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ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―

作者:Nation
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月光校庭のエクスカリバー
  第45話

 
前書き
学園の決戦前編です。
是非見ていってください。 

 
 正門から学園に入った。今は学園が敵地と言うことですぐにプロモーションで『女王』に昇格する。
 真直ぐ校庭に向かっている途中に部長から声がかかった。
「イッセー。今回あなたにはサポートに回ってもらうわ」
「サポートですか?」
「ええ。あなたのブーステッドギアは自身をパワーアップさせると同時に、譲渡でチームメンバーの力を格段に上げることもできる。今回は譲渡の力を中心に使って頂戴」
 素のスペックが俺よりも段違いの部長や朱乃さんに力を渡せばすさまじいモノになる。アーシアに渡せば即時治療なんてこともできるかもしれない。
「わかりました!」
「ところでライザーの時に聖水と十字架の二つに譲渡していたけれど、複数に同時に譲渡できるのかしら?」
 ああ、そういえばそんなことをしたっけ。あの時は咄嗟と言うか夢中だったからよく覚えてないんだが、どうなんだ?ドライグ。
「『二つまでなら可能だな。だがそうすると、どちらも倍増分の7割程度しか譲渡できなくなるが』」
 なるほどな。
「本来の7割くらいに落ちますが、二つまでなら」
「二つね。後、ブーステッド・ギアの倍加は何回まで使えるかしら?」
 俺の神器は使用限界がある。力を何度も倍加させることのできる神器だ。そんなのが連続で何度も使えるわけがなく、一回での倍加にも限界がある。ライザーとのゲームでも限界が来て機能が停止して、俺自身も力が一気に抜けた。
 そう言う部分では朔夜の神器はわかりやすいな。溜めている分なら何度も使えるんだから。
「現時点の俺の体力と合わせると、限界までの引き上げで四回・・・いや、四回目で俺自身がぶっ倒れそうになるんで三回と考えてください」
 小分けにすればもう少し回数は増えるだろうけど、そんなことを言える相手じゃなさそうだし。
「無駄打ちは禁物ね。わかったわ」

 校庭に着くと、俺は異様な光景に言葉を失った。
 校庭の中央に奇妙な模様、魔法陣が描かれておりその要所に5本のエクスカリバーが空中に浮いて神々しい光を放っていた。
 魔法陣のすぐそばにはバルパー・ガリレイが居た。いったい何をするつもりなんだ?
「これはいったい・・・?」
「5本のエクスカリバーと1本に統合するのだよ」
 俺の疑問にバルパーが答える。
「バルパー、後どのくらいで統合できる?」
「っっ!!」
 突如上から声が聞こえた!
 俺たちはすぐに上空を見上げた。そこには声の主、コカビエルが宙に浮かべた椅子に座り見下ろしていた。
「五分もかからんよ。コカビエル」
「そうか」
 その答えに反応したのはコカビエルだけじゃなかった。
「なら五分以内に貴様を止めれば統合を止められるという事か?」
 ゼノヴィアはバルパーを睨みながら聞く。
「いや、無駄だよ。この術式はすでに私の手を離れた。今更私を殺したところで統合は止められん。ああ、無理やり止めることもしない方がいいだろうな。暴走を起こせばどうなるか、私にすらわからん」
「そうか」
 忌々しそうにゼノヴィアは呟いた。
 どこまであのジジイの言うことが本当か分からねぇけど迂闊に触るってのも危険だろうな。こういうことは朔夜の出番だけど居ないし、そもそも朔夜ですら止められるか疑問なものを俺が分かるわけもない。
「それで、サーゼクスはいつ来る?それともセラフォルーか?」
 コカビエルは部長に視線を向け問いかけた。
「お兄様やレヴィアタン様の代わりに私たちが―――」
 ドゴォォォォォン!
 部長の言葉が爆音にかき消され、爆風が吹き荒れた。
 爆風が収まり、巻き上げられた砂煙が収まるとそこには馬鹿でかい光の柱があった。
「つまらん。まぁ前座にはなるか」
 ちょっとまて。確かあそこには体育館があったはずだ。まさかあの光の柱で吹き飛んだのか!?
 と言うことはあれは堕天使が使う光の槍か!なんてデカさだよ!あれと比べると俺が春に夕麻ちゃん―――レイナーレやドーナシークに喰らった槍が針に思える。
『ビビってるのか?相棒』
 ドライグが直接語りかけて来る。
 ビビるに決まってるだろ!あんなん、規格外じゃねぇか!次元が違いすぎる!
『そうさ、次元が違う。古の大戦で魔王や神と戦い生き延びたほどの強者だ』
 俺はあいつに勝てるのか?
『いざとなったら体の半分をドラゴンに変えてでも打倒してやるさ。倒せなくとも一時間くらい動けないほどのダメージを与えればいい。その後は魔王に任せればいいさ』
 そういうレベルの存在ってわけね。肚くくったつもりだったけど甘かったか。
 でも、鎧の具現化は最終手段だ。十秒しか強くなれないし、前みたいに途中で切れる可能性だってある。あれから強くなったと思うけど、あの時以上に力を上げるんだ。使用するのは一か八かの瀬戸際だろう。
「さて、地獄から連れてきたおれのペットと遊んでもらうか」
 コカビエルが指を鳴らすと新しい魔法陣が現れて輝く。そこからでかい何かが現れた。
 校舎の4階に届くくらいの大きさの黒い体。太い脚を4本持ち、そこから生える爪は見るからに鋭い。夜だってのにはっきりと見える赤い目に凶悪極まりない牙。
 わかりやすい例えは巨大な黒い犬が近いと思うが、それだけじゃ足りない。
 なんてったって顔が三つもある。一つの体に首が三つの巨大な犬だ。
 ゲームでこんなやつ見たことあるぞ!
 ガオォォォォォォォォォォオオオン!!
 うるせぇ!三つ同時に吠えやがった!
「地獄の番犬、ケルベロス」
 朱乃さんが呟いた。地獄の番犬って・・・。
「ヤバいんすか?」
「本来は地獄―――冥界に続く門の周辺に生息して、冥界から逃げ出そうとする亡者を喰らう魔物よ。人間界に持ち込むなんて」
 亡者を喰らう魔物ってマジでヤバそうだ。
「野放しにはできないわ。皆行くわよ!」
 その言葉を合図に、部長と朱乃さんは翼を広げ空中に飛び上がった。
『Boost!』
 俺もブーステッド・ギアの倍加を開始する。
 ゴオォォウゥ!
 ケルベロスの一つの首が空中に居る部長に目がけて炎を吹きだして来た。
「やらせませんわ」
 ヒュゥゥウ。
 その炎を朱乃さんが瞬時に凍らせた。
「くらいなさい!」
 朱乃さんが凍らせることを分かっていた部長はすぐに黒い―――消滅の魔力をケルベロスに放った。
 ケルベロスの二つ目の首も炎を吐き、部長の魔力とぶつかり合うが、部長の魔力の方が強かったみたいでそのまま押し切れそうだった。
 だが、最後の首が後押しするように追撃し、炎の勢いが上がったせいで今度は部長が押し切られそうになる。
 最初に炎を放った首が再度吐こうとしている。更に追加されると部長が押し負けちまう。
 だけどそうはならなかった。
「・・・隙あり」
 下から潜り込んでいた小猫ちゃんが炎を放とうとしていた首にアッパーを叩き込んだ。首が上に跳ね上がるほどの力だ。
「もう一撃あげますわ」
 今度は朱乃さんが雷をケルベロスに向けて放つ。3つの首の内、2つは部長とせめぎ合い、残り1つは小猫ちゃんのアッパーを喰らった為、朱乃さんの雷に対応出来ず直撃した。
 そして攻撃を受けたことで炎が止んだため、部長の攻撃が追撃としてケルベロスに直撃した。
 それでもケルベロスは立ち上がりこっちに鋭い眼光を見せている。
 あれだけ喰らってもまだ倒れないとかどんだけタフなんだ。
 ガルルルル。
 アイツのタフさに感心していると別の所から唸り声が聞こえた。
「な!?まだいるのかよ!」
 すぐさまそっちを見るともう一体ケルベロスが居た。
 くそ。俺に倍加はまだ終わってない。どうすれば?
「あれは私は相手をしよう」
 どうすればいいか考えているとゼノヴィアが二匹目のケルベロスの前に立つ。
「お前!一人でやる気か!?」
「そのつもりだよ。なに、心配はいらん。魔物狩りの経験もあるし、何よりあいつとは相性がいい」
 そう言うとゼノヴィアは右手を宙に広げた。
「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。わが声に耳を傾けてくれ」
 ゼノヴィアが呪文のようにつぶやくとアイツの後ろの空間が歪んでいく。
 そして歪んだ空間から一振りの剣が現れた。
「この刃に宿りしセイントの御名において我は開放する―――デュランダル」
 ゼノヴィアの手に握られたその剣はエクスカリバーにも劣らない聖なる力を感じた。
 デュランダル!!こっち側に疎い俺でも聞いたことのある伝説の剣じゃねーか!たしか折ろうとして岩に叩き付けたら岩の方が真っ二つになったとか聞いたことがある。
 アイツそんな剣も持ってるのかよ!
 そのデュランダルのオーラに当てらたのか、ケルベロスが怯んだ。
 その隙を見逃すわけも無く、ゼノヴィアは斬りかかり首の一つを飛ばした。
 そのままの勢いで追撃を加えるが、ケルベロスはなんとか直撃は避けた。
 だが消耗していることが見るからにわかる。部長たちの攻撃を受けて耐えている奴相手にたった二撃であそこまで追い詰めるなんて!
「『奴の言う通り相性の問題だ。聖剣は魔物に無類のダメージを与える。故にたった二撃だろうがあそこまで消耗させることが出来るのさ。魔に属する者の聖剣に対する恐ろしさは身を以て知っているだろう?』」
 ああ。掠っただけでいろんな物がごっそり削られる感覚。それを直撃するなんて考えたくもねぇ。
 身震いしていると、バルパーが突如声を上げた。
「どういうことだ!私の研究ではデュランダルを扱えるレベルまで進んではいないぞ!?」
「なに?そもそも貴様の研究は失敗し、異端の烙印をおされたのだろう?」
 そうだ。木場も、失敗したから殺されたと言っていた。
「失敗などしとらんよ。被験者から聖剣を扱うための因子を抜き取ったにすぎん」
「・・・なるほど。つまり聖剣使いが祝福の時に受けるのはその結晶か」
 つうことは木場と木場の同士たちが殺されたのはその因子を抜き出す為だったって事か。
「だが、私の研究ではデュランダルを扱えるまでには達しておらん!私が抜けた後にそこまで達したと言うのか!?」
「いや、私はイリナと違い人工的な聖剣使いじゃない。私は天然のデュランダル使いだ。エクスカリバーは兼任していたにすぎんさ」
 そう言いながらデュランダルを振りおろし、ケルベロスを消滅させた。
 マジか。物乞いやってたアイツがそこまですごい奴だったなんて。
 そんなことを思っていると突如、籠手の宝玉が点滅する。
 なんだこれ?まだ限界には行ってないはずだが。
「『リアス・グレモリーか姫島朱乃に譲渡すればケルベロスを倒せる段階まで倍加が済んだと籠手が知らせているのさ』」
 え、マジ?いつのまにそんな便利機能が?
「『神器も日々進化する。所有者に合わせてな。前に相棒が実力差を把握出来ず負けたからそれに合わせて進化した結果だろうさ』」
 俺の弱点に対応してくれたって事か。そりゃありがたい限りだ!
 すぐさま部長たちに知らせる。
「部長!ケルベロスを屠れるだけの力を溜めました!!」
 それを聞いた部長がすぐさまみんなに指示を送る。
「わかったわ。小猫、少しの間時間を稼いで!朱乃、イッセーの元に行くわよ!」
「・・・了解です」
「はい部長」
 指示を受けた朱乃さんと部長は俺の傍まで下りてきた。
「イッセー。私たちに力の譲渡を」
「了解しました!行きます!」
 二人の肩に触れて譲渡を行う。
「『Transfer!!』」
 俺から二人に圧倒的な力が流れていくのを感じ、そして二人からすさまじい魔力が溢れる。
「―――いけるわ!朱乃!」
「はい!天雷よ!」
 朱乃さんは指を天を向け魔法陣を展開する。
 その魔力を感じ取ってかケルベロスはすぐさま逃げようとするが。
「・・・逃がしません」
 ケルベロスの足を小猫ちゃんががっちりつかんで逃がさないようにしていた。そして
「・・・えい」
 自慢の怪力を持ってケルベロスを空中に放り投げた。
 空中で身動きの取れなくなったケルベロスは
「鳴り響け!!」
 ドオオオオオォォォン!!!
 朱乃さんの放った雷撃に飲み込まれた。
 さっきの雷とは比べ物にならないレベルの、あの巨体を埋め尽くす大きさの雷撃を喰らったケルベロスはそのまま無に帰った。
 部長はケルベロスが消滅するのを確認するとすぐさまコカビエルに向けて魔力を放った。
「喰らいなさい!」
 普段の十倍有るだろうデカい魔力が放たれる。速度も速く直撃コースだ。
 だがその消滅の塊をコカビエルは片手で防いだ。
 嘘だろ!?躱すなり、魔力を当てて相殺するならまだしも、片手で防ぐなんて!
 そしてコカビエルに止められていた魔力の塊は上に軌道を変え、空に消えていく。
「さすがは赤龍帝の力と言ったところか!ここまでリアス・グレモリーの力を引き上げることが出来るか!これは面白いぞ!」
 コカビエルは関心しているようだが、こっちは余裕なんてこれっぽっちもない。
 今の部長の一撃は全力と言うわけじゃないだろうけど、間違いなく消し去るつもりで撃ったはずだ。それを片手で防がれたんだ。こりゃ体半分対価にするしかないかね。
 そんな算段を立てているとグランドが一際輝きだした。
「―――完成だ」
 バルパーの声が聞こえた。
 目を凝らしてみると五本のエクスカリバーが重なるのが見えた。
 七本に分かれたエクスカリバーの内、五本がここで一つになったって事か。
 光が収まるとそこには一本の剣があった。
「エクスカリバーが統合されたことで下の魔法陣も完成した。後二十分ほどでこの町は崩壊するだろう。止めるにはコカビエルを倒すほかない」
 なんだって!?後二十分でこの町が崩壊するだって!?
 魔王様の援軍が来るのが一時間後だから間に合わない。俺たちの手でコカビエルをどうにかしないとこの町が崩壊しちまう!
「フリード、最後の余興だ。一つになったエクスカリバーで戦って見せろ」
「ボスは人使い荒いっすねー。まぁ五本を束ねたウルトラなエクスカリバーを使えるなんて光栄の極み!そしてそんな超絶武器で悪魔の首をチョンパできるんだからやるっきゃないでしょう!」
 現れたフリードはエクスカリバーを握り、軽く振り舞わす。
「さぁて。どいつから切り捨ててあげましょうかねェ!」
 そう言いながらフリードは真っ直ぐこっちに向かってきた。
 狙いは俺・・・いや、さらに後ろにいるアーシアか!
 くそ!倍加が出来ていない俺じゃ倒せない。だけどアーシアには手出しさせねぇ!
 覚悟を決めてフリードを迎え撃つ。
 
 だがそれよりも早く、俺とフリードの間に複数の剣が生えてきた。
 
 地面から生えた剣は壁になり、フリードを遮る。
「っ!ちっ」
 フリードはすぐさまその壁から距離を取った。
 その剣を見て俺は泣きそうになった。
 誰がやったかなんて考えるまでもなかった。こんなことが出来る奴なんて一人しか知らない。
「―――間に合ってよかった」
 不意に後ろから声がかかる。
 この剣を創った人物。
 フリードに殺されたと思ってた人物。
 
 俺たちの『騎士』木場祐斗がそこに居た。
  
 

 
後書き
次は早く上げることが出来ると思いますが、予定は未定と言うことですみませんが待っていてください。

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