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ガンダムビルドファイターズ 〜閃光を纏う傭兵〜

作者:rekyunn
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第5話 嵐の前の………

 
前書き
レキュンです。最終話の伏線の多さよ………。

因みにヒサメが住む建物はアパートです。主人公は寮と言ったりする事は有りますが、それは学生専用のアパートであるため大人が大家しかいないことからつい寮と表現しているだけです。

つまりは聖竜学園以外の学生も利用可能ではあるということです。

物語に絡むかは分かりませんが。

それではどうぞ! 

 
「本当に良いのか?」

201号室、つまりアリサの部屋に入りながら聞かずにはいられなかった。

「いいですよ。まだ私のところ整理しきれてないけど、それでも良ければどうぞ」

買い物袋をキッチンに置いてニコリと笑うアリサは、何の他意も無いようだ。

「今のところこの寮を使うのはわたしたちだけ。けど、三人でも歓迎会を開きたかった」

鍋の準備を始めたアズサが抑揚の無い声で呟く。流石に今はミニスカカーディガンの可愛らしい私服を着ている。

「三人だけなのか。確かに学校からは少し遠いからなー。それ以外は好条件だろうに。バトルシステムはやり過ぎだと思うが」

「ん? ここ。ガンプラ部専用寮だよ」

は?

「え? ガンプラ部に入る人がここに来るのか?」

そういえば案内書にそんな旨が書かれていた気はするが。そんなガンプラが盛んな学校だったろうか?

「去年のガンプラコンテストで入賞したんですよ。それで学園の方針でガンプラ部に力を入れることになったそうですよ」

「知らなかった………。ということはサンジョウさんとコタツさんもガンプラ部に入るんだ」

アズサは兎も角、親の話しぶりからアリサはガンプラに興味がないと思っていた。

「はい。マイギリさんはガンプラバトル部に入るんですか?」

「あ、部が分かれてるのか。………多分そうなるね」

昨今ではガンプラモデル部とガンプラバトル部が分かれていることは別段おかしな事ではない。ガンプラを作る目的が違うため仲が悪かったりすることもないわけではない。

「………聖竜学園のガンプラバトル部はあまり活動が盛んじゃなかったはず」

一緒に鍋に野菜を入れていたアズサがそう言ってくる。意外だ。内向的な性格の生徒が多いのだろうか。

「確か今年は三年生の部長が一人だと聞きました。新入生が入部しなかったらガンプラモデル部に統合されるとも」

「そうなのか………」

事情通なアリサが教えてくれるが、中々困ったことになっているようだ。これではアリサがガンプラバトルを始める前にガンプラバトル部が消滅してしまう。

(ん? いやまてよ………)

簡単な話ではないか。彼女を誘えばちょうど三人で戦うことができる。万事解決だ。

「サンジョウさん、コタツさん。ガンプラバトル部の方に入らないか?」

「え、バトル部の方にですか?」

「………?」

突然の俺の誘いに首をかしげる二人。そりゃそうか。

「でも私はガンプラバトルなんてしたことありませんし………」

「みんな誰だって最初はそうだよ。テンプレみたいな言い方だけど」

勧誘するためのボキャブラリーが足りないことを思わず嘆く。

「そうですね………。一度くらいやってみるのもいいかもしれないですね」

「わたしは戦うの苦手だけど、入るくらいならいいよ」

「本当か?」

しかし、幸いなことに前向きには考えてくれているようだ。そのことに少しホッとする。

「それに、ガンプラバトルをやっていた時のマイギリさん、楽しそうでしたから」

「え………、そこから見てたのか………」

つまりは一人会話も聞かれていたと。恥ずかしい。黒歴史ものだ。

「いただきます。ヒサメ、かなり手慣れてたみたいだけどいつからやってるの?」

既に呼び捨てで呼んでくるアズサが肉を取りながら聞いてくる。ああ、まずは野菜から食べないと太るぞ………。

「む、えーと………、8年くらい前かな?」

「8年⁉︎ 今高校一年生だから………8歳くらいからやってるんですか⁉︎」

アリサは驚いたように口を開けるが、別段驚くことでは無い気もするが。もっと幼い時からやってるやつなんて沢山いるだろうし。

「ちなみにコタツさんとサンジョウさんのガンプラ歴は?」

「アズサで良いよ。7歳くらいから始めた」

「アズサさんもそんな早いんですか………。私はまだ未経験なんです。友人にガンプラをもらったので始めようと思いまして」

「そうなんだ。ちなみになんて言うガンプラをもらったの?」

「えっと………、確かガンダムナドレって言ってました」

やはりガンプラには詳しくないらしいアリサは伝聞気味に言う。が、サンジョウ氏の言う通りナドレを持っていた。

「………ナドレ、見してもらっていい?」

「ああ、俺も見てみたいかもしれない。彼氏にプレゼントでもらったとかなら遠慮するけど」

「そ、そんなんじゃありませんよ。女性ですから」

箸を置いて席を立ち、まだダンボールが積まれている山から唯一プラスチック製の箱を引っ張り出してくる。

下着でないことを願いながら覗き込んでみると、ガンプラの箱が大量に詰め込まれていた。

「わ、ガンプラ初心者なのにこんなにたくさん持ってたの?」

「いえ、ガンプラモデル部に入ったら必要になるかと思いまして、お小遣いで買ったんですよ」

流石はお嬢様、大人買いとは羨ましい。

「まだわからないがガンプラは入ってから買うものだと思うぞ。作り易いのとか先輩が教えてくれるだろうし………、まあこれだけあれば簡単なのはあると思うけどさ………」

「あう………、そうなんですね。わたし早とちりしてしまいました………」

顔を赤くしてしょぼんと落ち込んでしまったアリサを見て、アズサと顔を見合わせて苦笑いする。意外なことにドジっ子だったようだ。

「って、アクが酷いことになってる。さっさと食べよう」

「あ、忘れてた」

思わず忘れていた鍋に戻る。煮え過ぎて野菜が溶けてしまっては元も子もない。

そして慌てて肉を食べて噎せたせいで、当初の目的だったナドレを見してもらうことを忘れてしまった。



「ごちそうさま。とても美味しかった」

「それは良かったです。またいつかやりましょう。新しい寮生が入った時にでも」

鍋パーティは楽しく終わり、気づけば夜の8時を回っていた。おしゃべり好きな女子に付き合うのは意外と骨が折れるものであったが、中々楽しい時間を過ごす事が出来た。

皿洗いなどの片付けを終わらせ、ヒサメとアズサは自室に戻るところだ。

「その時はもんじゃ焼きパーティーがいい」

「もんじゃ焼きか。お好み焼きでも良いと思うが?」

「もんじゃ」

「あ、はい」

お好み焼きと言った瞬間、有無を言わせぬ口調で言われ思わず頷いてしまう。何かお好み焼きに因縁でも有るのだろうか………

「じゃあ、また明日な」

「はい。おやすみなさい。アズサさん、マイギリさん」

「おやすみ」

見送られながら202号室の扉を開ける。と、その様子を見ていたアズサがちょいちょいと手招きしてきた。

「ん、どうした?」

「ヒサメってもしかして『凶星』の人?」

「っ‼︎」

驚いた。高校生で俺のことを知っているのはそう多くはない。それでいて俺の二つ名を知っているということは、

「アズサ、君はガンプラ学園出身なのか?」

「違う。けど近いかも」

ふるふると首を振って否定するアズサだが、その動作すら洗練された動きに見えてきた。

「確かにガンプラ学園に行ったことはあるけど、生徒じゃないよ」

「違うのか? なら、どうして知ってるんだ?」

「アキバで開催された二週間前のコンクエスト戦、覚えてる?」

コンクエスト。ヤジマ商事が昨年開発した大規模拠点制圧型のガンプラバトルだ。

5人以上のプレイヤーの他に、NPCもMSを操作して戦う方式のガンプラバトルであり、一つのバトルシステムで1チームを結成し、全国の同じように集まった対戦チームと施設の防衛、占領を競う対戦だ。

白兵戦だけでなく拠点制圧用装備や敵艦撃破用の機体などを用意する必要があるため意外と奥が深かったりする。

片方のチームに助っ人として呼ばれて戦ってはいるのだが、

「確かに二週間前にオフラインのコンクエストには出てたけど、君を見た覚えはないんだが」

流石に美少女が相手か味方にいたら記憶に残るはずである。

「あの試合、動画投稿サイトで生放送されてた」

「ああ、そういえばそんなこと言ってたな」

リーダーがそんな話をしていた気もするが、あまり興味のある話ではなかったので聞き流していた。生放送ではうp主とガンプラ以外は出さないため、顔を見せているつもりもなかった。

「さっき使っていたブルーフレームD、生放送で出ていたブルーフレームセカンドLは作り方と動き方が似てた」

「あれを見ただけでよく分かったな」

まさか動きとガンプラの造形だけで気付くビルダーがいるとは思わなかった。というか動きの癖とかまで気にしていなかった。

「そういうの、得意だから」

少し自慢気に笑うアズサ。無表情が印象的だったせいか笑顔が少し新鮮で思わずどぎまぎしてしまった。

「そ、それで、何か俺に用でも有るのか?」

「ないよ。聞いてみただけ」

さいですか。

肩すかしを食らったため妙な脱力感に襲われたが、扉を閉める前にアズサが手を差し出してくる。

「………ううん。一つだけあった。………部活動でもよろしく」

実にあっさりとした言葉だったが、不思議と嬉しさが込み上げてくる言葉でもあった。アズサの手を握り返し、頷く。

「ああ。また明日だ」

入学式直前の夜は静かに過ぎたのだった。
 
 

 
後書き
あれ………、どっちがメインヒロインなんだろ………?

ど、どうでしたか? 日常回は何を書けばいいか悩みますが戦闘シーンよりは書きやすい気がします。どうしてですかね?

アニメはとても面白かったですが、やはりトーナメント戦はいただけない気がします。どうしても主人公勝っちゃいますからね………。

一期みたいな予選があればより楽しめたかなぁ………、とか考えてしまうの我が儘なんですよね(笑)

三期超希望ヽ(´o`;

求ム、新しいネタ。

感想を頂ければ幸いです。 
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