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光明の魔導師〜眩き妖精の物語〜

作者:南魚座
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青い髪の少女との出会い







俺は森の中で目を覚ました。そういえばあのジジイが去り際に言ってたが、どうやらいまはX777年、俺が居た時代からちょうど100年とちょっとくらい。そして現在7歳だということだ。え?現在位置?教えてくれなかったよチクショウ。


さて、現在の状況をざっと説明しよう。まず森の中で起きました。前を見ました。でけー口のモンスターがよだれたらしてました。後ろみました。同じのがいました。周り見ました。同じのがいました。






囲まれてるよ、クソッタレ




「まだ慣れてねえんだよ!勘弁してくれよ!」




そう叫びながら頭ん中の魔導書から一個の魔法を引き抜き、陣形速記で形にする。人差し指と中指の二本を立て、横へ振っただけで、周囲に魔法陣が展開される。



「魔障波・弍式!」


突如俺の周囲から凄まじい衝撃波がうまれ-------ってちょっと、え?



ゴゴゴゴゴゴゴ……………




「…さすがの俺もこれは引くわ…」



モンスター達は見えないところまで吹き飛び、半径1キロ程が更地になっていた。え?俺のせい?


「しかし失敗だったなあ…魔力ほとんど込めてないのにあれって…さすが禁忌魔法ってところか。」



コントロール難しいなあ。ま、気長にやってくか。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・



10日ほど歩いたところだろうか。現在位置、森。



でかい、でかすぎる。ひろい、ひろすぎる。




「だめだ、体力……はまあそうでもないが精神的にキツイ。はやくなんか見えねえかな。」




そこからまた5時間ほど歩いたところだろうか。前になんか見えてきた。



「ありゃ街か?……いや、集落みてえなもんか、泊めてもらおうかな…」



それにしてもこの辺、浮遊してる魔力がやけに濃いな。



集落の門と思しきところで立ち、周りを見回すとちょうど同い年くらいの青い髪の少女がいた。



「こんにちは!」



少女は太陽のように明るい声で挨拶をしてきた。当然、俺も返す。



「こんにちは!森で迷っちゃったんだけど、ここってどこかな?」




「えっとね、『化け猫の宿(ケットシェルター)』ってゆうギルドで、村全体がギルドなの!」



なるほど。



「そうか、ありがとう。ところで村長さんはいらっしゃるかな?」




「うん!ついてきて!」




この時俺は知らなかった。この先に起こる出来事を。この少女に出会った時から、あの極彩色に彩られた日々がもう始まっていたんだということを。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ウェンディが言ってたのは君か。ワシはローバウル。なぶらこのギルドのマスターであり、なぶら村長でもある。」





「俺はフーガ・フォーマルハウト。訳あって両親はいない。今はあてのない旅をしている、魔導師だ。で、その途中で道に迷ってしまったんだが、2、3日ここで泊めてもらいたい。」




「フーガ君か。構わんよ。ゆっくりしていきなさい。宿に関してはここのすぐそこに空家がある。なぶらそこを使いなさい。」




「ローバウルさん、恩にきるぜ。ありがとう。」



「うむ。ウェンディ、この若者を空き家まで案内してあげなさい。」



「はい!フーガさん、こっちです!」



しかし気のせいか、俺の両親はいない発言の時、ウェンディちゃんの表情が軽く曇ったのは。いや、考えすぎか?



「フーガさんって、いくつなんですか?」


歳?



「7歳だよ。」




「わたしの一個上ですね!」




ううむ、笑顔が可愛い。しかし割としっかりした子だな。親御さんの教えがいいんだろう。将来いい子に育つね。



「ここです!何かあったら言ってくださいね。」



おお、意外とひろいしランプもつくのか。




「ありがとう、ウェンディちゃん。」




さて、荷物の整理でもするかね……




・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「さて、情報を整理するか。」


まず驚いたことは、大半の魔導師はギルドに入っている。これは知ってる。俺らの頃はまだ少なかったがギルドはあった。俺が驚いたのはその数だ。聞いた限りでも相当数ある。



「俺もどこかに所属しようとは思ってたが……そういやここもギルドとか言ってたな。」




後で聞いてみよう……



さらに情報を整理していく。自分の能力についてだ。禁忌魔法のあのクソ分厚い本の魔法は全て使えるらしい。だが界法の方は驚くことに、まだ俺も知らない能力がたくさんあるらしい。考えてみたがどんな能力なのかさっぱりわからん。後で考えよう…




・・・・・・・・・・・・・・・・・・




どうやら俺は寝てたようだ。この体もだいぶ馴染んできた。転生して2日は体の異常なスタミナのせいか歩き続けて寝ることができなかった。寝るという行為が無いとどうも人間というのは落ち着かないらしい。それが寝れるまではこの体をコントロールできるようになったという事だろう。



「あれ、もう朝か…ずいぶん寝てたんだな。」


とりあえず着替えるか。ん?玄関とこになんか置いてあるぞ?


手にとって見てみると



「至れり尽くせり、だな。」



着替えとおにぎりが置いてあった。そしてその上のメモには



『おはようございます!夕べはよくねむれましたか? ウェンディ』




「うう、ええ子や……」



ちなみに塩むすびだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「さて、ちょっくら行くか。」




ローバウルに、ギルドへ入ってもいいか聞くために外へ出た。すると横から不意にこえをかけられた。




「フーガさんおはようございます!」




「おお、ウェンディ。おはよう、おむすびありがとうな。美味しかったよ。」




そう言ってウェンディの頭を撫でる。
俺とウェンディの身長はほとんど変わらないが、自然と頭に手がいって撫でてしまったのは転生する前、孤児院にいた時からのクセだった。


しまった、と思いウェンディの方を見ると



「…ふぇ……?」


不思議そうな顔をしながらも、どこか気持ちよさそうにしていた。



「ああ、ごめんごめん。クセでつい、ね。そういえばローバウルさんはいるかな?」




「あ、はい!ギルドのみんなももうマスターのテントにいると思いますよ?」




「そうか、そいつは好都合だ。」




そう言ってテントの中に入ると、もう結構な人がいた。


俺はまっすぐにローバウルのところへ行くと、ローバウルの方から話がある、と言われた。




「話、ですか?」




「なぶら。君は昨日、魔導師と言っておったな?」



「ええ。」




「ワシから頼みごとがある。」




「何です?」



「ここから西へ歩いてすぐの洞窟に、何やらモンスターが住み着いたそうなんじゃ。じゃが、このギルドには戦うための魔導師はおらなんだ。そこで君の力を借りたい。なに、無理にとは言わん。」




「なら俺からも一つ頼みごとがあります。」




「頼みごと?」





ええ、と一呼吸おいて発言する。




「俺を、このギルドに入れてください。」




するとローバウルは一瞬驚いたような顔を見せ、その後大きく酒瓶をあおった後、


「喜んで!喜んで君を歓迎しよう!」




そう、言った。すると



「フーガさんがこのギルドに入るんですか!?」




ウェンディが身を乗り出して聞いてきたので、




「そうだな、よろしく頼む。」


と、返事を返した。するとウェンディは向日葵のような笑顔を浮かべ、




「ようこそ!化け猫の宿へ!!」




そう、言ったのだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あれからギルドのメンバーに自己紹介して、家に帰り早速支度をした。まあ支度っつってもする事ないんだけどね。




「さーて、いっちょ行きますか!モンスター狩り!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



村から出て西へ歩く。さて、ここで問題が発生。



「なんでウェンディいるの?」




「え…えっと……その、フーガさんがどうしても心配だったから…」



泣きそうな声で言うウェンディ。まあいいか、



「なるほどね。まあ付いてくるくらいならいいよ。あ、あと俺のことは呼び捨てでいいよ。この歳でさん付けってのもあれだし。敬語もいいから普通に話してくれ。オーケイ?」




「はい、あ、えっと…うん!フーガ!」




嬉しそうで何よりだ。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・


3時間ほど歩いたところだろうか。




「嫌な予感がする。ウェンディ、木の陰に隠れているんだ。いいかい?決して音を立ててはいけない。」




「え?」



「いいから。ここから先は危険だ。」



そして視線を前へ向ける。




「やれやれ、今夜は焼き鳥か…」



俺の足元には、大きな黒い羽毛か一枚、落ちていた。


本当に嫌な感じだ。すると、前方に洞窟が見えてくる。



「ウェンディ、隠れてろよ?」


そう言って慎重に洞窟の方へ歩こうとするが、小枝を踏んで音を立ててしまった。



「やべ、気づかれたか!?」




その時、洞窟から巨大な何かが飛び立つ。ってでけーよ!見た感じ羽を広げたら7mってとこか。てか角、角がある。クチバシの中からは牙も見えるし。全部とんがってるよ。なにこれ、怖い。


「確かにモンスターっぽいな、ありゃ。ターゲットはあれでいいのか」




魔導書つかうか?いや、効果範囲的にウェンディを巻き込みかねん。ならしょうがあるまい。



「界法、つかうか。」



背中に魔力でブースターをつける。


キイン!と甲高い音と共に飛翔する。魔力を抑えて飛んだつもりだが、俺の体は物凄いスピードで怪鳥へと接近する。



「どっせえい!!!」



その勢いを殺さずに拳に魔力を集中させ、怪鳥をぶん殴り、




「そらぁ!!!」




打ち下ろしの拳を叩き込む。

俺の拳は金色に輝くオーラを纏っていた。そう、これこそが界法。魔法の起源に最も近い、エーテルナノを高密度に収縮した"特殊な光"の属性を"自由自在"に操る。



俺は体にオーラを纏い、魔力で作り出した腕を落下していく怪鳥に伸ばす。


どうもこの界法、性質を色々と変えるようだ。例えば空気中に魔力をばら撒き、その粒子を使い空中で浮くこともできれば、実態をもたせて腕にしたりナックルにしたり、さらに剣にしたりと、やりたい放題だ。



「串刺しだ!!」


魔力の腕を使い怪鳥を引き寄せ、自分の手には身の丈以上の輝く剣を出現させ、一気に怪鳥の体を貫く。


怪鳥は一瞬ビクリと痙攣したあと、動かなくなった。


俺は死体を抱え、ウェンディのところへ降りていく。




「よう、怪我はなかったか?」




「フーガ!すごかったね!」





「まあ、これが俺の魔法だからね。さて帰るぞ。」



今夜は美味しい鳥肉料理ができそうだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

村に戻ると、かなりの人数が出迎えてくれて、口々に労いの言葉をかけてくれた。



「すげえなあ!お前!」



「お疲れ様!怪我はなかったかい?」


「あのね、フーガってすごいんだよ!」



ウェンディもはしゃいで村の人達に何が起こったかを嬉々として説明してる。


「すいません、荷車かなんかないですか?これ重くて…」



実際は軽い。この体の身体能力からすれば紙と同じくらい軽い。だが邪魔くさいのである。



「おう!まってな!」



そう言って屈強そうな男が荷車を引いてくる。彼は確かバスクといったか。


「すいません、じゃあこれ、たのんます。」



そう言って俺はローバウルの元へ行く。




「マスター、初仕事こなしてきたぜ。」



「おお!無事じゃったか!」



「無傷だよ。むしろこんな簡単な依頼ならどんとこい。」




「がっはっは!頼もしいのう!そうじゃ、お主が使っている家はそのまま使っていいぞ。」




「そうか、ありがとう。じゃあ少し早いが俺は家に戻るぜ。」




「日が沈んだらここへ来い。皆お主と話したがっておる。」




「そうかい。じゃあ部屋で水浴びたらここへ来よう。丁度いいだろ?」




「そうじゃな。」



さて、家に戻りますかね……





 
 

 
後書き
二話目を投稿しました!本当に駄文で申し訳ありません。次回はフーガ君の設定を細かく書いていきたいと思います!辛口、甘口などありましたら遠慮なく、情け容赦なくお願いします!読んでくださった方々、感謝の気持ちでいっぱいです。次回からもよろしくお願いいたします。 
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