人間不信の憑依転生
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第0話 私の終わり
前書き
ここには初めて書きます。
よろしくお願いします。
「おい!起きやがれ!」
ガッ
腹の痛みと共に目が覚める。
目を開けると、父がお酒の瓶を片手に私を睨み付けているのが見えた。
今日は何時もより苛立っているようだ。だって、父の朝はお酒ではなく煙草から始まるのだ。いったい何があったのか気になるが、朝から腹を蹴るのは止めてほしい。胃液が喉まで上ってきたじゃないか。
「チッ…さっさと学校に行きやがれ!目障りなんだよ!」
「アンタがいるとイライラするのよ!」
あぁ…こいつ等本当に最悪だ。目障りなら私を産まなきゃよかったのに。
一応母と呼んでいる奴から汚れまくっている服達を投げて渡され、部屋の隅で静かに着替える。私の腹や背中には、見るだけで痛々しいと思う痣がたくさんある。
この二人はわざと回りにバレないように服で隠れる所を狙って攻撃してきているのだ。嫌になるったらありゃしない。早く私を捨ててくれないかな。そうしたら交番直行して孤児院に入れさせてもらうんだ。
そっちの方が絶対に幸せな生活が待っている。
ボロボロのランドセルを背負い、イジメっ子達の巣窟へ向かう。何故だろう。今日は嫌な予感がする。何時も上靴を隠されたりバケツの水ぶっかけられたり嫌な思いは毎日のようにしているが、今日は今までにないくらい胸がざわざわする。そのせいか、この学校へと向かう見慣れた通学路がやけに長く、歩行時間もまた永く感じた。
・・・
バシャアッ
「やーい、引っ掛かった引っ掛かった!」
「うっわー。こいつ今日も来たぜ!」
「でも、今日は新しい事するんだろ?」
私のクラス、4‐3組の教室のドアを開けた瞬間、このザマである。大量の水を頭から被せられたのだ。濡れた雑巾というオマケ付きで。教室の床はもうびしょびしょだ。誰が片付けるんだ。
「て言うか~、何でこんなキモい奴がこのクラスにいるの~?マジキモーイ!」
「キッモーイ!」
「「キャハハハハ!!」」
4年生の癖にキツイ香水をつけている女子共が私を見て嘲笑う。先生は…いないか。駄目だ、教師なのに職員室に逃げたよあの先生。あぁ、大人も誰一人信じらんないや。
「おい、聴いて驚けよ!今日は特別なもんを持ってきたんだ」
そう豪語するのは、イジメっ子達の中心角と思われる『石崎 徹』。
黒髪に赤いメッシュをいれて、全体的に黒な見るからに不良の少年だ。不良だと言うのに、石崎に明らかに惚れているであろう女子は確認したなかでも3人はいる。いったい彼の何が良いのだ。ただカッコつけて私を虐めているだけの真っ黒君じゃないか。
「特別なもんって?」
「それはな___これだ」
石崎のポケットから出てきたのは“カッター”。刃物だ。綺麗に磨がれた刃が私の瞳にキラキラと映る。
もしかして、いや、もしかしなくても、アレで私を傷つける気なのだろう。登校中の胸騒ぎはこの事だったのか。やっぱ最悪だ。こいつら全員悪魔だ。皆カッターを見てニヤニヤしてる。
私の心が恐怖でいっぱいになった。怖い、怖い怖い怖い怖い。
無意識に後退りをする。今までのイジメとは格が違う。運が悪ければ、“死”が待っているかもしれない。
「いいか?これであいつの腕を__」
私はそれ以上の言葉を聴きたくなくて教室からダッシュで逃げた。後ろから「待て!」等と聴こえるが待たない。というか、待てと言われて待つ奴なんているのだろうか。
この恐怖のなかでもし追いかけてくる不良を待ったら、すかさずカッターで切りつけられるだろう。
とにかく今は逃げるんだ。
・・・
学校から逃げて二時間。ランドセルは走っている時邪魔だったので道に捨ててきた。そして今は何処か分からない所にいる。前を見ても後ろを見ても高層ビルだらけ。外にはこんなスゴい場所があったのか。
私は外に行った場所が学校しかなかった。あの親共が外に出してくれなかったのだ。だから、公園と言う小さい子がたくさんいるらしい場所で遊んだことも無いし、何処かで私物を買ったりすることをしたことがない。だから、こんな所は新鮮だった。
暫く歩いていると、ふと、目に留まる一つの廃ビル。どうやらここは屋上に上れるようだ。私は、何かに吸い寄せられるように階段を上がっていく。階段の突き当たりに、小さな、少し埃を被った扉があった。そこを開けると、まず第一に青空が広がっている。しかし、屋上を囲っているフェンスは錆びていて、触っただけですぐに壊れてしまいそうだ。
…いっそ、ここで死んでしまおうか?
そんな馬鹿げた思想が脳裏を過る。いや、でもそれもいいかもしれない。どうせ家に帰っても学校に通っても苦しい毎日が永遠と続くだけだ。それに、今帰ったら本当に殺される可能性がある。そんなのはごめんだ。
なら、楽になった方がいい。自分でも分かってるつもりだ。これが逃げだって。
だけど
「…怖いものは、怖いんだよ…」
私は弱い。だからこんな最期を選んだ。
フェンスを飛び越え下を見下ろす。たくさんの人や車が行き交っている。いいよなぁお前らは。いいよなぁ幸せに生きられて。名前も顔も知らない人たちに向けてしまう嫉妬。醜いな、私は。
覚悟を決めて、何もない空虚へと一歩踏み出す。
落ちていく私の体。
下から聴こえる悲鳴と動揺の声。
上は、とても美しい青空が見える。
そうだなぁー…。
「来世は、幸せに生きたいなぁ」
私の意識はそこで途絶えた。
後書き
さすが私、やはり駄文しか書けないとは…(震え声)
次の投稿は何時になることやら…。
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