戦極姫 天狗の誓い
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第4話 越後統一
前書き
さて、此処から原作レ〇プが始まる。
「原作無視とかクソだわ・・・・・・」と思う方はご覧にならない事を推奨いたします。
これから先、どんどん原作をぶち壊していくのでご了承ください。
静かな廊下をダルそうな足取りで歩く颯馬。
「ふう、やっと越後統一まであと一歩か」
「あれれ? 軍師さん、こんな所で何してるの?」
「おーい、天井から声かけんのやめてくれ。びっくりして心臓に悪いわ」
「おおっと、それは失礼」
天井から降りてきた少女は、この家に仕えている忍、加藤段臓だ。
すこしお調子者だが実は凄腕の忍びなのだ。
まあ、お調子者は仕事になったら本気を出すと言うのは昔から決まっている事だ。
実祭に、彼女の動きは目を見張るものがある。
明日の戦にも彼女の力が勝利に役立つであろう。
「いや~とうとう、明日で越後統一ができるね~」
「だな。明日が踏ん張りどころだ」
「そういえば、軍師さん。明日は軍師さんも戦に出るんだよね?」
「まあ、多分そうだが……」
「それじゃあ、明日に備えて訓練でもしない? 明日は体動かすんでしょう?」
確かに、明日は嫌でも動くこととなる。実際に敵と切り結ぶことにもなりうる。
少し体を動かしておくのも良いだろう。
「確かにな。それでは訓練に付き合ってくれ」
「はいはーい」
道場
「さて、軍師さん、かかってきな!!」
「行くぞ。段臓殿」
木刀を持って段臓殿に接近する。木刀を握り締めて力の限り振る。
しかし、段臓は軽い身のこなしで飄々と躱す。
「隙有り!」
段臓殿が姿勢を低くして、足を掛けて来る。
俺は呆気なく転ばされる。目の前には段臓殿がクナイを持って突き付けていた。
「軍師さん、相手は忍びなんだから気をつけないと~」
「ああ、善処する」
「そんじゃ、気を取り直してもう一戦行こう、そうしよう~」
そう言って段臓殿はクナイを構え、こちらに突っ込んできた。
攻撃の速さはクナイの方が木刀よりも早い。ならば……。
俺は木刀を床に置き、無手で構える。
「ありゃ?」
段臓殿はこちらの行動に戸惑い、動きが遅くなった。俺は床を蹴って段臓殿に近づくと、段臓殿の腕を掴み、力任せに放り投げた。
「どっせーい!」
「あららららっ!?」
段臓殿は空中で何回か回転した後に、綺麗に着地する。
「もう、女の子を投げるなんて酷いよ! 軍師さん!。あたし、プンプンだよ!」
「だって、クナイで刺されたら痛いじゃん!」
「あ、宇佐美さんが脱いでる!」
「えっ!? 何処!?」
段臓殿の言葉に激しく動揺しながら指さされた方を見るが、そこには定満殿の姿は愚か、人影もありはしなかった。
「隙あり!」
「あぶなっ!? 流石忍者汚い!」
飛んできたクナイを横に転がって躱す。しかし、既に段臓殿は俺の回避方向を予測して動いていたのか、目の前にいる。
「ひっさーつ! 脇腹蹴りぃ~!」
「技名ださぁ!?」
ださい技名の蹴り(弱いとは言ってない)を脇腹に貰い、俺の体は宙を舞った。
地面に叩きつけられ、起き上がろうとした時――。
「……!」
「軍師さん、まだまだだねぇ?」
俺にクナイが突き付けらていた。
「っ!」
目の前に突き付けられているクナイが目に入ると、死にたくないと言わんばかりに体が勝手に動き、クナイを取り上げる。
「うわっと!? 軍師さん、私が油断するのを狙ってたんだね!!」
「え、あ、いや。えと……」
段臓殿が俺から距離を取ると、もう1本クナイを取り出して接近してくる。
キン!
2本のクナイがぶつかり合うと同時に、俺と段臓殿は蹴りを繰り出す。
互いの蹴りがぶつかり合うと、段臓殿は後ろへ押される。体格では男である俺の方が上なので、女性である段臓殿は押されて当然である。
「軍師さん、どうしたの? 急に強くなったね?」
「山育ち何でな」
「軍師さんって、忍者?」
「いや、忍者じゃないぞ。普通の人と違いがあるなら、山で育ってきたぐらいだから」
「ふーん。軍師さんの動き、忍者みたいだったからさ……」
「…………」
忍者か……。ガキの頃に憧れたな。でも、お師様の狗法を見たらやっぱり天狗が良いなって思って結局天狗の道を選んだんだよな……。
◇
その戦は、数度刃を合わせた後に互いに動きを止めた。
相手は防御に徹すると決めているらしく、いくら誘っても釣られることはなく防御を固めるばかりだ。
「時間がたてばたつほど……向こうの防御が固くなるの」
「此処まで防御に徹するとなると……兵站の確保は充分と言う事だろう」
「兵を集中して突撃をかけてはどうでしょうか?」
「消耗戦になっちゃうと……こっちの方が不利……だと思うの」
定満殿、与六、景虎様が今後の動きをどうするか決めている。
しかし、このままではこちらの兵站が尽きる可能性もある。
何とか短期で決着をつけるしかないだろう。
「このままではこちらの兵站が尽きます。短期決戦で行くしかないかと……」
「ならば、少数で斬り込むしかないだろう。私を中心として斬り込み隊を組み、本体同士をぶつけた後、一気に敵大将へと斬り込み勝負をつける」
虎様の策が有効だろう。あまり考えている時間もない。
「定満、敵大将への馬印を参考にもっとも効率の良い道筋を考えよ。弥太郎はついてくる者を少数選抜し、斬り込みに備えよ」
止める間もなく、景虎様は決断するとすぐに命令を出して自らも動き出した。
それじゃ、俺も働きますか。
「隠形」を使って敵の布陣を確認しに行き、定満殿に情報を提供する。
定満殿も策が出来上がり、斬り込み隊も組まれている。
この後すぐに、突撃を開始するだろう。
「突撃を開始するっ! 太鼓を鳴らせ!」
合図の太鼓と共に、組み直された本体が敵本体とぶつかる。
先陣には、景虎様率いる精鋭部隊が斬り込みを開始する。
「斬り込み隊、突撃! 全力で駆け抜ける。目指すは敵大将の首ただ1つだ!!」
景虎様自ら一番やりを果たし、そのまま敵陣に斬り込もうと声を上げる。
「はああぁっ!」
「立ちはだかる者は切り捨てる! 大将への道、開けてもらうぞ!」
「戦場では加減もできぬ、死を恐れるなら立ちはだかるがいい!」
おぉ、怖い怖い。
あの3人が居れば向かうところ敵なしだな。
しかし、1つ納得のいってない事がある。
なぜ、この精鋭部隊に俺が組み込まれてるんだ? おかしくね? 実際俺って軍師だろ?
軍師が特攻するとか大丈夫なのか? それ以前に、戦闘専門じゃない奴連れて敵中央ぶち抜けるってどうよ?
俺の専門、戦闘じゃないんだけど……。
「はああっ!!」
景虎様が敵兵を切り、鮮血を散らす。
手にした刀は人の血で真っ赤に染まり、もはや切れるような状態ではない。
それでも、景虎様が振るうと鮮血が上がり、兵が倒れる。
突如、横から殺気を感じ取り、咄嗟に仕込み杖を構える。
「くっ……」
くそ……足軽に押されるとは……。
数回にわたり切り結ぶ。刀がぶつかると共に嫌な音が耳に入り込む。
強いな、明らかに押されている。だが、足軽に負けるとか色々とまずいんだよ!
「うおおおおおっ!!」
「ぐあっ!?」
力を振り絞って敵の首を仕込み杖で殴りつける。
いまだに手が痺れ、口の中は死と言う恐怖と常に隣り合わせにある為、緊張して乾く。
「颯馬! どうかしたか?」
「いえ、張り切り過ぎて集中が切れかかっていただけです!」
景虎様の問いに返答を返して再び敵大将の馬印に向かって走り出す。
勢いを止めずに進む景虎様に続いて、兵たちは勇戦し、敵大将を討ち果たしてこの合戦に勝利することができた。
戦いの熱を冷ますように、勝利のこだまが空へ響いた。
越後の統一を決める叩大きな戦に勝利をおさめ、数日後、景虎様は戦勝の宴を開いた。
「与六、もう少し酒を持ってきてくれるか?」
「小島様、少しは控えてください」
「めでたい時くらいはいいだろう? 若いうちからそのようでは年を取って楽しみがなくなるぞ?」
「もう何があっても知りません! 後は他の人に頼んでください」
師弟が楽しそうにしている。与六もまんざらではなさそうだ。
さて、越後の統一は終わった。これで景虎様の心から憂いは消え、誓いは果たされた。
あとはのらりくらりと旅にでも……。
辺りを見回すと、大量の団子を持って庭へ行く定満殿を見かけた。
噂によれば、庭に出て団子を食べている姿はとても愛らしく、隠れて観察している集団もいるらしい。変人である。
まあ、他人の趣味なんぞどうでもいいので咎めたりはしないが。
「お前、戦の時にぼーっとしていたんだって?」
「与六か」
「与六ではない」
「は?」
「正式に直江家の養子となることが決まった。これからは直江兼続と名乗ることになる。景虎様の勧めでな。与六のままでもよかったんだが……」
「凄いじゃないか。直江家と言えば名家だろ? おめでとさん」
「ああ」
「ところで、弥太郎殿はいいのか? 姿が見えないが?」
「厠へ行かれた。戻ってきたらまた世話をしなければ……手のかかる師匠だ」
喜んでいるくせに、可愛い奴め。
「小島様よりお前の方が問題だがな。戦場でぼーっとするなど何を考えているんだ?
それではいつか、景虎様の手を煩わせてしまうぞ」
「すみません。本当に申し訳ありません」
頭を床に擦り付けて土下座をする。困ったときは土下座をすればいいと教わった。
何? プライド? 知らんな。
「お前……そう簡単に頭を下げるな!」
「いや、しかし」
「大体、最低限刀を振れるようになれ! それに他人の傷を治せるのに自分の傷を治せないなんてどういう事だ?」
「自分の寿命を自分に使ったって変わりないだろ? 安心してくれ、俺の顔は3度だ。兼続の場合、後2回までなら怪我しても治療してやろう」
「バカにしているのか!?」
ひい、めんどくさい人だなおい。話を切り替えるか。
「そんな事より、剣術指南をお願いしたいんだが……」
兼続は驚いた顔をするが、溜息をつきながら答える。
「分かった……いいだろう。景虎様の為にもなりそうだしな」
兼続って本当にあれだよな。なんだっけ? 異国の言葉で……loveか。
兼続は景虎様loveだ。
さて、説教? も終わり兼続と別れ、酔いを醒ますために風に当たろうかと思い外に出る。
それに、騒がしいのはあまり好きじゃない。
「うん? 颯馬か?」
「おや、景虎様」
「宴はまだ終わってないだろう?」
「酔いを醒ますために風に当たりに来たんですよ。騒ぐのはあまり好きではないし。景虎様こそどうしてここに?」
「ははっ。私と同じか。どうも、騒がしいのは苦手な性分でな」
「そうでしたか」
さわさわと吹く風に、景虎様は気持ちよさそうに顔をなぶらせていた。こうやって見ると正に美人だ。兼続が一目ぼれしたと言っていたが、その理由も分かる気がする。
あれ? てことは……兼続って……。まあ、愛の形は人それぞれだから……。
「そうだ、では私の杯の相手をしてくれ」
「いいですよ」
景虎様の横に座り、杯を受け取り、酒を注ぐ。(お酒は二十歳からです)
口に酒を流し込む。喉が少し焼けるように熱い。中々強い酒の様だ。しかし、それをずっと飲んでいる景虎様は全然酔っていない。
「景虎様、この酒強いですね」
「ははっ、颯馬は酒に弱いか?」
「まあ、酒なんて飲んだことありませんし」
「そうか……。颯馬よ、私はお前のようなものが味方してくれたことに感謝している」
「どうしたんですか? 急に改まって」
「いや、お前のように不思議な者が居るだけで士気は上がり、私の目的に大きく近づくのだ。あの時、町に出ていた私はいい拾い物をしたよ」
「そうですか。拾われた以上、恩の為にも尽くさなければいけないですね」
「ふふっ。お前の働きに期待するよ。そう言えばお前、人を探していなかったか?」
「ええ。無事に見つかりましたから大丈夫ですよ」
「そうか。さあ、まだ酒は残っている。酔い潰れるまで付き合ってもらうぞ?」
「ははっ。こりゃ、戦よりもきついかも……」
そう言いながら杯に注がれた酒をもう1度飲み干す。
すぐに酔いが回ってしまった俺は、部屋で休むために景虎様と別れて自室へ向かう。
「…………」
…………誰かいるのか? 自室から何者かの気配がする。まさか、忍か?
俺ってそこまで重臣じゃないぞ?
恐る恐る戸を開くと……そこには弥太郎殿が顔を赤くして寝ていた。
「…………新入りの寝床を奪って新入りいじめか……中々やりますね、弥太郎殿」
弥太郎殿は酔っているので変に刺激して怒らせたらなにされるか分かったもんじゃない。
俺は大人しく、廊下の壁に背をつけて座り込んだ。。
「うう、寒い……」
体を震わせながら俺は眠りについた。
「そう……お……ろ」
「あん?」
誰かに呼ばれた気がして目を開ける。光が目に差し込んできてもう1度目を閉じ、ゆっくり開ける。
「颯馬、起きろ」
目の前に兼続の顔がある。
「颯馬、お前。こんなところでなんで寝ているんだ?」
「んあ? ああ、そうだ。俺の寝床が弥太郎殿に占領されていてな……」
「何?」
兼続が俺の自室に入ると、弥太郎殿をたたき起こし、廊下に引っ張り出す。
「ひい!? 兼続!? 急に何を!?」
「小島様! 戻ってこないのでお休みになったと思っていたら、お部屋に居なかったので探しましたよ。それに、颯馬の部屋を占領するなんてダメですよ!」
「え? 颯馬の部屋? ああ、すまない颯馬」
「颯馬、詫びさせてもらう。小島様も酔っておられたので悪気があってやった訳じゃないのだ。だが、済まなかった」
兼続が深々と頭を下げる。弥太郎殿も頭を下げている。こうも頭を下げられるとどうしても違和感がある。
「まあまあ、別に大事には至ってないので大丈夫さ。廊下で寝るのも滅多にできない経験と思えばいいしな……」
後書き
ふと思ったのですが……。
①
〇は手に持っている剣で△を斬りつけた。
「危ないって!」
△は口を開くと共に躱した。
という文と、
②
〇は手に持っている剣で△を斬りつけた。
「危ないって!」
△は口を開くと共に躱した。
という文ではどちらが書き方として相応しいでしょうか?
ただ単に①のようにズラーッと台詞と地の文を並べるか、②のように改行して台詞と地の文の間を空けるか、どちらが良いでしょうか?
ご意見を頂けると幸いです。
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