綺麗に描かれていた。すごく分かりやすい。

「それで俺のは?まあ大体わかるけど…」

「ヒロヤ君のは、まず機体の粒子放出量に耐えきれてないことが多すぎるから、間接部と装甲の強化。あと、おそらくケルサスガンダムのクリアーパーツがGNコンデンサの役割を果たしていると思うから、全身にクリアーパーツの増設。それに少なかった武装の増設もだね」

スケッチブックをさらに一枚めくって見ると目立った改造はないが、各部にクリアーパーツが増えていた。

「あとそれと…」

「ん?まだ何かあるのか? 」

「僕が昔、一度だけ試して失敗したシステムを搭載するね」

「はあ?失敗したやつってなんだよ?てか大丈夫なのかそれ? 」

「まあそれは作りながら説明するよ。それに、今ならできそうな気がするし」

そういうと、荷物からは道具とガンプラ、それにその他パーツも取り出してきた。

「さて、じゃあ始めよっか! 」

トウイの合図で、ガンプラの改造が始まった。





ーーー--





「……まだ大きいか…」

パーツをヤスリでやらで慎重に削り、そんなことを呟いた。製作を始めて五時間。未だに完成が見えてこない。

「ヒロヤ~。皆~。お昼よ~」

扉が開かれると、昼飯を持って母さんが入ってきた。た、助かった。

「「「いただきます! 」」」





ーーー--三時間後





「………休憩していいか? 」

「時間ないから却下」

「さいですか…」

ずっと座り続けてガンプラの製作に没頭するも、さすがに疲れて集中が切れてしまった。





ーーー--さらに六時間後





「………そういえば昔試したってやつはなんなんだよ? 」

ほとんど無言状態が続いてそろそろ耐えきれなくなったので、最初にトウイが言っていた話を聞いてみた。

「んー。多分最初から纏めたのが失敗だったのかな?発動した瞬間に自爆したし」

「発動した瞬間に自爆って…。どうしてそんなことになったの? 」

「多分出力に耐えきれなくなって、オマケに相殺しあってそれでボーン!って感じかな」

「なんじゃそりゃ。てかそんなもんをまた搭載するお前もどうなんだよ」

「大丈夫大丈夫。今回はちょっとやり方を変えるから。それにもし成功したら、それは僕達の切り札になる」

その言葉を最後に、また作業に没頭しだした。





ーーー--





作業を続けていてふと時計を見ると、針が三時を指していた。通りで眠いわけだ…。
それでも作業は続けていると二人も眠いのか、ペースが遅れているだけではなく、時折止まることもあった。

「……シノはもう寝ろよ…。それじゃはかどらないだろ? 」

「ん…。けど私だけ休むわけには…」

「僕達は大丈夫だよ。ねえヒロヤ君? 」

「ああ…」

「はいは~い。それ以上はダメよ~。三人共もう寝なさい」

いつの間にか入ってきたのか、母さんが毛布を持って立っていた。

「起きてきて見てみれば、うつろうつろに作業しているんだもの。ちょっと怖かったわよ~?それに徹夜はあまりしちゃダメよ?まあベッドとか足りないから、ヒロヤとトウイ君はここで寝てもらうけど、それでいい? 」

「あっはい…」

「ああ…」

「じゃあシノちゃん。キツイと思うけどこっちに来て布団に入って寝てね~」

「はい……」

シノが立ち上がり母さんと移動しようすると、途中で倒れようとしたのを母さんが支えた。

「あらあら…。ここまで無茶しちゃって。二人も今すぐに寝るのよ~」

「わかりました…」

「了解…」

シノが母さんに抱っこされて行った後、毛布を羽織ってテーブルに突っ伏すと、すぐに眠りにつけた。





ーーー--





………今何時だ?

起き上がり時計の針を見ると十時になっており、トウイは既に作業を始めていた。

「おはようヒロヤ君。ちなみにシノさんはまだ寝ているよ」

「そうか。ところでお前何時から始めてたんだよ? 」

「八時半から」

早いなお前。全然寝てないんじゃないのか?っと俺も始めないといけないな。
パーツを手に持ち、作業を再開させた。

「おはよう…。二人共…」

作業を始めて一時間後ぐらいに、シノが起きて戻ってきた。

「おはようシノさん」

「てかまだ眠いなら顔でも洗ってきたらどうだ?目が覚めるかもしれないし」

「じゃあそうしてくるわ…」

そう言って洗面所に行き、すぐに戻ってシノも作業を始めた。

「二日目でこれだと、先が思いやられるわ」

「同感だ。大会までに間に合うのかこれ?」

「…We can do it。気合い、根性、やる気だよ」

「精神論かよ…」

未だにパーツは一つ一つ完成させているけど、まだ四分の一も終わっていない。なんせほぼフルスクラッチだからだな。

「……今回作者も大変だろうね。なんせ書くことなんてほぼ同じことなんだから」

「いきなりそのネタぶっこむのやめろ。マジでやめろ」

言われるとすぐにトウイは黙り、また作業を続行する。

「あっ。クリアーパーツ足りなくなった」

「はっ?お前あんだけ持ってきといて足りないのかよ」

「というわけで一度家に戻って調達してきまーす!では! 」

片手を上げながらそれだけ言うと、すぐに家から飛び出した。早く戻ってこいよー。

「てかアイツいなくなったら、作業が分からなくなるんだが…」

「私は自分のだから問題ないわよ? 」

「このやろう…」

ピンポーン!ピピンポーン!ピピピンポーン!

リズムを刻みながらインターホンを鳴らされた。イタズラか?イタズラ小僧でも来たのか?今忙しいってのになんなんだよ…。

作業を一時中断し、玄関まで行って扉を開くと、ヨシナ達がいた。なるほど。インターホンのイタズラはコムカイだなきっと。

「やあサオトメ君。新しいガンプラを製作していると聞いて差し入れを持ってきた」

「そういうわけだ。感謝しろよ」

「イタズラしてた奴が何言ってんだ? 」

「こんにちはサオトメ君。元気ですか? 」

「ん?まあ元気っちゃ元気だけど」

「なら良かった。あっそうだ。私達もガンプラ製作を手伝いますか? 」

「ちょっと待てアマミヤ。なんで俺までやらなきゃいけねぇんだよ? 」

「ヒロヤー。遅いけど、一体誰が来て…」

話をしていたらシノもやって来て、何かを言いかけたところで止めた。どうしたんだ?

「こんにちはトオサカさん。そちらはいろいろ順調ですか? 」

「アマミヤさん。いろいろって何?いろいろって」

「それはもちろん、サ「あーアマミヤさん!とりあえず上がってきたら!?ヨシナさん達も!いいわよねヒロヤ!? 」…」

「えっ?ああ別にいいけど…」

シノがアマミヤの言葉を遮り、ヨシナ達を家に上げ、とりあえず居間まで案内した。

「サオトメ君。私達も手伝おうか?スケッチブックとかあるのなら見せて貰いたいのだが」

「んじゃあ頼む。スケッチブックはそこにあるから、見終わったら手を貸してくれ」

「ふむ。では拝見させてもらおう」

ヨシナ達はトウイとシノのスケッチブックを見ている間、玄関が開く音が聞こえ、トウイが戻ってきた。

「あれ?コムカイ君達がいる。どうしたの? 」

「差し入れついでに手伝いに来たんだよハルカゼ」

「そうなんだ、ありがとうね。あっ。見終わったら基本的にヒロヤ君のガンプラの方を手伝ってね。初心者だから、結構時間かかるし」

「わかってるって。コイツが全然ダメなのは承知で来ているんだからよ」

「お前達殺されたいのか? 」

さっきよりも多少騒がしくなったものを、作業ペースが一段と早くなった。
なおコムカイとヨシナは俺の手伝い。アマミヤはシノの手伝いをしている。

「てかトウイは一人で大丈夫なのか? 」

「大丈夫大丈夫。そんなことよりも、ちゃんと二人の指示を聞いてね」

「わかってるって」





ーーー--





「では私達はこれで帰らせてもらう。また明日手伝いに来る」

「じゃあ頑張ってくださいね」

「また飯食いに来るからよ」

「手伝いに来いバーロー」

時間が午後六時になるとヨシナ達は帰り、後は昨日みたいに引き続き作業をするだけだ。

「にしてもヨシナ達のおかげでかなり進んだな。この調子なら…」

「全然終わってないわよヒロヤ…現実逃避は止めた方がいいわよ」

「……言うな」

「四分の一は終わったけど、まだまだだからねヒロヤ君」

再び作業に没頭しながら注意され、現実逃避をやめにした。

「……全然終わる気配がしない…」

「言ったら終わりよヒロヤ…」

「まだ二日目だよ…」

「わかってる………わかってるから言わないでくれ! 」

作業を続行し、そのまま昨日より少し長く、三時半まで徹夜をした。





ーーー--





ガンプラ製作三日目。俺は今日もガンプラを製作している。

ガンプラ製作四日目。今日も俺はガンプラと向き合って製作を続行している。

ガンプラ製作五日…

「ヒロヤ君!もういいよ!君の辛さはよーくわかった!だからいい加減現実に帰ってきて! 」

「はっ!?俺はいったい……」

「ここ二日間、ずっと意識がないみたいに作業していたわよ」

「大丈夫かサオトメ君? 」

「サオトメ君。大丈夫ですか? 」

「お前ある意味すげぇな…」

俺どんだけヤバい状態だったんだよ。そういえば心なしか記憶が曖昧なような気がする…。

「ヒロヤ君……もういい。もういいんだよ。君はちょっと気分転換に外を歩いてきなさい」

両肩を掴まれ、トウイが悲しそうな目で言ってきた。

「…じゃあそうしてくるわ」

「あっ。ちょっと待って」

両肩から手を離し玄関に向かおうとすると、トウイから声をかけられ一度止まった。

「なんかお菓子と飲み物とプラバンと塗料と接着剤を買ってきて」

「雑用かよ! 」

が、しぶしぶお金を受け取り買い物に出かけるはめになった。





ーーー--





買い物が終わり、家に帰る途中親父の車が止まっているのを見かけた。

「今年はよく帰ってくるなぁ親父は」

頭をかきながら車に近づくと、親父も気づいたのか窓を開けて覗いてきた。

「ヒロヤか。どうしたんだこんなところで? 」

「買い物もとい雑用の帰り。親父こそどうしたんだよ? 」

「私か?まあ立ち話はなんだ。送っていくから乗りなさい」

そう言われたので素直に車に乗り、親父が喋りだした。

「まずはお前に渡すものがあってな。ほら」

「って運転しながら渡すなよ!前見ろ前! 」

車が一時不安定の運転になりながらもケースを受け取り、中を見るとケルサスガンダムの予備パーツが入っていた。

「へっ?なんで親父がこれを持っているんだ? 」

「お前のガンプラは、私が前にある少年に手伝ってもらいながら作った奴なんだ」

「えっ?じゃあ俺の家に届いたガンプラの送り主は…」

「私だ。ちょっとお前の学校の校長とは知り合いでな。そこからお前がガンプラバトル部に入ったと知らされて、ガンプラを送ったというわけだ」

意外な事実。親父がガンプラをやっていたなんて今まで知らなかった。そうしていると、家に着いたので車から降りる。

「ヒロヤ」

「ん? 」

「全国大会………頑張れよ」

「ああ」

家に入って親父は自室に戻り、俺は居間にケースと袋を持って入った。





ーーー--





「ヒロヤ~。皆~。夕飯食べてい…」

扉を開けながら聞こうとすると、皆テーブルに突っ伏して寝ていたり、壁に寄りかかって寝ていたり、居間に寝っ転がって寝ていたり、うつ伏せの状態で寝ていたりしてた。

「あらあら。余程疲れたのかしら?ご苦労様ねぇ~」

毛布を取ってきて、一人一人にかけていくとテーブルの上に三機のガンプラが立っていた。

「完成させたんだな」

「あらお父さん。見に来たのかしら? 」

「まあ既に出来上がっているようだけどな。にしてもいい友達を持ったものだな、うちの息子は」

「そうねぇ~」

本当に、いい友達を持ったものねぇヒロヤは。母さん嬉しいわ。ヨシナ君とコムカイ君とアマミヤちゃんも、ヒロヤと仲良くしてあげてね。
それとトウイ君、シ ノちゃん、ヒロヤの事をよろしく頼むわね。

スー…スー…。スー…スー…。

寝息をたてながら寝ている皆を見ながら、居間をあとにした。 
 

 
後書き
さて、ひとまずここまで書き終わりましたなぁ…。ここで報告です。作者は実際に主人公チームの機体をガンプラで三機作っているため、もう一度新しく三機作るため本編の方の更新が一時止まります。その間は外伝の方を更新するので、どうかよろしくお願いいたします。
今のところは、二機目の製作が終わりつつあるので、すぐに本編も更新を再開させるのでお待ちしていてください。 
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