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『ひとつ』

作者:零那
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『未成年』



闇を彷徨う居場所無き者達。
其れはいつかの僕自身でもある。
存在意義が見いだせなくて、認めて欲しくて、でも家族すら信用できない。
己の無力さに情けなくなって、不安や恐怖や、あらゆる思念。
深い深い漆黒の渦に囚われてく。

自分が傷ついてるからこそ他人を傷つけてしまう。
誰かに優しくできるほどの余裕なんて無い。
こっちを見て欲しくて、解って欲しくて、甘えたくて。
でも、素直になんかなれなくて。
そんな剥き出しの感情で傷つけることしかできない。

心の声が伝わってくれたとしても甘える事なんて出来ない。
でも、それでも、何で解ってくれないんだって心の声は叫んでた。
そんな自分勝手で理不尽な想いが毎日募ってく。

解ってくれない大人に罵声を飛ばしては暴力もあった。
自分は傷ついてるんだって、助けて欲しいんだって、本当は抱き締めて欲しいんだって、心はいつも泣いてた。

大人や社会に期待なんてしてなかった。
諦めてた。
それでも心の何処かで求めてた。
人の温もりを感じたかった。

此の口をついて出る言葉は100%の本音なんかじゃ無いんだって解って欲しかった。
腫れ物に触るみたいな態度は嫌だった。
淋しかった。

そんな僕が居た。
そして今もまだ、此の時代でも、あの頃の僕のような君達が居る。

見つけて欲しい。
心に触れて欲しい。
そっと寄り添って欲しい。
温もりが欲しい。
本当は生きる理由を求めてる君達が居る。

素直になれなんて難しい事、僕には言えない。
けれど、諦めないで欲しい。
ありきたりな言葉だけど、諦めてしまったら本当に何も無くなっちゃうから。
其れって怖いことだから。

諦めないで、求め続けて欲しい。
君が君で在れるように。
生きてく理由が見つかるように。
自分が此処に在る現実を自分自身で確かなものにする為に。

君達は強い。
今は逃げてるだけ。
向き合った其の時、君達は本来の強さを発揮できる。

僕が生きてこれた。
君達も諦めないで。
塞ぎ込んでないで、信用できる人を見つけたなら心の声を吐き出して。
大事なものが見つかったなら精一杯守って。

そして君達が君達自身を大事にしてあげて。
其れが一番の願い。

まだまだ可能性を秘めた原石の君達。
諦めなきゃ君達の未来は拓ける。
始めなきゃ君達の道は拓けない。

ほんのちょっとの気持ちの変化、其れが大きな大きな一歩になるから、ちょっとだけ頑張ってみよう?

 
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