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第二章

「最近ね」
「最近?」
「あんたのことをよく見ているらしいのよ」
「それってまさか」
「そう、あんたに気があるらしいのよ」
 こう私に言うのだった。
「どうやらね」
「えっ、まさか」
「まさかかも知れないわよ」
 そのまさかかもとだ、彼女は私に少し笑って言って来た。
「まあそうかも知れない、だから」
「実際はどうかわからないのね」
「このことは考えておいてね」
「そうなの」
「けれどあんた告白とかは」
「無理だから」
 絶対にと返した私だった、このことは。
「考えたくもないから」
「そうなの」
「そう、しないから」
「そうなのよね、あんたは」
「告白なんてしないから」
 怖くて出来ない。そう言うべきだった。
 そうした話をしてだった、私はその選択肢は考えないことにしてそうして彼のことを考えないことにした。そうしてまた暫く月日が経ってから。
 ある日の昼休みだ、私にだった。
 男子バスケ部の子がだ、こう言って来た。
「ちょっと時間ある?」
「時間って?」
「あのさ、旧校舎の屋上でさ」
 そこでだというのだ。
「あんたに会いたいって奴がいるんだよ」
「痴漢とかじゃないわよね」
「おいおい、それじゃあ何処かの漫画だろ」
「そうした漫画ね」
「そうした漫画みたいなことはないぜ、何だったらな」
 それならと返す彼だった。
「警棒でもスタンガンでも持って行ってくれよ」
「痴漢がいる時に」
「木刀でも鉄パイプでもいいぜ」
「若し痴漢だったら後で警察に言うから」
「そうしてくれよ、とにかくな」
「屋上に行ってくれっていうのね」
「そうしてくれるか?」
 私に言って来る。
「今からな」
「わかったわ、それじゃあ」
「それで痴漢がいたらマジで警察でも何でも呼んでくれよ」
「わかったわ、それじゃあね」
 こう話してだった、私はその旧校舎の屋上に行った。そこに行くとだった。
 そのC組の畑君がいた、そしてだった。
 私の姿を認めてだ、真剣な顔で言って来た。
「来てくれたんだ」
「ひょっとして」
「噂聞いてるのかな」
「あんたが私のこと好きだっていう」
「ああ、それでなんだよ」
 こう私に言うのだった。
「ずっと考えどうしようかって思ってたけれど」
「私を呼んで」
「俺決めたんだよ、今ここでさ」
 私に必死の顔を向けての言葉だった。
「言おうって」
「それじゃあ」
「言ってもいいかな」
 その必死な顔で私に言って来る。
「これから」
「それは」
 私は自分の顔が青くなったことを感じた、その言葉を聞くのが怖くなったからだ。これまでは自分が言うことばかり考えていたけれど。
 ここはだった、とてもだった。
 言われる言葉が怖かった、それでだった。
 私は言おうとした、だが。
 彼は私にだ、堪えきれないという顔になってそして言って来た。 
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