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運命の二重奏

作者:紫桜 零
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組み分け

 
前書き
  

 
 
『サラザール・スリザリン

 ホグワーツの創設者の一人。マグルに対する差別意識が高く、他の創設者と仲が悪かった。その後、ホグワーツから去った。蛇語を喋れることができた。現時点直系の子孫は途絶えていてる。』

 アッシュは、そこまで読み本を閉じる。

 『蛇語』は物凄く珍しいらしい。ホグワーツでは隠しておく必要があるな。

 本を横に置き、窓の外を見る。窓の外は都会の景色から何もない丘の景色に変わる。

 9と4/3番線なんて変なホームだと思ったけど、まさか9番と10番の柵の間に向かって真っ直ぐ歩くなんて思っても見なかった。さっきのハゲタカの剥製がてっぺんについた帽子をかぶってた変な服装のお婆さんと気の弱そうな少年がいなかったらずっとあのままだったな。感謝だな。

「あのさ、ここ空いてるかな」

 コンパートメートの戸が開き、さっき柵の前で見た気の弱そうな丸顔の少年がカエルを抱えて入ってきた。

「空いてる」

 そう言うと、少年はアッシュの向かいに座った。何も離さず沈黙していると、沈黙に耐え兼ねたのか少年が話しかけてきた。

「僕、ネビル・ロングボトム」

「アッシュ・グレドール」

 また沈黙が流れる。その沈黙を破るように、コンパートメートの戸がまた開き、栗色の髪をした少女が入ってくる。

「ここ空いてるかしら」

「うん、どうぞ」

 ツカツカと入ってきてネビルの隣に座る。

「私は、ハーマイオニー・グレンジャー。貴方達は?」

「僕はネビル・ロングボトム」

「アッシュ・グレドール」

 自己紹介をした後、ハーマイオニー話し始める。

「私の両親は魔法使いじゃないの。だから、私が魔女だって知って驚いてたわ。ネビルは?」

「僕は、家族みんな魔法使いなんだ」

 そうネビルが言った瞬間、ネビルの手からカエルが逃げた。

「あ、トレバー!!」

 カエルはコンパートメントを出ていなくなってしまった。

「探しに行きましょう、ネビル」

 ハーマイオニーは、ネビルの手を引っ張って探しに行ってしまった。静かになったコンパートメートで、またアッシュは本を開いた。

____________
______

「ホグワーツ入学おめでとう。新入生の歓迎会がまもなく始まりますが、大広間の席に着く前に、皆さんが入る寮を決めなければなりません。寮の組み分けはとても大事な儀式です。ホグワーツにいる間、寮生が学校での家族のようなものです。教室でも寮生と一緒に勉強し、寝るのも寮、自由時間も寮で過ごすことになります。

 寮は四つあります。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリン。それぞれ輝かしい歴史があって、偉大な魔女や、魔法使いが卒業しました。ホグワーツに居る間、皆さんの良い行いは、自分の属する寮の得点になりますし、反対に規則を違反し時は寮の減点になります。学年末には、最高得点の寮に大変名誉ある寮杯が与えられます。どの寮に入るにしても、皆さん一人一人が寮の誇りになるように望みます。

 まもなく全校列席の組み分けの儀式が始まります。」

 聴き慣れた声が聞こえ、目線を上げると説明に来たマクゴナガルがそこにはいた。生徒達はどんな組み分けをされるのかと口々に話し、一年生が詰まった部屋は緊張感に包まれている。アッシュも普段は緊張しないが、この時だけ少し落ち着かない気持ちになる。

「さあ、行きますよ。組み分けの儀式がまもなく始まります」

 一年生はゾロゾロと並びながら、二重の扉を通って大広間に入った。

 そこには、本で読み想像していたよりも、素晴らしい光景が広がっていた。おもわず息を呑み、ここで暮らせることに喜びを感じる。
 
 マクゴナガルは四本足のスチールを置き、その上にボロボロの帽子を置いた。その帽子をじっと見ているとつばのヘリの破れ目が、まるで口のように開いて、帽子が歌を歌いだした。



 私はきれいじゃないけれど

 人は見かけによらぬもの

 私をしのぐ賢い帽子

 あるなら私は身を引こう

 山高帽子は真っ黒だ

 シルクハットはすらりと高い

 私はホグワーツ組み分け帽子

 私は彼らの上をいく

 君の頭に隠れたものを

 組み分け帽子がお見通し

 かぶれば君に教えよう

 君が行くべき寮の名を
 


 グリフィンドールに行くならば

 勇気のある者が住まう寮

 勇猛果敢な騎士道で

 他とは違うグリフィンドール


 
 ハッフルパフに行くならば

 君は正しく忠実で

 忍耐強く真実で

 苦労を苦労と思わない



 古き賢きレイブンクロー

 君に意欲があるならば

 機知と学びの友人を

 ここで必ず得るだろう



 スリザリンはもしかして

 君はまことの友を得る

 どんな手段を使っても

 目的成し遂げる狡猾さ



 かぶってごらん!恐れずに!

 興奮せずに、お任せを!

 君を私の手に委ね

 だって私は考える帽子!



 歌が歌い終わり、全員が拍手喝采をした。そんな中でアッシュは、「グリフィンドールは騎士道」「スリザリンは狡猾」そんなことを言ってるから仲が悪いんじゃないか。と思っていた。

 俺はスリザリンだな。性格的に騎士道なんて持ち合わせてないし、正しくないし、意欲もない。スリザリン向きの正確だしな。

「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子をかぶり、組み分けを受けてください」

「アボット・ハンナ!」

 次々に呼ばれ、組み分けを始まる。みんな緊張しているのか、転んだり躓いたりして椅子に座っていく。

「グレドール・アッシュ!」

 自分の名前が呼ばれ、ゆっくりたけどしっかり歩き椅子に座る。そして頭に帽子をかぶせられる。

「フーム、面白い。狡猾で自分の目的のためなら手段を選ばない。頭が良く、才能もある。だが、他人を信じない。

 君はスリザリンに入るべきだろう。しかし、私は君をスリザリンに入れるわけには行かない。例えそれが、彼らを裏切ることになったとしても。君は、グリフィンドールに入らなければならない。未来のために。

 グリフィンドール!」

 最後の言葉は大広間全体に広がり、グリフィンドールのテーブルから歓声が上がる。アッシュは、帽子を脱ぎ、テーブルに向かう。

 そして、赤毛の眼鏡をかけている少年の隣に座る。

「初めまして、監督生のパーシー・ウィーズリーだ」

 話しかけられいることも上の空でさっき帽子に言われたことが頭の中で反響する。

 『君がグリフィンドールに入らなければならない。未来のために。』

 落ち着いた所で、初めて上座の来賓席を見る。そこで、アルバス・ダンブルドアと目が合う。ダンブルドアは自分を見ると、どこかほっとしたような顔をした。

 なるほど、マクゴナガル経緯で俺が『パーセルマウス』だってことが知っているな。それよりも、『彼らを裏切ったとしても』ってなんのことだよ。

 アッシュは、歓声が爆発するテーブルでただひとり俯いて考えていた。
 
 

 
後書き
 
 ほとんど、原作に書いてあるセリフが主体です。 
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