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美しき異形達

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第四十四話 薊達の決意その六

「神道や仏教、道教も入っていてね」
「何か凄い家だな」
「そうよね」
 二人もここであらためて皇室のその面に気付いた。
「あらゆるものがあってな」
「それで守られている」
「道理であれだけ続いてる筈だな」
「皇室は特別なのね」
「うん、若しかしたら」
 智和は自分の考え、仮定であるそれもだ。二人に話した。
「サン=ジェルマン伯爵は皇室ともね」
「何処かでか」
「関わりがあるんですね」
「そう、ただこのことはね」
「確かめようがないよな」
「殆どの人に」
「うん、おそらく皇室の方々か宮内庁の一部の人だけがね」
 その謎の多い宮内庁の中でも限られた人達だけがというのだ。
「ご存知のことだろうね」
「それこそ首相でもか」
「知ることが出来ないんですね」
「首相といっても色々な人がいたしね」
 こうもだ、智和は言った。
「中には誰に何を喋るかわかったものじゃない人もいるから」
「ああ、いたな、鳥みたいな名前の」
「おかしな目をした人ですね」
 二人はその首相が誰かすぐにわかった、このことを察することは極めて容易だった。
「あいつはな」
「それこそですよね」
「本当に何処で誰に何を喋るかわからないからな」
「おかしな人ですからね」
「自分の責任とかな」
「一切わかっていない人ですから」
「ああした人には重要なことは教えられないよ」
 それこそ、というのだ。
「一切ね」
「だよな、ああいう奴には」
「お話出来ないですね」
「皇室の謎とか話したらな」
「冗談抜きに喋ってしまいますよね」 
 それもよりによって、という相手にだ。尚且つ自信の立場や責任を把握することはないのだから余計に性質が悪い。
「だから首相にもか」
「滅多にですか」
「話せないことだよ」
 それこそ、というのだ。
「勿論ご本人には聞けないよ」
「いや、皇室の方々からお聞きするとか」
「そんなこと考えられないですから」 
 二人もこのことが問題外であることはすぐにわかった。
「サン=ジェルマン伯爵にしても」
「実際にお会い出来ても」
「そうしたことはな」
「絶対に言わないですよね」
「そうした謎は謎のままだよ」
 文字通り藪の中だというのだ。
「永遠にね、けれど」
「サン=ジェルマン伯爵が日本とも関係がある」
「そのことはですか」
「うん、可能性としてね」
 それこそというのだ。
「大いにあることだよ」
「それじゃあ若しかして」
「私達も本当に」
「伯爵と擦れ違っているかも知れない」
「何処かで、ですね」
「僕にしてもね」
 智和自身もというのだ。 
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