ボスとジョルノの幻想訪問記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
紅の十字架 その⑥
ボスとジョルノの幻想訪問記 第29話
紅の十字架⑥
あの後、ジョルノ・美鈴・妹紅は紅魔館を午前3時48分に脱出した。三人は中庭に来て誰もいないことを知り門の外にまで出る。
「レミリアお嬢様・・・・・・!?」
だが、そこにレミリアとフランドールの姿はなかった。まさか、まだ紅魔館の地下にいるのか? と、美鈴が気を探ると――――。
「――――!!」
明らかに美鈴の表情が一変する。まるで何か大切な人を亡くしたかのような・・・・・・。
「どうしたんですか美鈴さん・・・・・・?」
ジョルノは只ならぬ美鈴の様子を見て声をかけた。すると美鈴は
「・・・・・・お二人に咲夜さんとパチュリー様を任せます。すぐに戻ってくるので!」
と言って足早にまた紅魔館に戻っていった。
「ちょ、美鈴さん! 一人行動は危険だとあれほど!」
ジョルノは追いかけようとしたが、それを止めたのは妹紅だった。
「――――待てジョルノ。これ以上この件に首を突っ込んでも私は意味がないと思う」
「どうして止めるんですか妹紅!?」
妹紅は美鈴が走り去っていくのを見て
「・・・・・・薄々気が付いていたが・・・・・・ここにいるのはパチュリーと咲夜。そして今走っていったのが美鈴。来るときに中庭で会ったのがレミリアだ。・・・・・・私が把握している限りでは紅魔館のメンバーは後二人。パチュリーの使い魔である小悪魔とレミリアの妹のフランドールだ」
「・・・・・・」
「そして今思えば私がレミリアの部屋で燃やした敵の鳴き声。あれが小悪魔の口癖と『ほぼ一致』していた。考えたくはないが、おそらく小悪魔はゾンビにされたんだろう」
「・・・・・・それで、どうしたんですか?」
ジョルノは妹紅に語調を強めて言う。
「私たちが最初にここに来たとき、血だまりがあった・・・・・・。最初は誰のものか分からなかったし、後も妖精メイドのものかと思っていたが美鈴の言うことを信じるなら全員が厨房でゾンビ化。だったらもうあの血だまりはあと一人、フランドール・スカーレットのものだった可能性が高い」
「・・・・・・既に当初の目標である吸血鬼が死んでいる、ということですか?」
妹紅はその確認の意味を含む問いかけに頷く。
「そうだ、だからもうフランドールを屈服させることは不可能だし、これ以上紅魔館に干渉するメリットはほとんど無い。そもそも美鈴を追いかけてレミリアに出くわして見ろ。今度こそ攻撃されるぞ」
妹紅は大体予想が付いていた。もうフランドールが死んでいること、そしておそらくレミリアもそのことを知っている。そんな状況のレミリアが正気なわけがないのだ。
「いいか、私たちにとって一番『危険』なのはレミリア・スカーレットだ。最初の場面で攻撃されなかったのは奇跡と言っていい。美鈴が危険だと言うことは百も承知だが、美鈴とレミリアはあくまで主従関係でそこに危険は存在しない。それに身一つの美鈴があんなゾンビ共に後れを取るとは思えない。私たちが行ったところで面倒が増えるだけだ。あっちにとっても、こっちにとっても」
「・・・・・・ですが、もしかするとゾンビたちを操っている本体が屋敷の中に」
がしっ!
そう言って食い下がろうとしないジョルノに対して妹紅は舌打ちをして胸ぐらを掴む。
「それを倒すのがお前の役目か? 美鈴とレミリアと共闘してそいつをぶちのめすのがお前の義務か? 違うだろ、本来の目的を忘れるな。フランドールは十中八九死んだ。ドッピオは救出済み。これ以上ここにいても」
「ぐっ・・・・・・だからって人が危険な目に遭うかもしれないのを黙ってみてろって言うんですかッ!? それにまだ妹の方も死んだとは――――ッ!!」
苦しそうに反論するジョルノ。だが妹紅は冷めた目でジョルノを睨み付けた。ジョルノの背中に何か、寒気のような物が走る。
「――――お前が元の世界でどれほどの善人だったかは知らないがここは幻想郷だ。いいか、幻想郷は巨大勢力同士の抑止力でバランスが保たれている。『永遠亭』も『紅魔館』も規模は小さいが立派な勢力の一つだ。曲がりなりにも『永遠亭』に所属しているお前がこれ以上『紅魔館』だけの件に首を突っ込むのはここじゃ御法度、迷惑なんだよ」
「・・・・・・っ!」
妹紅がここまでジョルノを引き留めようとするのはかつて無かった。つまり、これ以上紅魔館側に関わるのは今までのと比べものにならないほどのことである。
「幻想郷にいる限り、ここのルールに従え。――――言ってみりゃこの騒動は十六夜咲夜とドッピオの人質交換みたいなものだった。かなり話が拗れてしまったが、この透明のゾンビたちは明らかに別件。私たちはただ『巻き込まれただけ』だ」
ジョルノは特に言い返す言葉はなかった。幻想郷は広そうに見えてかなり狭い世界だ。妹紅の言うことは筋が通っている。
「・・・・・・わ、分かりましたよ・・・・・・! だから、離してください」
ついにジョルノは折れた。美鈴の無事は気がかりだが、そもそもここには三人の怪我人がいる。この人たちを置いて行けるわけがない。
「・・・・・・ちッ。いや、悪かったよジョルノ・・・・・・。少し、言い過ぎた」
妹紅は首を振ってジョルノを下ろす。
「・・・・・・」
ふと空を見ると星空が白み始めていた。霧の湖から霧が立ち上っているのが分かる。既に時刻は午前4時を指していた。
とりあえず二人は美鈴を待つことにした。もし美鈴がレミリアと来てもこちらには十六夜咲夜とパチュリー・ノーレッジがいる。万が一にもレミリアが攻撃してきた場合の交換材料にもなる。
「・・・・・・もうすぐ夜が明けるな」
妹紅はそう言ったがそれっきり。それ以上両者に会話はなかった。
* * *
紅魔館地下、フランドールの自室で繰り広げられているのは破綻した論理で紅魔館を攻めてきた透明の人形使い、アリス・マーガトロイドと妹を殺された恨みを晴らそうとする永遠に紅き幼い爆弾魔、レミリア・スカーレットとの戦いである。
『リンプ・ビズキット』の付属効果でフランドールや魔理沙のスペルを二人の肉体の人形を介して間接的に扱えるアリスはあと一歩と言うところまでレミリアを追いつめた。だがレミリアは会話の中でアリスが透明なだけの人間であることに気が付き、体温があることを見抜くと形勢が逆転。『キラークイーン』第二の爆弾、シアーハートアタックを発動させた。
アリスは何とかシアーハートアタックを止めようとするが、もっとも温度の高い物体を爆破するまで止まらないシアーハートアタックに徐々に追いつめられていく。レミリア本体を先に殺そうとするもあえなく失敗し、アリスは絶体絶命のピンチに陥った。
パキィィンン!! と、ゴリアテ人形の両手に握られている二振りの両刃剣が砕け散る。
「・・・・・・刃が・・・・・・折れた!?」
鋼鉄製の刃が粉々に砕かれた。これ以上ゴリアテでシアーハートアタックは防げない。
「――――コッチヲミロォォ~~~!!!」
ズギャズギャギャギャッ!! と壁を砕きながら登ってくる爆弾戦車に対してアリスはもう打つ手がなかった。ゴリアテでさえ止めきれない戦車だ。手持ちの小さな人形でどうこうできる相手じゃあない。
「終わりよアリス・マーガトロイド!!」
ほぼ再生が完了した左手でビシィ! とシアーハートアタックの方向を指さしてレミリアは華麗に言い放った。
既にアリスの眼前にシアーハートアタックは迫っている。
「――――ッ!!」
ついにシアーハートアタックが光始めた。もうまもなく爆発する。アリスを完全に追いつめた。レミリアの勝利だった。
「取った!!」
ピカァァ! とまばゆい光を上げたシアーハートアタックは――――。
どすん。
「――――え??」
一瞬何が起きたかレミリアには分からなかった。シアーハートアタックは爆発寸前だった。だが、一体全体どういう現象なのか、シアーハートアタックは爆発せずに壁から地面に落ちたのである。
「・・・・・・な、どうしたのよ!? 『キラークイーン』ッ!!」
レミリアは背後の『キラークイーン』を睨んだ。だが彼女に『スパイスガール』のような自我はない。ただのレミリアの投影イメージに過ぎない『キラークイーン』がレミリアの求める答えを提示することはあり得なかった。
何が起きた、なぜアリスを爆破しなかった? と、レミリアが思っていると地面に落ちて動いていなかったシアーハートアタックが突然、走り出した。
「コッチヲミロォ~」
「――――? な、何をしているの??」
シアーハートアタックが走り出した方向には何もなかった。少なくともレミリアの視界には何も映っていなかった。
「・・・・・・待って、ど、どうして・・・・・・ッ!? 待てシアーハートアタック!! そこに『何』がいる!?」
レミリアの意志とは関係なく射程圏内でもっとも高温の物体に向かって走るシアーハートアタック。スタンド能力に例外はなく、『絶対』である。つまり、そこには必ず高温の物体がある。
しかも迷い無くシアーハートアタックはそこに向かっている。確実にアリスの体温より高温の物体があるのだ。何がある? 沸騰した水か? いや、高温の物体は突然現れた。直前までアリスを爆破しようとしていたのだから。誰だ? いや、何だ? 確実に人間の体温より温度が高い物体だ。たとえば――――そう、炎とか――――。
「――――禁忌『レーヴァティン』」
シアーハートアタックが走り出してから数秒遅れてアリスがそう告げた。その声はレミリアの耳に届く。と、同時に
「――――ッ!?? ま、まずい、『キラークイーン』ッッ!! シアーハートアタックを解除しろォォーーーーーーーーッ!!」
レミリアは分かった。そう、シアーハートアタックが向かう先にいるのは自分の妹の人形、フランドール・スカーレットの肉体だ。禁忌『レーヴァティン』はフランドールのスペルカード。狂気の炎を纏う凶剣を生み出す。もちろん、それは炎であるためかなりの高温だ。
アリスはレミリアにフランドールを爆破させようとしていた。
「シアーハートアタック、解除ッ!!」
すぐに『キラークイーン』をシアーハートアタックの元に向かわせ、右手に納めさせた。だが、その間ほとんどレミリアは無防備だ。何より焦っていた。妹を愛するが故、死んだ妹の亡骸を爆破することは不可能なはず、と読んだアリスの作戦は予想以上の効果を上げた。
焦りは隙を生む。
「その焦りは注意を散漫にする――――。自分の周りに人形が迫っていることにも気が付かないほどに、ね」
「――――は?」
ビュゥウン、と風を切る轟音がした。巨大な何かが空を切る音だ。自分の真上でした気がする。いや、それを認識するよりも早く、早く、レミリアの体は地面に無慈悲にも潰された。
ゴシャァッ!!
「ゴリアテの腕よ。思いっきり殴れば人間一人くらい軽く骨まで粉砕できるわ」
打撃に強い吸血鬼だがゴリアテのパワーはそれを上回る。避けようとしたレミリアだが反応が遅れた。
「あっ、あぁぁあああッ、痛い、痛い痛いぃぃいいい、あっ、いぎいいぐぎいいいいいいい!!!」
レミリアの胴から下が粉砕された。さすがの吸血鬼といえど、下半身を巨大ハンマーで叩き潰されれば泣き言も出る。これまで感じたことの無いような激痛がレミリアをおそった。
「あぐ、ぐぐ、うぎ、ぐ、っがあああぃ痛い、痛い、ぐ、ぅうう・・・・・・」
涙を滲ませながら潰された下半身からの離脱を計る。上半身を一心不乱に動かし、ゴリアテの腕からブチブチブチ、と下半身をつなぐ皮膚を引きちぎっていくが――――。
「・・・・・・!? や、止めろ、掴むな、あ、あ、やめ、やめて」
既に彼女の周りを人形が囲っていた。透明の人形たちはレミリアの上半身を掴み、ぶしゅ、ぶちゅ、と次々と血管を破裂させていく。
「や、やぁぁ・・・・・・」
回復する間もなく、血が、命が流れていく。レミリアの口から出る言葉は弱々しい叫びだけだった。血が足りない、力が抜けていく、寒い、寒い、寒い、怖い、怖い、怖い・・・・・・。
ぶしゅぅ、ぶしゅっとレミリアの至る所の血管は破裂し、もはや抵抗は出来なかった。
あぁ、もう、ダメだ。自分が死ぬのが分かる。これが、これが最期か。私の最期がこれか。お似合いだ、血塗られた人生だった。咲夜に対して犯した罪のお返しが今ここで全てやってきたんだ。こんなに惨めなのか、死ぬのが、惨めだとは思わなかった。こんなに怖くて、寂しいものとは思わなかった。あぁ、フランドールもこうして死んだのだろう。惨めで、寂しくて、怖くて、寒い。
――――ごめんね、咲夜。フランドール。私はもう――――。
* * *
そうやってレミリアが意識を手放そうとしたときだ。
「お嬢様ッ!!!」
(・・・・・・!? 紅美鈴、何をしに来た?)
アリスは美鈴の姿を見ると身構える。
扉を開いたのは美鈴だった。美鈴はこの状況を見てどう思っただろうか。部屋の真ん中でレミリアが死にかけている。半ば諦めようとしている。自分がどうすればいいか、何をすればいいか、ほとんど判断できなかっただろう。こんな極限状態は未だかつて無いのだから。ここで美鈴が判断を誤っても仕方がないことだった。レミリアの元に行くのはマズイ。周りに透明の人形がうじゃうじゃいる。言葉だ。美鈴は直感的にここで言うべき言葉を探した。レミリアの薄れ行く意識の中で最も有効だとなりうる言葉。
それは頑張れ、だとか、そういうものじゃあなくて。
「・・・・・・パチュリー様の治療が完了しました」
なぜ美鈴がそれを選んだのか、後で聞いてもおそらく答えられないだろう。勝手に口が動いたとしか言いようがない。ただ、それはレミリアが一番求めていた言葉だった。
「――――『キラークイーン』」
パチュリーの治療が完了した。そうか、あぁ、流石美鈴だよ。この状況で、死に行く私を焚き付けるのには一番の答えだ。
つまり、能力を思う存分使えるってことよね?
レミリアは意識を覚醒させて『立ち上がった』。体はまだ再生していない。下半身に至っては何もなかった。だが、立っていた。彼女の上半身を支える物は血だった。
「第一の爆弾ッ!!!」
そう唱えるとレミリアの周囲で爆発が起こった。『キラークイーン』がレミリアの流した他の血を爆弾に変えていたのだ。瞬時にゴリアテ人形ごと塵へと帰る。
「そんなッ!? 一瞬で私のゴリアテがぁ!!」
アリスは声を上げた。死にかけの小娘によって一瞬で戦力を失ってしまったのだ。
「お、お嬢様・・・・・・! その体は・・・・・・!」
美鈴は血の化身のような姿をした真っ赤なレミリアを見て呆然とする。まるで死人が動いているようだった。
「――――美鈴、命令よ。ここから逃げなさい」
レミリアは美鈴の方を見る。だが、その顔はもはやレミリアの物ではない。皮膚は殆どなく、目も無かった。先ほど人形に襲われたとき潰されていたらしい。その顔を覆う物はやはり、血。
その顔は美鈴に恐怖を与える。不吉な予感しかしない。
「今から1分後、紅魔館を爆破する。巻き添えを食らう前に逃げなさい。だけど、その前にちょっとでもいいから、あいつに――――」
『キラークイーン』は床にふれた。すなわち、『紅魔館』を爆弾化したのだ。
美鈴は答えられなかった。ただ、その場に立ち尽くすだけだった。分かってしまったのだ。言葉通り、数十秒にも満たない未来。レミリアは絶命する。
「ありったけの、恨みを」
彼女を動かすのは血の憎悪だった。
「お嬢様ァァァーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!」
「UUUURRRRRYYYYYYYYYYY!!!」
レミリアはアリスの居場所が分かっているかのように真っ直ぐ突っ込んできた。今のレミリアは敵を見ることは出来ない。だが、血は分かる。アリスが生身の人間だというのなら、血が通っている。その血の気配を頼りにレミリアは飛んだ。
「――――しま、った!? 蓬莱、ガード・・・・・・ッ!」
だが、レミリアの狙いはアリスではなかった。『キラークイーン』は目標の物体を見事に攻撃していた。
アリスが守るように背後に置いていた、霧雨魔理沙の人形の頭部を粉砕した。
「ま、ま、魔理沙ァァァーーーーーーーーーーッッ!! こ、の、クサレカスがァァァーーーーーーーーーーーーッッ!!!」
アリスは叫ぶ。そして血の化身と成り果てたレミリアを人形を用いてむちゃくちゃに攻撃した。だが――――。
ずぶっ。ずぶっ、ぬぷ。
「――――!?」
「手応えが無いだろう? 文字通り、私は今『血』だからね・・・・・・」
レミリアの体はもはや血液の塊だった。いくら人形で攻撃しようとも無意味。
と、『キラークイーン』がアリスの顔面に拳を入れた。
パキョォ!
「ぐ、ぷ・・・・・・!? ぎ」
血の腕では攻撃は出来ないが『スタンド』は物理。つまり、アリスにレミリアを攻撃する手段はなく、レミリアはその逆。
「・・・・・・顔面の骨・・・・・・それのどれかは知らないが、折れたようね。鼻か? 頬か?」
正確には鼻っ柱だ。アリスは鼻から大量に血を噴出する。
「まぁ、どれでもいい。だがそれは私が折ったんじゃあない・・・・・・お前に恨みを持って死に、人形になりはてたフランドールが折ったと思え」
レミリアは言葉続ける。動けないアリスに向かって静かに言葉を並べていく。
「この次は右足で蹴るが・・・・・・、これもフランドールがおまえを蹴ったものと思え。・・・・・・この次の次のも。この次の次の次のも。この次の次の次の次のも」
レミリアは『キラークイーン』の拳に、足に力を込める。もはやアリスに為す術は無い――――。
「フランドールのぶんだあァァァァァーーーーーーーーーーッッ!!! これも!! これも!! これも!! これも!! これも!! これも!! これも!! これも!!」
妹の恨みは姉の怒りに代わり、狂気に満ちた悪夢を粉砕した。
* * *
「お嬢様! その姿は・・・・・・!」
美鈴はレミリアの戦いが終わったのを見て駆け寄ろうとするが、レミリアはそれを止めた。
「来るな美鈴ッ! いいから早く逃げろと、言ったでしょう・・・・・・! 私の命令を聞きなさい!」
レミリアは、ばっ! と右腕を突き出す。だが、その腕はどろぉ~~っと崩れていき地面に落ちた。
「残された時間はあと30秒よ。もう爆破するわ・・・・・・何より、私はもう助からない」
美鈴の目から見てももはやレミリアは限界だった。体を捨てて血だけで形状を維持するのはいくら吸血鬼といえど、不可能なことである。回復に回すはずのエネルギーを血の形状維持に使ってしまっているからだ。
「で、ですが、まだ!」
「違うわ美鈴。言いたいことは私の生き死にの次元じゃあない。敵はまだ死んでない。つまり、敵の能力は継続中よ」
「・・・・・・!」
レミリアは自分の残された下半身を見る。それは僅かに透けていた。
「既に・・・・・・私も透明化が始まっているわ。もう助からないってのはそういう意味よ」
レミリアの血で出来た体はドロドロとどんどん崩れていく。レミリアにも透明化が始まっている影響なのか、それとももう死が避けられない運命だからか。
「じゃ、じゃあ爆破するっていうのは・・・・・・御自分ごと敵をッ!?」
「そうよ。後20秒。いいから早く行きなさい!!」
レミリアのこれ以上犠牲者が出ないための決断だ。美鈴はそれを無碍に出来なかった。頬からはいつの間にか涙が流れていた。
ばっ!
「お、お嬢様・・・・・・!」
美鈴はその場に片膝を着いて頭を下げた。最期の忠誠を示すためだ。それを見たレミリアは満足げに頷いて。
「・・・・・・最期に、生きて咲夜に伝えなさい」
おし黙った美鈴にレミリアは優しく声をかけた。
「心から幸せを願ってるわ、って」
「・・・・・・っ!! か、な、必ずッ!!!」
後15秒。美鈴は涙を堪えきれず、大量の滴をこぼしてその場を後にした。
あと10秒。ほとんど動かない体を『キラークイーン』に無理矢理引きずらせて、レミリアはある方向に向かっていく。それはシアーハートアタックが向かっていった場所。
フランドールの人形がいるはずだ。
後5秒。ようやくレミリアはフランドールの元にたどり着いた。残った左腕でフランドールを抱いて瞼を閉じる。
冷たい。だけど妹の体だ。分かる、私には分かる。ほとんど感触はないけど、魂の痕跡がある。
「・・・・・・」
レミリアはフランドールを抱きながら思った。
もう一度、もう一度、あなたと、あなたと私だけの世界で会話がしたい。
――――1分。
* * *
爆発の瞬間、美鈴はぎりぎりで紅魔館の正面扉から転がり出た。
凄まじい爆風と共に美鈴は一気に正門まで弾きとばされる。だが妖怪である彼女は身体面ではかなり丈夫だ。正門に頭こそぶつけたが大した怪我ではない。
そこに丁度ジョルノと妹紅もいた。
「――――美鈴!?」
「この爆発は何なんですか!?」
突然の爆音に驚いたジョルノと妹紅だったが直後に美鈴が飛んできたものだから更に驚く。二人は早口に美鈴に尋ねた。――――美鈴の眼からは涙が流れている。美鈴は紅魔館の方を見て声を上げる。
「お、お嬢様・・・・・・妹様・・・・・・ッ!! う、うわああああああああ~~~~~~ッッ!!」
「・・・・・・美鈴」
妹紅とジョルノは全てを察した。でなければ美鈴がこんなに取り乱すことはない。二人は今もなお爆音が続く紅魔館を見た。炎があがっている。深い赤色、深紅の炎が立ち上っている。
「うううう~~~~・・・・・・わぁああああああああ・・・・・・!!! ぐっ、えぐっ、ううう~~・・・・・・」
美鈴もその炎を見て無念を表現する嗚咽を漏らした。何が至らなかったのか、どうして、どうしてこんなことに――――。
炎は、深紅の炎は二人の死を弔うように十字架の形をしていた。
「うわああああああああああああああ!!!!」
二人の目を厭わず、美鈴はただただ懺悔するように泣いた。
* * *
レミリアの攻撃を受け続けたアリスは血を吐きながら部屋の片隅でボロ布のように転がっていた。動けない、人形を操る力も無い。
「・・・・・・う、うぐ、ええぇ・・・・・・」
なぜか、なぜか涙が流れた。周りを探しても何もなかった。魔理沙は、魔理沙は?
違う、違う、違う! 魔理沙はさっき死んだ。魔理沙は、もう、戻ってこない・・・・・・。
「ま、あ、りさ・・・・・・うぅ、魔理沙・・・・・・、・・・・・・」
魔理沙はもう死んだのだ。私の世界から消えたんだ。魔理沙のいない世界なら私は――――。
意識が消える。眠るように、アリスは眼を閉じた。その後の大爆発を彼女は知る由もない。
眼を開くとそこはいつもの部屋だった。見慣れた光景、自分の部屋だ。人形に関する知識をまとめたノートと、紅茶のカップ。すすけた電球に上海人形。
「・・・・・・ここは?」
いや、自分の部屋だ。どういうことだろうか。さっきのは夢だったのか?
「アリス!」
と、私の名前を呼んだのは・・・・・・白黒の服を着て帽子を深く被った少女の姿だ。
「・・・・・・魔理沙?」
一瞬彼女の声だと分からなかった。姿は見慣れているのに、肉声を聞いたのは初めてのような気さえした。
「・・・・・・どうして? あなたは、さっき・・・・・・」
気が動転する私を構わず後ろから魔理沙は優しく抱えた。
「・・・・・・いいんだ、もう。終わったんだぜ・・・・・・。アリス」
私は訳が分からなかった。あなたは、さっき・・・・・・、と自分で言ったけどどうしてそんな言葉を発したのか分からなかった。
魔理沙は『ここにいて当然じゃあないか』。だって私は『魔理沙の為に生きてる』んだから。
「アリス、あぁ、アリス、アリス。私は今幸せだぜ・・・・・・」
魔理沙は私をさっきより強く抱きしめた。『幸せ』という単語に私までもが『幸福感』に包まれる。そうか、『魔理沙の幸せは私の幸せ』なのか。
「アリス、もうアリスは私以外『見えなくなる』んだ。そして私以外『全て忘れる』んだぜ・・・・・・?」
その言葉を聞いた瞬間、私の視界から『魔理沙以外の物が消失』した。そして記憶から『魔理沙に纏わること以外が全て消失』した。
「あ、・・・・・・魔理沙? 魔理沙・・・・・・?」
そして私の『言葉も固定された』。魔理沙という単語しか話せなくなっていた。まるで全てが魔理沙の思い通りの世界だ。
「そう、そうだぜアリス。・・・・・・アリスが私にしたように・・・・・・今度は私がアリスを・・・・・・」
魔理沙が私の体をそっと抱いた。だが、その感覚ももはや分からなくなっていた。視界には魔理沙しかいない。耳に聞こえるのは魔理沙の声だけだ。触れているものは魔理沙の体だけ。
「・・・・・・魔理沙、魔理沙、魔理沙・・・・・・」
私はただうわ言のように繰り返すだけだった。それしか出来ない。魔理沙以外、何もない。
「・・・・・・魔理沙・・・・・・魔理沙・・・・・・魔理沙」
・・・・・・魔理沙。魔理沙、魔理沙、魔理沙・・・・・・。
* * *
午前7時。ジョルノ・ジョバァーナ、藤原妹紅は無事永遠亭に帰還した。また、行方不明だったヴィネガー・ドッピオや紅魔館の生き残りの住人達も引き連れていた。
レミリア・スカーレットの最期を見届けた紅美鈴は十六夜咲夜を抱えて永遠亭に。ジョルノはドッピオを、妹紅はパチュリーをそれぞれ抱えていた。
「・・・・・・美鈴、今後どうするんだ? お前達」
妹紅は帰り道の途中で美鈴に尋ねた。
「・・・・・・さぁ、私にはもう守るべき門は無いですからね・・・・・・」
美鈴は暗くトーンを落とした声で空しそうに呟いた。それを見ていたジョルノは妹紅を小突く。
「痛い! 何すんだよジョルノてめぇ」
「あなたには神経が通ってないんですか? 今そんなこと彼女に聞くとか、アホですよね」
「何だと誰が・・・・・・」
と、妹紅は言い返そうとしたが流石に自分でも不謹慎だと思ったのだろう。言葉を飲み込んで口を噤んだ。
「・・・・・・お二人次第です。咲夜さんと、パチュリー様の」
美鈴は笑おうと努力をしているが、眼には悲しみの色が強く残っていた。
「・・・・・・」
ちなみに、とりあえず怪我人保護施設でもある永遠亭で十六夜咲夜とパチュリー・ノーレッジは一旦預けられる。だが、それもその場しのぎにしかならない。
「・・・・・・怪我を直すことが最優先ですよ。体も、心も癒えるまではいつまでも家にいて大丈夫です」
ジョルノはそう答えた。いつお前の家になったんだ、と妹紅は言いたかったがやめる。そういう雰囲気ではない。
「ありがとうございますジョルノさん」
美鈴は素直に礼を言った。ジョルノや妹紅にとっては驚異だったスカーレット姉妹だが、美鈴にとっては掛け替えのない主人だった人物だ。きっと心にできた隙間は大きいはずである。
ジョルノは「どういたしまして」と、優しく笑顔を美鈴に向けた。
三人は永遠亭にようやく帰ってきた。あれから丁度一日が経過しているが。
「・・・・・・何もなければいいんだけどな」
妹紅はそう呟いてからドンドンと、扉を叩いた。
「おーい、てゐ! いるか? ちょっと手伝ってくれ」
しばらくすると、永遠亭の中からドタドタと慌ただしい足音がして――――。
「いっらしゃい!! 今は営業時間外だぞっ!」
見た目年齢7歳くらいの可愛い小さな幼女が中から元気よく現れた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
三人はお互いの顔を見合わせる。勿論、誰一人としてこんな幼女は見たことがない。どういうわけか、大人用のそのちんまりした体には似合わない白衣を身に纏っているが・・・・・・。
「え~~っと、ちょいとお嬢さん。お医者さんごっこかな? 何でここにいるのかな・・・・・・?」
妹紅はその幼女の目線の高さに合わせてしゃがんだ。ひきつっているが笑顔を作っている。頑張れ妹紅。
「何で・・・・・・って何で? ここは私のおうちよ?」
流石の妹紅もこの幼女の発言には首を捻らざるを得ない。後ろの二人も疑いの目で幼女をにらんだ。だがその白衣を着た幼女は純粋そうな瞳で妹紅を見つめ続ける。
「・・・・・・新しい妖怪ウサギか?? てゐが助手でも頼んだのか・・・・・・えっと、てゐっていう人知らないかな?」
そう思いながら妹紅はにっこりと笑って幼女に問いかける。するとその子は「う~んと、ね」と言って指を頬に当てながら永遠亭の方を振り向いて
「て~~~~ゐ~~~~ちゃん!」
と可愛らしくてゐの名前を呼んだ。すると今度はバタドタガッシャンとかなり慌ただしくてゐが玄関にすっ飛んできて
「どう、ど、どう、どうしました『永琳』様ッッ!!??」
その場にいない人物の名前を叫んだ。そして息を整えて玄関先にいる三人を見つけるとサァァーーーッという音が鳴りそうな勢いで顔面が蒼白し
「・・・・・・お、おかえりウサ・・・・・・」
「・・・・・・寝起きだろお前。寝癖すんごいぞ」
てゐは「ははは・・・・・・」と苦笑いしながら右手を挙げた。
「いや、妹紅突っ込むべきところはそこじゃあない。っていうかわざとでしょう今の」
ジョルノがずい、と前に進み出る。
「・・・・・・そ、そうだな・・・・・・うん。わざとかもな・・・・・・」
妹紅は首を傾げている。まさか、いや、そんな、どうした?
「・・・・・・?」
玄関の外に妹紅とジョルノと美鈴、玄関の内側にてゐ、そして両者の間の玄関の内と外の境目に幼女。この子も首を傾げている。
と、ジョルノは率直に、単直にてゐに尋ねた。
「・・・・・・永琳さんってどこにいるんでしょうか?」
「・・・・・・・・・・・・」
てゐはおもっくそ目を上下左右に泳がせた。ぶわぁ! と音が立つくらい一気に鳥肌を立てた。ナイアガラも真っ青なくらいの冷や汗が流れ落ちた。
そしてジョルノの問いかけに答えたのはてゐではなく――――。
「はい! 私が永遠亭の主人! 八意永琳ですよっ!!」
両者の間にいた小さな小さな幼女が誇らしげに手を挙げたのだ。
「「「うっそおおおおおおおおッッ!!??」」」
「・・・・・・嘘じゃあないウサ・・・・・・ど、どうしてこうなったし」
三人は愕然と、まさに開いた口が塞がらず、といった状況。対して、てゐはひたすら頭を抱えていたのだった――――!
第30話へ続く・・・・・・
* * *
後書き
お疲れさまです、そして同時に礼を言わせてください。
第一章『ファントムブラッド』決着ゥゥーーーーーーーーーッ!!(背中にある星のアザを親指で示す)ありがとう読者のみなさん!
はい、というわけで勝手に第一章の名前をジョジョの第一部の副題と被せてみました。じゃあ第二章は戦闘潮流かな? いや、この話の繋ぎ方からしてそれはあり得まい。
まぁ、『吸血鬼』『血』『ゾンビ』とかが結構象徴的な話でしたからね。最後はレミリア様のカリスマが爆発(いろんな意味で)。芸術は爆発だ。そしてカリスマでもある。
しかし・・・・・・メインキャラが沢山お亡くなりになられてしまった・・・・・・。レミリア、フランドール、魔理沙、アリス・・・・・・惜しい人たちを亡くしましたな・・・・・・(妖怪1人足りない)。
ということで色々ありましたが第一章が無事完結しました。感想・批判などなどお待ちしています。第二章は現在構想を考え中です。最初の2個くらいの話はもう考えてます。
最後になりましたが、ここまで読んでくれた方々に感謝を申し上げます。ありがとうございました。
* * *
ボスとジョルノの幻想訪問記 おまけ
字数かせg・・・・・・章変わりのキャラクター紹介コーナー①
ここではキャラ紹介をしていきたいです。決して字数稼ぎじゃあないぞ。ちなみに【】の中はこの作品限定の二つ名です。作者が黒歴史だと思ったら消します。
①【腰抜け】ディアボロ スタンド『キングクリムゾン』
この作品の主人公。活躍しないことで有名。ピンクの髪の毛に緑の黴・・・・・・もとい斑点が特徴の30代後半のおっさん。元の世界で何回も死んで同然の悪事を働いた後、ジョルノに終わりがないのを終わりにされる。その後幻想入りして何とかして元の絶頂生活に戻る方法を画策中。ちなみにレクイエムのせいで幼女恐怖症という病にかかっている。症状としては幼女を見た際に『発汗』『動悸』『息切れ』『めまい』『極度の興奮状態』『幻覚』などを引き起こす。同じような症状の方は是非ヤゴコロクリニックへ。
スタンド能力は強力。『時を十数秒まで消し飛ばす程度の能力』と『十数秒後までの未来を予知する程度の能力』の二つを持つ。(正直扱いづらい)
②【未来予知君】ヴィネガー・ドッピオ スタンド『墓碑名』
この作品の主人公の二重人格者の方。こっちが主に活躍する。ピンクの髪の毛だが黴は生えていない。元の世界では物体を電話に見立ててディアボロと更新していたが幻想郷では記憶がないため更新不可となっている。ジョルノとは友達になった。
スタンド能力は『十数秒後までの未来を予知する程度の能力』。ここで予知した内容が覆ることは絶対にあり得ない。
③【黄金の精神】ジョルノ・ジョバァーナ スタンド『ゴールドエクスペリエンス』
この作品の主人公その2。本作はダブル主人公だがこっちのほうが活躍しがち。金髪に巻き髪、通称『コロネ』をおでこにのっけている。スタンドがレクイエムに進化していないのにディアボロが死に続けている理由は未だに不明。元の世界での記憶はないが、鈴仙や妹紅、チルノのスタンドに対して僅かに親近感を覚えている。
スタンド能力は『生命を生み出す程度の能力』。凄まじいくらいの応用力を持つご都合主義的能力。
④【6匹と1人】鈴仙・優曇華院・イナバ スタンド『セックスピストルズ』
実はメインヒロイン枠。長い薄紫のストレートにウサ耳を乗っけた女子高生。活躍しようと頑張るが結構空回りしている苦労人。第一章ではこれから、という所で再起不能になってしまい、メインヒロインの座を藤原妹紅に奪われた。
スタンド能力は『銃弾を操る程度の能力』。6匹の小さなてゐ達が鈴仙の弾幕を縦横無尽に弾き、多面的な攻撃を得意とする。弾幕勝負で使うとかなり強い(はず)。
⑤【小さな小さな天才】八意永琳 スタンド無し
なんと、本作品のロリ枠。ディアボロの天敵。不老不死であらゆる薬を作ることができる天才。白く美しい長髪の上に変な色の帽子を乗っけている。第二章から小さくなって登場する。小さい永琳さん・・・・・・ぐふ、ぐふふ、じゅるり。あだ名はろーりんです。みなさんよろしく。
⑥【ウ詐欺】因幡てゐ スタンド無し
本作品では傍観者的立ち位置。(ロリだが口調が大人びているのでロリ枠では)ないです。黒髪でウサ耳が生えている。人に幸運を授ける能力のくせに人を騙すのが得意。よく落とし穴に竹槍を仕掛けて問題を引き起こす。ディアボロが永遠亭に来ることになったのも大体こいつのせい。
⑦【引きニートは働かない】蓬莱山輝夜 スタンド『???』
永遠亭の若き(?)姫君。1日の12時間は寝ている。残りの12時間はゲームをしている。その他のことは能力でなんやかんやして成し遂げている。一応スタンド使いだが能力は一切不明。本人も興味はなさそうだし、発現せずに終わりそう。
⑧【人生波乱万丈】藤原妹紅 スタンド『スパイスガール』
本作品の準ヒロイン・・・・・・のはずだがいつの間にかメインヒロインになりそうな人物。ちなみに可哀想枠の可能性も・・・・・・。白く美しい髪にリボンをしている。普段はモンペ姿だが、霊夢と戦った後は実はずっと振り袖で行動していた。誰か突っ込んであげて。また最近では勘違い系ドジっこキャラ属性が追加されたとか。不死なので逆に命あるものを大切にする。しかし、命を粗末にするものには容赦はしない。
スタンド能力は『殴ったものを柔らかくする程度の能力』。これもかなり万能な能力。ちなみに『スパイスガール』には自我があり、妹紅と会話もできる。かなり口が悪い。
⑨【愛すべき馬鹿】チルノ スタンド『エアロスミス』
狙いすましたかのように⑨番目に紹介される程度には可哀想な頭の持ち主。えっへん、やごほん、などとわざとらしく偉そうに振る舞う辺りに馬鹿馬鹿しさを感じる。
スタンド能力は『飛行機から射撃・爆撃を行う程度の能力』。チルノ本体が扱うより自動操縦にした方が何倍も強敵。
⑩【この門を通りたければ】紅美鈴 スタンド無し
よく倒される人物。大体はずか死する。ヤ●チャ的ポジション。強いはずだがどうしても美鈴が闘うとギャグっぽくなる。実は波紋戦士だが幻想郷の吸血鬼はジョジョの吸血鬼とは若干性質が違う上に美鈴はその吸血鬼に仕えているので全く意味がない。
⑪【居候】パチュリー・ノーレッジ スタンド無し
紅魔館の住人・・・・・・ではなくただの居候。勝手に住み着いている。レミリアとは友人の関係で結構親しい。たまに喀血している。吐血もする。実は結構出血が多いキャラ。インドア派なのに、どういうことなの? 第二章以降も永遠亭の他にもどこかに居候するかも。
⑫【無慈悲な暴力の被害者】小悪魔 スタンド『ティナーサックス』
パチュリー・ノーレッジに使役されている小悪魔。名前は無い。スタンドが発現してから紅魔館のセキリュティ部隊も兼業となった。本作品もっとも不遇な扱いを受けた人物。恨みはないです。
スタンド能力は『幻覚を見せる程度の能力』。あっさりとディアボロに看過されてしまう。
⑬【氷上の姫君】十六夜咲夜 スタンド『ホワイトアルバム』
27歳独身。本作品のメインヒロインその2。日頃からレミリアやフランドールのワガママに嫌気が刺しており、ついにメイド長を辞職。その後紆余曲折あってドッピオと結婚を前提に付き合うことに。ついに人生に春がやってきた咲夜だが、レミリアの本当の気持ちを知らずに彼女と離別した。
スタンド能力は『氷の世界を作る程度の能力』。『キラークイーン』の打撃でさえ傷一つ付かない防御力を誇る。気化冷凍法も使える。
⑭【超・カリスマ】レミリア・スカーレット スタンド『キラークイーン』
500歳でまだ幼女の吸血鬼。人間を見下しており妹のフランドールを溺愛している。自身のことをカリスマの権化と思っており、美的感覚はかなり鋭い。死に際には赤い霧を操る能力を応用して自分の血を自分の体として集めて闘い、最期までカリスマがなんたるかを示した。多分第一章で一番強い人。
スタンド能力は『触れた物を爆弾に変える程度の能力』と『もっとも温度が高い物体を爆破する程度の能力』の二つ。一つ目の能力の汎用性の高さは凄まじく、『物体の原型を留める』という付属効果のおかげで触れるだけで応急処置が可能となる。
⑮【表裏一体】フランドール・スカーレット スタンド『クレイジーダイアモンド』
495歳で魔法使いにして吸血鬼。相反する二つの性質の能力を持つ彼女はまさに表裏一体のシリアルキラー。しかし、一切の描写もなくいつの間にか死んでいた。鈴仙の精神をぶっ壊したのも彼女。レミリアが窮地に追い込まれたのもフランドールが簡単にアリスに負けたせい。とはいえ彼女を責めるのは余りに酷。責めるなら私を責めろ! 彼女に一切の罪はない! 文句を言うなら私に言え!
スタンド能力は『ありとあらゆるものを直す程度の能力』。不死である妹紅や永琳を再起不能にできる唯一の能力といってもいい。
⑯【マネーライフ・ウィルカムトゥルー】博麗霊夢 スタンド『レッド・ホット・チリ・ペッパー』
24歳独身。神社経営や妖怪退治だけじゃ食っていけなくなったので人里で風俗店の管理人をしている。元々彼女自身も風俗嬢だったが淡泊な性格のせいでマグロ認定。あんまり稼げなかったので経営者(を脅して経営者)になった。
スタンド能力は『お金をパワーに変える程度の能力』。お金を媒介にして攻撃したり、霊夢自身がお金を接種することで自身にスタンドパワーを宿らせたりできる。力を強化して物理で殴れ。
⑰【ようこそ、夢の世界へ・・・・・・】霧雨魔理沙 スタンド『死神13』
享年23歳。アリスによって人形化し肉体は少女のように若返った。人形となってからスタンド能力に目覚めたため、無意識ではあるが能力が使える。ディアボロに破壊された後、アリスの能力によって再び人形として生かされる。
スタンド能力は『対象を夢の世界へ引きずり込む程度の能力』。最初はこの能力をアリスからの呪縛を逃れるために無意識のうちに使っていた。
⑱【魔理沙魔理沙魔理沙】アリス・マーガトロイド スタンド『リンプ・ビズキット』
魔理沙魔理沙魔理沙、魔理沙・・・・・・魔理沙魔理沙・・・・・・魔理沙・・・・・・魔理沙、魔理沙、魔理沙・・・・・・魔理沙・・・・・・・・・・・・。彼女は今もどこかで呟いてるだろう。
スタンド能力は『死んだ生命を透明の人形として生き返らせる程度の能力』。アリス自身はこの能力で透明化した生物はみんな魔理沙の友達になると信じていた。ちなみに、この能力で人形化した人物はスタンドは使えないがスペルカードは使える。スタンドは精神に付随し、スペルカードは肉体とカード媒体に付随するため。人形化してからスタンド使いになった魔理沙などは例外。
⑲【無邪気な迷惑】サニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイア スタンド『ボーイ・Ⅱ・マン』
馬鹿な順からサニー、ルナ、スター。いたずらが大好きで今回はチルノと一緒にジョルノと妹紅を苦しめた。ちなみに本作品で唯一ジョルノによってゆっくりしていった奴らでもある。
スタンド能力は『かくれんぼで負けた相手のスタンド能力を奪う程度の能力』。この三人にかかればほぼ無理ゲーと化す。
⑳【裏主人公】八雲橙 スタンド『牙』
実は裏主人公だったりする。本作品では八雲の姓をもらっている。紫や藍の命令を受けて日々スタンドにまつわる仕事で幻想郷中を飛び回る。今後の成長が楽しみなキャラ。真面目でしっかり者。だがよく負けている。
スタンド能力は『爪弾を操る程度の能力』。『牙』自体は弾幕とあまり変わらないが、穴が追いかけてくるのは汎用性が高い。だが、空を飛ばれると打つ手がなくなる。
他のキャラの紹介はまた後でします(多分)
ではまた、30話で。
ページ上へ戻る