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いつか止む雨

作者:九曜 瑞
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4.朝

「マルナナマルマル、提督、朝だよ。起きているかな?」
 部屋の前から声がする、しかし布団の誘惑に贖うのは難しい。まだ覚醒していない頭と体が二度寝を欲し、それに積極的に挫けそうになった。
「ん、もう少し……」
「提督、会議遅れるよ?」
(……会議?)
 あ、ここは家じゃない、鎮守府だ。かろうじて意識を覚醒させつつ、
「時雨、おはよう……、起こしてくれて助かったよ」
「ううん、大丈夫。提督、朝ごはん食べるよね?」
「今7時なら時間は余裕あるか、うん食べよう。時雨は先に食べてていいよ」
「それじゃ食堂にいるね」


 食堂につくと、時雨は食べないで待っていた、テーブルにはご飯と鮭の切り身と味噌汁。
「おまたせ、食べててよかったのに。これ、時雨が作ってくれたのかい?」
 時雨は微笑みながら、
「うん、簡単なものだけど作ってみたよ。口に合うといいんだけど……」
 鮭と味噌汁、どっちも薄味だけど美味しい。
「うん、美味しいよ。料理は結構作るのかい?」
 時雨はほっとしたような表情で、
「良かった、料理はするけど得意ってわけじゃないかな。時間有る時もっと練習するね」



 二人で食事を取って、まったりとお茶を飲み朝の時間を過ごす。戦時中というのに、のんびりとした空気が心地いい。
「提督、会議の時間大丈夫?」
「ん、もう時間か。そろそろ準備しないとだね、時雨も同行よろしく」
「えっ、僕も行くの?」
 時雨のびっくりした顔を見て、連絡を漏らしたことに気づいた。
「伝えてなかったね、申し訳ない。今日の会議はここと同時にできた隣の鎮守府……新田鎮守府との顔合わせなんだ。これから協力していくこともあろうからね、新田鎮守府の方からも秘書艦が来るから時雨にも来てもらいたいんだ」
「あ、そうなんだ、了解だよ。新田鎮守府の秘書艦は誰なのかな」
「ごめん、聞いてなかった」
「知ってる子だと、いいな」


 用意を済ませて、会議の場所……新田鎮守府へと二人で向かった。

 
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