ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~
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フェアリィ・ダンス編 哀しみを背負った男達
運命の剣
前書き
小学生6年くらいの時に、ブレイドを見て自己解釈した物。始視点です。それを無理やりこの作品につなげました。
「俺とお前は、戦うことでしか分かり合えない!!」
世界は・・・危機に陥っていた。俺、相川始という化け物によって。だから、それでもあきらめない俺の戦友とも言える男に叫んだ。
「それでも・・・!!」
俺の友、剣崎一真はそう言って黄金の戦士に変身する。
それでも?これは自身でも切り開けない、変えることのできない運命だ。避けられぬ人類の滅び。
互いに愛する者が、消えていく。そうならないためには、俺が封印されるしかない。
互いに仲間を傷つけあい、愛する者を守ろうとする。けれど・・・剣崎は防ぐだけで、何もしてこない。
「そんな事では・・・!!」
「俺に・・・!!」
勝てないぞ!!叫んで、殴る。それでも剣崎は防ぐだけだった。剣も使わず、防ぐだけ。
何故だ・・・?お前はいつもそうだ。自分一人で戦って、守って。
「なぜだ・・・!?」
何故、お前は俺を救おうとする?みんなを救いたいなら、俺を倒せば――――――。
殺せばいいじゃないか。俺一人が、あそこからいなくなってもいいじゃないか。
もう、時間がないんだ。どうしようもないんだ。
頼むよ、剣崎・・・。
俺を・・・封印してくれ。しかし、ここで剣崎が一歩下がった。纏っている黄金の鎧、そのアンデットの紋章が、次々に怪しく鼓動する。
ブレイドの変身が解け、肩で息をする剣崎が見える。そして、右腕から流れ落ちる血。その色は、
「剣崎・・・?お前」
俺と・・・、アンデッドたちと同じ、緑色だった。これが、剣崎の狙いだった。
だから、攻撃してこなかった。俺は忘れていたのだ。キングフォームが強大な力を持つ理由は、スペードのスートの13体のアンデッド全てと融合するからだということを。
だが、それと同時に剣崎がアンデッド化する危険を秘めている。それが、今やって来たのだ。
周りにいた、いや、世界にいたダークローチが全ていなくなっていた。
剣崎がブレイバックルを投げ捨てる。その腰には、自分と同じジョーカーラウザーがあった。
俺はジョーカの変身を解き、剣崎を見る。
「剣崎・・・お前・・・お前は・・・!!」
「アンデッドになってしまったというのか・・・」
剣崎は笑った。俺は・・・悲しかった。お前は、こっちへは来てはいけない存在だったのに。
「お前は・・・最初からそのつもりで・・・」
その言葉は、最後まで言えなかった。上空から、鈍く光るモノリスが落ちてきたからだ。
それは俺に語りかけてくる。
「統制者が言っている・・・。アンデッドを二体確認・・・。バトルファイトを・・・再開しろと」
統制者が言った、残酷な言葉。救われる運命を貪ろうとする者の言葉に対して、剣崎が口を開く。
「最後の一人になるまで・・・か」
剣崎の言葉に、俺は頷いた。剣崎は一瞬だが憤怒の表情を見せ、モノリスを叩き壊した。そして言った。
「俺は・・・戦わない」
俺はその行動に驚くが、モノリスはその行動をあざ笑うように復活する。
そして、上空に去って行った。それを確認した俺は、剣崎に駆け寄ろうとした。
「来るな!!」
剣崎は大声でこちらに叫ぶ。俺は、走るのをやめた。
「剣崎・・・」
「俺とお前は・・・アンデッドだ。俺たちがどちらかを封印しない限り、バトルファイトは決着せず、滅びの日は来ない・・・。だから・・・俺たちは闘ってはいけない。近くにいては・・・」
剣崎がその言葉を言うのは、どれだけ辛く、哀しいものだったろうか。
「いけない・・・」
だが、俺はそれに反論した。
「いくら離れた所で、統制者は俺たちに戦いを求める。本能に従い、戦う・・・。それが・・・アンデッドの運命だ」
だが剣崎は口元の血をぬぐい、いつものように力強く言った。
「俺は運命と戦う。そして・・・勝ってみせる」
「それが・・・お前の答えか」
そして・・・剣崎は言った。
「お前は・・・人間達の中で生き続けろ」
剣崎は一歩下がった。
「・・・どこへ行く」
俺は、問うた。剣崎は一歩一歩下がりながら、言葉を紡ぐ。
「俺たちは二度と会うこともない。触れ合うこともない」
剣崎は再び笑みを作った。
「それでいいんだ」
剣崎は俺に背を向け、歩き出した。
「剣崎・・・!」
俺は追いかけた。走って。怪我のことも忘れて。森を抜けると、そこは崖だった。呆然とする俺の横に、橘が現れる。
「始!剣崎は・・・?」
俺は言葉がうまく紡げず、ただ首を振った。そこに、睦月が現れた。
「剣崎さんをどこにやったんだ・・・答えろ!!」
睦月が俺の胸ぐらをつかむが、橘がそれを止めた。俺は、海を見た。そこには、一匹のカモメが鳴きながら飛んでいた。
それは、どんどんと遠くなっていく。まるで剣崎が俺たちから離れていくように。
橘がそれを見て、叫んだ。
「剣崎・・・」
「剣崎―――――――――――――っ!!」
それから数か月がたった。平和な日常が戻った。橘達はそれぞれ自分の日常へ戻り、俺は平和な日常を取り戻した。
俺は今、生きている。幸せなこの日常を。友が守りきった、この世界を生きている。
そして、俺は栗原家で生き続ける。遥香と天音の笑顔が絶えない栗原家で。
その日、外で花壇の整備をしていると、遙香さんからお使いをお願いされ、俺は花を買って帰っている最中だった。
銀杏並木の道を歩いていると、ふと、ベンチが目に入った。そこにいたのは―――――――――。
「剣崎・・・!?」
彼奴は笑っていた。その笑顔は、俺達から去る前のものと変わっていない。
「始」
剣崎は俺の名を呼んだ。思わず近づくと、剣崎は消えていた。
「お前は、人間達の中で生き続けろ・・・」
声が頭の中に響く。俺は剣崎の言葉を噛み締め、花をベンチに置いた。
花の名は、アマリリスとグラジオラス。前者の花言葉は誇り。後者は剣、切り札と言う意味がある。
なぁ、剣崎。見ているか?俺は・・・。俺は・・・、平和な日常を生きている。
お前が救ってくれた世界は・・・平和だよ。
俺はゆっくりと銀杏並木を歩き始めた。
だが・・・目の前には灰色の世界が広がっていた。それは、ディケイドが移動するときのものに似ている。
「俺に行けというのか・・・剣崎」
俺はメールを打って、遙香さんへと送信する。
「お前がこの世界を救ったように・・・。目の前の世界にも何かあるのなら」
俺は、その世界を救おう。お前と同じように。
俺は、剣崎が言っていたことを思い出す。
誰かのために走る、それが仮面ライダー!!
「剣崎、俺も・・・誰かのために走ってみようと思う」
目の前の世界で、助けを待っている奴のために。
俺は、灰色の世界へと一歩踏み込んだ――――――――――――――――――。
to be continued・・・?
後書き
いや~、始かっこいいな。ブレイドの最終回は、今でも忘れられません。リアルタイムで見てたので。
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