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世界のルール

作者:茅島裕
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プロローグ

 
前書き
この世界に産まれてからまだ九年。つまり九歳のころだった
何の変哲もない、普通の少年だ
そうだな、ちょっとばかし頭が良かった。小学生にしては天才ではないかと言われたこともあった。何の変哲もないわけではないのか

学校へ通い、家に帰り、ご飯を食べ、寝る
幸せだった、そうだったのだ 

 
「ただいま〜!!」

元気いっぱいの声と共に家の玄関を開ける
廊下から見える部屋の明かりがない。玄関から差す夕方の太陽の日差しだけだ

おかしい。いつもなら奥の部屋から光が漏れている、いつもそこにお母さんが居るから。夕ご飯を作るお母さんが居る、はずだから

でも、そんな明かりは無い。夕ご飯を作る音も、匂いも、しない

少年は怖くなったのだろう、腰を低くして恐る恐る靴を脱いで廊下へ足を踏み入れたのだ

「な....」

言葉を失った、喋ることが出来なくなった
目の前にある光景が信じられないのだ
リビングに敷いてある白かったはずのカーペットが真っ赤に染まり
ソファーに腰を掛けてピクリとも動かぬ女性

少年はすかさずその女性の側へ行き
声にならない声で何かを訴えている
涙を流して、口を開けて、顔をぐちゃぐちゃにして

そんなとき

『欲しい物があるなら殺れ』

そんな声が少年に届いたんだ

付けっ放しにしてあったテレビからだ

少年は涙を流したまま、そのテレビに目線を合わせた。じっと見ていた

『2119年を以って、この世界は変わる。全てを殺し合いで決めることを良しとする。そう、言うならばゲームだ。殺れば殺った分だけ強くなるだろう』

何を言っているのだ
何があったのだ
テレビの中に映るスーツを着た男性は淡々と語っている

全てを語り終えたのか、男性は消え、最後に残るのは国家のマーク
国家がこの世界のルールを変えた

一度の出来事が大き過ぎて、混乱している少年はよく理解出来て居ない。九歳と言う若さもある故にだ
だが、一つだけ頭に響くのは

『欲しい物があるなら殺れ』

なんで自分のお母さんが殺されなきゃいけないのか
殺した誰かはお母さんの何かが欲しかったのか、金じゃない、物でもない。家の物は何一つ無くなってない
強いて言うなら
お母さんの命だけだ

ふざけるな...
物を手に入れる為に人を殺すことだっていけない
だがなんだ、命が欲しいから殺したってことなのか?
ただの人殺しじゃないか

あのスーツの男性が消えはまた映りを繰り返し同じことしか映さないテレビを睨みつけ、少年は何を思う...


殺れば欲しい物が手に入る...
そうだ、殺れば手に入るんだ、このルールを作ったのは国家
国家全体を殺れば、欲しい物が手に入る
国家を殺ってこのルールを無かったことにする
お母さんを取り返せ、なんて思うこともある。だけど、もう既に無くなった物は手に入らない

このゲームのような世界を
世界(ゲーム)のルールを変えるんだ
 
 

 
後書き
九歳... まだまだ子供だ
だが、少年の思考回路はいかれているのだろうか。あの世界の様に

まだまだ考えも未熟はずなのに
なんなのだろうか。この少年は 
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