ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~
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戦乱の剣と託されたもの
前書き
始まり、始まり~。
哀しみが襲い掛かる。
僕はいま、走っていました。
スイルベーンへと戻るためです。
ダメージを受けたりしたせいか、加速が有効に働きました。
というのが、約一時間のことです。スイルベーンまで戻った僕は、本物のシグルドという人に会いました。
傍から見て、自分以外の奴は低能みたいな雰囲気を出していたので、完全決着マッチで勝負しました。
「弓剣アマノ・アズサをコンバート」
その一言で象徴武器を実体化させると、弦を引いて構えました。シグルドはにやりと笑い、砂を僕の顔へと飛ばしました。
目つぶしです。しかし僕は構わず撃ちました。
戦いは一射で終わりました。一撃でシグルドさんのHPバーを喰い尽くしました。コロシアムの外部まで。
その能力に唖然としたのが、その一時間後。つまり、僕が寝てから二時間がたち。
僕らはようやくスイルベーンから出ることができました。しかし・・・。
「すまない・・・時間だ」
キリトさん達が帰宅する時間が来てしまったのだ。
ということで、キリトさん達は一時帰宅、僕たちはスイルベーンで一夜を過ごすことになった。
宿をとり、部屋に入る。
僕と同じ部屋にいるのは、映司さん、アンクさん、真さん。
そこで僕は、クライに飛ばされた時のことを話しました。
「火野さん・・・本郷さんと一文字さんに会いました」
「本郷さん達と?」
「はい、クライに殺されそうになったときに出てきて、二人は僕にこれをくれました」
銀のグローブと赤のグローブ。そして、赤いマフラーにアマノ・アズサ。
「一号・二号のグローブに、赤いマフラー。そして・・・なんだこれは?」
「―――――――――・・・ッ!!」
アマノ・アズサを持った真は、それを投げ捨てた。
「ちょっ・・・真さん!なにを・・・」
「なぜだ・・・!」
真さんが険しい表情をして僕に問うた。
「何故お前はそれを持てる!?」
「尋常じゃない・・・そんなものを持ったら、俺だったら精神が壊れる」
「異常な力だ・・・怪人も、ライダーも関係ない。ダグバ以上の恐怖を与えるソレはなんだ!?」
僕にとっては何も、感じなかった。しかし、それは真さんには恐怖を与える物だった。
・・・どういう・・・こと・・・あ・・・。
心臓が、痛い。
「グ・・・ブグッ」
パシャり。そんな音と共に、赤い液体が吐き出された。
「ユキ君!!・・・っ」
「映司!!行くんじゃねぇ!!」
アンクさんが火球を吐き出す。もうそんなことを考えてる余裕などない。
頭が。思考が。血流が加速していく。何かが剣の形を作った。
僕は、窓を蹴破った。
「映司・・・サンッ!!何か・・・来てるッ!!」
グシャアッ!!!上空から現れる影。そいつは・・・・。やばい。
「予想外ですね・・・・。まさかそんなものが存在してたなんて」
そいつは仮面をかぶっていた。そして右手から出てきたのは、長大なリボルバー。
僕は腹部から出てきた何かを引っ張った。それは、全長が170センチほどの剣。
黒と赤がメインの色で、金色のラインが走る。ゆっくりとそれを抜く。
シャリン。そんな音が響くと、後ろから人が倒れる音が聞こえた。
黒いのか赤いのかよくわからない色の剣。その刀身は恐怖を感じさせたが、どこか優しさを感じた。
「・・・刀身の恐怖で、全員の意識が飛ぶとはね。まったく恐ろしいものだよ。ショッカーの遺産は」
「貴方は何者だ」
ユキの問いに、仮面の男が答える。
「ただの生きたい男ですよ。愛する人の為にね」
「なら・・・退けッ!!」
駆けだしたユキが、鞘を男に叩きつける。男は二つに割れた。しかし、すぐに復活する。
「言葉が矛盾してませんか?」
「アシムレイトロイドっぽいので攻撃してみました。再生能力があるかは謎でしたが」
「・・・へぇ、容赦ないですね」
男はリボルバーを構え、撃った。
轟音と共に放たれた弾丸は、まっすぐとユキへと向かって来る。
それを避けようと右側へと傾けると、弾丸も右側へと移動する。
「追尾・・・!?」
咄嗟にダインスレーヴの鞘で弾丸を断ち切る。
「あ・・・っ」
しかし二つに割れた後の弾丸は、ユキの両足に被弾する。
「壊れた後も・・・追尾するのか」
力も入らず、膝ががくんと下がる。意識が遠のいていく中、男が近づいてくる。
「・・・もう少しだよ」
男が、ユキの傍で言った。
「――――――――さん」
名前は聞こえなかった。男がユキの頭に手をかざす。その瞬間。
「その子から手を離せ」
メロンエナジー!!
強大なエネルギーを圧縮した矢が、男に飛ぶ。男に矢が突き刺さる。
「無駄だよ・・・」
「呉島貴虎さん」
無言のまま貴虎はソニックアローを向ける。
「争う気はないよ。さようなら」
男は次元の壁の中に消える。変身を解いた貴虎は、ユキの方へと駆け寄る。
「あ・・・貴虎さん」
「大丈夫なようだな」
「君に伝言がある。まずはこの資料。本郷猛から渡されたものだ。ショッカーの残留データからサルベージしたものだそうだ。そして・・・」
「五代雄介が、現実世界で動き始めた」
「!!・・・でも貴虎さんはこちらに来れたのに、五代さんはなんで・・・?」
「俺はクラックの技術を応用してここまで来た。しかし座標は私たちの世界しか設定されていないから誰も送れない。しかし五代はカナリアの力を借りて来た。疲労したカナリアにはきつかったようだ・・・」
ユキたちを背負い、部屋のベットに寝かせた貴虎はクラックの壁を開く。
「君に一つ、弓について言っておくことがある。弓に力を込めるのは、弦を引っ張る時だけでいい。あとは心を落ち着かせて撃つんだ・・・。では、な」
貴虎は短い時間だったが、ユキの心に何かを残した。資料を読み始めるユキ。
その資料には―――――――――――。
キリト達がログアウトしてから一日が立った。
キリト達がログインして驚いたのはユキの状況。腕、脚全てが包帯でまかれており、ところどころに血が滲んでいる。
拳に関しては皮が擦り切れ、見るからに痛々しい。
「お前・・・どうした?その怪我」
ユキは笑顔で弓剣を見せ、後ろを指さした。響鬼と映司、晴人が死体のように寝ていた。
「特訓ですよ・・・いろいろとね」
「しょお~~~~~ねん・・・響鬼さんは疲れたよ・・・」
「お、同じく・・・」
「ドー・・・ナツ」
「朝から・・・ご苦労だな」
宿から真が出てくる。
「ユキ・・・昨日のことは聞いたが・・・弓剣の方は大丈夫か?」
「は、はい!!――――――真さん」
「なんだ」
「持ってください」
弓剣を真の前にかざす。真はそれを握る。
「・・・大丈夫なようだ」
少し笑った真は、準備してくると言って宿へと戻る。
資料を見てわかったことがある。
一つはアマノ・アズサ。その力は、何回も使用することで成長する。
さらに心を落ち着けることで、その力はより強くなっていく。
強くなっている証拠に、刃はより美しく、矢も鋭くなっていく――――と書かれていた。
しかし、問題はココからだ。
黒い剣の正体。戦乱剣ダインスレーヴ。
解放条件は興奮状態に陥ることの他に、体力の枯渇。
コレは自分の命を守るために発動する。命を狩り尽くす剣、それがダインスレーヴだった。
ユキはこれにならないよう、晴人たちの力を借りた。
暴走したら止めるように。体力をつけるために、ひたすら森の木を倒す。
そのおかげか、アマノ・アズサは約一日、30分の休憩をとることで使用可能になった。
さらに、頭の中にある謎のデータによってアマノ・アズサが汚れる前に自動格納されるようになっている。
それが何かはわからなかったが、利用する物は全て利用する。力はあった方がいい。
自分を犠牲してでも、絶対に。
ユキにとって今、アルゴのことが頭の中の大半を占めている。
そんなことを考えていると、他の人達がいつの間にか周りにいた。
「ユキさん」
リーファが話かけたことで、ユキは我に返った。
「もう、行きますよ」
「あ、はいっ!!」
ユキは走って今回の目的の場所―――――――《ルグルー回廊》へと、向かい始めた。
後書き
お次では、ルグルー回廊まで一気に飛びます。さらに言ってしまえば、ライダーバトルに時間を使いすぎたので、何とかします。ではでは~。
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