双子星
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第六章
「逃がす、後はだ」
「特殊部隊がですね」
「彼等が」
「さらに痛めつけてくれる」
その逃げていく敵軍をというのだ。
「我々はこれ以上は深追いしない」
「わかりました、それでは」
「我々はこれで」
ソドムの部下達は彼の命令に従ってこれ以上は進まなかった、そうしてだった。
彼等は勝利を祝った、勝利を収め武勲を挙げたそれを。敵軍は彼等が追ってこないことにまずは安堵した。
だがすぐにだった、撤退するその中で。
執拗に奇襲を受けてだ、混乱状態が続いていた。
「一体何処から来るんだ」
「敵はまだ追ってきているのか?」
「それとも補給を脅かしていた連中か?」
「奴等が攻めてきているのか?」
「くそっ、またか」
話しているその時もだった、彼等の目の前で。
爆発が起こり兵達が吹き飛ばされる、彼等はそれを見て忌々しげに言った。
「地雷だ」
「一体幾つ地雷を置いているんだ」
「俺達の退路にあらかじめ地雷を置いているなんてな」
「随分手が込んでいる」
「何もかも読まれているのか」
「何てことだ」
このことにも忌々しげに言うのだった。
「折角百万で攻め込んだっていうのに」
「絶対に勝てる戦争だったのにな」
「これが何だ、惨敗して逃げる時もな」
「こんな有様だ」
「酷いことだ」
彼等は奇襲を受け地雷に怯えながら逃げた、また無能な将帥達に統率が取れる筈もなく多くの落伍者が出た。
そうして彼等は総兵力の三割以上を失って祖国に逃げ延びた、その多くの落伍者達はほぼ全てソドムとゴモラの軍に捕らわれ捕虜となった。
王は武勲を挙げて凱旋した二人にだ、満面の笑顔で言った。
「二人共よくやってくれた」
「私もですか」
「当然だ」
その笑顔でだ、王はゴモラにも言った。
「見事な武勲だった」
「そう言って頂けますか」
「私は戦場にいませんでした」
「しかし敵の補給を脅かしだ」
それに、というのだ。
「偽の情報で敵の将帥を無能な者達に交代させ敵の撤退の時も痛めつけてくれました」
「それが、ですか」
「そなたの戦場だった」
まさにそれだったというのだ。
「そなたはそれをよく果たしてくれた」
「だからですか」
「そなたもまた戦場で戦い武勲を挙げた」
ソドムと同じく、というのだ。
「ソドム将軍は主力で守りを固め敵の侵入を防ぎそして打ち破った」
「それが、ですね」
今度はソドムが王に応えた。
「私の武勲ですね」
「その通りだ、しかも二人共多くの捕虜を手に入れてくれた」
このことも言う王だった。
「彼等は利用させてもらう」
「あの国との外交交渉にですね」
「そうするのですね」
「捕虜は返す」
殺しもしないし強制労働にも従事させずに、というのだ。
「しかし只では返さない」
「外交カードとして使い、ですね」
「そのうえで返すのですね」
「そうだ、捕虜つまり自国民を見捨ててはその政権の信頼と威信は失墜する」
それもこれ以上はないまでにだ。
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