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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第三十一話 紅蓮の獅子

 
前書き
コロナモン進化話。
すずか「リリカルアドベンチャー、始まります」
 

 
新たな仲間を迎え入れた大輔達は森の中を歩いていた。
時折目を擦ったり欠伸をする子供もちらほらいる。
大輔「おい、ルカ。きつくなったら言えよ」
ルカ「平気」
流石に封印前までは施設で戦闘訓練漬けの毎日だった為か、年齢以上の体力がある。
不意に上空から飛行機のエンジン音に似た奇妙な音が聞こえてきた。
子供達は空を見上げた。
一瞬、何か黒い物が視界に入ってきた。
それは木々の上を横切りあっという間にどこかへと飛び去っていく。
大輔「……歯車みたいだったな」
はやて「空飛ぶ円盤やないの?」
なのは「歯車型の隕石だったりして」
ルカ「…デジモンじゃないかな?」
賢「まあ、歯車に似たデジモンもいるしあながち間違いじゃないかもね」
アリサ「……何にしても、いい感じのするもんじゃないわね」
そう、アリサが呟いた時だった。
アリシアが盛大に転んだのだ。
フェイト「あ…っ!!」
フェイトが駆け寄ろうとした時。
ルカ「大丈夫?」
ルカが手を差し出してアリシアを立たせる。
アリシア「うん、大丈夫!!」
大輔「……」
大輔は心配そうに手をアリシアに向けたまま呆然としているフェイトに視線を向けた。
大輔「まあ、気にするなよ。な?」
フェイト「……うん」
少し間があったがフェイトは頷いた。
賢「(それにしても何であの施設はデジタルワールドにあったんだ?まさかルカがデジタルワールドに呼ばれる時に巻き込まれたのか?それとも…)」
はやて「賢兄~、何してるんや~?置いてくで~!?」
賢「あ、ごめん」
賢は考え事を中断して、はやて達を追い掛けた。


































ギラギラと降り注ぐ太陽光。
子供達は目の前に広がる景色を見据えた。
乾いた大地。
木なんてどこにもなくただただ剥き出しの地面がどこまでも続いている。
砂漠に似合わない電柱が立っているが、子供達は気にはしなかった。
大輔と賢はこういう非常識には慣れているし、フェイト達は最初は戸惑っていたが慣れ、ルカに至っては大輔達の世界の常識を知らない。
アリサ「暑い……」
コロナモン[アリサ、大丈夫か?]
アリサ「コロナモン、それ以上近づいたら殴るわよ」
暑さのせいで頭が上手く働かない。
額から滑り落ちてくる玉のような汗を拭いながらうんざりしたようにアリサは溜め息をついた。
しかしどれだけ弱音を吐こうとも前に進まなければ状況は変わりない訳であり、子供達は汗を拭いながら着々と砂に足跡を付けていく。
だが、そろそろデジモン達も限界が近付いてきているようで、ぐったりとルナモンが弱々しく声を洩らした。
ルナモン[うう…]
すずか「暑いのルナモン?」
ルナモン[氷欲しい…お水飲みたい…]
氷属性を持つルナモンには砂漠の熱気は厳しいらしい。
賢「ほら、すずか。これを飲ませて」
賢は持参していた水筒を渡す。
すずか「あ、はい」
すずかは水筒を受け取るとルナモンに飲ませる。
大輔「……しかし、歩いても歩いても何も見えてこないな。これ以上歩いても何も無かったら森に戻ることも視野に入れておいた方がいいかもしれないな」
ユーノ「このままだとみんなバテてしまうかもしれないですし」
大輔の意見に頷くユーノ。
フェイトも同じように頷いた。
ルカ「…?」
ぽつぽつと建つ電信柱だけの景色を滑るように流し見していくと、その中に何か奇妙なものが見えた気がしてルカは目を凝らした。
船が浮かぶ少し大きめの池。
そして整然と並ぶ屋根がルカの視界に飛び込んできた。
ルカ「あれ…」
ルカは屋根が見えた方向を指差した。
大輔「ん?あれは!!」
大輔はルカが指差した方向を見遣ると目を見開いた。
なのは「村だあ!!」
なのはが驚きと喜びに満ちた声を上げた。
大輔「行ってみよう!!」
子供達は向こうに見える村に向かって走り出した。

































子供達が辿り着いた村はサンモンの村だった。
サンモン達が住む住居はテントのようなものだ。
子供達は周りを見るとサンモン達が畑を耕していた。
畑に植えられているのは野菜と…。
アリシア「…お肉……?」
畑に植えられているのは野菜の他に漫画で出てくるみたいな骨付き肉だった。
プロットモン[へえ、ここじゃあ肉の種がよく採れるのかしら?]
アリシア「へ?お肉の種…?」
プロットモン[どうしたのよアリシア?変な顔して?お肉は畑で採れるのは常識じゃない。なのは達の世界では違うの?]
呆然としているアリシアにプロットモンは不思議そうな顔をする。
ブイモン[あー、プロットモン。違うんだよ。大輔達の世界じゃあ、肉は店に行かないと手に入らないんだよ。]
フレイモン[店じゃないと手に入らないって変な世界だな。]
フレイモンが微妙そうな顔をして言う。
ガブモンX[肉畑で取れた新鮮な肉は美味しいんだよ。]
なのは「そ、そうなんだ…」
気づくとサンモンらはコロナモンを取り囲んでいた。
どうやらコロナモンがどうやって進化したのかが気になるらしい。
[コロナモン、どうやって進化したんだ?]
コロナモン[え?あー、アリサと一緒にいたら、いつの間にか進化したんだ]
[[[へえー!!]]]
アリサ「もう馴染んでる」
大輔「やっぱり幼年期が同じだと馴染みやすいんだろうな」
コロナモン[アリサー!!サンモン達がご馳走してくれるってよ!!]
ギルモン[本当か!?もうオラ腹ペコペコだ~]
コロナモンの言葉に子供達は喜んだ。
アリシアは噴水を見つけると走って行く。
[この辺りはみんなミハラシ山に水源があるの。]
[とーってもおいしいんだ!!]
なのは「ミハラシ山って…あの山?」
キョロキョロと辺りを見渡すと、大きな山があった。
サンモン達が言うミハラシ山とはそれであろう。
突然、子供達の目の前にあった井戸の中から火柱があがった。
大輔「ど、どういうことだ?」
賢「あっちに池があるから行ってみよう!!」
子供達は池まで走って行ったが、池には水がなく、船もその正しい役目を果たしていなかった。
他の井戸も同じで水がなく、時折火柱があがるのだった。
ユーノ「ミハラシ山に何かあったんじゃ…?この状況は明らかにおかしいですよ!!?」
大輔「ルカ見えるか?」
ルカ「待って…」
この中で視力が良いルカがミハラシ山を見つめる。
山の頂上から噴き出す炎と、凄まじい勢いで山を滑り降りて来る1体のデジモンがルカの視界に飛び込んできたのだ。
ルカ「あれ…何?」
頂上の炎は、最早肉眼でも視認出来るほどに燃え上がっている。
賢「メラモンだ!!」
山から降りてくるメラモンを見て賢が叫ぶ。
メラモンが山から降りてきた。
それだけでサンモンの村はパニックに襲われた。
メラモンは先程の荒野を横切り、着々とこの村へ近付いてきている。
逃げるための時間なんて、無いに等しい。
大輔「皆、あの船の中に避難するんだ!!」
子供達とサンモンらは池だった穴にあった船の中に避難することに決めた。































大輔「こっちだ!!」
フェイト「足元に気を付けて!!」
賢「慌てないで、落ち着いて前に進んで!!」
アリシア「早く!!早く中に入って!!」
すずか「皆、大丈夫!?」
大輔達はサンモン達を船へと誘導する。
アリサ「ねえ!!コロナモンは何処!?」
大輔「何!?いないのか!?」
ルカ「コロナモンなら向こうだよ!!大丈夫だから、先に行けって…」
アリサ「え!?」
アリサが湖の辺を見るとサンモン達を誘導しているコロナモンの姿があった。
アリサ「あの馬鹿!!何1人で無茶してんのよ!!」
すずか「アリサちゃん!!」
パートナーデジモンの目前に迫る危機に、居ても立ってもいられなくなったのか、アリサが飛び出してしまう。






























コロナモン[ふぅ…]
アリサ「コロナモン、後ろーっ!!」
コロナモンがサンモン達を誘導し終え、一息ついた時だった。
真後ろまで来ていたメラモンに攻撃されてしまったのだった。
アリサ「コロナモーーーン!!!!」
アリサはコロナモンの元に一目散に駆け寄ると、その小さな体が叩きつけられる前にコロナモンを抱え上げる。
コロナモンを庇って地面に転がったアリサは、ボロボロになったコロナモンに呼びかける。
アリサ「コロナモン、大丈夫?」
コロナモン[アリサ…来てくれたのか…?]
アリサ「当たり前よ…あんたは私のパートナーなんだから…」
コロナモン[…サンキュー]
コロナモンはアリサの腕から出るとメラモンを睨みつけた。
コロナモン[もう大丈夫だ!!もう俺は負けない。ぶっ飛ばしてやる!!]
コロナモンが叫んだ時、D-3から進化の光が放たれた。
コロナモン[コロナモン進化!ファイラモン!!]
朱い四足歩行の獣で、炎がヘッドギアや尻尾等の防具から灯され、朱色の翼に金色のライオン(百獣の王)を思わせる雄々しい鬣を靡かせた“空を駆ける獅子”の異名を持つ獣型デジモン、ファイラモンに進化した。
ファイラモンはメラモン目掛けて飛翔した。
メラモン[バーニングフィスト!!]
メラモンは掌に火球を生み出すと飛び回るファイラモン目掛けて放った。
ファイラモンは火球を前足の爪で切り裂いた。
ファイラモン[ファイラボム!!]
ファイラモンは額に全身の力を集中して放つ火炎爆弾、ファイラボムを放った。
ファイラボムはメラモンの手前で爆発し、メラモンは爆風によって吹き飛んだ。
ファイラモンはメラモンが地面に叩きつけられたのを確認すると全身に炎を纏った。
ファイラモン[フレイムダイブ!!]
全身に炎を纏い、空から急降下突撃をするフレイムダイブを繰り出し、メラモンに直撃させた。
いくら炎に耐性はあってもダメージは逃れられない。
不意に、メラモンの背中から小さな歯車が飛び出した。
それは真っ直ぐ上空を目指して飛んでゆき、小さな音をたてて弾けて消える。
大輔「あれは…」
フェイト「さっきの歯車…?」
賢「どうやらあれに操られていたようだね」
はやて「あれがメラモンが暴れていた原因なんか…?」
子供達の疑問は尽きなかったが、サンモン達にご馳走を振る舞われ、子供達はその疑問を隅に追いやった。
余談だが畑で採れたばかりの肉はとても美味しかったのか、子供達とデジモン達の側にはいくつもの骨が散乱していた。


































そして現実世界では、公園から戻ってきた一輝達はカリムへのプレゼントをケーキにした。
一輝「悪いな、プレゼントがケーキで…」
カリム「そんなことはありません。一輝さんからのプレゼントなら何でも嬉しいです」
一輝「…ありがとな。さてと俺達もケーキ食うか……」
レオルモン[一輝ーーーっ!!デジモンだよ!!]
一輝「はあ!!?」






























外に出ると、確かにダークティラノモンが暴れていた。
一輝「全くどうなってやがる?現実世界とデジタルワールドの境目が目茶苦茶になってんのか?」
頭を悩ませる一輝。
しかし、ダークティラノモンの咆哮に思考を中断する。
一輝「仕方ねえ、行くぞレオルモン!!」
レオルモン[うん!!]
一輝「向こうの世界の管理者共は何してやがる!!もし会ったら微塵に砕いてやるぜ!!」
この世界のデジタルワールドの管理者への怒りを抱きながらダークティラノモンに突進するのだった。
 
 

 
後書き
無印でもヴァンデモン侵攻前にも現実世界にデジモンが現れていたので、一輝は本格参戦まで現実世界で戦ってもらいます。 
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