アカメが斬る! 抜刀必殺の帝具使い
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第一話
「さて、と・・・標的はあれで全部かな?」
『大物は彼女が向かいましたので、マスターが相手をするのはあれで全てです』
その返事を聞いてから、俺は腰に吊るしている剣に触れる。
そのまま背中の剣もあることを確認し、そいつらの前に姿を出す。
そしてそのまま、最初に俺に気付いたやつの首を、腰の剣で落とす。
「・・・問題ないか?」
『はい、問題ありません。今ので十分です』
「OK。このまま続ける」
流石にこれ以上の不意打ちは無理なので、剣を構えてその集団に向き直る。
腕っぷしがたつのは・・・四、五人、ってとこか。
「お前、何を」
「邪魔」
とりあえず一番近かったやつに向けて跳びながら斬り、すぐそばにいた実力がありそうなやつにも向かうが、そっちは失敗。
しかし、防がれたとは言え武器を一時的に封じた。これ以上の隙はない。背中の剣を抜いて腕に突き刺し、緩んだところで首を切る。
そのまま勢いで斬り、斬り、斬り・・・
「・・・任務終了」
『勿論、納刀も問題ありません』
お墨付きをいただいたので、剣を払って血を飛ばしてから納める。血を落とす必要はないとは言え、気分的になんだか嫌なのだから仕方ない。これまでそうしてきた癖なのだろう。
「さて、と。向こうはどうなってるかな・・・」
『彼女が失敗することはないかと。とは言え、これ以上時間がかかるようでしたら様子を見に行くことを推奨します』
「いやいや、その必要はないよ〜」
と、相棒と話をしているともう一人の仲間が合流してきた。
「お疲れさま。何か問題はあった?」
「ううん、特になにも。任務は無事に成功したよ」
まあ、ガイアファンデーションほど暗殺向きな帝具も中々ないし、そうそう失敗はしないだろうけど。
「そっちは?ダインスレイブはリスク大きいし・・・納刀できてるなら大丈夫かな?」
「ま、これだけ敵がいたしな。そうそうないぞ、条件を満たさないことは。一応、報告にあった人数分は全部殺した。逃げた様子もない」
「じゃ、これで任務終了だね。アジトに帰ろ♪」
そう言ってチェルシーが歩き出したので、俺もその後を追う。
今回はそこそこに遠出したし、ボスからも帰りはのんびりしてきていいと言われた。ゆっくり気ままに帰るとしよう。
二人とも、何か楽しめるところがあるだろうし。
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「うそ・・・だろ・・・」
任務を終えてアジトへ帰ってくると、そこにはもうアジトはなかった。
チェルシーやスレイブと街で情報を集めてから帰ったから、その間に何かあったのか・・・?
「・・・カズキ、あっち」
『革命軍本部の人間がいます』
二人に言われてみる先には、確かに革命軍の本部で見た記憶のある人間がいた。
何かを探しているような感じだけど・・・生き残りを探しているのだろうか?
・・・なんにしても、このまま見てる、ってわけにはいかないか。
すぐ隣にいるチェルシーにその意図を伝えてから、念のために背中の剣を確認して近づく。
「何をしてるんだ?・・・ってか、何があったんだ?」
「ああ・・・カズキさん。いえ、急にここのチームと連絡が取れなくなったので調査に来ていました。お二人はたしか、任務に行っていたのでしたか?」
「うん、そだね。で?ここはいつ襲撃されたの?」
「そうですね・・・残っていた食事の傷み具合などから考えて、お二人が任務に向かった次の日くらいではないかと」
つまり、俺達が仕事先に向かっている最中。その間にはもう、皆は・・・
「・・・何かやってきた相手の証拠とかは?」
「ありませんね。お二人の帝具で調べるのは・・・無理ですよね」
「うん。私のガイアファンデーションも、カズキのダインスレイブもそう言ったことには向いてないよ」
と、俺が考え事をしている間にチェルシーは話を進めていた。
せめてやったやつらさえ分かれば、この手で殺しに行くのに・・・
『落ち着いてください、マスター。感情的になって向かえば、返り討ちにあう可能性が高くなります』
「・・・悪い、そうだな。・・・そう言う稼業、だもんな」
頭が冷えてきたところで、俺はこれからどうするのかを考える。つっても、特に選択肢はないよな。
「とりあえず、俺達は一旦本部にいればいいのか?」
「はい。まずは本部にいてもらって、何か割り当てる場所があればそこに配属させていただきます」
まあ、色々と人手不足ではあるし、聞いた話では俺達のところとは別の地方チーム・・・ナイトレイドのほうで死亡者が出たらしいし。どこかしら行くあてはあるだろう。
そんなことを考えながら二振りの剣に手を添えて心を落ち着け、集合した本部の人たちの後ろをチェルシーと並んでついていく。
「正直に言いますと、全滅も覚悟していたので二人のこっていた事は行幸でした」
「・・・俺達としては、その場にいたかったんだけどな」
もしもその場にいれば、守れたかもしれない。全員を守り切れなかったとしても、後一人は、後二人は・・・考え出したらきりがないが、それでも考えてしまう。
そんな後悔を抱きながら、本部へと向かうためにエアマンタに乗り込む。
・・・俺、高いところは苦手ではないはずだけど、空を飛ぶレベルだとどうなんだろう・・・
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革命軍本部で割り当てられたテントの中、簡単に布団を敷いてその上に仰向けに寝転がる。枕元にはスレイブもいるが、まあいつもの事なので気にしない。
ついでにチェルシーもいるのだが、まだ寝るような時間でもないしよくあることだから気にしなくていか。
本部に来てから数日がたつが、何をしたらいいのか分からずにぼけーっとしている事ばかりだ。
と、そのまま何もしない時間が過ぎていくと、ふいにテントの外から俺達を呼ぶ声がした。
「はいはーい。ちょっと待っててくださいねー」
そう言いながらテントの入口をあけて外を見ると・・・そこには、右目に眼帯をして、右腕が義手の男性・・・いや、女性がいた。
体つきからして女性で間違いないはずだ。うん。
「えっと・・・どちらさん?」
「そうだな。話をする前にあげてもらってもいいか?」
「あー・・・何もないけど、それでもよければ」
「構わないさ、茶はこっちで準備してある。スサノオ」
「ああ」
そう言いながらその女性は後ろに控えていたらしいやつと一緒に入ってくる。
テントの中に五人、か・・・まあ、広めのテントだから大丈夫か。
「・・・って、そいつ・・・」
「うん、本部に保管してあった生物型の帝具。電光石火・スサノオだね。眠りっぱなしだって聞いてたんだけど?」
口にくわえているアメの棒をピコピコさせながらチェルシーが聞くと、女性は頷いた。
「そうなんだが、私に反応して動きだしたんだ。生物型で負担が少ないから、今の私でも使える、という事で借りることにした」
「なるほどなるほど」
義手からしても、あまり負担をかけることはできないのだろう。とはいえ、生物型だから負担が少なくなる、ってのも正しくはないんだよなぁ・・・
「それで?あなたは革命軍ではどんな立場のなんて人?」
「ああ、悪い悪い。まだ自己紹介もしていなかったな」
笑いながらチェルシーにそういったその人はスサノオが淹れたお茶を一口飲んでから、
「私はナイトレイドのボスをやってるナジェンダだ」
ようやく、自分の名前を名乗った。
なるほどなるほど、ナイトレイドの・・・ってことは、本部に来た目的は絞られるな。
回収した帝具の搬送か、減った分の人数補充か。んでもって、ここに来たってことは・・・
「まあなんにしても、久しぶりナジェンダさん。こっちはよく一緒に仕事をしてる」
「カズキだ。こいつは相棒のスレイブ」
「スレイブだ」
まあ、うん。
スレイブはいつも通りにそっけない返事をする。が、ナジェンダはそれに対して特に思うところはないらしく、
「さて、本題に入ってもいいか?」
「勧誘の話なら、どうぞ?」
「話が早くて助かるな」
そう言ったナジェンダは、次の瞬間には真剣な表情になり、
「カズキの言った通りなんだが、三人とも、ナイトレイドに来ないか?」
予想通りの言葉を発した。
俺はチェルシーとアイコンタクトをとり、俺の方から聞くという事で決定してから再びナジェンダの方に向き直る。
「判断基準は?」
「帝都ではこれから、帝具使いだけの特殊警察を組織するという。帝具使いに対抗できるのは帝具使いだけである以上、手の空いている帝具使いを誘うのは普通の事だろう?」
帝具使いだけの特殊警察、か・・・かなり壮絶な殺し合いになりそうだな。
「何で俺達が帝具使いだと?」
「聞いただけだよ。まず無理だろうという前提で聞いてみたら、このテントに手が空いている帝具使いがいると言われてな。まさか、三人もいるとは思わなかったが」
「二人だよ。・・・ちなみに、その特殊警察ってのは誰が率いるんだ?」
人数のところでナジェンダが疑問を表情に浮かべたが、今説明するのは面倒なので先に質問をする。
「ああ・・・エスデスだ」
その瞬間、チェルシーが息をのんだのが分かった。俺としても、驚きを隠せない。ってか、厄介にもほどがあるだろ・・・
「そう言うわけで、私たちとしては即戦力になる者が欲しい。頼めるか?」
「・・・まあ、このまま暇を持て余しているのはなんだか申し訳ないしな。二人はどうする?」
「そだね~・・・カズキが行くなら私も行こうかな。せっかくお互いに残ったんだし。スレイブちゃんはどする?」
「聞くまでもないだろう、チェルシー。私は剣。主のいるところが私のいるところだ」
「んじゃ、決まりだな。よろしく頼む、ナジェンダ」
ナジェンダにそう伝えると、一つ大きくうなずいて、
「ああ。三人とも、ようこそナイトレイドへ」
こうして、俺達三人のナイトレイドいりが決定した。
「そう言えば、帝具使いは誰なんだ?」
「ああ・・・俺とチェルシーだよ」
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