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ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~

作者:C.D./hack
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ファントム・バレット編 ~守り人たち~
  それから、二日

 
前書き
今回は少し短めです。
RIGHT@さん、すみません。 

 

??? sorrow side

身体中が悲鳴を上げている。

『僕』から受けた真空地獄車による全身打撲、複雑骨折。

視界はぼやけ、呼吸に違和感がある。

(あー・・・・・・肺に骨刺さってるか、な)

意識すらもはっきりしない中、僕は立ち上がった。

少し先には家がある。扉を開け、中に入る。

暗い部屋に明かりはついていない。

「ただ、いま」

なんとか言葉を絞りだす。けれど、『あの頃』の様に返される言葉はない。

奥に進む。椅子がある。彼女が座っている。

もう、何回見ても変わらない彼女の表情。

(髪が、長くなっちゃってるな・・・・・・)

それすらも彼女は気付かない。

無機質な瞳。どこを向いているかもわからない。

けれど、彼女をこうしてしまったのはこの僕だ。

彼女を守れなかった僕の。

その罪は消えない。

何回でも繰り返してやる。何回も何回も何回も。

世界を破壊しても。例え友がいる世界を吹き飛ばしてしまっても。

大丈夫だ。心はすでに容赦などない。たとえ『僕』を殺してしまっても良い。

(何も感じない。悲鳴も聞こえない。血で汚れても何も感じない)

・・・・・・もう自分でも分かるほど狂ってしまった。

何も感じぬ麻痺した心。僕は思わぬ内に笑っていた。

障害は全て潰し、かつての友も利用する。

けれど、僕は『僕』を見て最近思う。

帰りたい。あの頃に。

いつの間にか、僕は泣いていた。

「帰り・・・・・・たいなぁ」

誰も。誰も励ましてなどくれない。

僕は彼女に口付けをして、そっと頬を撫でた。

僕は取り戻す。あの幸せを。あの日常を。そして彼女を。

しかし、涙が止まることはなかった。

哀しみは恨んだ。己の弱さを。

哀しみは繰り返す。彼女を取り戻すまで。

あの日常を。

それが正しいというもの者などいない。

けれど彼はそう分かっていても進む。何回も繰り返しながら。

「次のターゲットは・・・・・・」

次の『計画』に向けて、sorrowは再び動き出す。

次の計画に必要なのは『別世界の人々』。

物語に関わる人々。そして最初のターゲットは――――――――

「翡翠の黒の剣士」

彼は再び立ち上り、家を出た。

彼の名は悲哀。悲哀そのものであり、その気持ちを痛いほど知る者。

しかし、彼は歩みを止めない。別の人々に哀しみを味あわせるべく。

自分の日常を取り戻すべく。


現実世界 香の家

ユキが死んだという知らせから二日。

香は冷静にそれを受け入れた。

本郷は香の姿を見て悲しくなった。

(この子は・・・・・・強すぎる)

香は今、どこかが抜けている。

五代は台所に立ち、カレーを作る。

「香ちゃん、ご飯・・・・・・」

香織は呼ぶ前に降りてきていた。

アマゾンが席に着き、いただきますと言って夕飯を食べた。

香の表情は変わらない。

本郷からの連絡でユキの心臓が発見されたことを五代は聞いた。

けれど、五代には違和感があった。

アマダムが反応しているのだ。

(ユキ君・・・・・・君は本当に死んだのか?)

疑問で頭がいっぱいになった時、ドアを叩く音が。

「?誰だろ?」

途端に腹部が熱くなる。まさか。

ドアを開けるとそこには――――――――。

「ただいまです」

少し大人っぽくなった、ユキが立っていた。



GGO 仮想世界


シノンは今、走っていた。圧倒的な敵から逃げるために。

後ろを振り返れば白い怪人が追いかけてきている。

ヘカートを照準なしで放つ。命中。

(やったか!?)

白い怪人は無傷だった。接近され、腹部に一撃を喰らう。

白い怪人が人間に変身した。その姿は――――――――。

シノンの息が詰まった。自身の手で殺めた男が立っている。

絶叫しながら地を踏みしめ、砂漠の中を走る。

男はゆっくりと近づいてきた。

嫌だ。ごめんなさい。やめて。

「誰か・・・・・・助けて・・・・・・!」

怪人、オルフェノクが腕を振りかざして――――――――。

「させねぇよ」

オルフェノクの腕が吹き飛ぶ。シノンは声のした方を向いた。

赤いラインが暗闇の中で光り、シノンへと近づく。

「大丈夫か?」

戦士はシノンを担ぎ、バイクを変形させる。

ファイズのバイクは変形し、人型となった。

「たのむぞ、バジン」

オードバジンはこくりと頷き、シノンを腕に抱くようにして持った。

「片づける」

バジンの体からファイズエッジを引き抜き、エネルギー出力をハイに設定する。

更にアクセルメモリーをベルトに挿入し、アクセルフォームへ移行した。

「ドラゴンとは驚いたが・・・・・・一気に決める」

ファイズアクセルは、ノーモーションで必殺技を発動できる。

俗に言うライダーキックを何千発も放つことができるのだ。

シルバーフォトンストリームをエッジに流し込み、一千倍の速度に加速する。

連続での斬撃。上段切り、右横切り、斜め下段切り。

それらを一瞬で何回も繰り返し、今度は脚部へエネルギーを集中する。

ロックオンを複数展開し、圧倒的速さを持ってクリムゾンスマッシュを繰り出す。

しかし、最後のスマッシュを防いだものがいた。

「お前・・・・・・!」

思わず巧は声が上ずった。そこに立っていたのは、姿が少し変わったカイザだった。

草加雅人。オルフェノクを嫌い、巧すらもだまして始末しようとした男。

「やぁ・・・・・・乾巧・・・・・・僕もアクセルになれるようになったんだ、すごいだろ?」

「草加・・・・・・お前、なんで・・・・・・」

カイザはそのまま加速し、加速形態が終了したファイズを切り刻んでいく。

シノンはオートバジンによってその光景を見ずに済んだが、シノンは自身の中に誰かが入って来るのを感じた。

(お前の体、貸してもらうぜぇ!)

オードバジンはシノンの異変を確認し、すぐにもう一本のファイズエッジを渡す。

「おう、ありがとうよ!おめぇいいやつだな」

モモタロスが憑依したのである。

「チチューン」

モグラが穴を掘り、手招きする。

モモタロス(シノン)はそこへ入り、モグラが進む方へ付いていく。

そして掘り進めた先には――――――――

カイザの臀部があった。

(しん王・・・・・・力を借りるぜ)

そして臀部へフォトンエッジを突き刺した。

「アギャッ!!」

叫び声をあげてカイザブレイガンを連射するカイザ。

そこに、もう一体のオルフェノクガ現れる。

「あ、ライト!!ちょっと待て!!」

言う前にライト、否、ラーテルオルフェノクは草加に攻撃を仕掛けた。





 
 

 
後書き
いかがでしたでしょうか?sorrowが本格的に動き始めました。

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