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魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―

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第三話

 ――――機動六課に入隊して一月が経過した。

 訓練内容も基礎から本格的なものに変わり、午前だけでも相当量の体力を持っていかれるようになった。

 訓練用の服は砂まみれになり、終わった頃には肩まで息が上がっている状態である。

 しかし、誰も大きな怪我することもなく、ある意味では平和な訓練が続いていた。

「っはぁ~疲れたぁ~!」
 
 両腕を伸ばしながらスバルが叫ぶと、ほかの全員が同時に頷く。

「そういうのは、一日の訓練が終わった時に言えるようになりたいな……」

 朝我が呟くと、再び全員が頷いた。

 訓練には慣れた。

 しかし、慣れたと言うだけであって耐えられるわけじゃない。

 疲労は毎日限界まで溜まり、ベッドにつけば一瞬で意識が落ちる。

 それだけ訓練は濃密だった。

「そんなこと言っても、朝我は全然疲れてないように見えるんだけど?」

「ん、そうか?」

 ティアナの疑問に再び他の全員が頷く。

 朝我の全身を見ると、汗はかいているがみんなほどではなく、息は対して上がっていない。

 動きも軽く、筋肉痛があるようにも見えない。

 ハッキリと言えば、まだまだ余裕があるように感じられる。

 ――――実際、彼女たちよりもなのはの訓練を多く積んでいる朝我にとってみれば、今現在の訓練を受ける分にはまだ余裕があった。

「まぁ元々体力には自信があったし、持久力に関してなら能力的に考えてもみんなよりはあるよ」

 しかしそれを語るわけにもいかず、朝我は誤魔化すように笑みをこぼしてそう答えた。

 スバルやティアナだけでなく、エリオとキャロにも自身の能力については説明していた。

 それは今後の実践で作戦を立てるなかで、大きく影響していくとを予測してのことだった。

 もちろん外部には話さないと言う条件付きだったが、未来でも彼女らと接していた朝我は彼女たちを十分に信用して話したのだ。

 だからこのくらいの嘘でも、みんなはなるほど……と納得してくれた。

「それでもやっぱりなのはの……なのは隊長の訓練はキツいよ」

「やりがいは凄くありますけどね」

「うん、前よりも魔法をうまく使えるようになってるし」

 エリオとキャロは自分たちの変化をしっかりと理解し、そしてなのはの訓練がしっかりとしていることを感じていた。

 身体が未発達の二人にとって、なのはの訓練は多くの意味で良い刺激になっていた。

 それは朝我の知る未来でも顕著に現れていた。

 しかしそれをここで語ることはできず、しかし語るまでもないのだと悟り、優しい笑みを浮かべて二人を見つめた。

「さて、そんじゃお昼に食堂で待ち合わせってことで」

 隊舎に入った所で朝我の一言により、男女別れて解散となった。

 ここから男女別れてシャワーを浴び、食堂で昼食。

 デスクワークまたは訓練となり、何事もなければ一日はこれにて終了である。

「んじゃエリオ、行くか」

「はい!」

 朝我はエリオと共に雑談を交えながら風呂場へ向かった――――。


*****


 入隊してから一ヶ月。

 エリオとキャロにとって、朝我 零は『頼れる兄』と言うイメージに固まった。

 仕事は卒なくこなし、二人にとって不慣れなデスクワークを教えるのも上手い。

 訓練ではいつも二人を気にかけ、積極的に声をかける。

 長い付き合いであるスバルとティアナのフォローをしたり、かと思えば自分が先頭に立って引っ張ったりと状況に応じて最適な立ち回りをする。

 そして四人が困った時はいつも答えを持っていて、導いてくれる。

 そんな彼に、エリオとキャロは『兄』と言う印象を持ったのだ。

 別に二人に兄はいない。

 しかし、二人の中にある兄と言うイメージに、朝我 零と言う人物は不思議と当てはまった。

「へぇ~、俺が兄ね……」

 シャワー室にて汗を流す中、エリオは自分の抱いていた印象を話した。

「はい、勝手なイメージですけど、何となく兄さんって言うのがいたらこんな感じなのかなって」

 相変わらず腰の低い態度でそうつぶやくエリオに対し、朝我は神妙な表情で答えた。

「俺も兄弟なんていないしな……そんな印象をもたれるのは結構意外だった。
…………遡る前のエリオは、そんなこと言わなかったしな」

「え、僕がなんですか?」

「……何でもない。
エリオみたいな弟、キャロみたいな妹だったら俺も欲しいかなって思ってさ。
ほら、スバルとティアナみたいな姉妹がいたら苦労しそうだし」

「あ…………あはは」

 誤魔化しながら本音を漏らすと、エリオは何とも言えない笑いを返した。

 本人たちがいないとしても、ここで頷いてしまうのは本人たちに失礼だと思ってのことだろうと朝我は不敵に微笑みながら思った。

「でも……兄弟か」

 シャンプーを泡立て、髪を洗いながら朝我は改めて考えた。

 もし、自分に兄や弟、姉や妹がいたとしたら、今の自分はどうなっていたのだろうかと。
 
 過去に遡る、なんてことを止めただろうか。

 または自分も手伝うと言って、一緒に来てくれただろうか?

 そうなれば、自分はもっとうまく立ち回れたのだろうか?

 ……いや、そもそもそう言った人がいれば、なのは達は――――死なずに済んだのではないだろうか。

「……って、考えるだけ無駄か」

「どうかしましたか?」

「ん……なんでもない。
そろそろ上がるか」

「はい!」

 そう言って朝我は不毛な考えを、シャンプーと共に洗い流すのだった――――。


*****


 先に食堂に到着した朝我とエリオは、エリオに席とり、朝我が料理を取りに行くと分担して別れた。

 どういうわけかスバルとエリオがかなり食べるため、一度に頼む料理の量は多い。

 大盛りや特盛と言った量があるが、恐らくどれも少なく見えるほど、量は多いだろう。

 それだけの量のスパゲティとサラダを両手に持った朝我は席に向かって歩き出す。

 道中、その量の多さに驚く職員に挨拶しながら進むと、ちょうど席には女性陣も揃って待機していた。

「悪い、遅かったか?」

「ううん、いま到着したところ~!
それより早く食べよ!」

 朝我とスバルの会話に、ティアナは『スバルの最後の一言がなければデートみたいだったのにね~』と、呆れた様子で呟いた。

 色気より食い気、と言う言葉を学んだエリオとキャロは、朝我が席に着くのを確認すると、食事を始めた。

 それに続いて他の三人も食事を始める。

 一ヶ月にもなれば、ここにいる誰もがスバルとエリオの一度に取るご飯の量の多さには慣れた。

 そんな光景を見つめながら食事をすると、ティアナはひとつの話題を出した。

「そう言えば、朝我って訓練校で結構モテたわよね」

「っぐぅ!?」

 唐突な上に斜め上な質問に朝我は口に含んだパスタを誤嚥(ごえん)させてしまう。

 咳こみながらコップに入った水を一気飲みして呼吸を落ち着かせると、ティアナは謝罪混じりに質問を続けた。

「ごめんごめん、さっきのスバルとの掛け合いがデートっぽかったから、何となく気になったのよ」

「ゴホッ!?」

 今度はスバルが咳こみ、朝我が慌てて水の入ったコップを渡し、スバルの背中を摩った。

「ティ、ティア!?
急にそんなこと言わないでよ、ビックリしたじゃん!」

「ごめんごめん。
でもアンタが色恋沙汰でそんなリアクションするなんて思わなかったのよ。
ほら、アンタって色気より食い気って感じだし」

「うっ……そ、そうだけどさぁ~」

 納得いかない様子のスバル。

 しかし呼吸が落ち着けば再びパスタを食べ始める辺り、ティアナの言い分の方が正しいと思ってしまうエリオとキャロだった。

「んで、俺の恋バナがお昼の話題かな?」

 恋愛に疎い朝我は、少し困った様子でティアナを見つめる。

「だって訓練校であれだけラブレター貰っておいて、全員断ったじゃない。
他の男子に睨みつけられてたの、気付かなかったわけじゃないでしょ?」

「ち、ちなみにどれだけもらったんですか?」

 恐る恐る問うキャロに朝我は、遠い目で天井を見つめながら答えた。

「ははは…………50通超えた所で数えるの諦めた」

「ちなみにアタシが数えたときは120通は届いてたわよ」

 ティアナの補足にスバルは懐かしむように、そして引いたような笑みを溢し、エリオは同じ男として尊敬の眼差しで、キャロは開いた口がふさがらないと言わんばかりの表情で呆然としていた。

「俺としては、その全員の告白を断るのが辛くてな…………」

「ホント、どっかで諦めて誰かと付き合うと思ったけど、結局誰とも付き合わなかったんじゃ、そりゃ疲れるわよね」

 ちなみに朝我の知らない所でティアナは『朝我とお近づきなりたい人達』の相手をしたことがあった。

 本人に直接話しかける勇気がなく、友人であるティアナのツテでなんとかしようとしたのだ。

 しかし朝我本人が誰とも付き合うつもりがない、と言う意思を知っており、そして断る日々に精神的疲労を抱えていた彼の心中を察し、朝我には何も言わずに断っていた。

 ……ちなみに、スバルは『嘘や探りを入れると言うのができなさそう』と言う理由から一度もそんな相談は受けていなかった。

「色んな女の子に告白されても断るんだし、朝我の好みってどんな女かなって聞いてみたかったのよ」

「あ、それアタシも知りたーい!」

 気づけばパスタもサラダも消滅しており、それらが会話をしながらも飲むかのような速度で食べていたスバルとエリオの胃袋に吸い込まれていた。

 そして同じ訓練校だったスバルも話題に本格的に参戦し、食後の休憩に恋バナに花を咲かせることとなった。

「好みね……」

 そう呟くと、朝我は腕を組んで目をつぶり、真剣に考えだした。

 こういった機会しかマトモに考えることがないと言うのもあれば、自分自身を知る良い機会でもあると思ったからだ。

 期待の眼差しで見つめる女性三人と男子一人に、朝我は『とりあえず』と言った様子で答える。

「スバルもティアナもキャロも、好みの女の子だよ?」

「へっ!?」

「なっ!?」

「えっ!?」

 スバル、ティアナ、キャロの順に喉奥から声が漏れると、沸騰したかのように一気に顔が真っ赤に染まっていく。

 エリオは三人のリアクションに何が起こったのか理解できず、朝我に視線で何があったか問う。

 しかし朝我もまた、なぜ三人が顔を赤くしているのか分からず、二人揃って首をかしげることになった。

(まぁでも、――――愛してる人は、いるかな)

 誰にも聞こえないように、悟られないように、朝我は笑顔を保った。

 胸が締め付けられ、鋭い痛みが走るけど、笑顔を崩さなかった。

 そんな女々しい姿を見せるわけには、いかなかった――――。

 昼休みも終わり、午後の作業はデスクワークとなった。

 女性陣は終始、朝我のことをチラチラと見ては目を逸らし、ヴィータから他所見をするなと叱られていた。

 自分がどうして見られるか分からない中、愛機であるクロス・ネクサスは何度もため息を漏らすのだった。


*****


 仕事も終わり、一人となった朝我は夜の訓練所に出ると、いつもの訓練をこなした。
 
 たった30秒の訓練を3セット。

 それが発案者である高町 なのはの出した一日の限度だと述べ、朝我はその約束を守って訓練を行った。

「まぁ、3セットでも十分キツいけどな……」

《短時間に限界まで持っていく。
なのは様も素晴らしい訓練メニューを思いついたものですね》

「ホント、教導官が天職だったよな……」

 自主練を終えた朝我はいつものようにその場で大の字に寝転がり、雲一つない星空を眺めた。

《マスター、“だった”なんて言葉は使わないでください。
少なくとも今は、現在進行形なのですから》

「……そうだな」

 最愛の人を一度に全て失い、気づけば八年の歳月が過ぎた。

 時間移動をし、記憶が戻った頃、なのは達が目の前にいると言うのが受け入れられなかった。

 失ったはずの人が目の前にいる。

 普通は喜ぶべきはずなのに、なぜか納得しきれなくて。

 でも、そこで彼は自覚した。

 いつの間にか、自分は彼女達の死を受け入れてしまっているのだと。

 そんな自分に対して自嘲の笑みを浮かべることしか、疲れきった彼にはできなかった。

「でもな、ネクサス。
俺は諦めたわけでも、考えを変えたわけでもないぞ」

 そう、どれだけ悩んでも、迷っても、彼は一つだけ曲げないものがある。

「絶対に、彼女達を死なせない。
そのためだったら俺は――――」

《マスター……》

 彼の選択が、どれほど険しいものか、ネクサスは理解している。

 そして下手をすれば、主である朝我を失うことになることも。

 それでもネクサスには、彼の意思を曲げることはできなかった。

 だが、だからこそネクサスは誓った。

 彼の進む険しき道を共にすると。

 彼を、決して一人にはさせないと。

《その件の続きですがマスター、全てが終わった後はどうするおつもりですか?》

「……なんでいきなりそんなことを聞くんだ?」

《お昼の際、恋バナに花を咲かせていたので、それとマスターの目的の先のお話しを重ねてみようかと》

「……まさかデバイスに恋の心配をされる日が来ようとは」

 呆れた様子で呟くと、ネクサスは真剣な声で続ける。

《マスターはなのは様達を愛していらっしゃいました。
そして今、その彼女達が目の前にいる。
――――何とも思わないとは、言わせませんよ?》

 逃がさない。

 言葉に出さずとも、ネクサスの口調からその想いが伝わった朝我は素直に頷いた。

「ああ、何も思わないわけじゃない。
ずっと、守ることだけを考えてきたから、恋にうつつを抜かすわけにはいかないって思ってた。
でも……」

 全てが上手く終わり、彼女達を守りきった後、自分はどうするのだろうか。

 改めて考えてみると、自分と言う人間は彼女達のことを除くと空っぽなのを知った。

 まだまだ問題は山積みで、本当の戦いもこれから。

 そんな状況ではあるけれど、先のことを、未来のことを、幸せな時間を想像したってバチは当たらないだろう。

「好きな人と幸せな未来……」

 そう思って朝我はゆっくりと目を閉じ、自分が望む幸せを想像した――――。


*****


「何の話ししてるんだろ……」

 隊舎の窓から見えた、朝我 零の訓練姿。

 『ああ、また彼は頑張っているんだ』と、フェイトは心配そうな表情でその姿を見つめていた。

 八年前、無理をし過ぎた親友が大怪我したこともあり、彼も同じようになってしまうのではないかと不安になったのだ。

 だからフェイトは仕事を切り上げ、タオルとスポーツドリンクを手に彼のもとに向かった。

 ……のだが、すでに訓練は終わっており、朝我は愛機と何やら真剣なお話をしていた。

 干渉できる雰囲気ではなかったのと、声をかけるタイミングを失ったフェイトは訓練場の障害物として用意された木の影に隠れて様子を伺った。

 盗み聞き……になるかと思いきや、運が良いのか悪いのか、潮風に邪魔をされてほんの少ししか聞こえなかった。

 ――――『好きな人と幸せな未来』。

 それがどういう意味を持っているのか、フェイトにはわからなかった。

 だがしかし、好きな人がいる。

 そしてその人と幸せになりたいと言うことはわかった。

「朝我でも、やっぱり好きな人、いるんだ……」

 彼が通っていた訓練校を一日だけ見学した際、彼がラブレターをもらっているところをみたことがあった。

 ああ、彼はモテるんだと知った。

 本人にそれとなく聞いてみると、彼は恋愛には興味がないと答えた。

 でも、やっぱり本心では好きな人がいて、今もその人のことを想っているのだろう。

「…………あれ?
寝た、のかな?」

 よく見ると、朝我は目を瞑って落ち着いた呼吸を繰り返していた。

 力も抜け切り、気持ちよさそうな笑みを浮かべていた。

 しかしこのままでは風邪をひいてしまうだろう。

 そろそろ隠れているわけにもいかなくなったフェイトは、木陰から姿を現して彼のもとへ向かった。

《これはこれはフェイト様、お疲れ様です》

 彼の愛機/クロス・ネクサスが丁寧な口調で挨拶をかけてきた。

「うん、お疲れ様。
朝我は……」

《ええ、お恥ずかしながらご覧の通りです》

「まぁ私も朝我と同じ状況だったら寝てたと思うから、何となく気持ちはわかるかな」

《左様ですか。
ですが、だからと言って甘やかす必要もございません。
私では起こせませんから、できればよろしいでしょうか?》

「う、うん」

 意外と主に厳しいネクサスの姿に、フェイトは若干気圧されながら地面に膝をついた。

 彼の右隣で正座をする形で座ると、暗闇ながらも彼の寝顔がハッキリと見えた。

 どこか子供っぽい可愛らしい寝顔、寝息に、フェイトの悪戯心がくすぐられた。

 そして気づけば聞き手の右手が彼の黒髪を撫でていた。

「……ふふ」

 さらさらとした髪が指を流れていく。

 そのまま彼を撫でながら手を移動させて額、瞼、鼻、頬に触れる。

「うわ、柔らかい……」

 細身で筋肉質な身体なため、きっと硬いのだろうと思っていたがそうでもなく、予想に反してぷにぷにとした感触が伝わった。

 人差し指でツンツンと突くと、彼は眉を寄せて首を振った。

 起きたか……と思いきや、再び彼は深い寝息をたてた。

「ふふ……これ以上はダメだよね」

 まだまだ触れていたい衝動に駆られながらも、フェイトは諦めて彼を起こそうと両手で彼の胸に触れた。

 服越しでも彼の硬い身体の感触が伝わる。

 女にはない硬さに、ああ、男性なんだなと当たり前のことを改めて自覚した。

「うぅ……」

 揺さぶると、彼は嫌そうに呻き声を出す。

「朝我、起きないと風邪引くよ?」

 汗がだいぶ引いているので今更感もあるが、必死に揺すると、朝我は虚ろ虚ろと目を開けた。

「ぅ……フェイト……?」

 まだ寝ぼけているのか、視界に映ったフェイトの姿が夢か現か判断できないようだ。

 そんな彼にフェイトは笑顔で答えた。

「うん、フェイトだよ」

 その言葉に心底安心したのか、彼は今までに見せたことのない笑みを見せた。

「……生きてた」

「え?
うん、そりゃ生きてるよ」

 嫌な夢でも見たのか、彼はそんなことを呟き、フェイトは現実だと示すために首を左右に振った。

「――――――――ッ!?」

 意識を取り戻した彼の顔が。

 夢から現に目覚めた彼の瞳が。

 みるみる内に透き通っていった。

 現実に戻り、そして現実にくしゃりと押しつぶされていった。

 そしてフェイトはこの時、初めて見た・聴いた。

 ――――人が、現実に押しつぶされる瞬間と音を――――。 
 

 
後書き
どうも、IKAです。

暖かかったり寒かったり、春ですね~。

花粉症ではないですが、鼻炎で鼻水がとまりましぇん。

今回はライトニングの二人とのちょっとした会話と、朝我のちょっとした過去話し。

そして朝我とフェイトのちょっとしたイベントと言った感じでしめたいと思います。

では次回もお楽しみに! 
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