俺の名はシャルル・フェニックス
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悪魔と不死鳥
夜が明け朝がおとずれて重い体を引きずって面倒な授業を半分寝てすごし、放課後となった。
使いがくるらしいので理子と白雪は先に帰っといてと言って自分の席で待ってるわけなんだが……
ん?噂をすれば何とやら。
使いが来たようだ。
「シャル君。ごきげんよう」
「シャルル君こんにちは」
この学校で二人目の大和撫子を地でいく学園三大お姉さまの一人女王の朱乃と学校の二大イケメンの爽やか王子で騎士の木場。
因みに一人目の大和撫子は白雪。こっちも三大お姉さまと引けを取らないほど人気。
三大お姉さまのあと二人はリアスと千冬。
もう一人の二大イケメンは俺。
ちょい悪S系王子らしい。
他にも、理子は学園のアイドル、黒歌は学園No.1人気教師兼お姐様、白音と恋と誠菜は学園三大マスコット。
束は学園一のみならず、駒王一の問題児。
身内が有名人すぎて笑える。
「二人ともご苦労さん。
呼びに来たのは俺と一誠か?」
「はい。ですから木場君だけでなく私も使いとして参ったのですわ」
まぁ、一応爵位持ちだからな。
礼儀として女王を使わして当然だ。
地位的に言ったら来るのはリアスで俺が場を設けなきゃならないんだが。
だって次期当主のリアスよりは地位的に言って現状は俺の方が高いんだからな。
だが、貴族的に考えると将来的にリアスの方が地位が高いわけで間違っちゃいないんだがな。
ウチのやつらはオコだったけどな。
千冬、束、理子、白雪らへんが。
黒歌も最近白音のいないとこでリアスについて愚痴ってきてるしな。
「あんなやつのとこに白音を送り出さなければよかったわ……!!」ってかなりキてらっしゃる。
もう俺は知んない。間を取り持つ中間管理職になってたまるか。
「それじゃあ僕は兵藤一誠くんの方を」
「はい。よろしくお願いしますわ」
俺と朱乃に一言いれて木場は一誠の方に向かう。
さて、俺も朱乃と向かうかね。
一応同時に済ませてしまおうと白音に誠菜も呼ぶように言ってるから向こうで会えるだろうし。
「それでは行きましょうか。シャル君」
スルリと腕を組んでくる朱乃。
普段そこまで会えないからか密着度がかなり高い。
俺としては嬉しいんだが、目立つんだよな。
あんま見られるの好きじゃないんだよな。
嬉しいには嬉しいんだがな。
「りょーかい。ま、エスコート頼むわ」
「あらあら。立場が逆じゃないかしら?」
「だろうな。でも俺らしいだろ?」
「うふふ。そうね」
朱乃を侍らせて会話をしながら目的地へと向かう。
さてと面倒な説明タイムだ。
◇◆◇◆◇
えー、こちら現場のシャルルでございます。
一誠より先に出たため一誠はまだ来ておらず、誠菜たちは来てる様子。
朱乃に茶を出してもらいソファーに俺は座り、朱乃はリアスの後ろへ控え、リアスは部長席(?)に座り、誠菜たちは別のソファーで羊羮を食ってる。
誠菜は落ち着かなそうだけどな。
さて謝罪会見をしますかね。
「それじゃあ、何故私に今回のことを教えてくれなかったのかしら?」
リアスは真剣な表情で問いかけてきた。
「今回の件は悪く思うが、堕天使の目的が不透明だったからだな。
下手したら戦争になる状況下。
出来るだけ穏便に済ませたかったから伝えなかった」
それに俺はシスコン魔王様から出来る限り手出しはしないでリアスに経験を積ませてくれって言われてるからな。
流石に人が殺されるのは見過ごせなかったから手を出した。
それが今回の行動のスタンスだ。
「そう。でも一言くらいは入れて欲しかったわね。
それも出来ないのかしら?」
聞き様によっては馬鹿にしてるようにも聞こえるが、ニュアンスが違う。
シスコン魔王様に制限されてるかされてないかってことを訊きたいんだろう。
「ああ。訊かれたことにだけ答えろだとさ。
基本的に俺は緊急時のみ色々と口出しできるって契約だからな」
人間界に来るというか駒王に来るにあたって課せられた制限というかサーゼクスさんのお願いは大まかに言うとリアスの成長を促して、緊急事態の時は助けてやってほしいとのこと。
魔王様のお願いだから一悪魔、一貴族としてどうしようもないことだ。
と俺は言い訳してる。
「そう。なら仕方がないわね。今回の件はありがとう。こちらも色々と探ってみるわね」
「りょーかい。ある程度の情報は書類に纏めてある。これな」
カバンから書類の入ったクリアファイルを渡す。
それをリアスはペラペラと軽く読んで眉間に皺を寄せる。
その中には侵入経路やら潜伏先やら規模やら力量やらが書いてある。
ぶっちゃけリアスにとってあまりいい内容じゃないわな。
ま、これで俺の謝罪会見は終わりだな。
あんま謝罪してないから説明会見みたいなもんだったけど。
「んと、説明は何処までしたのか照らし合わせをしたいんだが、いいか?」
お茶を一口飲んでからリアスに話しかける。
別々で教えたから何処まで教えたのか知らないんだよな。
「私はイッセーが襲われた原因と今の三すくみだけよ。あ、あと神器を発現させたわね」
「なら俺らと一緒か」
となると今後のことについて提案して訊くだけだな。
お茶を飲み、ソファーに腰を深くして座る。
「部長、連れてきました」
お茶が無くなった頃に二人は来た。
「ええ、入ってちょうだい」
リアスが許可すると二人が部屋に入ってくる。
一誠は御上りさんみたいにキョロキョロと部屋を見回す。
ま、床、壁、天井に至るまで面妖な文字が書いてあるという悪趣味部屋だからな。
俺も初めて来た時はかなり引いた思い出があるぜ。
「あ、セーナにシャルル。お前らも呼ばれてたのか!?」
驚きの声をあげる一誠。
何に驚く所があるよ?
「俺は説明側で誠菜はされる側でな」
「……………」
誠菜もコクコクと頷く。
「そうか……」
ちょっぴりホッとしたような顔をする。
不安だったんかね。
「話をしてもいいかしら?」
「は、はい!大丈夫です!」
慌てて上擦った声をあげる一誠。
憧れ(?)のお姉さまに声をかけられて内心感涙してると俺は予想する。
そんな一誠にリアスはクスリと笑い、一誠は羞恥で顔を真っ赤にする。
男の赤面って誰得だよ。
「そう。イッセーには昨日話したと思うけれど貴方悪魔になる気はないかしら?」
おいおい。勧誘しろとは言ったが早すぎんだろ。
切羽詰まった状況でもないのに。
俺が驚いている間にリアスは話を続ける。
「悪魔への転生はこの悪魔の駒で出来るの。駒の特性も受け継ぐの」
懐からチェスの駒を模した悪魔の駒を取り出して説明を続ける。
「冥界では人をチェスの駒に見立てて王を取り合うレーティングゲームというのが流行ってるの。
貴方には是非眷属悪魔になって欲しいわ」
「ちょっとタンマ。誠菜にはそこまで説明できてないから。別の部屋でやらせてくれないか」
リアスの勧誘に待ったをかける。
「構わないわ。空いてる部屋があるからそこを使っても頂戴」
「白音を借りてもいいか?
誠菜も白音がいた方が安心するだろうしな」
「ええ。白音行ってくれる?」
「わかりました」
「話が終わったら先帰ってもいいか?」
「ええ。いいわよ」
「りょーかい。んじゃ、一誠。誠菜借りてく」
「手ぇ出したら地獄の底まで追いかけて殺してやるからな」
「物騒だな。おい」
「…………お兄ちゃん」
一誠の物言いに俺と誠菜は呆れた声をあげる。
他のやつらも少し呆れ気味だ。
「ま、心配すんな。襲ったりはしねぇよ。
俺は求められなけりゃしないタイプだからな」
「うっせぇ、イケメンめっ!ハーレム野郎め!男の敵にして希望め!」
はっはっはっ、なんのことかね一誠君や。
いや、まぁ、ふざけてないで白音と誠菜を連れてニヒルな笑みを浮かべ退出した。
そういや、最近説明してばっかだなぁ。おい。
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