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ウルキオラの転生物語 inゼロの使い魔

作者:銭亀
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第3部 始祖の祈祷書
  第2章 ルイズの恋煩い

アルビオンから帰ってきた翌朝から、ルイズの態度が変わり始めた。

一言で言うと、優しくなったのである。

まあ、それをウルキオラが感知することはできないのだが…。

ウルキオラは毎朝ルイズを起こし、シエスタが持ってきた洗面器を手渡す。

「ありがと…」

低血圧のルイズは眠そうな顔をふにゃっと歪めたまま、言った。

ルイズは洗面器に手を入れ、水をすくうと思いっきり顔を振って、顔を洗った。

水が飛び散る。

「バカか、お前は」

ウルキオラがそう言うと、ルイズははっとした顔になった。

それから、頬を染めて怒る。

「べ、別にいいでしょ!」

「普通は手を動かすがな」

そう言って、ウルキオラはルイズの着替えをクローゼットから取り出した。

それをルイズに投げた。

服を受け取ったルイズは、顔を赤く染めてウルキオラに言った。

「向こうむいてて」

「なにを今更」

「向こうむいてって!」

どうやら着替えるところを見られるのが嫌なようだ。

それは年頃の少女なら、至極当然な感情だが、今までは見られたって平気な顔をしていたルイズである。

ウルキオラはどうしたんだ、と思いながら背を向けた。

「終わったわよ」

ルイズの言葉に後ろを振り向くと、着替えの終わったルイズが、怪訝な顔でウルキオラを見つめていた。

「そうか…なら行くぞ」

ウルキオラはそんなルイズの目線を気にも留めずに歩き始めた。

「ちょ、待ちなさいよ」

そんなウルキオラに文句を言いながら、ルイズは後を追った。




アルヴィーズの食堂でも、驚くべきことが起こった。

いつものように、ウルキオラは外で待機していようと思い、ルイズから離れようとしたが、ルイズに裾を掴まれたため、ウルキオラは足を止めた。

「なんだ?」

「今日からあんたもここで食べなさい」

ウルキオラはルイズに向き直った。

「俺に食事は必要ないといたはずだが?」

「いいから、ほら!」

ルイズはウルキオラをテーブルの方へと引っ張った。

ウルキオラはされるがままに、テーブルの前に立った。

「ほら、座って」

ウルキオラは少し考えるそぶりを見せたが、言われたとおりに座った。

すると、いつもそこに座っている、かぜっぴきのマリコルヌが現れて、抗議の声を上げた。

「おい、ルイズ。そこは僕の席だぞ。使い魔を座らせるなんて、どういうつもりだ」

ルイズはきっとマリコルヌを睨んだ。

「座るところがないなら、椅子を持ってくればいいじゃない」

「ふざけるな!平民の使い魔を座らせて、僕が椅子を取りに行く?そんな法はないぞ!おい使い魔、どけ!そこは僕の席だ。そして、ここは貴族の食卓だ!」

ふとっちょのマリコルヌは思いっきり胸をそらせて、精一杯の虚勢を張った。

しかし、その体は震えている。

ウルキオラに授業で殺されかけ、あのルイズの爆発魔法を制御し、メイジであるギーシュを圧倒し、挙句の果てにはフーケをとっ捕まえたからである。

ウルキオラが伝説の使い魔らしい、ということは既に学院中の噂となっているのだった。

そんなウルキオラだったので、マリコルヌは冷や汗をかきながら文句を言った。

すると、ウルキオラは立ち上がり、マリコルヌの方を向いた。

「貴族が椅子を取りに行ってはいけない、という法があるのか?」

「なっ…そ、それは…」

ウルキオラとマリコルヌの口論はもはや食堂内で注目を受けていた。

貴族たちはウルキオラに怯え、平民たちはウルキオラを期待のまなざしで見ている。

「どうした?聞いているんだ?そのような法があるのか…とな」

ウルキオラは、ほんの少し霊圧を開放しながら言い放った。

すると、ウルキオラの周りの椅子やテーブル、その上に乗る料理や飲み物がカタカタと音を立て動き始めた。

「ひっ…」

マリコルヌは、少しとはいえウルキオラの霊圧にあてられたため、後ずさった。

そんな様子を見たルイズが、ウルキオラの服を掴み言った。

「や、やめて…ウルキオラ」

ルイズは今にも泣きそうな顔で言った。

ウルキオラはそんなルイズを見てか、霊圧を抑えた。

「まあ、お前の言うことも一理ある。それに、俺には食事は必要ない。故に、ここにいる意味もない」

そういってウルキオラは扉に向かって歩き始めた。

「失礼する」

「ちょ、ウルキオラ。待って」

そんなウルキオラの様子をみて、ルイズはウルキオラを呼び止めたが、ウルキオラは食堂から出ていってしまった。

「一緒にごはん食べたかったのに…ウルキオラのばか…」

ルイズは寂しそうな顔をして、食事にありついた。




教室にルイズが入ってくると、すぐにクラスメイト達が取り囲んだ。

ルイズたちは学院を数日開けていた間に、なにか危険な冒険をして、とんでもない手柄を立てたらしい。

そういう噂だったからだ。

事実、魔法衛士隊の隊長と出発するところを何人かの生徒たちが見ていたのである。

穏やかじゃない光景である。

何があったのか、クラスメイトたちは聞きたくてうずうずしていたのであった。

彼らは、朝食の席ではウルキオラとマリコルヌの口論と教師たちがいたので遠慮していたのである。

キュルケとタバサとギーシュは、すでに席についていた。

その周りにも、やはりクラスメイトの一団が取り囲んでいる。

「ねえルイズ、あなたたち、授業を休んでいったいどこに行ってたの?」

腕を組んでそう話しかけたのは香水のモンモランシーであった。

見ると、キュルケは優雅に化粧をしているし、タバサはじっと本を読んでいる。

タバサはペラペラと話すような性格ではないし、キュルケも何も知らないクラスメイトに自分たちの秘密の冒険を話すほど、口は軽くない、また、教室の後ろの壁に寄りかかっているウルキオラに聞く勇気もない。

クラスメイトたちは、押しても引いても自分のペースを崩さず、何も話さないタバサとキュルケに業を煮やし、ギーシュと新たに現れたルイズに矛先を向けた。

ギーシュは取り囲まれてちやほやされるのが大好きなので、調子に乗ったらしい。

きみたち、僕に聞きたいかね?僕が経験した秘密を知りたいかね?困ったうさぎちゃんだな!あっはっはっは!と呟くなり足を組み、人差し指を立てたので、一瞬でギーシュの後ろに移動したウルキオラに椅子をを蹴っ飛ばされた。

いきなり現れたウルキオラにクラスメイトは驚き、椅子から転げ落ちたギーシュは地面に手をつき、ウルキオラを睨んだ。

「なにをするんだね!」

「ギーシュ」

ウルキオラの冷徹な言葉にギーシュは顔を引きつかせた。

「な、なんだね」

「知っているか?」

ウルキオラはギーシュのそばに近づいて言った。

「だからなんだね!」

「口が軽い奴は、早死にするらしい」

ウルキオラの言葉にギーシュは黙ってしまった。

二人のそんな様子を見て、ますますクラスメイトたちは「何かある」と思ったらしい。

再びルイズを取り囲み、やいのやいのやり始めた。

しかし、ウルキオラの「黙れ」の一言でクラスメイトたちはだんまりしてしまった。

しばらくして、教室にミスタ・コルベールが入ってきたので、仕方なく皆席に着いた。




「さてと、皆さん」

コルベールは禿げ上がった頭を、ぽんと叩いた。

彼は昨日まで、土くれのフーケが脱獄した一件で、城下に裏切り者が!すわトリステインの一大事!と怯えていた。

が、今朝になってオスマンに呼び出され「とにかくもう大丈夫じゃ」と言われたので安心して、いつもののんきな彼に戻っていた。

もともと彼は政治や事件にはあまり興味がない。

興味があるのは、学問と歴史と……、研究である。

だから彼は授業が好きだった。

自分の研究の成果を、存分に開陳できるからである。

そして本日、彼は嬉しそうに、でんっ!と机の上に妙なものを置いた。

「それはなんですか?ミスタ・コルベール」

生徒の一人が質問した。

果たしてそれは、妙な物体であった。

長い、円筒状の金属の筒に、これまた金属のパイプが延びている。

パイプはふいごのようなものに繋がり、円筒の頂上には、タランクがついている。

そしてさらにさらに、車輪は扉のついた箱に、ギアを介してくっついている。

いったい何の授業をおっぱじめる気だろう?と、生徒たちは興味深くその装置を見守った。

コルベールはおほん、ともったいぶった咳をすると、語り始めた。

「えー、『火』系統の特徴を、誰かこの私に開帳してくれないかね?」

そういうと、教室を見回す。

教室中の視線が、キュルケに集まった。

ハルケギニアで『火』といえば、ゲルマニア貴族である。

その中でもツェルプストー家は名門であった。

そして彼女も二つ名の『微熱』のとおり、『火』系統が得意なのであった。

キュルケは授業中だというのに、つめの手入れを続けていた。

ヤスリで磨く爪から視線を外さず、気だるけに答えた。

「情熱と破壊が「火」の本領ですわ」

「そうとも!」

自身も『炎蛇』の二つ名をもつ、『火』のトライアングルメイジであるコルベールは、にっこりと笑って言った。

「だがしかし、情熱はともかく、『火』が司るものが破壊だけでは寂しいと、このコルベールは考えます。諸君、『火』は使いようですぞ。使いようによっては、いろんな楽しいことができるのです。いいかねミス・ツェルプストー。破壊するだけじゃない。戦いだけが『火』の見せ場ではない」

「トリステインの貴族に、『火』の講釈を承る道理はございませんわ」

キュルケは自信たっぷりに言い放つ。

コルベールは、キュルケの嫌味にも動じず、にこにこしている。

「でも、その妙なカラクリはなんですの?」

キュルケはきょとんとした顔で、机の上の装置を指さす。

「うふ、うふふ。よくぞ聞いてくれました。これは私が発明した装置ですぞ。油と、火の魔法を使って、動力を得る装置です」

クラスメイトはぽかんと口を開けて、その妙な装置に見入っている。

教室の後ろの壁にもたれているウルキオラは、その装置に見覚えがあったので、黙って見ている。

コルベールは続けた。

「まず、この『ふいご』で油を気化させる」

コルベールはしゅこしゅこと、足でふいごを踏んだ。

「すると、この円筒の中に、気化した油が放り込まれるのですぞ」

慎重な顔で、コルベールは円筒の横に開いた小さな穴に、杖の先端を差し込んだ。

呪文を唱える。

すると、断絶的な発火音が聞こえ、発火音は、続いて気化した油に引火し、爆発音に変わった。

「ほら!見てごらんなさい!この金属の円筒の中では、気化した油が爆発する力で上下にピストンが動いておる!」

すると、円筒の上にくっついたクランクが動き出し、車輪を回転させた。

回転した車輪は箱についた扉を開く。

するとギアを介して、ぴょこぴょこと中から蛇の人形が顔をだした。

「動力はクランクに伝わり車輪を回す!ほら!すると蛇君が!顔を出してぴょこぴょこご挨拶!面白いですぞ!」

生徒たちはぼけっと反応薄げにその様子を見守っている。

ウルキオラは驚いた。

自分の世界の人間が使っている動力と全く同じものだったからである。

すると、誰かが惚けた声で感想を述べた。

「で?それがどうしたっていうんですか?」

コルベールは自慢の発明品が、ほとんど無視されているので悲しくなった。

説明しようとしたが、ウルキオラが割って入った。

「わからないのか?」

ウルキオラが突然しゃべったので、クラスメイト達は後ろを振り向いた。

「まあ、科学技術が発展していないこの世界ではわからないのも当然と言えば当然か」

ウルキオラのもったいぶった言い方に、キュルケが質問した。

「どういうこと?ダーリン」

ウルキオラはキュルケに向かっていった。

「今はヘビが顔を出すだけだが、例えばあの装置を荷車に乗せて車輪を回す。すると馬がいなくても荷車は動く。さらに海に浮かんだ船の脇に大きな水車をつけ、あの装置を使って回す。すると帆がなくとも前に進む」

コルベールは自分と全く同じ意見を持っていたウルキオラに驚いた。

「そんなの、魔法で動かせばいいじゃない。何もそんな妙ちきりんな装置を使わなくても」

キュルケがそういうと、みんなそうだそうだと言わんばかりに頷き合った。

「どうやら全く理解していないようだな。あの装置で動かすという事は、魔法がいらないと言う事。つまり、平民でも扱うことができる、というわけだ」

このウルキオラの発言にさらに驚いた顔をしたコルベールだったが、クラスメイト達も、魔法がいらないという点に驚いた。

「すばらしい!私も全く同じ意見です!さすがはウルキオラ殿だ!」

コルベールは興奮した口調で言った。

「俺の世界の人間はそれを…名を『エンジン』というが、普通に使っている」

「えんじん?これはエンジンというのかね⁉︎」

コルベールは自分が発明した装置が既に、ウルキオラの世界の人間が使っている事を聞き、驚いていた。

「まさか、科学技術が全く発展していない、このハルケギニアの地でエンジンを見ることになるとは思わなかったがな。どうやら、俺はお前を過小評価していたらしい」

ウルキオラはふっと微笑した。

ウルキオラが笑ったことに、クラスメイト達は驚いていたが、コルベールが大声で叫んだため、皆コルベールに向き直った。

「出来れば、君の世界のことをもっと詳しく聞きたい!いいかね?いいだろう?」

コルベールの豹変した姿にクラスメイト達は目を見開いた。

「どうでもいいが、今は授業中だろう?」

ウルキオラの言葉にコルベールは「そうでした!」と言って、おほんと咳をし、教室を見渡した。

「さて!では皆さん!誰かこの装置を動かしてみないかね?」

最初は全く興味がなかった生徒達だったが、ウルキオラの発言で興味を持ち、全員が手を挙げた。

すると、コルベールは感激のあまり、涙ぐんだ。

しかし、ルイズがやったとき、またもや爆発しそうになり、ウルキオラがそれを窓の外に逃がしたのは言うまでもない。




教室の片付けが終わり、ウルキオラがコルベールから解放されたのは夜だった。

コルベールから、ウルキオラの世界の人間の世界について色々聞かれた。

普通なら、人間の質問になど全く反応しないウルキオラであったが、コルベールがただの人間ではないとわかったため、答えてやることにした。

しかし、やはり面倒になり、その場から立ち去ろうとしたが、あまりのコルベールの剣幕に、ウルキオラは仕方なく共界眼で自動車や戦艦の映像を流した。

さて、それでコルベールが引くわけもなく、あーだ、こーだと質問に答えていたら、夜になってしまったというしだいである。

ウルキオラはため息をついて部屋に戻った。

そして、ウルキオラは椅子に座り、本を開く。

ルイズはベッドの上に座り込んだ。

そろそろ寝る時間である。

いつもの癖で、ルイズの着替えを取ろうとクローゼットに向かったら、ルイズが立ち上がって何かをおっぱじめた。

「なにをしている?」

ウルキオラが尋ねても、ルイズは頬を染めたっきり答えない。

手にシーツを握っている。

それを、天井から吊り上げ始めた。

ルイズはシーツで作ったカーテンでベッドの上を遮ると、ベッドから下りてクローゼットに向かった。

ウルキオラは何をしているのか全く分からなかった。

そんなウルキオラを尻目に、着替えを取り出すと再びベッドの上に向かう。

シーツのカーテンの中に入り込む。

ごそごそとベッドの上から音がする。

ルイズは着替えているようだ。

ウルキオラは、手間が省けたと思いながら、椅子に座った。

しばらくするとカーテンが外された。

ネグリジェ姿のルイズが、月明かりに浮かんだ。

髪の毛をブラシですいている。

煌々と光る月明かりのなか、髪をすくルイズは神々しいほどに清楚で、美しく、可愛らしい。

髪をすくと、ルイズはベッドに横たわった。

机の上に置かれたランプの明かりを、杖を振って消した。

魔法のランプであった。

持ち主の消灯の合図に応じる魔法が付与されている。

なんてことのない魔法だが、これでも高価なものらしい。

窓から差し込む月明かりだけが部屋を照らすと、途端に幻想的な雰囲気になった。

ウルキオラは本を読み続けている。

すると、もぞもぞとルイズがベッドの上から身を起こし、ウルキオラに声をかけた。

「ねえ、ウルキオラ」

「なんだ?」

返事をすると、しばしの間があった。

それから、言いにくそうにルイズが言った。

「その…ベッドで寝てもいいわよ」

ウルキオラは本から視線を外し、ルイズに言った。

「俺に睡眠は必要ないといったはずだが…」

「いいから、ほら!」

ウルキオラは本日二回目のルイズの言葉に、本日二度目の溜息をつき、ベッドの端の方で横になってねそっべた。

もちろん、本を持っている。

どういう心境の変化かわからなったウルキオラだが、再び本を読み始めた。

ルイズは、もぞもぞと動きながら、ウルキオラに尋ねた。

「あんたの世界の人間は、魔法使いはいるの?」

「いない。その代わりに科学が発達している」

「コルベール先生の…え~と…エンジン?だっけ?あんなの?」

「ああ」

「月は一つしかないのよね?」

「ああ」

「へんなの」

ルイズが言った。

「俺から見たらこの世界の方がへんだ」

「そうよね…」

ルイズは落ち込んだように言った。

「あんた、伝説の使い魔なんでしょ?」

「そうらしいな」

ウルキオラは左手の甲を見て言った。

「それって、ほんとなのかしら」

「そうらしいな。記述通りの能力を手に入れている。武器を持てばそのあらゆる情報が頭に流れ込んでくる。破壊の剣…『斬月』というが、あれも使いこなせたしな」

ウルキオラはあることに気付いた。

黒崎一護がもっていたものとは、刃の黒と白が反転していたことに…。

そんなことを考えていると、ルイズが口を開いた。

「だったら、どうして私は魔法ができないの?あんたが伝説の使い魔なのに、どうして私はゼロのルイズなの?」

ウルキオラは少し考えた後、言った。

「俺が司る死の形を覚えているか?」

「虚無…だったわね…」

ルイズはそういった後、少しだんまりしていたが、しばらくしてがばっと起き上がり、大声で言った。

「ま、まさか!」

ルイズはものすごい剣幕でウルキオラを見つめた。

ウルキオラは本を読んでいる。

「推測にすぎんがな」

「そ、そんなわけないじゃない!」

「あの爆発の破壊力を見る限りでは、可能性がないわけではない」

ルイズは馬鹿にしているのかと思い、反論しようとしたが、ミセス・シュヴルーズの授業後にウルキオラが言っていたことを思い出した。

「制御することができれば、武器になるだろうな」

ウルキオラは嘘偽りなく言った。

なにせ、あの爆発は虚弾と同程度の威力があったのだから。

「まあ、時期がくればおのずとわかる」

ルイズは答えない。

「寝たか…」

ウルキオラはルイズが寝たのを見て、ベッドから起き上がった。

そして、いつもの椅子に腰かけた。




ルイズはウルキオラがベッドから離れるのを見て、止めようとしたが、口が開かなかった。

ウルキオラに対して優しくなったのは、何度も自分を助けてくれた恩返し……。

でも、それだけじゃない。

異性に対して…まあ、ウルキオラは人間ではないのだが、こんな気持ちは初めてで、ルイズはどうしていいのかわからないのだ。

着替えをウルキオラに見られたくないと思ったのも、そのせいだ。

意識しだしたら、急に肌を見られるのが恥ずかしくなった。

本当だったら、寝起きの顔も見せたくない。

どうなんだろ……やっぱり好きなのかな。

これって好きなのかしら。

心の中でそんなことを呟きながら、ルイズはそっと唇を指で撫でた。

そこだけ熱した鉄に押し付けたように熱い。

結局わかんなくて、いやだわ、もう、と心の中で呟いて、ルイズは目をつむった。 
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