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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第六幕その五

「そこはね」
「忍者はね」
「実はまだ日本にいるのよ」
「八条学園に忍術研究会があったね」
 そういえばとです、先生も思い出しました。
「中等部や高等部に」
「忍者ってあれだよね」
 チーチーは忍者と聞いてです、こんなことを言いました。
「神出鬼没でまさに超人みたいに強くて」
「あっ、それは違うよ」
 先生はチーチーにすぐにこう返しました。
「別に忍者は神出鬼没でも強くもないよ」
「あれっ、そうなの?」
「それは日本の忍者のアニメや漫画のことであってね」
「実際は違うんだ」
「うん、術にしてもね」
 こちらもだというのです。
「水蜘蛛の術とかムササビの術はないんだよ」
「道具もあるのに?」
 チーチーは水蜘蛛の術のあの足に履くものやムササビの術で手足に付ける大きな布のことを先生に尋ねました。
「実際はないんだ」
「うん、あの水蜘蛛は浮かばないよ」
「そうなんだ」
「しかもムササビだってね」
 あの布もというのです。
「空気圧が凄くて」
「かえってなんだ」
「そう、パラシュートみたいにはね」
「いかないんだね」
「そうなんだよ」
「そうなんだ」
「あれはあくまで架空だよ」
 そうしたものだというのです。
「忍者は水の上を歩いたり空を飛んだりはね」
「しなかったんだね」
「というか出来なかったね」
「それじゃあ泳いでいたのかな」
「そうだよ、お水の中を行く時はね」
「隠れたりすることも」
「隠れることは得意だったけれど」
 それでもというのです。
「木の葉隠れとかはね」
「しなかったんだね」
「うん、山の木の葉の中に身を潜めたりはしていたけれど」
「お水の中に隠れたりとか」
「水遁の術とかは実際にしていたけれど」
 それでもだというのです。
「そんなに派手じゃないし手裏剣にしても」
 忍者といえばまさにこれという武器もです。
「言うならばナイフみたいなもので」
「強くなかったんだ」
「そうだよ、意外と重かったしね」
「蝦蟇に変身したりとかも」
「それは妖術だから」
 忍術ではなく、というのです。
「忍者は隠れて逃げ去る、戦う存在じゃなかったんだよ」
「じゃあスパイだったんだね」
「ジェームス=ボンドというよりは実際のね」
 あの人の様な超人的な存在でもなかったというのです。
「アシェンデンかな」
「地味だったんだ」
「そうだったんだよ」
「ううん、何かイメージが違うな」
「まあ。忍者は確かにロマンがあるね」
 先生もこのことは認めます、忍者にあるものについては。
「あの姿といい武器といい」
「闇に生きるとか」
「そうだね、けれど実際は戦士じゃなくてね」
「スパイなんだね」
「そのことは覚えておいてくれるかな」
「うん、わかったよ」
「そう、忍者もね」
 その忍者の話にです、お静さんも入って来ました。 
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