砂金
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第二章
「いや、この村もな」
「人が減ったね」
「かなり向こうに行ったな」
「西の方にね」
「金を求めてな」
他の多くの開拓者と同じくだ。
「行ったな」
「そうだね」
リチャードも祖父の言葉に頷いた。
「うちの周りもだよ」
「ああ、人が減ったな」
「それで残った畑はね」
かつて人のものだったそうしたものはというと。
「うちの家のものになったよ」
「それでその畑もだな」
「耕してね、大変だよ」
「畑が増えたのはいいことだ」
ロバートは孫に笑って言った。
「それだけ宝になるからな」
「うん、お父さんもお母さんもそう言ってるよ」
リチャードは祖父ににこりと笑って答えた。
「実際にね」
「そうだな、だからそのことは喜んでいい」
素直に、というのだ。
「御前もな」
「そうなんだね」
「ただな」
ここでだ、リチャードはロバートに少し真面目な顔になってこうも言った。
「御前の家族は行かないんだな」
「西部にだね」
「ああ、ここに残るか」
「お父さんはそう言ってるよ」
リチャードはここでもにこりと笑ってロバートに話した。
「そのつもりはないってね」
「そうか、残るか」
「最初はどうしようかって考えていたみたいだけれど」
「それがか」
「皆どんどん先に行ってね」
「畑が手に入ったからか」
「それも安くね」
全てその出て行った村人達から売ってもらったものだ、それもかなり安く。今その多く持った畑を忙しくy耕しているのだ。
「だからもういいって」
「そうなってか」
「この村に残ることにしたよ」
「それもいいな」
ロバートは孫の言葉に納得した顔で頷いて言った。
「西部に行くこともいいが」
「残ることもだね」
「それもまたいいだろう」
こう言うのだった。
「少なくとも畑が手に入ったな」
「それもかなりね」
「ならその畑をだ」
「一家で耕して」
「金持ちになれ」
祖父は孫に笑って言った。
「御前もな」
「僕もなんだ」
「家は御前が継ぐんだろう?」
無論その手に入れた畑達もだ。
「そうだな」
「そう言われてるよ」
「それならだ」
「その畑を耕していって」
「豊かになれよ」
「そうしないと駄目なんだね」
「少なくとも食えるだけは手に入れないとだ」
その畑達からだ。
「どうしようもないからな」
「そういうことだね」
「だからいいな」
「うん、僕はここに残って畑を耕して」
リチャードはロバートに答えた。
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