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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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天馬から妖精たちへ

「止めるって言ってもどうやって止めたらいいのかわからないんだよ?」

「壊すとか」

「またそーゆー考え!?」

「こんなでけーもんをどーやってだよ」

今は俺たちはニルヴァーナをどうやって止めるかの作戦会議をしている。けどいい作戦が思い付かない……あれ?

「ウェンディ?」コソッ

「何? シリル」

俺はさっきウェンディが言っていたことを思い出したので少し確認しようと声をかける。ただナツさんたちに聞こえると少々めんどうなので聞こえないように小さい声で

「ニルヴァーナってジェラールが復活させたの?」

「う……うん……たぶん……」

ウェンディは申し訳なさそうな顔をするが、おかげで突破口が見つかったような気がする!!
俺はウェンディの手をとる

「皆さん!! 俺たちちょっと心当たりがあるから探してきます!!」

「え!? ちょっとシリル!?」

「待ちなさいシリル!!」

「待ってよ~」

「おい!!」

俺とウェンディのあとをシャルルたちもついてくる。グレイさんに呼び止められたけど今はとにかくジェラールを探そう!!

「シリル!! 心当たりって何!?」

シャルルが聞いてくるので俺は一度立ち止まって話す

「ニルヴァーナはジェラールが復活させたんなら……もしかしたらジェラールはニルヴァーナの止め方を知ってるかもしれないじゃん?」

「あ~!! そっか!!」

セシリーが納得したように手を叩く。

「だったら空から探した方がいいわよね?」

「いや……シャルルたちも魔力が限界だろうし今は歩いて探そう。運よくウェンディが今日ジェラールに会ってくれてたから匂いを辿れると思うし」

「うん……でも……」

なぜかウェンディが浮かない顔をする。どうしたんだ?

「あのジェラール……私たちの知ってるジェラールとは少し匂いが違うんだよね」

ウェンディがそんなことを言う。匂いが違うって……でも7年も会ってなかったら匂いも変わるかもしれないしな……

「とにかく、ジェラールを探そう!! ウェンディ。頼むよ!!」

「うん!!」

ウェンディが走り出すのを俺たちはついていく。ジェラール……ニルヴァーナを止める方法を知っててくれよ





――――――

「どう?ウェンディ」

「少しずつだけど……匂いに近づいてると思う」

シャルルの問いにウェンディが答える。俺ももしかしたらジェラールの匂いがわかるかと思い匂いを探すがジェラールとは違う人の匂いを感じる

「あれ? エルザさんの匂いがするよ」

「え?クンクン。本当だ!! ジェラールと一緒なのかな?」

ウェンディもエルザさんの匂いに気づいたようだ。どうやら二人の匂いは同じ方角からするらしい
その後も俺たちは匂いの方へととにかく走った。途中建物があったりして回り道したりしたせいで時間はかかったがようやく俺は視界に傷だらけのジェラールとエルザさんを見つけた

「ジェラール!!」

「エルザさんもいる!!」

「ウェンディ。シリル」

俺たちの声に気づきエルザさんがこちらを向く

「無事だったか。よかった」

「エルザさんも大丈夫みたいですね」

エルザさんは毒の影響もなくなっているようで傷を負っていることを除けば大丈夫そうだ

「ジェラール」

「久しぶりだね」

ウェンディと俺はジェラールに声をかける。確かにウェンディの言う通り匂いが昔と違うような気がする。

「君たちは?……」

「「!?」」

ジェラールにそう言われ俺たちは驚く

「俺だ!! シリルだ!! こっちはウェンディだ!! 7年前に一緒に旅をした!!」

俺はジェラールにそういったがジェラールは顔を伏せる。ウェンディはそれを見て悲しそうな顔をする。ジェラール……俺たちのこと忘れちゃったのか?

「ジェラールは記憶が混乱している……私のことも君たちのことも覚えていないらしい」

「え?」

エルザさんがそう言う。そういえばウェンディがジェラールはエーテルナノと言うのを大量に浴びたせいで動けなくなっていたって言ってたな……それが原因なのかもしれないな

「もしかしてアンタ!! ニルヴァーナの止め方まで忘れてんじゃないでしょうね!!」

「ええ!? どうなの!? ジェラールくん!?」

シャルルとセシリーは慌ててジェラールに確認する。ジェラールは浮かない表情のまま答える

「もはや……自律崩壊魔方陣も効かない。これ以上打つ手がないんだ。すまない」

「そんな……」

「そっか……」

ジェラールでも止め方を知らないか……これは詰んだかもしれない……

「それじゃ私たちのギルドはどうなるのよ!!」

「もうすぐ目の前まで来ちゃってるんだよ!?」

シャルルとセシリーが大声で言う。ちょうどその時俺たちの声にいる場所に震動が走る

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「何だ?」

エルザさんが辺りを見回しながら言う。俺も辺りを見ると俺たちのギルドのある方向から黒い光が見える

「まさか……」

俺はその方角に向かって走る。ウェンディたちも俺のあとを追ってくる。そして光をためているところを視界に捉えた。それは化猫の宿(ケットシェルター)に向かって放たれようとしていた

「まさかニルヴァーナを撃つのか!?」

光はどんどんたまっていく。

「そんな……」

「あ……ああ……」

「やめろ……」

俺とシャルルたちは声もまともに出せない

「やめてーーー!!」

ウェンディが叫ぶ。しかしニルヴァーナは無情にも発射されてしまった。
発射されたニルヴァーナの光は化猫の宿(ケットシェルター)へと飛んでいく。











しかしその光はギルドのわずかに上を通過していった

「え?うわっ」

「きゃっ」

突然俺たちのいる場所が斜めに傾き俺とウェンディはバランスを崩し滑り落ちそうになる。

「くっ」

しかし俺たちをエルザさんが掴んでくれ落ちることなく済む

「何が……」

「見て!! ニルヴァーナの足が……」

「何かのせいでバランスを崩したみたい~」

建物にしがみつくジェラールと翼(エーラ)によって落ちることなく済んだシャルルとセシリーが言う。
エルザさんはニルヴァーナの足に空から何かが降ってきたのを見ていたため上を見上げる

「あれは……」

俺たちも上を見上げる。そこには

「わぁ」

「魔導爆撃挺!!」

「クリスティーナ!!」

青い天馬(ブルーペガサス)の誇るクリスティーナが空を飛んでいた。

『聞こえるかい!? 誰か……無事なら返事をしてくれ!!』

俺たちの頭に聞き覚えのある声が響いてくる。この声は

「ヒビキさん!!」

「ヒビキか?」

「わぁ」

俺とエルザさん、そしてエルザさんに抱きついているのウェンディが念話に答える。

『エルザさん?ウェンディちゃんとシリルくんも無事なんだね』

お!? くんづけになったぞ!! と俺は一人で感動したりしている

『私も一応無事だぞ』

『先輩!! よかった!!』

一夜さんもどうやら無事のようだ。さすがは青い天馬(ブルーペガサス)の実力者だ

「どうなっている?クリスティーナは確か撃墜されて」

エルザさんの言葉を聞き俺もあのクリスティーナが落とされた瞬間を思い出す。

『壊れた翼をリオンくんの魔法で補い……シェリーさんの人形撃とレンの空気魔法(エアマジック)で浮かしているんだ』

『こんな大きいもの……操った事ありませんわ』

『お……重たくなんかねぇからな』

シェリーさんとレンさんの声も聞こえてくる。その声はかなり苦しそうだ

『さっきの一撃はイヴの雪魔法さ』

「あんたたち……」

『クリスティーナの……本来持ってる魔導弾と……融合させたんだよ……それでも……足の一本すら壊せないや。それに……今の攻撃で……魔力がもう……』

イヴさんは力尽きてしまったのか倒れる音がした。皆さん……そこまでして……

「ありがとうございます……皆さん……」

「ありがとう、みんな……」

俺とウェンディは涙をこらえながらお礼を言う。

『聞いての通り僕たちはすでに魔力の限界だ。もう船からの攻撃はできない。それより最後にこれだけ聞いてくれ!! 時間がかかったけどようやく古文書(アーカイブ)の中から見つけたんだ!!
ニルヴァーナを止める方法を!!』

力強くヒビキさんが言う。

「本当か!?」

『ニルヴァーナに、足のようなものが8本あるだろう?』

最初にニルヴァーナが復活したときに胴体を支えていた足があったことを思い出しそれのことを言っているのだと気づく

『その足……実は大地から魔力を吸収しているパイプのようになっているんだ。その魔力供給を制御する魔水晶(ラクリマ)が各足の付け根付近にある。
その八つを同時に破壊することでニルヴァーナの全機能が停止する。一つずつではダメだ!! 他の魔水晶(ラクリマ)が破損部分を修復してしまう』

「同時にだと!?」

「どうやってですか!?」

タイミングを合わせるなんてなんの合図をなしだとできませんよ!?

「僕がタイミングを計ってあげたいけど……もう……念話が持ちそうにない」

すると突然頭の中にタイマーのようなものが現れる。

『君たちの頭にタイミングをアップロードした。君たちならきっとできる!! 信じているよ』

ヒビキさんがそういうと頭の中に20分という数字が現れ、それはカウントダウンを始める

「20分!?」

『次のニルヴァーナが装填完了する直前だよ』

『無駄なことを……』

ヒビキさんの言葉に被せるように違う声が聞こえてくる。

『誰だ!?』

「この声……」

「ブレインって奴だ!!」

「ブレインって……」

ジュラさんが倒したはず……なんで起きているんだ?

『僕の念話をジャックしたのか!?』

『俺の名はゼロ。六魔将軍(オラシオンセイス)のマスターゼロだ』

ゼロ!? そんな奴までいたのか!?

『まずは誉めてやろう。まさかブレインと同じ古文書(アーカイブ)を使える者がいたとはな』

ゼロの声はまるで余裕を感じさせるような笑いがわずかに入った声をしていた

『聞くがいい!! 光の魔導士よ!! 俺はこれより全てのものを破壊する!!
手始めに仲間を三人破壊した。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)氷の造形魔導士、星霊魔導士、それと猫もか』

『ナツくんたちが……!?』

「でたらめ言うな!!」

「そんなのウソよ!!」

俺たちはゼロの言葉に動揺する。

『てめぇらは魔水晶(ラクリマ)を同時に破壊するとか言ったなぁ?俺ともう一人の男がその八つの魔水晶(ラクリマ)のうちのどれか二つの前にいる!! ワハハハハ!! 俺たちがいる限り同時には壊すことは不可能だ!!』

「もう一人!?」

俺はその言葉に疑問を持つ。六魔将軍は全滅したって話だったのに……まだ誰かいるのか!? 一体誰だ?
そんなことを考えているとゼロとの念話は途切れていた。
ゼロともう一人の敵がどれほどの強さかは知らないけど……勝負になるのか?そんな奴等と……ナツさんたちを倒してしまうような奴と

「待って!!」

シャルルが焦った顔をする
「八人もいない……!? 魔水晶(ラクリマ)を壊せる魔導士が八人もいないわ!?」

言われてみて気づくが今ここにいる魔導士は四人……だけど

「わ……私……破壊の魔法が使えません!! ごめんなさい!!」

頭を下げるウェンディ。ウェンディは破壊の魔法を使えないのだからここにいる魔水晶(ラクリマ)破壊に参加できるのは三人だけ……

「こっちは三人だ!! 他に動ける者はいないか!?」

『マイハニー』

この声は一夜さんか?

『私がいるではないか。縛られてはいるが……』

『一夜さん!!』

一夜さんも参加してくれるようだ。これで四人……あと四人……

『まずい……もう……僕の魔力が……念話が……切れ……』

「あと四人だ!! 誰か返事をしろ!?」

『俺がいこう……』

かすれかけの声がする。この声って……

「リオンさん!? 大丈夫なんですか!?」

『あぁ……魔水晶(ラクリマ)を破壊するくらいなら……なんとかなるかもしれん……』

リオンさんもギリギリの魔力ではあるが参加してくれるらしい。あと三人……
すると上空のクリスティーナがバランスを失い落下し始める

「クリスティーナが!?」

「落ちるぞ!!」

「リオンさん!!」

しかしクリスティーナから一人ふわふわとこちらにゆっくりと落ちてくる人物がいる。そう、リオンさんである。
リオンさんは俺たちの前にゆっくりと着地する

「恩に着るぞ……レン」

『頼むぞ……うっ……』

リオンさんの降りるのをアシストしたのはレンさんの空気魔法(エアマジック)だったようだ。

「グレイ……立ち上がれ……」

するとリオンさんはそのまま念話を通してグレイさんに話かける

「俺たちは誇り高きウルの弟子だ……こんな奴等に負けるわけにはいかんだろ……」

『私……ルーシィなんて大嫌い……』

続いてシェリーさんが話始める

『ちょっとかわいいからって調子に乗っちゃってさ……バカでドジで弱っちぃくせに……いつも……いつも一生懸命になっちゃってさ……』

悪口ばかり言っていた声から徐々に涙声に変わっていく

『死んだら嫌いになれませんわ。後味悪いから返事しなさいよ』

クリスティーナは徐々に落下していき俺たちの視界から姿を消してしまう

「クリスティーナが!?」

「ナツさん……」

「オスネコ……」

「ハッピー……」

「ナツ……」

ウェンディたちがナツさんの名前を呼ぶ。

『ナツくん……僕たちの……声が……』

ナツさん……

『聞こえてる!!』

ナツさんの力強い声が聞こえその場にいた俺たちは笑顔になった






 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。個人的にリオン推しなのでリオンにも最後に頑張ってほしいなと思い魔水晶(ラクリマ)破壊に参加してもらうことにしました。次回はシリルとゼロの用意した刺客が戦います。また次回もよろしくお願いします
 
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