ハイスクールD×D大和の不死鳥
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12レーティングゲーム
山の修行も無事終わり。
当日の深夜、11時40分頃―――。
俺たちグレモりー眷属の面々は、いつものオカルト研究部の部室へと集まっていた。
部員それぞれ決戦の前に緊張を解そうとしているようだ。
「君は緊張していないみたいだね」
「お前、怖くないのか?」
ソファーに座り、学校の宿題をしていた俺にド緊張状態のイッセーと手甲と脛あてを装備した木場がスマイルを浮かべながら近寄ってきた。
「リアス様をとられるよりは怖くない」
「そうだね」
「…………」
淡々とそう答えると、木場とイッセーが苦笑
さて、他のメンバーは……。
アーシアはシスター服装備で始まるのを緊張した面持ちで待っている。小猫ちゃんは椅子に座って、オープンフィンガーのグローブを着用し、本を読んでいる。朱乃さんとリアス様はソファーに座って、優雅にお茶を口にしていたが、二人とも顔が強張っている。
ちなみ、アーシア以外は学生服着用。
開始10分前になった頃、部室の魔法陣が光りだし、グレイフィアが現れた。
「皆さん、準備はお済みになられましたか? 開始10分前です」
グレイフィアが確認すると、皆が立ち上がる。グレイフィアが説明を始めた。
「開始時間になりましたら、ここの魔法陣から戦闘フィールドへ移送されます。場所は異空間に作られた戦闘用の世界。そこではどんな派手な事をしても構いません。使い捨て空間なのでどうぞ」
「あの、部長」
「何かしら」
「部長にはもう1人、『僧侶』がいますよね? その人は?」
イッセーがリアス様に話しかけていた。そういえばもう1人の僧侶って誰だ?
「残念だけど、もう1名の『僧侶』は参加できないわ。いずれ、そのことについても話すときがくるでしょうね」
リアス様が苦々しくイッセーに返した。なんだかワケありみたいだ。
「今回の『レーティングゲーム』は両家の皆さまも他の場所から中継でフィールドでの戦闘をご覧になります」
見られるって、少し緊張するなぁ。
「さらに魔王ルシファーさまも今回の一戦を拝見されておられます。それをお忘れなきように」
「お兄さまが? ……そう、お兄さまが直接見られるのね」
………。
「あ、あの、いま、部長が魔王さまの事をお兄さまって……。俺の聞き間違いでしょうか」
…………。
「いや、部長のお兄さまは魔王さまだよ」
「ま、魔王ぉぉぉぉぉっ!? 部長のお兄さんって魔王なんですか!?」
「ええ」
「部長のファミリーネームと魔王さま方のお名前が混乱してたりする?」
木場がイッセーに魔王が滅んだ事を説明する。滅んだ魔王の代わりに名前を役職名にして新しい魔王を作ったと説明する。
「サーゼクス・ルシファー―――。『 紅髪の魔王
(クリムゾン・サタン)
』、それが部長のお兄さまであり、最強の魔王だよ」
木場がキメ顔でイッセーに説明した。
あははは……、マジですか。
「どうしたの? ヤマト?」
リアス様が顔を近づけてきた。
「いえ、まさかリアス様が魔王の妹とは思いませんでしたので」
「そうなの?」
部長が首をかしげた。
「そろそろ時間です。皆さま、魔法陣のほうへ」
グレイフィアに促され、俺たちは魔法陣へと集結する。
「なお、一度あちらへ移動しますと終了するまで魔法陣での転移は不可能となります」
グレイフィアの説明が終わると同時に魔法陣の紋様がグレモリーから違うものへと変化し、光り出した。
◆
魔法陣の光が収まると、目の前にはいつもの部室。
おそらく戦闘用の空間なのだろう、俺の知覚から丁度駒王学園の敷地までしか世界が存在していない事が確認できた。
『皆さま。このたびグレモリー家、フェニックス家の「レーティングゲーム」の審査員
(アービター)
を担うことになりました、グレモリー家の使用人グレイフィアでごさいます。我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願いします。さっそくですが、今回のバトルフィールドはリアスさまとライザーさまのご意見を参考にし、リアスさまが通う人間界の学び舎「駒王学園」のレプリカを異空間にご用意いたしました』
レプリカの異空間と聞いてイッセーが驚きながら部室やここが本物の駒王学園でない事の証明である真っ白な空を見ていた。
『両陣営、移転された先が「本陣」でございます。リアスさまの本陣が旧校舎のオカルト研究部の部室。ライザーさまの「本陣」は新校舎の生徒会室。「兵士
ポーン
」の方は「プロモーション」する際、相手の「本陣」の周囲まで赴いてください』
『兵士』の特性、敵陣地に攻め込む際は一時的に、騎士、女王など王以外の駒に変身し、駒の特性を使用できる『プロモーション』だ。
まあ、俺には必要はない能力だが、まだ基礎力が低く、倍加の神器をもつイッセーなら『プロモーション』で変化した駒特性しだいで能力が上がるので、リアス様がどうイッセーを動かすかに期待だな。
「全員、この通信機を耳につけてください」
朱乃さんがイヤホンマイクタイプの無線機を配る。
それを耳につけながらリアス様が言う。
「戦場ではこれで味方同士やり取りするわ」
『開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それでは、ゲームスタートです』
キンコンカンコーン。
鳴り響く学校のチャイム。これが開始の合図だろう。
◆
「さて、まずはライザーの『兵士』を撃破
(キャプチャー)
しないといけないわね。八名全員が『女王』に『プロモーション』したら厄介だわ」
リアス様がソファーに腰を降ろしながら呟き、朱乃さんがお茶の用意を始めた。
俺もリアス様の向かいの席に座っている。
「ぶ、部長、結構落ち着いていますね……」
イッセーが優雅に紅茶を飲んでいるリアス様に呟く。
「イッセー、戦いはまだ始まったばかりよ? もともと、『レーティングゲーム』は短時間で終わるものではないわ。もちろん、短期決戦
ブリッツ
の場合もあるけど、大概は時間を使うわ。実際のチェスと同様ね」
それからリアス様は、チェスの盤上のようにマスで区切られた学園全体の地図を取り出し、作戦会議を始めた。
作戦会議の結果、拠点として体育館を取る事になり、木場と小猫ちゃんがまず旧校舎と新校舎の間にある森へトラップを仕掛けに行き、トラップを仕掛け終わった後に、朱乃さんが森の周囲と空にライザー眷属のみに反応する霧&幻術を仕掛ける手はずとなった。
作戦会議に名前の出なかった俺とイッセーとアーシアだったが、ここでイッセーがリアス様に尋ねた。
「あ、あの、部長。俺はどうしたらいいんですか?」
「そうね。イッセーとヤマトは『兵士』だから『プロモーション』しないといけないわね」
「はい!」
元気よく返事するイッセーにリアス様がちょいちょいと手招きする。
「ここに座りなさい」
そう言われたイッセーがリアス様の隣へと腰を降ろし、さらに自分の太ももを指差す。
「ここへ横になるのよ」
驚愕の表情を浮かべるイッセーだが、
「よ、よろしくお願いします!!」
と頭を下げてリアス様の膝へ頭を置いた。
涙を流して喜ぶイッセー。
なんでも、悪魔として未熟すぎたために封印していた『兵士』の駒の封印を修行でレベルアップしたから少しだけ解放するためらしいがいいなぁ……。
「リアス様~。俺にはないんですか~?」
羨ましくなって尋ねる。
「あら? ヤマトは『兵士』の駒一個で転生しているんだし、力は封印していないわよ?」
そういうことではないのだが……
リアス様に頭を撫でられてイッセーが幸せそうな表情を浮かべる。
恨めしそうに指を咥えているとちょんちょんと膝を突かれた。
「私でよければどうぞ」
顔を向けると。いつの間にか隣へと腰へ降ろした朱乃さんが、ぽんぽんと人の膝を叩いて微笑んできた。
「いいんですか!?」
「はい。私でよければ」
そう呟いてニッコリと微笑んだ朱乃さん。
「ぜひお願いします!」
俺は吸い込まれるように頭を降ろした。
朱乃さんの膝は柔らかくて温かく最高だった
途中、リアス様が禍々しい魔力を朱乃さんへ向けて威嚇するように放出したり、言い合いのようなものや、アーシアのすすり泣きのようなものが聞こえたが、まあ、今はゲーム中だし、木場と小猫ちゃんが戻ってきたようだから置いておこう。
◆
トラップを仕掛け終わり、本格的に体育館を取りに行くことになった。
旧校舎の玄関で気合を入れてから駆け出していく、イッセー、木場、小猫ちゃん、俺の近距離戦チームと、止め役&魔法による広範囲遠距離戦の朱乃さん。
回復役のアーシアはリアス様について本陣に陣取り作戦&対策思案。
目的地に到着したヤマト、一誠、小猫は体育館の裏口から侵入し、忍び足で進むと小猫とヤマトが足を止める
「・・・・・・気配。敵」
「来た様だな。」
体育館に大きな声が響く
「そこにいるのは分かっているわよ、グレモリーの下僕さん達!あなた達がここへ入り込むのを監視していたんだから。」
隠れる必要もないので、堂々と姿を現すヤマト達。
「グレモリーの『戦車(ルーク)』さんと、号泣していた『兵士』とライザー様に恥をかかした奴!」
チャイナドレスの女性、体操着を着た姉妹、棍を持った女性―ミラだ。
さて、チェスの役割は同じだが4対3という事になるが。
「ここは俺がやる。おまえたちは先に行け」
「なにいってんだ。作戦があるだろ!」
「作戦はいいが相手は四人もここにおいてるし外には女王がいる。こいつらを倒して外に油断して出てきたところを倒すてところかな。俺は大丈夫。だからいけ」
「・・・解りました。」
「負けるなよ」
そうしてイッセーと小猫ちゃんは裏口から外にでる
ライザーの"兵士"3人と戦車と対峙するヤマト
「お兄さんひとりで私達の相手ですか?」
「じゃあ、遠慮なく♪」
ドルルル、ドルルルルルルルルンッ!
双子の"兵士"の方を見ると、チェーンソーを起動させている。
物騒な獲物をお持ちで・・・
「逃げても無駄ですよー?」
「大人しく解体されてくださいー♪」
「生憎、ミンチにされるのは好きじゃないのでね。」
俺は錬金術で剣をだし
「どっからでもかかってきな」
少し挑発
「馬鹿にするなー!!」
「お兄さん、ムカつくー!!」
俺の挑発にのる双子、ミラの3人が激昂して攻撃してくる。
棍とダブルチェーンソーを余裕で避ける。
「のろい!」
「なめるなっ!!」
ミラは棍を振り下ろすが、バックステップで回避、戦車が待っていたがそれも回避ミラと戦車を気絶させ。双子の攻撃を回避しまくる
「子供が危ない危ない」
そこで、二人の目から透明の雫が次々と零れていた。
「私達がまだ子供だから・・・ライザー様も呼んでくれないのかな・・・?」
「私達が"犠牲(サクリファイス)"の駒にされたのも・・・弱くて、子供だから・・・」
("犠牲(サクリファイス)"か・・・)
『犠牲(サクリファイス)』。その名の通り駒を犠牲にして相手を狩る戦法
リアス陣営は只でさえメンバー不足だが、赤龍帝の一誠と俺に脅威を感じているかもしれない
つまり、多少の犠牲を払ってこちら側の駒を削っていけば勝てるとライザーは踏んでいるのだろう
自分は不死身で下僕の人数が多い事を利用しているというわけだ。
(勝つためにはどんな物でも犠牲を振り払い勝利を手にするか。・・・だけど、)
"気に入らない"。この言葉が浮かんだ。
この双子とミラの様な子供を使ってまで勝ちを掴むか・・・
「教えてくれてありがとう
時が経てば、立派な女性になると俺はそう思っている。」
「「本当?」」
「ああ、本当だよ。それともしライザーが嫌だったら。俺の所にきな。」
双子は少し考え
「……ライザー様にはなんて言えばいいの?」
「みじかな人に許可もらいな。そうすればいいよ」
『ヤマト聞こえるかしら?
』
「はい。リアス様」
『驚いたわ。あなたがひとりで相手にしてると小猫から連絡があって、それと朱乃の準備が整ったわ』
「それならもう片が付いたので朱乃さんにはほかの人たちの援護をお願いしてください」
『わかったわ。』
「さてと・・・そろそろ行かないとね。のんびりする暇もないから」
「お兄さん、行っちゃうの?」
「私達、リタイアしてないのに?」
「戦意喪失してるのにたたかってもね」
そこで体育館上空からの殺気に気づいて錬金術でライフルを作り撃ち落とした。
そしておれは二人を置いて駆け出す、ヤマト。その瞳には怒りが渦巻いていた。
「行っちゃったね。」
「うん、少し素朴な感じだけど。」
「「かっこいいね~♪」」
『ライザー・フェニックスさまの『兵士』三名、『戦車』一名、『女王』一名、リタイア!』
◆
俺の前にはライザーの残りの眷属がいるが次々と倒して騎士だけになったときひとりだけ後ろに離れている
「そっちの悪魔は戦わないのか?」
傍観している僧侶に尋ねる。
するとライザーの騎士が代わりに答えた。
「ああ、彼女はレイヴェル・フェニックス。ライザーさまの実の妹君なんです。ライザーさまには妹属性はないらしいのですが、妹をハーレムに入れる事は世間的に意義があるらしくて……」
なんだそれ……。
自分の中で何かが冷めていく。
「すごく呆れてやる気がなくなってきたんだが、これは作戦か?」
呆れるようにライザーの僧侶、実妹を見る。
「そ、それはなんというかすみません……」
レイヴェルは申し訳なさそうに頭を下げ、構えていた騎士もバツの悪そうな表情で頭を下げた。
「……まあ、いろいろ呆れたが、そんな男にやっぱりリアス様はやれないな」
そう言って構え、相対している騎士へ向き直る。
お互いに表情を引き締め、戦闘態勢に移行する。
騎士がかけてきて剣を振るう
すべてがいまいち
剣をはじき騎士の腹に突き刺さる
「なにっ!?」
ごふっと口から血を吐きながら驚愕する騎士。
グレイフィアの校内放送が鳴り響く。
「そんな……、お兄さまの眷属達がこんなにあっさり負けるなんて……!」
そのときアナウンスが流れる
『リアス・グレモリーさまの『戦車』一名、『女王』一名、『騎士』一名、リタイア』
(なにやってんだよ)
地面に降り立つとレイヴェルが、こちらを信じられないものでも見るかのように、震えながら呟いていた。
さてと、さっさとリアス様を助けに行かないと、イッセーだけで勝てるはずないし。
俺が屋上へ向かってジャンプしようとした瞬間。背後から声がかかった。
「お、お待ちなさい!」
レイヴェルだった。
「どうした? 戦う気はないんだろう。俺は今急いでるんだが?」
「あなたいったい何者なの!?」
『リアス・グレモリーさまの「僧侶」一名、リタイヤ』
「ちっ、アーシアまでやられたか。……っと、何者って言われても……、リアス・グレモリー様の兵士だよ。まっ、時間もないからじゃあな」
「あっ……」
レイヴェルを残して一気に屋上へ向かって駆け上がった。
◆
屋上へ駆け上がり俺が見たものは、ボロボロのイッセーを泣きながら抱きしめているリアス様とそれを見ながら笑っているライザーだった。
よかった! まだ負けていない。
「リアス様!」
リアス様の盾になるように前にち、ライザーと対峙する。
「……ヤマト?」
消え入りそうな声でリアス様が俺の名を呼んだ。
「はい!」
力強く頷き、構えを取るが、リアス様は消え入りそうな声のまま、涙を流しながら呟いた。
「もういいのよヤマト……」
なにを言って……!?
「もういいの……、もう私は仲間が傷つくところなんて見たくないの……」
後を振り返る。
リアス様はボロボロになったイッセーの顔に涙を落しながらゆっくりと呟いた。
「ありがとう、朱乃、小猫、アーシア、イッセー……、ヤマト。甲斐ない私のために、よく頑張ってくれたわ」
そっと、イッセーの頭をなでたあと、ライザーに言った。
「私の負けよ。投了
(リザイン)
します」
なん、だと……!!?
俺は激情に身を任せリアス様の胸倉に掴み引き寄せた。
「リアス様のために皆がボロボロになりながら戦ったのに! なんで最後まで戦おうとしない!? なぜ投了
(リザイン)
を選んだ!? 俺がまだ残っているだろう!?」
リアス様は目を合わせず、涙を流しながら言う。
「あなたまで……、あなたまで傷ついて欲しくなかったの……」
「くっ……!!」
手を離す。
このままじゃ済ませないっ!
このまま終わらせて溜まるかっ!!
「リアス様、あなたは間違っている。いまはそれを反省してください」
俺はリアス様の耳元で呟くとばっと身を翻し、ライザーを睨んだ。
「なんだ? もう俺の勝ちは確定してるんだ。今さらお前が何をしてこようと、どうにもならないぜ?」
薄ら笑いを浮かべながら呟くライザーに言う。
「このままじゃ、終わらせない」
そう言い残して、俺はリアス様の負けを告げるアナウンスと共に、その場から消えた……。
続く
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