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魔法少女リリカルなのはINNOCENT ~漆黒の剣士~

作者:月神
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第11話 「スカイドッジ」

『れでぃーす&じぇんとるめん! 大変長らくお待たせしました』

 ハツラツとした声と共にライトが円盤のような乗り物の上の人物達を照らす。そこにいるのは、チアリーダーのような衣装をしたアリシアとフェイトだ。

『ここからのデュエルは、実況は引き続きアリシア・テスタロッサと』
『解説は私、フェイト・テスタロッサでお、お送りします』

 アリシアは全く動じずにノリノリでやっているが、フェイトの顔ははたから見ても分かるほどに赤面している。まあ部活動でもないのにチアリーダーの格好をすれば大抵の人間がああなるだろうが。彼女の性格を考えれば、あれを着てあそこに立っているだけでも褒めてあげたい。

『それでは、さっそく3rdステージであるスカイドッジのルール説明をしたいと思います』
『お、いいよいいよ~、フェイトもやる気満々だね』

 いや、どう考えても恥ずかしさを解説を頑張ることで誤魔化そうとしているだけだろう。アリシアだってそれくらい分かるはずだろうに、なぜフェイトを刺激するような真似をするんだ。あまりやりすぎると黙り込んでもおかしくないのに。

『今までのデュエルと比べるとちょ~っとルールが多いのがこの競技。なので図を使って説明するよ!』
『まずは各チーム、コート内に《アタッカー》を3人。コート外に《バックス》を2人配置して始まります』
『コートは自陣と敵陣で範囲が決まってるけど、上のほうには自由に飛び回ってOK。空の上で戦うのがこのデュエルの醍醐味かな』
『競技は《ボールスフィア》という球を自コートから敵に向かって投げ……』
「ちょっとたんま。そこから先はこっちで実演しながら」
「説明した方がよいかと……ですがその前に」
「カードスラッシュや」

 ふたりはリライズアップを行ってアバターを変化させた。制服姿だったシュテルは、高町と同じセイクリッドタイプ――それの色違いである紫を基調とした防具を纏う。一方はやてはというと

「なぁなぁ~どやった?」
「すごくカッコよかったよ。あれ? そのアバター……王さまと一緒?」
「お、さすがすずかちゃん」

 何がさすがなのだろうか。色の違いしかないのだから見れば誰だって分かると思うのだが……。

『はやてのもディアーチェと同じ《R・O・G》タイプ。その純正カラーって言ったらいいのかな』
「「「へぇ~」」」

 R・O・G―ロード・オブ・グローリーは希少な技能を持つと言われているタイプだ。例を挙げるならばディアーチェの場合、紫天の書の特殊能力によってスキルを所持制限を超えて持ち込み発動させることができる。同タイプであるはやても似たような技能を持っているはずだ。

『ちなみに王さまの《暗黒甲冑(デアボリカ)》は、ユーリの愛盛りだくさんの超☆魔改造品だよ』
「や、やかましい!」

 愛が盛りだくさんという言葉が恥ずかしかったのか、ディアーチェの顔は赤くなっている。
 ユーリというのは、ディアーチェ達と同様にグランツ研究所にお世話になっている留学生の名前だ。他のメンツと比べると日本語に慣れていないようで、難しい言葉だと理解に時間がかかる。それに体があまり丈夫ではないため、学校には通わずに研究所で手伝いをしていたはずだ。

「大体小鴉、貴様は姿形だけでなくアバターまで真似しおってからに……」
「偶然やも~ん♪」
「なのはとあっちの全国1位さんも色違いよね」
「うん、びっくり」

 高町にシュテル、フェイトにレヴィ、はやてにディアーチェと容姿が似ているものは今のところ同じタイプになっている。
 カードを作る際には色んな情報を打ち込んでいるはずだが、まさか容姿だけでアバターのタイプが決定してはいないだろうか。

「……セイクリッド」
「え? なになにヴィータちゃん」
「オメーのはあのむっつりと同じギガレアなセイクリッドタイプだって言ってんだよ!」

 タイプの特徴としては、防御が堅い上に豪火力。チーム戦の場合は遊撃を担当することで真価を発揮するだろう。

「しかも、なのはちゃんのはさらに珍しい限定色なんよ」
「オメーに一撃もらったのは性能のおかげっつーことだよ。勘違いすんなよな!」
「う、うん……?」
「おんやぁ~、相性や性能なんて戦い方でどうにでもなる~言うとったのは誰やったかな?」
「は……はやてぇ」

 はやての容姿はディアーチェによく似てはいるが、性格はかなり違うよな。まあ全く同じ人間なんていたら怖いけど。

「アバターやスタイルとの出会いは運命や。どう育てていくかはみんなの腕次第やし。楽しんで強くなろうってことやね」
「なるほど」

 高町の瞳ははたから見ても分かるほどに輝いている。これまでの対戦からも分かるとおり、彼女には才能がある。それにアバターの性能にも恵まれているため、きっと近いうちに有名なデュエリストになるだろう。
 楽しむのが一番だけど、先輩として簡単に負けるわけにはいかないよな。あの子達もある程度ブレイブデュエルについて分かってきただろうし、これからは自分で考えて行動するようになるだろう。俺も自分のために動き始めるとしよう。

「ねぇねぇ、そろそろ始めようよ~」
「おっと、そうやったそうやった」
「それでは僭越ながら、実演も含めてスフィアとルールのご説明をいたします」

 シュテルはスカートの裾を摘んで一礼。いつ見ても淑女さを感じさせる動きだ。お茶目な部分がなく、もっと愛想が良かったならば非の打ち所もない少女だっただろうに。まあ彼女のことをよく知っている人間からすると、それはもうシュテルではないと思えるだろうが。

「まず……ゲームの開始はサーブから」

 綺麗なフォームから打ち出されたサーブがレヴィへと向かっていく。強烈かつ正確無比なそのサーブに、慣れのないものならば腰が引けてしまうだろう。しかし、レヴィはあのダークマテリアルズの一員だ。あれくらいのサーブならば、片手でも捕球でき……

「あっ……」

 ……あぁうん、まあここで落とすのもレヴィらしいよな。
 このゲームにおいては、ボールに反応して手を前に出すと《グラブシールド》というものが発生してキャッチ判定される。片手でも上手くすれば取れるのだが、油断すれば今のレヴィのように落とす。

「敵が捕球しそこねると自陣に1得点。この時、ボールがそのままコートを出ると3得点となり、被弾者はバックスに下がることになります。なお、最初からバックスの場合はこのタイミングで《バック》のコールをすることで《アタッカー》になることができます」
「15点の先取、もしくは敵コート内の選手がゼロになった時点で自軍が勝利。あと、ボールの投げ返しは捕球した者のみの権利となるので覚えておけ。自軍アタッカー同士のパス回しは禁止だ」
「ちなみに補足。キャッチや打ち返しの時だけはデバイス使ってもええねんよ♪」
「いっ、今言おうと思っておったのだ!」
「デバイスでの打ち返しは成立後、投げ返したことと同義になりますのでご安心を」

 シュテル達の説明に、初心者の3人はなるほどと頷いている。直後、キャッチを失敗して落ち込んでいたレヴィが急に「変身!」と叫んだ。バニングスがすぐさま「アバターが変わった!?」とツッコんだが、マントがなくなっただけのようなものなので変身と言えるかは微妙である。
 ――投げるのに邪魔だったんだろうが……あいつには羞恥心ってものがないのか。って、あるわけないか。あるなら会うたびに抱きついてきたりしないだろうし。

「こうやって……投げた後に魔力を込めると! ……あ」

 シュテルに向かって投げたはずのボールは、大きく左に曲がって月村へと飛んで行った。予想外の事態に誰もが動けなかったが、月村は見事にグラブシールドを出現させて、バック宙を決めつつキャッチして見せた。
 それを見たバニングスはさすがだと褒め、はやてやヴィータは感心している。人は見かけによらないというが、あの子の場合はそれが多い気がする。

「要領は誘導弾と一緒だかんな。イメージの正確さとタイミングが重要だ」
「《魔力》を込めれば威力と速度は上がるけど、魔力には《限界値》があるから気をつけてなぁ」
「説明は大体こんなところでしょうか」
『ありがとう。ダークマテリアルズはメンバーあとひとりどうする?』
「よし、ここはボクのチヴィを!」
「待てぃ! 今回は我のを出す。前回の二の舞になってたまるか!」

 ディアーチェの発言にレヴィは文句を言うが、シュテルは表情はあまり変わってはいないがホッとしているようだ。
 コイントスの結果、ダークマテリアルズが先制でゲームがスタートすることになった。アタッカーはシュテル、レヴィ、ディアーチェ。バックスは俺とディアーチェのNPC――通称《王ちゃま》だ。対する相手側は、アタッカーが高町、バニングス、ヴィータ。バックスに月村とはやてである。

「そんじゃいっくぞー!」

 レヴィは笑顔でボールを高々と放り投げると、あとを追うように跳躍する。

「滅殺! 零七七式真・雷光サァーブ!」

 零なんたらの部分はともかく、まさしく雷光に等しいサーブは甲高い音を撒き散らしながら……高町とバニングスの間を通って敵陣のコートに着弾した。間近を通った高町の顔が一瞬「え? ……何これ」のようになった気がした。

「ありゃ……当たんなかった」
『これはスゴい! まさに電撃サ~~ブ!』
「ななな何よ今の……」
「わ~……」

 バニングスは怒り、高町は放心気味だ。ゲームとはいえ勝負なのだから……とも思いもするが、確かに始めたばかりのプレイヤーに放つサーブではない。
 敵側が誰も捕球できなかったため、再度こちらのサーブになる。なおサーブは順番制なので、次のサーブはシュテルだ。

「では……参ります」

 シュテルから溢れた魔力が灼熱の炎へと変化しボールを包み込んでいく。属性込みに加えて集束までかけるとは……レヴィよりも大人気ない。勝負事に熱くなる奴だとは知っているけれども。
 放たれた炎球は大きく曲がりながらバニングス達へ襲い掛かる。潰せるところから潰せるのは定石ではあるが、全国1位が初心者をいじめていいものだろうか。
 考えていることは大体分かるが……まあ実力を見せるのも務めではあるか。俺は今回は同じチーム、それも助っ人というか人数合わせでいるようなものだから静観していよう。

「アイゼン!」

 バニングス達を助ける……ゲームに勝つためかもしれないが、ヴィータはデバイスを手に炎球に接近し、デバイスを思いっきり叩きつけた。だがシュテルのサーブの威力のほうが勝っていたようで、ヴィータは外野へと吹き飛んでいく。
 これはアウトか、と思いもしたが、凄まじい勢いで追いかけてきたバニングスが制止をかけたことで、ヴィータはコース内に留まることができた。
 バニングス達に良い感情を抱いていないように見えたがヴィータだが、今バニングスに向けている顔は穏やかだ。助けてもらったことに礼を言っているのかもしれない。微笑ましい光景だとは思うが……あの子達はボールのことを忘れているのではないだろうか。

「……って、ボール!?」
「やべぇ! このままコート外に出ちまうと……」

 やはり、というべき反応をしたふたりだったが、間一髪のところで高町が捕球した。先ほどはサーブに放心していたというのに、とっさにボールを追って空を駆けれるのは感心する。
 高町は滞空したままボールに魔力を込め、シュテル目掛けて投げ返した。初めてにしては良い球ではあるが、あれくらいのボールではシュテルを仕留めることは……

「アクセルッ!」
「「ッ……!?」」

 高町の掛け声と共に、ボールは強烈な加速し左右にブレた。初心者が放てるものとは予想すら難しいそれに、シュテルも反応が遅れたのか側頭部に被弾。まさかの事態に、レヴィやディアーチェからは驚愕が漏れ、敵側には驚きや喜びの反応が沸き起こる。

「……高町なのは……本当に面白い子だな」

 
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