転生とらぶる
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マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
0934話
イタリカをシャドウミラーに献上しろ。その言葉がエザリアの口から出た瞬間、ハミルトンはふざけるなとばかりに顔を真っ赤にして叫ぶ。
「なんでそうなるんですか! このイタリカは帝国の要衝。それをそう簡単に渡せる訳がないでしょう!」
『要衝、ねぇ。なら聞くけど、その要衝を守ったのは誰? シャドウミラーの戦力なくして守り切れたとでも?』
「そ、それは……」
まず無理だった。言葉ではどう言い繕おうが、それは事実だ。
実際ピニャの騎士団を援軍として呼んだから数日籠城出来ていればどうにかなった可能性はあった。……そう、籠城出来ていれば、だ。
だが、イタリカの兵士は殆どが街の住民の志願兵であり、普段は農業や商売といったものをやっている者達でしかない。当然元連合諸王国軍の正規兵だった盗賊達を相手に回して数日持ち堪えられるかと言われれば、答えは否だろう。
そして事実、先程の盗賊の襲撃は俺達がいなければ間違いなく城門の突破を許していた筈だ。
大体南が本命だと認識していたのに、実は東に敵が攻撃してきたという時点で詰んでいた筈だ。
『なら、これからのイタリカの防衛を思えば、最初からシャドウミラーの兵力を駐屯させておいた方がいいでしょう? そしてここが帝国の領内となれば、敵国である我々シャドウミラー、並びに異世界間連合軍が戦力を常駐させる事が出来ないのも事実。……ねぇ、なら聞かせて貰うけど、私達がいない状態でこの先もずっとイタリカを守り続ける事が出来るのかしら? ただでさえ皇帝の愚かな判断によってかなりの戦力が溶け消えた今の帝国に』
「そ、それは……」
『それと……アクセル、捕虜に関しては?』
ハミルトンとの交渉を一旦止め、こちらに尋ねてくるエザリア。
「魔導士を10人程捕まえてある。こっちは後でアルヌスの丘まで連れていくつもりだ。レモンにもその辺伝えておいてくれ」
『ええ。という事で、捕虜に関しての権利はこちらにあるという事で構わないわね? そもそも捕らえたのはアクセルなのだし、それを横から奪うなんて恥知らずな真似はしないわよね?』
その言葉に、不承不承頷くハミルトン。
本音としては捕虜に関しては向こうでも欲しかったんだろう。だが、それでも実際に今回の戦いでイタリカの兵士達は何もしていないという事もあって口に出せない……か。
「確かに捕虜に関しては、そちらで引き取って頂いても構いません。ですが、イタリカをそちらの支配下に置くというのは、どうあっても出来ません」
『それは、貴方の権限では判断出来ないという事かしら? なら、それを判断出来る人を出してくれないかしら。例えば、そこに座っている人……とか』
チラリとピニャに視線を向けるエザリア。
自分に視線が向けられたのを理解したのだろう。一瞬ビクリとしたピニャは、次の瞬間には我に返る。
……また、都合良く我に返るな。いやまぁ、このままでは帝国の中でもかなり重要なイタリカを俺達の手に渡す事になると、本能的に察知したからか?
ともあれ、我に返ったピニャは空間に映し出されているエザリアの姿に一瞬驚きながらも、口を開く。
「さすがにこのイタリカをそちらにやる訳にはいかん。かと言って、そちらとしてもこの地を欲しているのは理解している。……どうだろう、この地での商売やシャドウミラーの活動については妾の名に於いて保証しよう。その代わり、いざ何かがあった時にはシャドウミラーも手を貸してくれるというのは」
『ふぅ、ん。つまりイタリカを一種の中立地帯にしたいという訳? こちらが一方的に譲渡しているように思えるけど? 私達の戦力がどれ程のものなのかは、それこそ自分の目で確認したんでしょ? そこまで譲歩する必要があるのかしら』
「う、うむ」
一瞬、気圧されたピニャだったが、すぐに我に返り口を開く。
「確かにそちらの戦力が妾の想像を超えるものであるというのは理解している。しかし盗賊を撃退した例を見れば分かると思うが、侵略者に対しては抵抗する事になるだろう。そちらとしても、折角この地を占領したとしてもイタリカをまともに運営出来ないのでは意味がないと思うが。その代わりと言ってはなんだが、シャドウミラーに対してはイタリカでの全ての税を免除とする」
『……なるほど。それでもまだこちらが譲り過ぎなような気がするけど……まぁ、条件自体は悪くないかもしれないわね。ただ、そこに追加でシャドウミラーの部隊はフォルマル伯爵領を自由に行き来出来るという権利をくれるかしら?』
「それは……占領するという訳ではなく、あくまでも行き来出来る、というのでよいのか?」
『そうね。そこまで認めてくれるなら、今回の件は幾らか不満があるけど呑んでもいいわ。……どう?』
「……承知した」
数秒の沈黙の後、やがて頷くピニャ。
実際フォルマル領内だけとはいっても、大手を振って自由に移動出来るというのはそれなりにありがたい。
まぁ、俺達の場合は機体に乗って空を飛んで移動するのが普通だが、それでもハイエルフやイルメヤの移動、ありは従属国とのやり取りとかは楽になるだろう。
その後も10分程エザリアとピニャ、ハミルトンがやり取りをし、新たに今回の件の報酬としてハイエルフ達の使う日用雑貨の類を俺達が貰うことになり、やがて交渉が正式に纏まって終了する。
個人的に言えば、食料の類も出来れば欲しかったんだが……籠城をしようとしていた為にその辺は厳しく管理されており、あるいはそれなりに権力を持っている者達が保管している物も多いという事で、その分は日用雑貨に回して貰うことになった。
それぞれの交渉内容が書かれた書類にサインをして――羊皮紙とか初めて見た――今回の件の交渉は終了する。
その後、イタリカの住人達からの莫大な歓声を受けつつ、空間倉庫から取り出したトラック型のエアカーの荷台に捕虜を乗せ、俺達もそのままイタリカを去る事になる。
影のゲートを使った方が良かったか? そんな風に考えつつも、イタリカの住人からの見送りを受けながらトラックでゆっくりと街道を進んで行く。
既に夜を過ぎて朝になっており、太陽が眩しい。
「なぁ、テュカ。武器の方は結局どのくらいの値段で売れたんだ?」
「そうね、結構な値段よ。暫くは働かなくても食べていけるくらい。日用雑貨の類もかなり譲って貰えたから、私達としては今回イタリカまで行ったのは大成功だったわね」
「で、行く時は武器を積んでいった代わりに、アルヌスの丘まで持ち帰るのが捕虜一同な訳だ」
後ろから聞こえてくるムウとテュカの会話を聞き、確かにと頷く。
傍から見れば、イタリカまで武器を持っていって売って、その金で奴隷を買ってきたように見えなくもない……か?
ふと気が付き、高畑の方へと視線を向けると、案の定嫌そうな顔をしている。
一応魔法界では奴隷が公式の存在としてあるんだから、慣れていると思うんだが。
まぁ、情に厚い高畑なのだから、その辺はしょうがないのか?
「……ん?」
そんな風に考えつつエアカーを運転していると、ふと前方から何かが近づいてきているのが分かる。
まだかなり遠く……それこそ、混沌精霊の俺だからこそ分かる距離だが、物凄い勢いで街道を走っているそれは、よく見れば騎兵の集団だ。
それも、ただの騎兵ではない。その全てが女であり、美形と表現してもおかしくはない者達。
身につけている鎧も中々に豪華なようだし、少なくても俺達が戦った盗賊の仲間とかではないだろう。
となると……ああ、もしかしてピニャが言ってた呼び寄せた援軍の騎士団か?
まぁ、イタリカも安全なんだし特に気にする必要も無いだろう。そう判断してすれ違おうとしたのだが、何を思ってか街道を遮るようにこちらの前へと進み出た。
そうなると、さすがにこのまま轢き殺す……なんて訳にもいかず、エアカーを止めることになる。
「何の用件だ」
その言葉が気にくわなかったのか、騎士団の中でも代表格を握っていると思われる女が目つきを鋭くする。
にしても、金髪の縦ロールとか……また、珍しいというかなんというか。
そう思いつつも、これまで幾多の世界で出会ってきた者達の顔を思い浮かべれば、そう珍しくはないかと思いもする。
「口の利き方に気をつけろ。……それでお前達、どこから来た? 妙な乗り物に乗っているが」
金髪縦ロールの副官的な立場か? ともあれ、ショートカットの女が居丈高にそう口を開く。
「この街道をそっちに向かっているのを見て分からないか? イタリカからアルヌスの丘まで戻るところだ」
そう告げた、その瞬間。騎士団が厳しい表情を浮かべてこちらに剣や騎兵槍といった持っていた武器を突きつける。
……ほう。
「貴様等、帝国を散々愚弄した異世界の軍の者か!」
「そうだが? それがどうした? 俺達の戦力は知っている筈だな? それを承知の上での敵対行為と考えてもいいのか?」
「ふざけるなっ! 空飛ぶ剣を持っていないお前達など、精鋭たる私達の敵ではない!」
なるほど。この金髪縦ロールは自分達の戦力に絶対の自信を持っていると。
その割に頭の回転は残念だが……まぁ、いい。俺達と敵対するというのなら、存分にそれを後悔させてやるだけだ。
「ムウ、この映像を録画しておけ」
「おい、こんな場所で騒ぎを起こしてもいいのかよ?」
「向こうが自分から失態を犯してくれるというんだ。後々こっちが有利になる駄目押しの証拠になるだろ」
そんな風にムウと話をしていると、ガンッ、とエアカーの扉を騎兵槍の先端で殴られる。
本当は蹴ったりしたかったんだろうが、このエアカーはトラック型だ。その分運転席も高いところにある為にそんな真似は出来なかったのだろう。
「いいな? きちんと映像を録画しておけよ」
それだけをムウに告げ、エアカーから降りる。
「で、俺達がアルヌスの丘の部隊だとしたらどうする?」
「降伏しなさい」
スルリ、とショートカットの女が抜いた剣をこっちに突きつける。
視線をムウの方へと向けると、通信機を使ってこちらの様子を録画しているのが分かった。
「一応言っておくが、俺達はイタリカでピニャと条約を結んでいる。それでも態度を変えないか?」
一応親切で告げたのだが、それは寧ろ相手の怒りを煽る結果となる。
「ピニャ様を呼び捨てにするなどっ!」
そう告げ、ショートカットの女が俺に向かって剣を振るう。
その一撃を回避もせず、防御もせず、ただ黙って受け入れ……次の瞬間、俺の肩へと振り下ろされた剣は白炎と化した俺の身体を通り過ぎて地面へと叩きつけられる。
へぇ、一応殺そうとはしなかったのか。だが……これは決定的だったな。
「ムウ」
「あいよ。問題ない。全部録画してある」
「分かった、先に戻ってろ。俺は用事を済ませてから影のゲートで戻るから」
これからの光景は、テュカには……そして高畑も見て楽しいものじゃないしな。
その言葉でここがどんな風になるのかを理解したのだろう。小さく溜息を吐いてやり過ぎるなよ、と告げたムウがエアカーを運転して去って行く。
それを理解しつつも、騎士達はたった今見た光景を信じられないのか、特に何を起こすでもなく呆然としていた。
「お、お、お前は一体……」
白炎と化した俺の姿を見ていた騎士が、自分の体験したことが信じられないとばかりに呟く。
他の騎士にしても同様で、金髪縦ロールを始めとして馬に乗ったままの騎士達も同様に信じられないものを見たといった風に視線をこちらに向けてくる。
それを無視し、ゆっくりと手をショートカットの女に伸ばして、剣を握っていることから利き手だろう右肩へと手を伸ばし……
「ぎゃああああああああああああっ!」
ショートカットの女が、女とも思えないような聞き苦しい悲鳴を上げる。
それはそうだろう。俺の握っている鎧の部分が、握力だけで砕かれているのだ。それはつまり、ショートカットの女の右肩の関節までもが鎧と共に握り潰され、砕かれているのと同じ事だ。
肩の骨が砕け、肉を裂き、皮膚を破り、砕かれた鎧の部分にぶつかると、その鎧の破片が肉体へと食い込んでいくのだから、悲鳴を上げるのは当然だった。
「ぎゃあ、ぎゃああああああ、ひぎゃああああああああ!」
続けて反対側の左肩も同様に鎧を肩の骨諸共に砕き……次の瞬間、再び俺へと向かって剣が振り下ろされる。
それを行ったのは、金髪縦ロールの女。
狙われた場所は、右肩ではなく頭部。
だが……所詮はただの物理攻撃である以上、俺に効果がある筈もない。
先程同様に白炎と化した俺をすり抜けるように剣先は地面へと叩きつけられるだけに終わった。
「黙ってろ」
パチンッと指を鳴らすと、俺の影から100本を超える影槍が伸びて騎士団全員を縛りあげる。
馬に乗っている者は影槍によって地面に引きずり下ろされて身動きが出来なくなり、金髪縦ロールは剣を振り下ろした状態のまま固まる。
「お前、お前、お前は一体……」
「実力の差を感じ取れなかったのがお前の不運だったな。それとも騎士団であれば誰もが無条件に屈するとでも思ったか? ……己の浅はかさを噛み締めながら、苦痛に啼け」
そう告げ、金属を容易に握り潰せるだけの力を持った右手を身動きが出来ないままの金髪縦ロールの右肩へと向け……次の瞬間、街道に甲高い悲鳴が暫くの間鳴り響くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:1167
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