君との未来を掴むため。
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春、休日、予感。
暗殺…… 、か。
正直私は周りの顔色を伺うタイプの人間だ。
こう接すれば、こう帰ってくる。
それがわかってて行動するから、大体のことは思い通りだ。
だから人によって、話し方や態度、腰の高さを変える。
誰も傷つかないほど幸せな世界はない。
いつも、だいたい結果オーライ、万事順調。
… だった。
殺「人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。
君達全員それが出来る力を秘めた有能な暗殺者-アサシン-だ」
ターゲットからのアドバイス。
普通は自分の殺し方なんて教えないよね…。
寺坂っちと、渚がやった〝自爆暗殺〟。
もとろんせんせーはド怒り。
顔を真っ黒にして怒った。
……ついでに表札の手入れも始めた。
ま、殺せんせーの場合、もうなんでも有りか。
10分で麻婆豆腐の本場、四川省行っちゃうし。
認めたくないけど、かなりのスゴさだ。
音速飛行中にテストの採点しちゃうし……。
烏「5時間目は訓練だ。全員、支度をして校庭に集合!」
「「「はい!」」」
そういえば、もう〝鳥間さん〟じゃなくて、〝鳥間先生〟なんだよね。
こないだ言い間違えそうになった。
茅「鷹爪さん、一緒いこ!」
『あ…、うん!』
あんさつ…、か。
もうそろそろ皆、訓練に慣れてきた。
ナイフを八方にふる準備体操も。
前「けどさあ、鳥間先生。こんなんやって、本当に暗殺に役立つんすか?」
鳥「前原君、磯貝くん。俺にナイフを当ててみろ。」
ええーー!?
私は超ぼーっとしてたためか、鳥間先生のその一言にびっくりした。
体育の授業でナイフ当てるの懇願する先生なんて、今まで見たことなかったから。
倉橋「鷹爪さん、あれ大丈夫かなぁ?」
『陽菜乃…、わかんないけど、あの人も何も考えてないことはないと思うから……。
でも、どうだろう?』
岡野 「どっちも怪我しなきゃいいけど…。」
前原「うおわっ!?」
磯貝「んなっ!?」
うわ…、はこっちのセリフだっての……。
なんなんだあの異様な光景は?
二人とも、見事にやられてる……!
鳥間「このように、多少の心得があれば……」
さばき方がどう見ても慣れてる…!
鳥間「見ろ、そうこうしている間に奴は…
砂場に大阪城を立てた上に、着替えて茶まで立てている!」
(((腹たつわ〜)))
皆が思っていた。
渚「…君、帰ってきたんだ…。」
え?
渚、今なんて…?
「あー、かをるだー。」
気づきやがったよ、もう。
『あー、久しぶり。カルマ。』
赤羽「おひさ。 ご機嫌がよろしくないようで。」
『おかげさまでねっ!』
もういいよ!
と、言わんばかりに、私は一人、教室に向かって歩き出した。
メグに呼び止められた気がするけれど、いーや。
アイツ、アイツ……!
停学開け?
ふざけんな!
私はあいつの顔が見たくなかったってのに!
四月二十三日。
土曜日。
部活のない私は、図書館に来ていた。
街で誰かと会いたくなくて、いつも学校帰りによることもある。
椚ヶ丘図書館。
その中でも古典文学の一角。
中高生と会うことは無いに等しい。
綺羅々とあった位だ。
…まあ、あの人はあの人で〝日本残酷物語集〟なんて読んでたけど。
ちなみに今日も綺羅々と会った。
綺羅々と私はほぼ入れ違いで、手を振っただった。
その分、私はこの一角で本を広げて、食い入るように活字を見つめられる。
結構幸せ。
だった。
「かをるじゃん。 なにやってんの?」
ビクッ!! として、背中に寒気が走った。
そこにいたのは赤羽業。
カルマだった。
赤羽「めずらしーじゃん眼鏡とか。」
『毎日コンタクトじゃ疲れんのよ……。
っていうか、アンタ図書館でイチゴ煮オレ飲むなあっ!』
そう、私は普段コンタクトをつけている。
ただ、私の場合はちょっと特殊なタイプなため、学校以外はメガネなのだ。
赤羽「ふーん? 外したら俺の顔、わかんない?」
『そう、かなあ? やったことないし…?』
ここは正直に答えた。
『とにかく!イチゴ煮オレをバックにでもしまいなさい!』
赤羽「はいはい、うるさいおねーさま?」
『どういう神経してんだか…』
カルマの相手より続きが読みたかった私は、隣いーい? の声には反応しなかった。
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