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気迫

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第二章

「最早サッカーではない」
「何か別のものですね」
「買収やらラフプレイやら何でもありですから」
「それじゃあですよね」
「もうスポーツじゃないですね」
「あんな連中に誰が負けるか」
 こうも言うロレーヌだった。
「負けてたまるか」
「サッカー選手として」
「勝ちましょう」 
 イレブン達も言う、そしてだった。
 ロレーヌ達は試合に向かった、グラウンドに入ると早速観客席からだ、下品なブーイングと人文字があった。
 その国の過去を揶揄するプラカードや人文字があった、ロレーヌはそういったものを一瞥してからイレブンに言った。
「何でもない」
「これ位はですね」
「もう想定していることですね」
「そうだ、こんなのを気にしていたらな」
 それこそ、というのだ。
「はじまらないからな」
「あの連中とはですね」
「試合は出来ないですね」
「試合になればもっと酷い」 
 そうしたことが起こるというのだ。
「だからな」
「観客席は気にせずに」
「そうしてですね」
「試合をするぞ」
 こう言うだけだった。
「いいな」
「はい、そしてサッカーをして」
「勝ちましょう」
 イレブンもロレーヌの言葉に頷く、そしてだった。
 彼等はだ、グラウンドに入った。試合がはじまると誰もが予想した通りの展開となった。
 開催国のチームはラフプレイにだ、不可解な判定の援護を受けてだ。
 ロレーヌが守るゴールに迫って来た、そしてシュートを入れるが。
 ロレーヌはそのシュートを両手でキャッチしてだ、そのうえでだった。 
 自チームにパスを出す、そうして反撃に移ろうとするが。
 その反撃は途中で終わった、開催国のゴール圏内に入るとだ。
 また審判が謎の判定をした、それで相手のボールになり。
 そこからまた彼等の攻撃になった、そしてロレーヌが守るゴールにシュートしてくるが。
 ロレーヌはそれをまた防いだ、キャッチしてだった。
 またパスを出す、再び彼等の攻撃となるが。
 同じことの繰り返しだった、何故か不可解な判定で相手のボールとなり。
 シュートを出して来る、今度のシュートは近く。
 キャッチでは止められなかった、それでだった。
 ロレーヌはパンチで止めた、だが弾いたそのボールに。
 相手はまたシュートを放って来た、今度はボレーシュートだった。しかし。
 そのボレーもだ、彼はパンチングで防いだ。しかしその弾いたボールをまた相手は受け取ってそうしてシュートを繰り出してくる。
 その応酬が続いた、だがだった。
 その中でだ、ロレーヌはシュートを決めさせず。
 ディフェンダーがボールをクリアーして遂に終わった、それを見た彼の祖国のサポーターとテレビの聴衆達は喝采を送った、
「よくやったロレーヌ!」
「よくゴールを守った!」
「その意気だ!」
「頑張ってくれよ!」
 こう喝采を送るのだった、そして。
 ロレーヌの踏ん張りがイレブンを奮い立たせた、彼等は言うのだった。
「おい、幾ら相手が汚いことをしてもな」
「そうだな、ロレーヌがあれだけ踏ん張ってるんだ」
「それなら俺達もな」
「汚いプレイに負けるか」
「審判が何だ」
「幾ら審判が買収されててもな」
 それでもだというのだ。
「俺達が誰もが認めるシュートをすればな」
「認めるしかない」
「そんなシュートを決めてやる」
「そうしたプレイをしてやる」
 こう言ってだ、そしてだった。
 彼等は果敢に攻めた、幾ら審判が謎のジャッジをし開催国側がラフプレイや不可解な転倒をして彼等の方に向けてもだ、それでもだった。 
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