ジャガイモを人気者に
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第一章
ジャガイモを人気者に
プロイセン王国はオーストリア継承戦争、そして七年戦争を勝ち抜いた。この二つの戦争を勝ち抜いたことはプロイセンにとって大きかった。
オーストリアからシュレージェンを手に入れただけでなく欧州の殆どを相手に生き残りその地位を磐石なものにさせた。プロイセンは欧州の大国の一つとなった。
だがその一連の戦争でだ、プロイセンもかなりの傷を負った。
そのことはプロイセン王であるフリードリヒ二世もわかっていた、王は七年戦争が終わってから廷臣達にこう言った。
「もう戦争はしない」
「これ以上の戦争はですか」
「行いませんか」
「シュレージェンを得た、それに我が国の地位もあげた」
それ故にというのだ。
「もう戦う必要はない、それにだ」
「はい、我が国の受けた傷もですね」
「決して深くはないです」
廷臣達も王に言うのだった。
「国力をかなり使いました」
「これ以上の戦争は無理です」
「そのこともあり、ですね」
「これからは」
「戦争はしない、内政に専念する」
これまでとはうって変わって、というのだ。
「オーストリアやフランスともな」
「戦争をせず、ですね」
「融和路線を取りますか」
「ロシアやスウェーデンともだ」
こうした国々とも、というのだ。
「もう戦争はしない、軍備は整えたままで訓練もするが」
「それはあくまで攻められない為」
「その為ですね」
「戦争を起こさせない為にだ」
軍隊を整えておくことは忘れないというのだ。
「それは絶対だ、しかしだ」
「もう我々からはですね」
「軍を動かさない」
「そしてこれからは」
「内政にですね」
「専念する、沼沢を畑にしてだ」
そして、というのだ。
「荒地を開墾してだ」
「生産力をあげ」
「それで民の腹を満たしますか」
「灌漑や商業振興もしていく」
これも忘れていなかった。
「とにかく内政全般に力を入れてだ」
「そして、ですね」
「戦争の傷を癒し」
「国力をあげますか」
「得たものは大きかったが受けた傷も深い」
王はこのことを誰よりも実感していた、一連の戦争を自ら陣頭に立って戦い生き抜いてきたが「故にである。
「その傷を癒しさらに国力を上げる為にもな」
「内政ですね」
「以後は」
「国力を上げる為には何でもする」
こうも言う王だった。
「あらゆることをな」
「では、ですね」
「沼地も荒地も」
「農地にしていきましょう」
こうしてだった、プロイセンは戦争の後は内政に専念することになった。実際に王は内政についても自ら陣頭に立って行った。
その結果プロイセンの国力はかなり回復した、しかしだった。
王はその中でもだ、彼の宮殿であるサンスーシーの中で難しい顔になりこう言った。
「まだ、だな」
「国力回復にはですか」
「不十分ですか」
「食料生産が不十分だ」
王から見て、というのだ。
「まだな」
「しかしこれ以上はです」
「我が国では」
廷臣達は王に難しい顔で答えた。
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