SAO<風を操る剣士>
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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第三章 成長
第13話 竜使いシリカ誕生!!
前書き
※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。
2023年01月12日、木曜日。
第二層攻略が終わって、1ヵ月が経っていた。
そして俺とシリカは最前線の第八層の森の中にいた。
「はぁーー」
俺はシリカが破壊可能オブジェクトの岩にソードスキルを発動して、岩にあてて破壊するところを見ていた。
「そう、そんな感じで体重を乗せるんだ」
「ふ~、やっぱり難しいですね。…この《システム外スキル》」
「簡単に出来たら、練習を頑張ってした俺が困るよ」
「それもそうですね」
そう俺は今、シリカに10日くらい前に教えた…《値移行》と《体重移動》の《システム外スキル》の動作確認などをしていた。(まだ、キリトには教えていない)
「でも、シリカはすごく覚えるのが速いよ」
「そうですか?」
「ああ」
俺は今の動作を見て感じた事を素直に言った。シリカはよく分かっていないようだが、
10日で<値移行>を一直線ならほとんど使いこなしている。
…俺も10日以上かかったしな~
まぁ、さすがのシリカも《体重移動》はまだまだだけどな。
「それじゃあ帰るとするか、シリカ」
「そうですね。…今日は久々に頑張りますよ~」
「前みたいな事にならきゃいいな…」
「それは言わないで下さい!」
「ははは、ごめんごめん」
「も~」
俺の言葉にシリカは可愛く頬を膨らませているが、俺はこんなやり取りをシリカとするのが、結構好きだった。
…ちなみに『頑張る』というのは、料理の事である。
第二層でクエストの報酬で手にいれた《協力調理器具》で、俺達は最近良く二人で料理をするようになった。(以外な事だが《協力調理器具》は結構なレアアイテムらしい)
まぁ、こんな事を言ってシリカをカラかってはいたが、何回も料理をしているおかげで、俺とシリカは料理スキルが結構上がってきている。料理スキルは二人の合計で、200くらいはあると思う、それに《協力調理器具》の+60が加算される。
なので俺も今日は、今日手に入れた食材を考えながら何を作るか考えた。
(シリカに言った『前みたいに』というのは、5日前の料理をする時俺が食材を出したら、あまりいい姿の食材じゃない為かシリカが捨ててしまって、あまり美味しくない料理が完成した事があった)
「さてと…それじゃ~行くぞ~」
「あ! 待ってくださいシュウさん! そこに何かいます!!」
俺が帰ろうとしたら、シリカが森の木の方に指をさした。
…実はさっきから俺の《索敵》でいる事は分かっていたのだが、襲ってこないので、ムシをしていたのだが……仕方が無いので俺はシリカにそのことを伝える事にした。
「モンスターだよ…」
「モンスターなんですか!?」
「ああ、でも襲ってもこないし…別にほっといても良いんじゃないかなぁ~」
そうやって俺たちが話していると、モンスターが顔を現した。
姿を見せたモンスターは、全身をふわふわしたペールブルーの綿毛で包み、尻尾のかわりに二本の大きな尾羽を伸ばした、小さなドラゴンだった。
「へ~《フェザーリドラ》か、βテストの時に一回出合っただけの、レアモンスターだな。レアなモンスターだけに名前を思えてたよ」
「うわ~!! カワイイ~!!!」
「シリカ?」
俺の言葉も聞かずに、シリカは目の前の小さな竜、すなわちドラゴンに夢中のようだ。
そして俺の方へシリカは振り返り言った。
「シュウさん! あの子可愛くて仕方ないです! エサとかあげたらだめですかね?」
「え? う~ん……別に…いいと思うけど…」
「そうですか! なら、あげてきます!!」
「その前にあげられる物があるのか?」
「あ!」
どうやらないことに気がついたらしい……しかたない..
俺は仕方なく、エサとなる食材を出す為に《レッサーコート》のポケットに手を入れた。
……関係ないがこの《レッサーコート》を着て町に入るには、かなり度胸が必要だった。
…なんせ、ポケットの白いところ以外、全部赤! これのデザインはどうかしてる!!
しかし性能が良いので着ないのも勿体無く、裏の全部黒い色の方も色は良いんだが、《隠蔽》スキル向上にほとんど性能をもって行かれていて、戦いやもしもの時のために仕方なく着たのである。
このコートを着て街に入ったときの事を思い出しながら、シリカにポケットの物を出して投げた。
「ほらシリカ、これを食べさせればいいよ」
シリカは投げられた物を取り、それが何だか見た。
「ピーナッツ…ですか?」
「まぁ、それに似た物だよ」
「何でこんな食べ物持ってるんですか?」
どうやら、俺が何でこの食べ物を持っていたのか気になったらしく、まだモンスターにエサをあげに行かずに聞いてきた。
「何でって…ココに来る途中に歩きながらシリカにも皮を剥いて、あげてたろ?」
「え!? あれって、この実だったんですか!? …でも味は全然ピーナッツじゃ...」
「だから似た物って言っただろ?」
「…なるほど~...あ! そうだエサ!!」
俺の言葉に『納得!』みたいな顔をした後、シリカはエサをあげようとしていた事を思い出したのか、《フェザーリドラ》に向かった。
…まぁもし襲われても、今のシリカのレベルなら大丈夫だろう..
俺もシリカも二層の時の戦いのお陰で、攻略組の平均よりも4~5は最低でも上だった。(ちなみに、俺とシリカは他のギルドなどには入っておらず、二人で行動している。…理由は俺がビーターって所にある。シリカには悪く思っているよ、本当に……あと、キリトとアルゴはソロで、アスナはどっかのギルドに入ったらしい..)
と…そんな事を考えていたら、シリカの笑い声が聞こえてきた。
「あはは、こら…やめ…くすぐったいよ~」
……なんとシリカはモンスターを手懐けて、小さな竜に顔をなめられていた..
「……マジかよ…すげ~なシリカ..」
俺は本当に驚いていた。このSAOでモンスターを《テイム》…つまり飼い馴らすことは、本当に凄くて珍しいことだ……
「シュウさん…どうしましょう? この子に懐かれてしまいました」
「連れて行くしかないな……その《フェザーリドラ》は、シリカのことを飼い主または友達にでも思ったんだ。つまり《テイム》したんだよ」
「《テイム》…ですか..」
俺はこの現象をβテストの時に見た事が合った。
それは俺たちのパーティーの一人が偶然《テイム》したところを見たからだ。
そして、そいつはβの時にこう呼ばれていた。
俺はβの時の記憶を引っ張り出し、シリカに言った。
「ああ、だからこれからはシリカは《ビーストテイマー》…つまり、その竜を《使い魔》として力を借りることが出来るようになったんだ」
「え!? ちょっとシュウさん! そんな名前勝手に作らないで下さいよ!!」
どうやらシリカは、俺が《ビーストテイマー》っていう名称を、今作ったと誤解してるらしい…
俺はシリカにちゃんと説明することにした。
「いやいや、《ビーストテイマー》は俺が考えたんじゃないって!」
「じゃあ、なんなんですか?」
「《ビーストテイマー》って言うのは、βテストの時に使われていた名称だよ。《テイム》に成功した人の事をいうんだ。……たしか考えたのはアルゴ…だったかな?」
「そうだったんですか……ごめんなさい、シュウさん」
「いやいいよ……それよりその竜の名前を考えないとな..」
俺がそういうとシリカが
「それなら、もう決めました! 《ピナ》にします!!」と言った。
流石に早すぎると思い、俺はシリカに聞いてみた。
「なんで、その名前にしたんだ?」
「家で飼っていた猫の名前です!!」
こうして俺達の仲間に、《ピナ》が加わった。
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第八層の街《フリーベン》に戻ると《テイム》の事は、たちまち大きな話題を呼んだ。
…当然だ。ドラゴンを肩に乗せて歩いているのだから..
質問攻めにあいながら、俺達は何とか泊まっている宿にたどり着いた。
宿に入ってアルゴからメールが来て、読んでだら内容に驚いた。
どうやら…もうシリカの事を《竜使いシリカ》なんて言っている人がいるだとか..
シリカにその事を知らせると、真っ赤になって
「…恥かしいです」と俯いてしまった。
その後俺達は料理を作って食べた後に、アイテム整理や世間話などして眠りについた。
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ウィンドウで確認すると午前2時、あたしは目が覚めてしまった。
あたしは一緒に抱いて寝ていた、新しい友達《ピナ》を起こさないようにして静かに起き上がった。
そのまま、このSAO《ソードアート・オンライン》が始まってから、今もあたしのために一緒の部屋に泊まり、隣のベットで寝ている人を起こさないように、部屋の真ん中にある椅子とテーブルに移動した。
そして、ウィンドウのアイテムストレージから気に入っている飲み物を出した。
「ふぅ…」
あたしは出した飲み物を飲み一息つくと、不思議とシュウさんが視界に入って、今日の事を思い出していた。
今日は嬉しい事が多かった。1つ目は友達が増えた事、2つ目が《ビーストテイマー》にあたしがなったら褒めて頭を撫でてくれた事、3つ目があたしがアイテムを使わずに、別に作った料理を美味しいと言ってくれた事…などだ。
そして、そうやって思い出している間に、あたしはある事に気が付いた。
(なんでシュウさんの事ばっかりなの!!)
そう、ほとんどがシュウさんの事ばかりだったのだ…これではまるで……
「ッ……!!!!」
あたしは今、考えそうになった答えを否定するように頭を左右に振った。
変なことを考えた為か顔を熱くなってきたので、あたしは残りの飲み物を飲んだ。
そしてその後、顔の熱さが冷める頃に丁度飲み終わり、再びあたしはシュウさんの事を見た。
…確かにさっき考えた事とは違うのか分からないが、あたしにとってシュウさんは<特別な存在>であることには確信できる。
このSAOが始まってから、シュウさんに何度も助けられて、そしてシュウさんが守ってくれると思うからこんなにもこのゲームを楽しめている。
(そう、あたしは今このゲームが楽しい…)
そりゃあ怖い時だってある。…でもシュウさんのおかげで楽しめている。
あたしは素直にそう思えた。
(でも、それだけでいいのかな?)
そんな事を思いながら、あたしは椅子から立ちシュウさんに近づいた。
そして寝顔を近くで見ると、今でもあたしと同い年ぐらいに思える顔がそこにあった。
あたしは最近おかしいと思う……だって、この人の顔を見たり考えたりすると気持ちが不安定になる。……それは思い出すだけでもかなりあると思う。
たとえば……
SAOが始まって初めてゲームの中とはいえ、男の人と一緒の部屋で寝た。安心した。
攻略会議で人に初めて『お兄ちゃん』と呼んだ。恥かしかった。
第一層のボス部屋で男の人と初めて手を繋いだ。ドキドキした。
第二層でアルゴさんと抱き付かれているところを見た。なぜかイライラした。
ケーキを食べた後、初めて頭を撫でられた。嬉しかった。
お遣いクエストのモンスターをほとんど一人で倒した。感動した。
…他にも楽しい事など色々ある。
今だってそうだ。…もしかしたら男の人の寝顔を見るのは初めてかもしれない。
あたしは父親の寝顔すらまともに見た事が無い。
あたしの父親は海外出張でほとんど合うことも無く、母親も仕事で家には夜しかいなかった。だからあたしは、いつも保育園や小学校に残り友達と遊んでいた。
そのせいかあたしは、学校や家の外にほとんど出たことが無かった。
…だから、このSAO《ソードアート・オンライン》で広い世界を見たいと思った。
そのために死ぬ気でゲームを買った…お店の抽選で買った時は速くやりたくて仕方がなかった…
そして…待ちに待った日『《リンク・スタート》』と言ってゲームの中に入り…
……このデスゲームが始まった。
あたしはこのゲームが始まった日、この人と道でぶつからなかったらどうなっていただろう? たまにそんな事を考えてしまう…
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そうやって考えながらしばらくして、あたしは長い間シュウさんの顔を見ていたことに気が付き、そして疑問に思った。
(なんでこんなに寝顔を見ているだけなのに、飽きないんだろう?)
そう、さっきからシュウさんの寝顔が色々動くたびに面白く…そしてどんな動きをするのか知りたいと思ってしまう。
そもそもシュウさんは『特別な人』と思っているが、あたしは
(どう特別なんだろう?)と、そう思った。
今考えると、恩人に対する気持ちもあるがシュウさんは、あたしの中ではそれだけじゃない気がする……だって恩人なだけならアルゴさんの時に感じた気持ちはおかしい…
(…そう……なんか…取られたくない!! ……みたな感じだった)
自分でもおかしく思うほどの感情……
あれがもし感じた通りなら、あたしは中でシュウさんは兄のような存在なのか?
そう、例にするなら<遊んでくれるお兄ちゃんうを取られたくない!!>みたいな…
…だとしたら少し恥かしい…
でも、似ているけど違う気がする……なら……
「あ~もういいや!!」
だんだん考えるのが恥かしくなってきた!! もう寝よう!!!
そう考えてあたしは再びベットに横になった。そしてすぐに眠気が襲ってきた。
そしてあたしはすぐに眠りに落ちた。
……まるで最後の考えたことを否定しようとするかのように。
後書き
感想や間違いなどありましたら言ってください。
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