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もう年下でも

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第三章

「実家はパン屋で元々焼いていて」
「へえ、じゃあ仕事も」
「パン屋を探していました」
「なら話が早い。それじゃあね」
「雇ってくれますか」
「名前は何ていうんだい?」
「ドミニコといいます」
「ドミニコさんかい」
「ペドロ=ドミンゴといいます」
 これが彼の名前だった。
「さっきもお話しましたがパン焼けます」
「ならちょっと焼いてみるかい?」
「はい、それじゃあ」
 こうしてだった、面接ついでにだ。
 店長はその彼ペドロに試しにパンを焼かせた、すると。
 そのパンはだ、実にだった。
「美味いね」
「美味しいですか」
「いいパン焼くね」
 実際に食べてみてだ、店長は言うのだった。
「これはまた」
「いいパンですか」
「かなりね、これならいいよ」
 店長はペドロに笑顔で言った。
「採用、今から宜しくな」
「有り難うございます、それじゃあ」
「うん、ただね」
「ただとは」
「あんた家はあるかい?」
 ここでだ、ペドロに家のことを尋ねた。
「そっちは」
「はい、一応」
「一応か」
「部屋を借りてます」
「それだけの金はあるんだね」
「実家で働いていた時の金で借りました」
「それでそのお金でかい」
 部屋を借りたことをだ、店長は理解した。
「そうなんだな」
「そうです、家はあります」
「それじゃあ家の用意は」
「お構いなく」
 そちらは、というのだ。
「まあ仕事決める前に部屋を借りるのも本末転倒ですけれど」
「ははは、パンを焼けるのなら仕事はね」
「それはですか」
「ああ、あるよ」
 それこそ、というのだ。
「実際この店に雇ってもらったからね」
「そうなりますか」
「そうだよ、それじゃあな」
 こう話してだ、そしてだった。
 ペドロは店の店員として雇われた、朝早くから普通に店に来てパンを焼いてだ。そうして積極も万全だった。
 その彼を見てだ、常連の客達が店長に言った。
「いい新入りさんだね」
「パン焼くの上手だししかも接客もいい」
「サービスもわかっていてね」
「掘り出しものだね、また」
「いい子じゃないか」
「いい子だよ」
「そうだろ、何でもな」
 ここで店長も彼等に話す。
「実家がパン屋さんだったそうでな」
「ああ、それでか」
「それでパン焼くのも上手でか」
「接客も出来てるんだな」
「サービスもいいんだな」
「あとな」
 それに、というのだ。
「顔もいいしな」
「まるでモデルじゃないか」
「あの顔目当てに来る女の子も多いんじゃないかい?」
「そうなんだよ、これまではスー目当ての兄ちゃんがいたけれど」
 これがというのだ。
「ペドロ君目当ての女の子もね」
「来る様になったんだね」
「そうなったんだね」
「ああ、やっぱり店には美男美女がいないとね」 
 そうならないと、というのだ。 
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