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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第四十六話 古の力を宿す黒龍

 
前書き
サーバ大陸に到着。
一応、ブイモンが進化します。
フェイト「リリカルアドベンチャー、始まります。」
 

 
海に出て、今日で5日。
子供達がうとうとと微睡む中、大輔は決意に満ちた眼差しで進む先を見つめていた。
サーバ大陸。
自分達が初めて冒険した大陸。
チビモンだった頃のブイモンと出会い、奇跡の紋章を手に入れた大陸。
アリサ「大輔…あんた起きてたの…?」
大輔「アリサ…」
アリサが目を擦りながら大輔の隣に立つ。
アリサ「ホエーモン、あんたは疲れてない?」
ホエーモン[大丈夫ですよ。ありがとうございます]
アリサ「そう…」
大輔「優しいな」
大輔がアリサに微笑みながら言う。
アリサ「ち、違うわよ!!私はただ…」
大輔「アリサ」
アリサ「な、何よ?」
大輔「俺達は一緒に戦う仲間だ。仲間なんだし、素直になれよ」
大輔がアリサの柔らかい髪を撫でる。
アリサの顔が赤くなっていく。
アリサ「仲間…か…」
大輔「アリサ?」
アリサ「仲間なんて嫌よ…」
大輔「どうして?」
アリサの言葉に目を見開いた大輔だが、気を取り直して尋ねる。
アリサ「仲間じゃ嫌なの、私は…あんたの……物になりたいのよ」
大輔「え…?」
アリサの言葉に大輔は目を見開いた。
アリサ「大輔、あんたは鈍感そうだからハッキリと言わせてもらうわ。……私は…あんたが……好き……」
大輔「アリサ…でも俺は……」
アリサ「分かってるわよ。あんたがフェイトが1番だってことくらい。でもね、諦めたくないのよ。大輔、フェイトだけじゃなくて…私もあんたの物にしてよ…」
大輔「それは…」
アリサ「フェイトのことなら問題ないわ。あんたを私とフェイトで分け合うことにしたから」
大輔「それどういう意味だ!?」
アリサ「馬鹿、静かにしなさい…!!」
慌てて大輔の口を塞ぐアリサ。
アリサは事情を全て大輔に話した。
事情を聞いた大輔が頭を抱える。
大輔「あいつら…」
アリサ「というわけで。覚悟しなさいよ大輔」
大輔「あはは、お手柔らかに頼むぜ…」
顔を引き攣らせながら言う大輔。
アリサ「それは保障しかねるわね。絶対にフェイト以上になってみせるんだから」
アリサが顔を赤くしながらも柔らかく微笑みながら言う。
大輔「…っ」
あまりに綺麗な笑顔に大輔は思わず息を呑んだ。
ホエーモン[そろそろ陸が見えますよ]
大輔、アリサ「「え?」」
水平線が僅かに歪み、そしてその歪みが徐々に山際の線となって大輔とアリサの目に陸地の存在を教えた。
大輔「サーバ大陸…!!」
一気に気分が高揚する。
大輔「おいみんな、起きろよ!!サーバ大陸に着いたぞっ!!」
すずか「え!?」
ルカ「…サーバ大陸に着いたの…?」
ユーノ「ようやく着いたんだ…」
アリサ「はやて、起きなさい!!大陸よ!!」
はやて「ほえ?タイ料理がどないしたんや?」
アリサ「タイ料理じゃなくて大陸よ!!た・い・り・くっ!!!!」
フェイト「タイ料理…ふふっ」
賢「全くもう」
はやての物凄い聞き間違えにフェイトと賢はつい笑ってしまう。
皆口々に騒ぐ中、アリシアだけはまだぐっすりと眠っている。
興奮しきったチビモンが乱暴に揺すって起こそうとしたが。
チビモン[アリシア!アリシア、朝だよ。起きて!!着いたよ!大陸だよ、た・い・り・く!!!]
アリシア「……たい焼きよりケーキがいい~…」
チビモン[……ア~リ~シ~ア~ッ!!!!]
チビモンが更にアリシアを揺すりながら叫ぶ。
なのは「にゃははは…」
むにゃむにゃと可愛らしい寝言を呟くだけで一向に起きる気配もない。
相変わらずのそのマイペースっぷりに、全員が苦笑した。






























数十分後、岩だらけの海岸線が湾曲し、入り江になった所から子供達は次々と上陸した。
ホエーモン[では皆様、お元気で!!]
ホエーモンが沖へと泳ぎ出す。
その姿が見えなくなるまで手を振り、子供達は森を目指して歩き出した。
アリシア「なんで森に行くの?」
話し合いの間中ずっと寝ていたため、またしても乗り遅れているアリシアが聞く。
アリサ「ホエーモンが教えてくれたのよ。半日くらい歩いたところにある森の中にチビモンの村があるんですって」
アリシア「チビモンって…」
チビモン[やったあ!!私だらけの村だあ!!]
ブイモン[ちなみに俺の幼年期もチビモン。]
フェイト「そっか、ブイモンも可愛かったんだね」
フェイトがブイモンの頭を撫でる。
ブイモン[子供扱いするなよ!!]
フェイト「してないよ」
ブイモン[嘘だ]
フェイト「だってブイモン可愛いんだもん」
ブイモン[可愛いじゃなくて格好いいがいい!!格好いいにしろー!!喰らえっ!!必殺ブイモンアタック!!!!]
フェイト「うっ!!た、ただの抱き着きじゃあ…」
大輔「おーい、お前ら置いてくぞ~?」
フェイト、ブイモン「[え?]」
慌てて向こうを見遣ると遠くにいる大輔達。
フェイトとブイモンは急いで走った。
何時間歩いただろうか、その変わり映えのしない景色に飽き飽きし始めた時、ブイモンとチビモンがチビモンの匂いを嗅ぎ取った。
示す方向に目を向けると、小さな森が見える。
大輔「あの森だな」
皆一斉に森に向かって駆け出した。































程なくして辿り着いた森の中には、テントのような家がいくつも並んだ村があった。
アリシア「お風呂入りたいな~」
ルカ「…チビモンの村にお風呂なんてあるかな…?」
ルカが純粋な疑問を口にする。
ブイモン[…ん?]
チビモン[あれえ?]
ブイモンとチビモンが同時に首を傾げた。
大輔「どうした?」
ブイモン[…チビモンの村じゃないぞ此処は]
チビモン[うん]
全員【へ?】
村から流れてくる匂いは、懐かしいチビモンのものとは違った。
そこにいたのは灰色の幼年期デジモン、パグモンであった。






























[[[ようこそパグモンの村へ!!]]]
大輔「パグモンの村?」
チビモン[え~?]
フレイモン[チビモンの村じゃなくてか?]
チビモンとフレイモンが首を傾げた。
アリシア「ねえ、お風呂ある?」
アリシアがパグモンに聞いた。
苦笑した女子陣がアリシアを諌めようと近づいた時。
ヒョイ。
そんな効果音が聞こえてきそうなくらいフェイト達は軽く持ち上げられ、パグモン達に連れていかれた。
大輔「……」
賢「……え?」
ユーノ「……な、なのは…?」
ルカ「……?」
呆然となる取り残された男子陣。






























数分後、石化が解けた男子陣は急いでパグモン達が向かった方向に走った。
大きなテントのような家に辿り着き、急いで中に入った。
まるで足跡のように、そこにフェイト達の荷物が落ちていた。
突き当たりの部屋の前に、D-3が落ちていた。
ユーノ「ここになのはが!!」
大輔「待ってろ、フェイト!!」
ユーノと大輔が中に駆け込む。
追って入ってきた賢は、何か見覚えのある布が畳んで置いてあるのに気づいた。
これって…。
賢は凄まじい勢いで顔を真っ赤にした。
ルカ「賢さん?」
賢「い、いけない…大輔とユーノを止めないと!!」
顔を真っ赤にした賢が急いで追い掛ける。
賢が見たのは女の子の下着だったのだから…。






























ジャッ!!
カーテンを引き開ける。
そこには…。
アリシア「きゃはは、気持ちいいー!!」
アリサ「ちょっとはしゃがないでよアリシア!!」
すずか「お湯がかかっちゃう…」
はやて「フェイトちゃん…よおぉぉく育っとるなあ…」
はやてが切なそうにフェイトを見つめる。
フェイト「え?」
なのは「…はやてちゃん。どうして泣きそうな顔でフェイトちゃんを見るの?」
湯船の中でフェイト達の姿があった。
勿論、裸で。
大輔「んな、っ……」
ユーノ「………っ!!!!」
賢「大輔、ユーノ!!ストップ……な…っ!!?」
ルカ「?」
ルカを除いた男子陣が硬直する。
ルカは硬直した大輔達を見て首を傾げていた。
大輔達とフェイト達の目が合う。
アリシア「あ、お兄ちゃん達~!!」
上機嫌のアリシアが手を振る。
アリサは顔を真っ青にし、次の瞬間、顔を真っ赤にした。
すずかとフェイトとなのはは顔を真っ赤にしている。
はやてはニヤニヤと意味深に笑っている。
すずか、フェイト、なのは「「「………きゃあああああああっ!!!!!!」」」
すずか、フェイト、なのはの3人は必死に身体を隠し湯船に沈む。
はやて「賢兄~っ!!!!」
はやては湯舟から出ると賢に抱き着いた。
勿論、裸で。
賢「わあああっ!!馬鹿!!裸のまま抱き着かないで!!せめて服着て服を!!」
顔を真っ赤にして必死にはやてを引き剥がそうとする賢。
はやて「一緒にお風呂に入った仲やんか!!」
はやてがニヤニヤと笑いながら言う。
アリサ「こ、この…スケベ大魔王共!!な、何見てんのよ!!で、出ていきなさい!!今すぐ私達の目の前から消えなさい!!!!」
アリサがぶん投げた洗面器、シャンプーボトル、石鹸トレイがそれぞれクリーンヒットしたのだった。






























すずか「…っ……ふぇ、…っく……」
賢「ご、ごめんすずか…」
ぷい。
ショックから立ち直れず、濡れ髪のまま泣くすずか。
賢は何度も謝るのだが、その度にそっぽを向かれてしまう。
向こうではフェイトとアリサに必死に頭を下げて謝っている大輔の姿となのはに土下座しているユーノの姿があった。
ルカとアリシアは不思議そうに大輔達を見ていた。
はやて「すずかちゃん、もうええやろ?賢兄も悪気は無かったんやし」
すずかも別に大して怒っているわけではないのだ。
だが、やはり恥ずかしさは拭えない。
他でもない好意を抱いている賢に見られてしまっているのだから。
はやて「大丈夫や。すずかちゃんは可愛いから賢兄、思わず見惚れてしもうたんよ」
すずか「え…!?」
はやての言葉にすずかは顔を真っ赤にする。
はやて「何なら賢兄を分けてもええで?」
はやてが悪戯な笑みを浮かべた。
すずか「はやてちゃん!!」
はやて「ふふ…すずかちゃん、賢兄のこと好きやもんなあ…」
すずか「あう…」
すずかは顔を真っ赤にして俯いた。
はやて「さあ、すずかちゃん」
はやてがすずかの背中を押す。
それにより、賢の前に立つことになる。
賢「ごめん!!本当にごめん!!見るつもりなんてなかったんだっ」
すずか「…もういいです。ごめんなさい…あの……」
賢「?」
すずか「私…どうでした?」
賢「え?」
すずか「私の裸…見たんですよね…?」
賢「…ごめん」
2人は顔を真っ赤にして俯いた。
すずか「私…綺麗でしたか…?」
賢「ええっ!!?」
予想外の質問に賢は顔を真っ赤にして目を見開いた。
すずか「やっぱり私じゃあ…」
すずかが目に見えて落ち込みかけた時。
賢「そ、そんなことないよ!!き、綺麗だったよ凄く!!」
すずか「賢さん…!!」
2人が顔を真っ赤にして見つめ合う。
アリシア「はあ~、暑い暑い。あそこだけ春だね~」
ルカ「…顔真っ赤……」
2人のお子様が賢とすずかを見守っていた。






























パグモンに呼ばれてテントの中に入った子供達が見たのは大皿に零れ落ちんばかりに盛られた果物。
取り皿にも、色とりどりの木の実や茸が載せられている。
室内はパーティーのように飾りつけられ、パグモン達が総出で歓迎の歌を歌ってくれた。
[[[ようこそ♪ようこそ♪ここはパグモンの村♪]]]
チビモン[此処、パグモンの村だったんだあ]
ブイモン[ふうん。チビモン達、引っ越したのか?]
ブイモンが果物をかじりながら呟く。
大輔「本っ当に申し訳ありませんでした。」
フェイト「だ、大輔、もういいよ」
アリサ「…まあ、悪気があったわけじゃないし…」
大輔「有り難き幸せ!!…これはほんのお詫びの印です」
大輔は自分の皿に盛られている果物の中でフェイトとアリサの好きな果物を渡した。
フェイト「ありがとう、大輔。」
アリサ「頂くわ」
フェイトとアリサは有り難く果物を頂いた。
ユーノ「なのは、これもこれも、君とガブモンにあげるよ」
なのは「ゆ、ユーノ君。嬉しいけどユーノ君の分は?」
ユーノ「僕は充分食べたから。ほら」
ユーノはなのはとガブモンXに木の実を献上する。
アリシアがユキミボタモンに食べさせると突然ぷるぷると身体を震わせ、光に包まれた。
光が収まった時には、そこにはユキミボタモンではなくニャロモンがいた。
アリシア「ニャロモン!!」
ニャロモン[アリシア!!]
アリシアがニャロモンを抱き締め、ニャロモンは笑顔を浮かべた。
テリアモン[みんな拍手~!!]
テリアモンの音頭で、皆が拍手でお祝いする。
そのニャロモンを睨みつけながらパグモン達がにやりと笑ったことに、誰も気づきはしなかった。






























そして深夜、子供達が寝静まった頃。
パグモンが子供達が寝静まっている隙を見計らってチビモンとニャロモンを連れ出そうとしていた。
チビモンとニャロモンが大きな声を出さないように口を塞いでパグモン達は出て行った。
…凄い顔でパグモン達を睨んでいた存在に気づかないで。






























チビモン[ちょっと、下ろしてよ!!]
チビモンが抗議するがパグモン達はどこ吹く風。
どさりと放り投げられて木の枝で突かれて、チビモンとニャロモンはすっかり涙目である。
ニャロモン[どうしてこんなことを…]
[生意気に進化なんかするからだ]
チビモン[何それ、自分が出来ないからって八つ当たり?]
チビモンの馬鹿にしたような顔にパグモンのこめかみ?に青筋がたった。
ニャロモン[とにかく離しなさい!!]
[嫌なこった]
チビモン[ムカつく~………]
ニャロモン[…あ……]
[[[[?]]]]
パグモンを睨んでいたニャロモンがパグモンに忍び寄る影に気付き、顔を青ざめる。
パグモンはニャロモンの変化に疑問符を浮かべた。
ガシィッ!!
パグモンの耳が力強く握り締められた。
ギリギリ…と凄い音が鳴る。
痛い痛い。
かなり痛い。
いや凄く痛い。
同時にパグモンは命の危険を感じた。
後ろを向くなと警報が鳴るが恐る恐る後ろを向くと…。
ブイモン[…お前らああああぁぁ…何、チビモンに汚い手で触ってんだああああ……?]
鬼のような形相でパグモンの耳を握り締めているシスコンと化したブイモンと明後日の方向を向いている大輔がいた。
[[[[[ぎゃはあああああああ!!!!!!?]]]]]
森にパグモン達の悲鳴が木霊した。






























ブイモン[お前らあれか?チビモンに何かするつもりだったのか?お兄ちゃんである俺の目がないうちに何かするつもりだったのか?俺が寝静まっているうちに何かやらかそうってしてたのか…?]
どんどん表情が般若になっていくブイモンにパグモン達の表情は青を通り越して真っ白に。
ブイモン[させるかあああああ!!チビモンは、チビモンは俺が守るんだああああああっ!!!!]
大輔、ニャロモン「[(シスコン…)]」
どうしてこうなった。
ブイモンの想いに呼応するかのようにD-3から光が放たれた。
大輔「へ!!?」
ブイモン[ブイモン進化!エクスブイモン!!]
何と、ゲンナイから難しいと言われていた純粋古代種であるブイモンがとうとう成熟期…ウィルス種のエクスブイモンへの進化を遂げた。
大輔、ニャロモン「[( ゚Д゚;)]」
二人の表情はこの絵文字の通りである。
ブイモンが規則的な進化を遂げたエクスブイモンの亜種であり、
古代種としてではなく現代種として進化した突然変異の幻竜型デジモン。
フリー種のエクスブイモンとは違い、ウィルス種の現代種のために、格段にエネルギー消費が軽い姿を引き抜いた。
古代種の限界すら越える、恐るべきシスコンのパワーである。
エクスブイモン[エクスレイザーーーッ!!!!]
怒りのエクスレイザーが炸裂した。






























大輔「………………」
チビモン[お兄ちゃん、凄ーい!!]
ニャロモン[あ、あわわわ…!!]
あまりの惨劇に身体をガタガタと震わせ、ニャロモンは思わず目を塞いだ。






























ブイモン[大丈夫か?チビモン、ニャロモン]
チビモン[うん!!]
ニャロモン[……]
ニャロモンはブイモンの問いには答えず原形を留めないくらいグチャグチャにされたパグモン達を哀れみの目で見遣った。
ブイモン[ここに来る途中な、チコモンを見かけたんだ]
ニャロモン[え?チコモンを]
ブイモンとチビモンの最初の幼年期であるチコモン。
それがこの村にいるということは…?
ブイモン[多分…おい、ここはチビモンの村だろ!?おい!!]
ブイモンが聞くが気絶しているパグモンが喋れるわけがない。
ブイモン[…ブイモンパンチ!!]
ドゴオッ!!
[ブッ!!]
ブイモン[たく、人が聞いてるのに寝るな!!]
気絶させといて理不尽である。
パグモン[こ、ここは…チビモンの村です…]
ブイモン[なら、チビモン達は何処だ?]
パグモン[あ、あそこにある滝…]
それだけ言うとパグモンは完全に意識を飛ばした。
ブイモンは思いっきりパグモンを木に投げて叩きつけた。
ニャロモンが哀れみに満ちた目でパグモンを見つめていた。
ブイモン[とにかく戻ろう。大輔達を起こさなきゃ]
チビモン[うん。]
ニャロモン[そ、そうね…]
やや引きながら頷いたニャロモン。































ブイモン[みんなあああ!!起きろおおおおおお!!!!]
フェイト「えっ!!?」
ブイモンの大声にフェイトは飛び起きた。
ブイモン[みんな、此処はパグモンの村なんかじゃない。チビモンの村だ。あいつら俺達を騙してたんだよ!!]
賢「な、何!?」
子供達が勢いよく跳ね起きた。
ギルモン[オラ達、騙されてたのか?]
フレイモン[…だったらチビモンは何処にいるんだよ?]
チビモン[私は此処にいるよ?]
フレイモン[お前じゃねえ!!]
チビモンのボケにフレイモンはツッコミを入れる。
ブイモン[チビモン達はあそこの滝にいるらしい。]
ブイモンが滝を指差した。






























やはり滝壺の奥に、チビモン達は閉じこめられていた。
檻を壊し、全員を解放したその時。
アリサのD-3が輝いた。
アリサ「な、何?」
大輔「D-3が何かに反応している…。」
なのは「何かあるのかな?」
コロナモン[探してみようぜ!!]
子供達は散開して中を探る。
アリサが突き当たりの紋様が刻まれた壁の岩に触れた時だった。
ぽう、と明るい朱色の光があたりを照らし出す。
その岩は光を発しながら大きさを変え、ついには指先で摘めるほどのサイズにまで縮んだ。
アリサ「大輔!!賢!!」
アリサが慌てて、大輔達を呼ぶ。
大輔達は光を見て目を見開いた。
大輔「これ……紋章だ!!」
フェイト「紋章!!?」
その紋章はふわりと空を滑り、アリサのD-3のディスプレイに吸い込まれるように入っていく。
D-3のディスプレイに紋章が浮かび上がる。
アリサ「紋章…手に入れたわ!!」
なのは「やったねアリサちゃん」
すずか「あっ、見て……」
すずかがその壁があったはずの場所を指す。
障害物が無くなったそこは外に通じていた。
そしてさらに、そこはチビモンの村から遠く遠く離れたエリアだったのだ。
チビモン[それじゃあさよなら]
[ありがとう、助けてくれて]
ブイモン[気にすんなよ。]
[僕達はこのまま、別の所で暮らすよ。あそこは安全とは言えなくなったし]
大輔「それがいい」
[君達も急いだ方がいいよ。サーバ大陸にはエテモンって奴がいるんだ]
賢「?エテモン…分かった。ありがとう。」
移動を開始する子供達。






























そしてある所……船の先端が地面から突き出した不思議な所だった。
そこには全身タイツを身に纏う猿のようなデジモン…。
?[誰が猿よ!?]
…失礼。
[エテモン様、誰に向かって叫んでるんですか?]
手下のガジモンが引きながら尋ねて来る。
エテモン[シャーラップ!お黙り!!しょうがないでしょ、何か馬鹿にされた気分なんだから!!]
[はあ…]
エテモン[それにしても選ばれし子供達はいつになったら来るのよ!!待ちくたびれちゃったわ!!]
騒ぐエテモンに対してガジモンは冷静だった。
エテモンの作戦は既に瓦解しているから。
[来るどころかここら辺にすらいませんよ子供達]
エテモン[え?]
エテモンが思わず間抜けな声を上げる。
[子供達でしたらチビモンの村から遥か遠くの…此処にいます。]
エテモンにトレーラーに設置されているモニターを見せると反応はチビモンの村から遥か遠くの位置にある。
エテモン[ぬあんですってええええええええっ!!!!!!?]
エテモンの叫び声が辺りに響いた。
エテモンが確認の為にモニターを見るが、やはり子供達の反応は遥か遠く。
エテモン[…あ゛あぁああああああっ!!!!!!!!]
エテモンは思わず絶望に近い悲鳴を上げる。
エテモン[アチキの作戦台無しじゃないのぉおおお!!絶対許さないんだから選ばれし子供達ぃいいいいいっ!!!!]
エテモンの叫び声が辺りに響き渡った。
第二の戦いの幕が上がろうとしている……。 
 

 
後書き
ブイモン進化しました。
大輔ですら驚くパートナーのシスコンパワー。 
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