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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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バカと狂気と音楽コンボ

「皆、逃げろォオオオオオッ!!」
『タトバ!タットッバッ!!』
軽快なサウンドを放ち、俺はオーズとなって相対した。
『ジャマヲスルナ、ヨワキモノニキョウミハナイ!!』
「興味がなくとも此方にはあんだよ!!」
そう言うと、例のコンボを発動させる。
『ライト!ロード!ダーク!ライドダー!ライドダー!ライド!ライド!ライドダー!!』
すぐにオーズブラスターにロードメダルを入れると、必殺技を発動させる。
『ワン!ツー!スリー!ビート・ブラスターク♪』
マスターエンフォーザーがデストを飲み込み、俺は地面に着地する。しかし。
「ぐっ!?」
デストが現れ、首を掴まれ、持ち上げられる。
『ヨワキモノニキョウミハナイ!!キエロ!!』
途端、より一層力を加えてくる。
「………!!」
息が出来ず、呼吸も出来ない。俺はもがき、苦しむ。それを見た白黒神は笑っていた。

無様だった、俺は。何が、守れるだ。何が、英雄だ。……何一つ守る事なんてーーーーー

そう思った時だった。
「ハイヤッ♪♪」
音速の風が吹き荒れ、デストと俺を離れさせた。
「かはっ、けほっ、けほっ」
空気を吸い、息を整え、横を見ると、そこには……
「だらしないよ、ライト。それでも、僕の人格?」
純白の装備に、二挺の銃剣。そして、その腰にはオーズドライバー。
銃格剣ロードがそこに立っていた。
「ライト達じゃ相手にすらならないよ。ここは潔く退いて」
「だけど!!お前、アイツが……!」
と、言い掛けた時、デストがロードを狂気に落とそうとしていた。
「えー、何いってるのさ♪」
と、平然と回し蹴りをデストに放って、言う。
「狂気と音楽は紙一重って言う諺が在るでしょ?」
途端、デストが蹴られた部分を押さえていた。俺のマスターエンフォーザーすら痛まなかったあの身体が。
「狂気を浄化するには音楽は必須。スノー君が居ないなら、僕がやるしか無いじゃん♪」
そして、メダルをセットして、スキャンした。
「変身♪」
『タカ!イマジン!ショッカー!タ・マ・シー!タマシー!タ・マ・シー!ライダー・魂!!』
姿はそのままで、ロードは脚に黄金のコンドルレッグを、腕に紅いガントレッドを装着し、顔にはタカヘッドブレイブに似たバイザーが降りていた。
「さぁ、魂の髄まで教え込ませてやるよ、音楽の音を!!」
『ソングルーレット!プトティラ!!』
途端、プトティラのオーラングサークルが銃剣に入り、ロードが動いた。
「ハアッ!!」
途端、蹴りに光が追加で叩き込まれる。
『ソングルーレット!ラトラーター!!』
「セイハッ♪」
次にヤミーが現れ、次々に覚醒して襲い掛かる。
『ナッ、キサマ、アノトキノオトセンシカ!!』
「ようやく気付いたね?でも、遅いよ!!」
渾身のローキックが当たり、デストは吹き飛ばされた。
「……すっげぇ」
俺は感嘆するしか無かった。
普段はおちゃらけてはいるが、肝心な時は身体を張り、仲間と戦う。俺はそういうロードをこれまでに見たことが無かった。
「いい加減に終わりなよ、デスト。悪夢は終わりさ」
『クックックッ……アクムハオワラナイ。アノモノノキオクノウチニアルカギリ、ワレハキョウキヲツクルノミ。タトエ、キサマがワレヲコロシタトシテモナァ!!』
「ふぅん、そう、か。なら、仕方無いや」
『ソングルーレット!オールコンボ!!』
途端、全オーズが現れ、ボンバエイティングエイトを放った。
しかし、デストはまだ倒れない。
「……あの時より硬いね」
『キョムニフウインサレテカラズット、キサマヲカルタメニ、キョウキヲタメテイタ!!ワレヲ、デストナメルナ!!』
そして、より一層力が増した様に風が放たれ、ミヤビ達はいつの間に来たトライドロンに乗り込んで防いだ。
「厄介だなぁ……ねぇ、ライト」
くるりと俺の方を向いて、言う。
「この状況どう思う?」
「……そうだな、スノー風に言わせてもらえば」
俺は立ち上がり、言う。
「逆境具合がクールだろ♪だな」
「少し違う気がするけど……まぁ良いか。行くよ!!」
そして、腕を交差して言う。
『融合!!』
そして、白い雷が落ち、それが弾けると……
『白い雷を身に纏い、音楽と共に世界を制す!!』
銃剣を構え、叫ぶ。
『天が呼び、地が轟き、海が叫ぶ!!<音の雷撃師>ロイト、堂々見っ参っ!!』
ロードの天賦の才とライトの能力と性格、一つに纏まりを見せた奇跡の融合体<ロイト>。
後に本人たちはこう語っていた。
曰く、「伝説」だと。
『ロイト……ダト。バカナ!!アレハフウイントトモニショウメツシタハズ!!』
デストが狼狽え始める。
『おいおい、人を勝手に殺すなよな。……リン使わせて貰うぜ、お前の力!!』
俺達はそう言うと、メダルを入れて、スキャンした。
『ライト!リン!ロード!ラ・ン・ド!ランド!ラ・ン・ド!!』
『音楽コンボ、ってか?』
『フザケルナ!!』
デストが地面を蹴って襲い掛かる。
『よっと!』
それをロイトが避けで踵落としを食らわせる。
『ほれほれ、早く早く♪』
『ウガァアアアッ!!』
今度は剣を振りかざすが。
『ほれ、どうした。もっと早く早く♪』
コンドルレッグで弾いた。
こうなったらデストは止まらない。
『ウガァアアアッ!!』
力の限り、ロイトを攻撃し始める。
『よっ!ほっ!ホイッと♪ほら、早く早く♪』
しかし、ロイトの運動能力は果てしなく、デストは捉えられない。
『おいおい、もう終わりかよ?早く早く出来ないのか?あ、デカブツだから早く早く出来ないのか♪ゴメンねゴメンねー♪』
舌を出して言うロイトに、剣を横から放つが、
『一詰み甘いよ♪』
たった一つのひ弱そうな銃剣によって防がれた。
『ま、そろそろ終わりにしようか?エンドはそろそろだしね』
白い翼を展開すると、飛び上がり、再びスキャンした。
『スキャリングチャージ!!』
『<アウエニックボルガウル>!!セイハーッ!!』
オーリングを三つ潜り、ライヴステージの能力で加速した純白焔の蹴りは、デストの剣を折り、デストの顔を吹き飛ばし、デストの身体を燃やし尽くし、最後には灰となって散った。
『デストは元々人格であった。故に、人格で有りながら人で在ることを望んだ唯一の人格であったのかも知れんな』
ロイトは言うと、ウロヴォロスを見る。
「おやおや、流石にバテてる様ですね」
『ざけないでね♪僕らはまだ、やれるよ!!』
ロードの空元気か、或いは意地か、力が解放される。
「しかし、<時間消滅>発動まで三十分、私を倒せますか?」
『くっ……』
銃剣を構えると、横にミヤビ達が並んだ。
「一人じゃねぇぜ!!」
「此方は迷惑被ってるんだ。これで終わりにしてやる!!」
ライトとリンが言う。
「ハハハッ!!ダークネスウイングの手助けなしにですか!!」
と、ウロヴォロスが叫んだとき。
欠片が、共鳴し出した。
『何だ!?』
その欠片は所有者の元から離れ、一つとなって、空間に穴を開けた。
『「なっ!?」』
ウロヴォロスも予想外だった様で、一歩下がる。そこに。
「……よくもまぁ、うちの家族を傷付けてくれた物だな、ええ?ウロヴォロス」
その声は、怒りに満ち、
「覚悟は出来ているんだろうな?」
その闇は、深く、
「ウロヴォロス……テメェは断罪だ。容赦ねぇから覚悟しとけ!!」
その剣の音は、鋭い。
<闇神>ダークネスウイング。
「この借りは一千倍、いや、全員の痛さを考えたら一千倍は許せねぇ、一億倍返してやらぁ!!」
そして、そのむちゃくちゃは時に、頼もしく聞こえた。 
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