最強イタリア軍
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第二章
第二章
「ゆ、許してくれえええ!」
「お、俺を殺しても何もならないぞ!」
「俺はいいイタリア人だよ!」
「ベオグラードに親戚がいるんだ!だから!」
「殴らないでくれ!拷問は勘弁してくれ!」
「大事なことは喋る!だからな!」
「殺さないでくれ!」
こんな調子であった。
「あんた達には何もしないから!」
「な!一緒にパスタ食べようじゃないか!」
「ほら、ワインも飲んで!」
「だから!命だけは!」
「勘弁してくれえええええ!」
泣き叫びながらだ。命乞いをするのであった。そんな彼等を見てだ。
パルチザン達はだ。やれやれといった様子であった。そうしてだ。
彼等についてはだ。こう話すのだった。
「まあこの連中はな」
「そんなに厳しくしないでいいな」
「というか何か可哀想になるな」
「ああ、特に何もしないでやるか」
「そうするか」
こうしてであった。イタリア軍については彼等も優しかった。本当に彼等に対しては鬼のパルチザンもだ。穏健な応対であった。
イタリア軍の戦いは続く。尚もであった。
今度はアフリカまで出掛けた。何故か戦線を拡げることには熱心だ。だが何処でも勝利よりも敗北が、そして捕虜を出すのだった。
むしろだった。捕虜になるよりもだ。
自分達からだった。捕まりに行くのであった。砂漠においてだ。
イタリア軍の将兵達がだ。あちこちをうろうろとしていた。そうしてだ。
兵士の一人がだ。指揮官である将校に尋ねていた。
「あの、大尉」
「何だ?」
「イギリス軍は何処ですか?」
敵軍の位置を尋ねるのだった。彼等が今戦っている相手だ。
「近くにいるんですよね」
「その通りだ」
「けれど。見ませんね」
「そうだな。いないな」
大尉もそれを話す。
「何処に行ったんだ」
「このままじゃ俺達やばいですよ」
「そうですよ」
兵士の顔に不安が漂う。
「ドイツ軍も傍にいますし」
「このままですと」
「戦争になります」
「まずいですよ」
こう話す彼等だった。
「戦争になったらもう」
「俺達戦わないといけませんからね」
「だから今のうちにですよね」
「何とかしないと」
「そうだ、イタリアの男が戦うのはな」
ここで大尉は熱弁を振るう。その熱弁の内容とは。
「惚れた女の為だぞ、わかってるな」
「それに自分の住む町や村の為」
「その為ですからね」
「だから」
戦いたくはないというのだ。少なくとも今の敵とはだ。
そんなことを話しながら砂漠を見回してだ。遂にであった。
探し求めていたイギリス軍の陣地を見つけた。そしてだ。
彼等は白旗を掲げてそのうえで両手を挙げてだ。全力で陣地に突撃する。イタリア訛りの英語でだ。大声で叫びながら。
「降伏する!」
「保護してくれ!」
「捕虜としての待遇を要求する!」
こう叫んでそのうえでだ。降伏しようとする。しかしであった。
そのイギリス軍の陣地からだ。こう返事が返ってきた。
「帰れ!」
返事はこうしたものだった。
「今戦闘準備で忙しい!帰れ!」
「えっ、帰れって!?」
「じゃあ俺達に戦えっていうのか!」
「イギリスの奴等は鬼だ!」
「何でそんなこと言うんだ!」
彼等はイギリス軍の返事にだ。悲嘆のあまり砂漠の上にしゃがみ込んでしまってだ。そのうえで泣き叫んでだ。抗議するのだった。
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