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【DQⅤ】ゲーム内容全把握のニートが転生時に死なない為の心得。

作者:朝日
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心得~レヌール城編~
  3,年上のお姉さんを敬いましょう。

前回のあらすじ。
「やれば出来る」と「やらなきゃ出来ない」は違う言葉だ、以上。



「でも、僕がいたら足手まといになっちゃうんじゃない……?」
「大丈夫だ、洞窟を一人で探索できるほどに強くなったのならそんなことにはなるまい!」

ただ今、アルカパに行きたくない俺氏と連れて行きたい父さんが口論を繰り広げております。
いや、正確にはベビーパンサーをもらいたくない俺氏。
ベビーパンサーが俺の下に来たが最後、幸せもつかの間、主人と引き離され、遠い土地で「化け物」と10年間も蔑まれ続けるのだ。
可哀想だ、あまりにも可哀想すぎる。俺だったら「欝だ死のう」即決だ。
ちなみに俺の「死のう」は「誰か構ってください」と同意義なので、本当に死んだりはしない。
彼女を襲う勇気もない俺にそんな勇気がある訳ない。

「あ、あの。リュカは私たちのために頑張ってくれたので、これ以上無理させるのは……」

それはそれとして、ビアンカが異常にいい子だ。
俺の中のビアンカ像が崩れて速攻で超立派なビアンカ銅像が再建されたレベルでいい子だ。
少々人見知りだが慣れれば明るく、空気が読める。しかも可愛い。
見事なまでに俺のタイプだが、俺には心に決めた女性が居るのだ。
くそう、俺だって心は思春期の男子だ、前世に戻って彼女といちゃいちゃしたい。
というかなんで死んだんだよ俺、周りに注意しろって散々言われてただろバカか。

「そんなに遠慮するな、ビアンカちゃん!こいつも照れているだけで、本当は一緒に行きたいはずだ!」

根本!根本から間違ってるよ父さん!!

「そ、そう……で、す、かね?」

めっちゃ顔色伺われてんだけど俺!
何かすっげえ謎の申し訳なさを感じるんだけど!!



「ごめんねリュカ、わざわざ着いてこさせちゃって」
「ううん、お姉ちゃんは悪くないし、楽しいよ!」

はい、結局アルカパに来た俺氏、ビアンカと共にアルカパ観光中です。
右手に見えますのは浮き島(?)、上では何やらクソガキ共が猫(?)をいじめています。
助けたいのはやまやまですが、ここで助けるとあの猫はこんなのは足元にも及ばない苦しみを味わうことになります。心を鬼にして突き放しましょう。
なお、言葉を濁さずクソガキと言ったのは、俺が動物好きだからです。動物をいじめる子供は例に漏れずクソガキです。

「ところでリュカ。もしも猫を飼うとしたら、なんて名前がいい?」

ビアンカ、絶対あのベビーパンサー見えてるだろ。
言っていいぞ、「猫を助けたい」って言っていいぞ。
ただしお前が飼うとき限定な。

「んー……チロル、とか?」

俺が小学生時代にやった一週目のベビーパンサーの名前であり、飼っていた猫の名前だ。勿論DQⅤに洗脳されたからだ。さすがゲームオタな俺。
ちなみに二週目はゲレゲレ。さすがゲームオタな俺。

「チロルかー…………アー、アンナトコロデネコガイジメラレテルー」

テ ラ 棒 読 み 。

「ウワア、ヒドイナー」

棒読みで対抗。

「タスケナイトダメダヨネー」
「ソウダネー」

何この会話。

「……というか私思うんだけど、あれ魔物だよね」
「思った」

まさかビアンカがそこに気づくとは。

「魔物ならお母さんもアレルギー発生しない、かも……」

本気で考え込むビアンカに良心が痛む俺氏。
いやでも、ここで良心に負けたらべビパンが可哀想だ……。

「うぅ……どうしよう……リュカも旅してるし、飼えないよね……」

ソウナンダヨネー。

「あいつらに任せたらいじめられちゃうだろうし……んー……」

コマッタネー。

「……お母さんにねだれば何とか……なる、よね?……よし」

ソウカモネー。

「やめなさい貴方達!猫が可哀想というかそれ以前に人間としてその行為はどうなのかしら!?」

ビアンカ姉さんテライケメン。



「お、ビアンカじゃん!お前も一緒に遊ぼうぜー」
「折角のお誘いとても有難いけれど、全力で拒否させて頂くわ。というか私の話聞いてたかお前ら」

すげえ、ビアンカ姉さんすげえ……!

「な、なんだよー。怒んなよ」
「別に怒ってないわよ。貴方達の疚しい気持ちがそう見せているんじゃないかしら……お前らに限ってそれはないか」
「ウイッス」
「……で?その猫を放してやれっつってんだよ話聞け」

やべえ、銅像がぶっ壊れたけどこれはこれで……!
待って、俺の中でビアンカ姉さんを称える石碑が出来てる!
そして俺はMじゃない!前世での彼女も優しくて明るくて若干S入ってたが断じて違う!!(震え声)

「う゛……じゃ、じゃあレヌール城のオバケを退治できたら渡すよ!」
「生き物をいじめた挙句人に命令するのね貴方。ここまで来たら暴力沙汰起こしても正当防衛な気がするわ」

どうしよう、今の姉さんなら結構マジで暴力沙汰起こしそうな気がする。
よし、何とか止めよう。止められなかったらごめんクソガキ共。

「えっと、お姉ちゃん。僕も手伝うから、レヌール城に行ってオバケを倒しちゃおうよ。僕、暴力はダメだと思うの」
「リュカは優しいのね。でも大丈夫よ、リュカに迷惑はかけられないわ」

あっダメだ、多分この人言葉の暴力で解決するつもりだ。
ごめんガキ共……あ、どうしようめっちゃ見られてる。
めっちゃ縋るような目で見られてる。
…………。

「……僕!お姉ちゃんのこと大好きだから、そんなことさせたくないの!」

赤面するビアンカ姉さん。
そうだよね、今世の俺、顔だけは異常に可愛らしいもんね!

「…………リュカに免じて今回は許すわ。オバケ退治、今夜行ってくる。ちなみにお前らがクソガキであることは変わりないからな」

俺やっぱビアンカ姉大好きだわ。



一旦宿に戻り、村に戻ると言う父さんをビアンカの母さんとビアンカ姉が一緒になって止め、一泊だけアルカパに泊まることになる。いやまあ知ってたけど。
そして就いた床で、俺は気付く。

「……そういえば、べビパンもらいたくないって問題は一切解決してないな……」
「リュカ、何か言ったか?」
「うっ、ううん!何でもないよ」

……まあいいや、何とかなると信じることにしよう。
きっとビアンカ姉が何とかしてくれる……はず。
だってビアンカ姉すごいし。かっこいいし。 
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