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Bistro sin〜秘密の食堂へいらっしゃいませ〜

作者:黒米
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食堂の食卓.1

.1
 その店は、17時〜22時までの5時間、街の外れでひっそりと営業している。
そして今日も店の営業時間が終わり、OPENの札はCLOSEDへとひっくり返った。

 平泉がテーブルには、料理を並べ始める。
美味しそうとか、綺麗ではなく、温かそうな料理だ。

 「さぁ、皆さん!食事にしましょう。今日の食卓は、ドリアとポテトサラダ、鮭のムニエルのブロッコリー添え。」
平泉が声を掛けると、厨房の人たちが集まってきた。
みんなが席についたのを見て、賢太郎も席につき始める。
全員が席についたところで、平泉が話し始めた。

「皆さん、今日も一日お疲れ様でした。先程も言った通り、本日から山田 賢太郎くんが一緒に働くことになりましたので、皆さんもまずは自己紹介をしましょう。」
平泉はそう言うと、さっきの50歳くらいの男にニコリと笑いかけた。

男はやれやれという顔で、自己紹介を始めた。
「えーっと、俺は東 優七郎。さっきも言ったけど、この店でスーシェフをやっている。よろしくな、賢太郎!」
そう言うと、東は隣の若い男を横目で見た。若い男も続いて、自己紹介を始める。
「はいはい!俺の番ッスね〜。俺は、宮田 六郎。ここではプロンジュールとして、下準備や調理補助やらをしやってます!賢太郎、よろしくね!」
六郎の元気な挨拶が終わると、しばらく沈黙が続いて渋い声が聞こえた。
「儂は、京極。…京極 大五郎。ソーシエで主に温かいオードブルや、焼き物揚げ物炙り物を全てやっておる…よろしくな、小僧。」
一番の年寄りだと思われる、京極の紹介の後に、少し照れた様子で太った男が挨拶を始めた。
「ど、どうも!えっと…ぼ、僕は太田 幸四郎です。アントルメティエって、言ってスープを作ったりしてるよ!あと、食材管理なんかも僕がしてるんだ!よ、よろしくね。賢太郎くん。」
次に、落ち着いたオールバックの男の番だ。歳は、平泉と同じくらいに見える。
「藤田 任三郎と申します。ガルドマンジェ、冷たいオードブルやサラダなんかも作っています。ワインの調達も私が担当しております。よろしく。」
物静かな雰囲気の藤田に、これくらいの歳の人はみんな落ち着いているのかな?と賢太郎は思った。
最後に、髪の長い男が挨拶を始める。
「フフ、僕はパティシエの佐々木 小次郎。ケーキやシャーベット、デザートを担当してるよ。よろしく。賢太郎くん。」
明らかに偽名臭い名前の不思議な雰囲気の小次郎。
平泉は、みんなが自己紹介を終えたところでまた声をかけた。
「では、自己紹介も終わったところで早速食事にしましょう!さぁ召し上がって下さい。」
こうして、一日の仕事が終わったビストロに食卓の時間が来るのだ。 
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